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2008年7月15日 (火)

Too big to fail!

今日も、少し雲が多かったものの、朝からいいお天気でした。気温も上がって、蒸し暑い日本の夏が続いています。夕立があるような天気予報だったんですが、少なくとも、私は雨には遭遇しませんでした。

日本のメディアの反応はやや鈍いんですが、サブプライム・ローン問題に端を発して米国の連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の経営が悪化し、救済策が米国の財務省と連ぽ準備制度理事会 (FED) で検討されています。まず、米国時間の日曜日に緊急で発表された財務省と FED のステートメントへのリンクは以下の通りです。

アメリカの住宅金融の仕組み

まず、米国の住宅金融の仕組みは上の図の通りです。読売新聞のサイトから引用しています。サブプライム・ローンを含めて民間金融機関が貸し出した住宅ローンを原債権として、ファニーメイやフレディマックが住宅ローン担保証券を組成して投資家に販売していました。ですから、原債権である住宅ローンの焦付きが発生すれば、単純に投資家だけでなく、ファニーメイやフレディマックの保有する資産も悪化し、経営難に陥ります。
Market Impactしかも、ファニーメイやフレディーマックが保有していたり、保証していたりする住宅ローン債権は巨額に上ります。左のグラフは "Wall Street Journal" のサイトから引用しているんですが、ここに見られる通り、米国の住宅ローン債権のほぼ半分になります。別の試算によれば過半に達するとするものもあります。しかも、ファニーメイとフレディマックには暗黙の米国政府の保証が付与されていると見なされて、これらの両政府機関 (GSE) の債券は格付けや信用度も高くて、広く世界中に売りさばかれています。例えば、読売新聞のサイトの報道によれば、2007年6月時点の米政府機関債(長期債)の海外保有残高は中国が3760億ドルと最多で、日本は2290億ドルと世界第2位の規模となっていて、メガバンク3行の保有する米政府機関債は2008年3月末時点で、ファニーメイとフレディマックの債券も含めて、三菱UFJフィナンシャル・グループが3.3兆円、みずほフィナンシャルグループが1.2兆円、三井住友フィナンシャルグループが2198億円と、約4.7兆円に上るようです。ファニーメイやフレディマックの債券は邦銀で保有していないところはないと言われるほど広く行き渡っており、これら米国の政府機関債の価格動向はメガバンクのみならず、広く日本の銀行業界全体にも何らかの影響を与える可能性が指摘されています。
暗黙の政府保証もさることながら、完全なる政府保証のある連邦抵当公庫(ジニーメイ)は別にして、ファニーメイやフレディマックはサブプライム・ローン問題で少し難アリ債券をムリして保証したり、買い取ったりしていましたので、ここに来て一気に経営が悪化したと解釈するのが妥当かと思いますが、両政府機関債などが世界中に余りにも広く出回っているため、これらを保有している民間金融機関によっては流動性に不足を来たす可能性もあり、場合によっては、世界的なシステミック・リスクに陥る可能性すら指摘する意見もあります。米国政府と中央銀行である連邦準備制度理事会の今後の対応、特に、資本注入の方法と規模や時期、あるいは、国有化されるのかどうか、などが注目されるところです。それにしても、3月のベア・スターンズ証券のケースといい、米国政府や連邦準備制度理事会の極めて迅速な対応には、日本政府に勤務する公務員として舌を巻きます。でも、しばらく、クレジット市場とこれに引きずられた株式市場も弱気が続くのかもしれません。

今回のファニーメイとフレディーマックについては、典型的に、"too big to fail" が適用されるケースだという気がします。私も含めて、誰の目から見ても、絶対に潰すわけにはいかないと思います。

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