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2008年7月22日 (火)

『経済財政白書』と『労働経済白書』の分析から

今日も、朝から少し雲が多かったものの、いいお天気で気温も上がって、蒸し暑かったです。今日は1年で一番暑いとされる二十四節気の「大暑」に当たるそうです。

『経済財政白書』から本日の閣議に『経済財政白書』と『労働経済白書』が提出されました。上のグラフは『経済財政白書』について報じた朝日新聞のサイトから引用しています。私が従来から主張しているように、すでに足元で景気後退局面入りしている可能性は否定できないものの、政府の公式見解としては、2002年2月から景気拡大局面が続いているんですが、この景気拡大局面において、実質国内総生産 (GDP) の成長のうち過半が輸出の寄与によるものだと分析しています。輸出依存度が高いだけに、逆に、米国のサブプライム・ローン問題に端を発して世界経済が大きく減速する中で、日本経済も踊り場的な減速を迎えていることは明らかで、米国をはじめとする世界経済の動向に依存する経済構造の脆弱性が指摘されています。でも、これは政府が進めて来たグローバル化の流れの中で当然だったのではないでしょうか。また、景気拡大の中で、個人消費が盛り上がらないことについては、中国などの新興国で低賃金の労働力が増えた影響により、国内でも賃金が伸び悩んでいることが主因と分析しています。加えて、パートなど非正規雇用の労働者の比率が高まったことも、賃金が伸びない理由の一つに挙げています。労働市場改革は構造改革の成果のひとつだと思うんですが、成功だったのか、失敗だったのか、もう少し評価を分かりやすくして欲しい気がします。なお、エネルギーについては、1970年代の2度の石油危機の直後には省エネが急速に進んだものの、近年はエネルギー効率がほぼ横ばいとなっていて、産業界などが「改善の手を休めてしまった」と厳しい見方を示しています。私は直感的にはエネルギー価格の高騰が余りに急速なので企業が追い付いていないのであり、この見方はやや厳しすぎるような気がしないでもありません。最後に、今回の白書では本格的に税制を取り上げたのも特徴的です。社会保障財源を確保するために税率引上げに向けた本格的な議論に入る必要があるとの主張です。これはもっともだと思うんですが、私のようにもう少し中長期的な視点を持つエコノミストからすれば、IS バランスの観点からの議論も必要だと考えています。すなわち、消費税を増税すれば、IS バランス的には家計の貯蓄過剰が減少して、政府の投資過剰が圧縮されるんですが、家計貯蓄もかなり下がって来ており、すでにマクロで貯蓄過剰となっている企業の投資を促進する観点も必要です。そうすると、家計に増税して企業に減税する姿となり、国民一般からは大きな批判を受けることにもなりかねません。この兼合いをどのようにバランスさせるかも考える必要があります。出来れば、私ももう少し考えた上で日を改めて取り上げたいと思います。

『労働経済白書』から続いて、『労働経済白書』です。こちらも右のグラフは朝日新聞のサイトから引用しています。非正規雇用と生産性について、少し疑問がないわけではありませんが、不の相関関係を認めています。すなわち、従来から生産性が低いサービス業での非正規雇用が急増する一方で、生産性が高い製造業での正社員が削減されている結果、低生産性部門が温存されて、日本経済全体の労働生産性にマイナスの影響を及ぼしている可能性が指摘されています。しかし、余剰人員削減で生産性を向上させたことも事実ですし、因果関係が逆転している可能性があると考えないでもありません。非正規雇用が増加したために低生産性部門が温存されたのではなく、規制などにより低生産性のサービス部門を温存したがために非正規雇用が増えている面を見落としているような気がします。さらに、国際競争にさらされていないサービス部門では外資の導入も生産性向上の一案だと考えられるんですが、この視点は抜け落ちています。『労働経済白書』が指摘するように、非正規雇用の増加はコスト削減には有効でも、労働者の職業能力の向上を通じた生産性向上にはつながりにくい面があることは事実ですが、高い生産力を担う労働者は企業内での職務経験を積み重ねながら育成されるだけではありません。長期雇用への回帰を提言しても時代の流れを元に戻すことは出来ないように私は感じています。生産性を取り上げるのであれば、格差問題には踏込み不足だとする意見もあり得るような気がします。

何となく、キチンと読んだわけではないんですが、今日発表された白書について、少し批判的な見方も含めて示してみました。もちろん、ここで取り上げただけでなく、多くの重要な論点を含んでいますので、ご興味ある方は一読をオススメします。

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