6月機械受注は堅調ながらも先行きは不透明
今日、内閣府から6月の機械受注統計が発表されました。船舶・電力を除く民需によるコア機械受注は前月比▲2.6%の減少となりました。事前の市場予想では4月+5.5%増、5月+10.4%増の後を受けて、2桁減のマイナスになっておかしくないとされていましたので、堅調な結果と見る向きもあります。四半期でも2008年4-6月期は前期比+0.6%増と4四半期連続でプラスを記録しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
内閣府が7日発表した6月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は前月比2.6%減の1兆851億円だった。3カ月ぶりの減少だが、当初予測より落ち込み幅は小さかった。内閣府は基調判断を4カ月連続で「このところ弱含んでいる」に据え置いた。6月下旬時点での7-9月の受注見通しは、前期比3.0%減と5四半期ぶりのマイナスを見込んでいる。
6月の実績は日経グループのQUICKが調べた「コンセンサス・マクロ」による直前の予測平均値(9.5%減)を上回った。内訳は製造業が3.9%増、非製造業が3.3%減。押し下げ要因となったのは鉄鋼業や電気機械業で、いずれも大きく伸びた5月の反動で減ったとみられる。
上のグラフは季節調整済みの船舶と電力を除く民需の機械受注です。いわゆるコア機械受注と呼ばれているもので、青い折れ線グラフが月次のデータ、赤が後方6ヶ月移動平均です。影を付けた部分は景気後退期です。
コア機械受注はまずまずの結果を記録しましたから、目先、7-9月期と少し先までのGDPベースの設備投資は、少なくとも、大幅に落ち込むことはなさそうに感じています。しかし、やや不安を残す点があるとすれば次の2点です。第1に、今回の下落幅を小さく見せることに寄与したのが、造船業からの受注が前月比で+99.3%増と大きく伸び、また、通信業からも+13.6%増となっており、昨年7月の携帯電話や今年2月のアジア向け船舶のような、何らかの特殊要因が作用している可能性が否定できないことです。なお、コア機械受注には船舶は除かれていますが、当然ながら、造船業から発注される機械受注は含まれています。第2に、7-9月期の見通しが前期比で▲3.0%減となっていることです。さらに、従来から7-9月期の機械受注見通しは強めに出て未達に終わる統計のクセがあり、これを考慮すると現段階ではかなり弱い数字と受け止められています。達成率を考え合わせると、7-9月期には▲5%を超えるマイナスになっても不思議ではありません。結論として、4-6月期の数字はそのまま受け取るのは少しリスクがあるように私は感じています。見かけは堅調な機械受注統計なんですが、先行きは不透明と言わざるを得ません。
上のグラフは四半期データとして発表されている機械受注の達成率を緑の折れ線グラフで表示したものです。赤は後方2四半期移動平均です。当然ながら、100を超える分は超過達成で、下回る分は未達ということになります。影を付けた部分は景気後退期です。大雑把に、機械受注の達成率が95%を割り込んで来ると景気後退局面に入る経験則がありますが、2004年年央からタラタラと達成率が低下しているのが見て取れると思います。今年2008年1-3月期には94.3%まで低下しましたが、毎年4-6月期には少し跳ねる統計のクセがありますから、今年の4-6月期も106.9%と少し上がっています。新年度に入ってワッと発注と受注がなされるため、季節調整し切れていないのかもしれません。季節調整した系列をさらに移動平均しないと見づらい種類の統計ですから、あり得ることだという気がしないでもありません。いずれにせよ、この機械受注統計の達成率からも昨年10-12月期が景気のピークだったと示唆されるのは特筆すべきだと私は考えています。
長崎に入って明日で1週間となり、段々と生活基盤も整備されて来ました。インターネットもブロードバンドで接続できるようになり、このブログも従来の調子を取り戻したいと考えています。
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