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2008年9月12日 (金)

4-6月期GDP改定値(2次QE)は景気後退期の典型的な姿

本日、内閣府から4-6月期の実質GDP改定値が発表されました。エコノミストの業界で2次QEと呼ばれている統計です。先月発表された1次QEから下方改定され、前期比で▲0.6%減、前期比年率で▲2.4%減から、2次QEでは前期比▲0.7%減、前期比年率▲3.0%減となりました。まず、いつもの日経新聞のサイトからヘッドラインの記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が12日朝発表した4-6月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.7%減となり、8月13日に発表した速報値(0.6%減)から下方修正された。年率換算では3.0%減と、速報値(2.4%減)から下方修正。名目GDPは0.8%減(速報値は0.7%減)、年率では3.3%減(同2.7%減)だった。
実質GDPを需要項目別でみると、民間設備投資が前期比0.5%減(速報値は0.2%減)、個人消費が0.5%減(同0.5%減)、住宅投資は3.5%減(同3.4%減)だった。
内需の寄与度はマイナス0.7%(速報値はマイナス0.6%)、輸出から輸入を差し引いた外需の寄与度はマイナス0.1%(同プラス0.0%)だった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比でマイナス1.5%(同マイナス1.6%)だった。

先週、内閣府から法人企業統計公表後に設備投資の推計方法の変更、すなわち、リース取引に関する会計基準の改正の影響を除去した系列を利用することが公表されましたが、2次QEではこの変更を織り込んでいるようには見受けられません。従って、1次QEからの変更は小幅で市場予想と大きな違いはありませんでした。まず、最近の四半期別実質GDPの前期比伸び率を見ると以下の表の通りです。基本は季節調整済み実質値の前期比伸び率なんですが、アスタリスクを付した民間在庫と外需は寄与度となっています。それから、GDPデフレータは前年同期比の伸び率です。なお、データは正確を期しているつもりですが、コピー&ペーストではなく html でテーブルを組んでいますから、思わぬタイプミスがあり得ますので完全性は保証しません。正確なデータについては、内閣府のホームページを参照ください。

需要項目2007/
4-6
2007/
7-9
2007/
10-12
2008/
1-3
2008/4-6
1次QE2次QE
国内総生産GDP▲0.3+0.2+0.6+0.7▲0.6▲0.7
   民間消費+0.3▲0.0+0.4+0.7▲0.5▲0.5
   民間住宅▲4.3▲7.3▲9.8+4.3▲3.4▲3.5
   民間設備▲1.9+0.4+1.0▲0.1▲0.2▲0.5
   民間在庫 *▲0.2+0.0+0.0▲0.2▲0.0▲0.0
   公的需要▲0.2▲0.4+0.8▲0.3▲0.9▲1.0
   外需 *+0.1+0.5+0.3+0.4+0.0▲0.1
国内総所得GDI▲0.6+0.0▲0.1+0.1▲1.0▲1.2
名目GDP▲0.4▲0.0▲0.1+0.2▲0.7▲0.8
雇用者所得+0.3+0.2▲0.1+0.4▲0.5▲0.4
GDPデフレータ▲0.5▲0.6▲1.3▲1.5▲1.6▲1.5

GDP前期比成長率への寄与度

次に、2005年1-3月期以降の前期比成長率と需要項目別の寄与度のグラフは上の通りです。青の折れ線グラフが実質GDPの前期比伸び率で、積上げ棒グラフが各需要項目の寄与度となっています。2007年1-3月期までほぼ順調な成長を続けて来たんですが、昨年9月のこの時期に発表された2007年4-6月期の成長率が大きく落ち込んでいるのが見て取れます。私も含めて、多くのエコノミストが景気が変調を来たしているのではないかと色めき立った理由がここにあります。その後、今年2008年の1-3月期にはうるう年効果もあって、消費の赤い棒グラフが大きく寄与して、外需の黒い棒グラフも引き続きプラスの寄与を示し、かなりの高成長を記録したんですが、「山高ければ、谷深し」の典型例で、4-6月期は大きなマイナス成長に落ち込みました。長らく景気拡大が続いて来たので、全ての需要項目がマイナスに転じたのは久し振りだという気がします。特に、4月にガソリンの暫定税率が切れたため、黄色の公的需要が大きなマイナスになっています。

国内総生産GDPと国内総所得GDI

上のグラフは先月の1次QEのときに作成したものをリバイスしました。交易利得の寄与度です。青い折れ線グラフが前期比で見たGDPの実質成長率で、赤いラインが同じく国内総所得GDI、緑色の棒グラフが交易利得の寄与度です。この交易利得の寄与度はほぼGDPとGDIの差に近似されます。最近3四半期位は緑色の棒グラフが下に大きく突き出ているのが見て取れます。GDPよりもGDIの方が国内の景気実感を正確に表現していると多くのエコノミストは考えています。ですから、昨年10-12月期や今年1-3月期においては、GDP成長率はそこそこ高かったんですが、GDI伸び率はほとんどゼロ近傍にあって、決して、統計数字ほどは景気が良かったわけではないことがうかがえます。2次QEは今日発表された4-6月期についても、GDP成長率よりもGDIの方がかなり大きくマイナスになっていて、GDP成長率で読み取れる年率▲3%よりも、景気実感や景気実態が悪いことを認識すべきでしょう。

実質雇用者報酬の前期比伸び率

最後に先行きとの関係で雇用者所得と民間消費の前期比をプロットしたものが上のグラフです。水色の棒グラフが雇用者所得で、赤が民間消費です。どちらも前期比ですから、最初の表にある計数を少しさかのぼって取って単にプロットしただけです。ここでもうるう年効果で今年の1-3月期がいずれもかなり高い伸びを示しているんですが、これまた「山高ければ、谷深し」で、1-3月期の反動もあって4-6月期にはかなりのマイナスになりました。それはともかく、注目すべきと私が考えているのは、最近1年から1年半くらいの間、雇用者所得の伸びを民間消費が上回っているパターンが多いように感じるからです。それに対して、この4-6月期はホンのわずかではありますが民間消費の伸びが雇用者所得を下回りました。要するに、ラチェット効果なんかもあるかもしれませんが、家計は所得に比べて少しムリをして消費に回して来たことがうかがわれる一方で、年央移行、その反動が表れる可能性が否定できない点を重視すべきと私は考えています。これまた、従来からの私の主張なんですが、北京オリンピックくらいまでは消費は維持される可能性が高いものの、年央から秋口以降の消費は極めて不透明との見方を裏付けている可能性があります。設備投資については、昨夜、機械受注を取り上げた際にも来年の年央から秋口くらいまでGDPベースの設備投資はマイナスを続けるとの見方を示したところですし、しばらくの間、1年強くらいは景気後退が続く可能性があるかもしれません。気の早い人では現在の景気後退局面は来年1-3月が底で、年度明け以降、日本経済は回復に向かうとの見方もありますが、私は景気後退局面がそこまで早く終わる根拠はまだ見出せていません。

現時点までの月次統計を見る限り、7-9月期には輸出や消費が少し持ち直すことから、GDP成長率は4-6月期の反動もあってプラスに転じる可能性が高いと考えられますが、1次QEの際に指摘したように、本格的な在庫調整が始まれば在庫のマイナスが輸出や消費のリバウンドを打ち消してしまう可能性も否定できません。その先の年度内から年度を超えるくらいのスパンの話になると、商品市況や海外経済の動向に依存する部分が大きいとはいうものの、来年年央から秋口まで現在の景気後退局面が続く可能性が十分あると私は見ています。

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