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2008年9月30日 (火)

鉱工業生産と労働統計に見る景気後退局面

本題に入る前に、すでに各種メディアで流れているように、米国の下院が金融安定化法案を否決し、昨日の NY 株式市場はダウ平均が前週末比▲777ドル68セント (▲6.98%) 安の10,365ドル45セントで取引を終え、史上最大の下落幅を記録しました。東証の日経平均も一時▲500円超の下げを記録した後、アジア市場の下げ幅が小さくなったために少し戻したとはいうものの、結局、終り値は昨日比▲483円75銭(▲4.12%)安の1万1259円86銭と大きく下げました。米国下院の金融安定化法案の否決というメガトン級のスーパーネガティブサプライズにより世界の金融市場はメチャクチャな大混乱です。この話題についてはもう少し情報を収集して、日を改めて取り上げたいと思います。

ということで、今日はエントリーのタイオルのように、経済産業省から鉱工業生産指数、総務省統計局から失業率などの労働力調査、厚生労働省から有効求人倍率などの職業安定統計が発表されました。まず、ヘッドラインの統計に関して、鉱工業生産と雇用統計に分けて、いつもの日経新聞から引用すると以下の通りです。

鉱工業生産
経済産業省が30日発表した8月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は104.5となり、前月に比べて3.5%低下した。2カ月ぶりの低下で、現行の基準を採用した03年以降では最大の下げ幅となった。輸出用の自動車や国内外向け一般機械などの生産減少が響いた。国内外の景気は一段と不透明感が強まっており、7-9月期としても前期比で低下となる公算が大きい。
生産の低下幅は過去の基準を含めると、情報技術(IT)バブル崩壊後の01年1月以来の大きさ。出荷が前月比3.8%低下と大きく落ち込み、生産減につながった。在庫指数は0.2%低下。経産省は生産の基調判断を3カ月連続で「弱含みで推移している」で据え置いた。
雇用統計
日本の雇用情勢の悪化が鮮明になってきた。厚生労働省が30日発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は0.86倍と前月を0.03ポイント下回り、2004年9月以来の水準まで低下した。総務省が同日発表した8月の完全失業率(同)は4.2%と前月より0.2ポイント上昇。厚労省は雇用情勢についての基調判断を「引き続き注意を要する」から「下降局面」へと4カ月ぶりに下方修正した。
有効求人倍率は公共職業安定所(ハローワーク)で職を求めている人1人あたりに何件の求人があるかを示す。8月は職探しをしている有効求職者数が1%増え、企業の求人数である有効求人が1.7%減り、倍率を押し下げた。1倍割れは9カ月連続となる。

鉱工業生産指数の推移

まず、鉱工業生産指数の推移です。青い折れ線が月次の統計で、赤が四半期です。いずれも季節調整済の系列です。今回の発表では製造工業だけながら10月までの予測指数が利用可能でしたので、9月の予測を当てはめて7-9月期の四半期データを計算してグラフにプロットしてあります。見れば明らかなんですが、今年に入って3四半期連続で前期比マイナスを記録することがかなり濃厚と言えます。景気後退の判断には2つの D が重視されます。すなわち、Duration =期間と Depth =深さです。上のグラフから明らかなように、2004年後半から2005年にかけて、いわゆる「景気の踊り場」だった時期には期間は十分なんですが、深さが景気後退と判断するには不足していました。これに対して、昨年10-12月期をピークとする現在の景気後退局面は期間も深さも十分だという気がします。期間は3四半期連続のマイナスが確定的な上に、4四半期以上になる可能性も十分ありますし、深さも引用した新聞記事にある通り、マイナス幅も大きくなっています。8月統計の▲3.5%減は市場の事前コンセンサスの▲2.4%を大きく上回りました。我が同業者から送られて来たニューズレターで出荷と在庫の循環図を描いているのを見かけたんですが、明らかに45度線を越えて景気後退局面を示唆するシェイプになっていたりしました。さらに、中身を詳しく見ると、ほぼすべてのセクターで悪化しているんですが、特に、資本財部門のマイナスが大きく、今後、来年年央から秋口にかけて GDP ベースの設備投資が弱含むとの私の予測をサポートしているように見受けられます。

失業率と有効求人倍率の推移

新規求人数の推移

次に、雇用関係の統計です。上の2枚のグラフのうち、上の方が失業率と有効求人倍率で、赤い折れ線が左目盛のパーセント表示の失業率、青が右目盛りの有効求人倍率です。有効求人倍率の単位は倍です。下のグラフは新規求人数のグラフで単位は人です。いずれも季節調整済の系列で、影を付けた部分は景気後退期です。直近は私の勝手な判断で、昨年10月がピークであったと考えて影を付けています。いつも、この3指標を取り上げているのは、雇用統計のうち、下のグラフの新規求人数が先行系列、上のグラフの有効求人倍率が一致系列、失業率が遅行系列として、それぞれ景気動向指数に採用されているからです。新規求人数は先行系列であるとはいうものの、2枚のグラフとも、私が暫定的に昨年10月を景気のピークとしたのが遅きに失しているくらい、早々に雇用統計は景気後退を示しています。特に、今年に入ってから雇用者数がジリジリと減少している中で、規模別に見ると、500人以上大企業は順調に雇用者が増加している一方、中堅から中小企業の雇用者数の減少が目立っています。産業別に見ると、少し前までの建設業での減少と情報通信業での増加の動きが年央くらいでほぼ止まり、最近時点ではサービス業で雇用を吸収しているように見受けられます。必ずしもいい形とは言えなくなってきているのかもしれません。また、勤め先都合により失業が増加しているのは、倒産が増加している最近の動向とも整合的です。

いずれにせよ、本日発表された鉱工業生産指数と雇用統計はかなり明瞭に日本が景気後退局面にあることを示していると私は考えています。加えて、もちろん、商品市況の動向と金融市場の混乱の度合いに大きく左右されますが、資本財出荷などを見ると、この景気後退局面がかなり長引く可能性も排除できないと覚悟すべきなのかもしれません。

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