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2008年8月20日 (水)

「レジャー白書2008」にみる格差の現状

先月末から今月初めにかけて、私が大忙しにしている時期に発表されたので、やや見逃し気味だったんですが、(財)社会経済生産性本部から7月31日に「レジャー白書2008」が発表されました。今年の副題は「『選択投資型余暇』の時代」だそうです。何でも「投資」を付ければいいってもんじゃないと思うんですが、この10年で9割の種目が参加率の水準を落としたにもかかわらず、年間平均参加回数が上昇した種目は6割に上っていて、つまり「好きなレジャーにはいっそう盛んに参加する一方で、関心の低いレジャーへの参加は控える」のが「選択投資化」の傾向だそうです。私は「投資」は不要だと思います。「投資」と称するんであれば、英会話とか資格とかのレジャー以外の部門と考えるべきです。レジャーは投資ではあり得ません。それはともかく、最近の余暇市場の推移は以下の通りです。ジリジリと減少して来ているのが見て取れます。

余暇市場の推移

余暇市場全体としては、平成19年は74兆5,370億円、前年比では+5.8%の増加となっていますが、上のグラフに見られる通り、もう少し長い期間を見た傾向としては減少傾向にあります。「レジャー白書」では独特の分類を取っており、部門別では、スポーツ部門(前年比+0.5%増)、趣味・創作部門(前年比▲2.2%減)、娯楽部門(前年比▲8.5%減)、観光・行楽部門(前年比+1.0%増)の4部門となっており、特に、娯楽部門が大きく落ち込んだのはスロットの規制によるパチンコ市場の減少だそうです。パチンコだけでだけで約4.5兆円の減少となっています。私はパチンコもスロットもやらないのでよく分かりませんが、これを除けば、レジャー市場は堅調な推移と言えそうです。
今回の「レジャー白書」の特集のひとつにニュー・レジャー市場規模総額の測定があり、結果は10兆4,340億円となっています。また、参加希望率をもとに算出した「潜在市場規模」では12兆3,040億円という規模になっており、さらなる市場拡大も予想されています。しかし、私が簡単な分析を加えて愕然としたのは、このニュー・レジャーで格差の拡大が顕著に見られることです。「レジャー白書2008」ではニュー・レジャーとして25種類を取り上げてアンケート調査を行っているんですが、現在の参加人口、将来の参加希望人口とともに年間平均費用も算出しています。現在の参加人数と年間平均費用をかけ合わせて現在の市場規模を算出し、将来の参加希望人口と年間費用をかけて潜在市場規模を出しているんですが、下のグラフは将来の参加希望人口と現在の参加人口の差を万人単位で横軸に取り、縦軸に万円単位の年間費用を取っています。いわゆる散布図です。横軸は、将来に向けて参加人口が増えればプラス、減るのであればマイナスです。

ニュー・レジャーにおける格差

これを見れば明らかなんですが、年間費用5万円以上かかる相対的にリッチなニュー・レジャーは4種類あり、費用が高い順にクルージング、社会人大学・市民大学など、フィットネスクラブ、エステティック・ホームエステです。この4種類の相対的にリッチなニュー・レジャーは将来の参加希望人口が現在の参加人口を上回り、将来的に伸びて行くと考えられる一方で、年間費用がおおむね3万円台半ば以下のその他の相対的にプアなニュー・レジャーは年間費用と将来の参加人口の伸びにハッキリと逆相関が見られます。年間費用が高いと将来の参加人口が減り、安いと増えます。順不同ですが、携帯電話でのやりとり(仕事を除く)、インターネットのの余暇利用、車やバイクの洗車・手入れ・改造、複合ショッピングセンターなど、の年間費用2.5万円を超えるニュー・レジャーは着実に参加人口が減少し、年間費用が1.5万円ほどの温浴施設、1万円かからない岩盤浴、もっと安い4000円足らずのウォーキングなどは顕著に増加傾向を示しています。一般的に、生活必需品である衣食住のような支出項目における格差よりも、選択的な支出であるレジャーにおける格差の方が大きいのは当然ですが、ここまで明らかな格差を示すデータは少ないように思います。

私も全文を読んでいるんではなくて記者発表用のサマリーだけで勝負しているので、私が見ていない部分に格差の記述があるのかもしれませんが、そういった記述がないとすれば、格差まで分析するセンスが(財)社会経済生産性本部の研究者になかったのか、それとも、気付いていながら、少しヤな結果なので明らかにしなかったのかは私には分かりません。いずれにせよ、もっと分析を加えれば違った方面から経済学の対象になりそうな気がしないでもありません。

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