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2008年9月17日 (水)

世界の金融危機はまだ続くのか?

3月のベア・スターンズ証券、今月のファニーメイとフレディマックの GSE に続いて、私が第3波の金融機関の経営危機と呼んでいるリーマン・ブラザーズ証券、メリル・リンチ証券、保険の AIG (American International Group) の3社の経営危機については、すでにこのブログでも取り上げたように、リーマン・ブラザーズ証券は連邦破産法の第11条を申請し、メリル・リンチ証券はバンカメに吸収されて、最後に残っていた AIG は連邦準備制度理事会から850億ドルの融資を受けることにより、2年間の融資の期間内に政府の管理下で資産売却や事業の整理を行うことで決着しました。まず、AIG への融資に関する記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

米政府・連邦準備理事会(FRB)は16日、米保険最大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に最大850億ドル(約9兆円)のつなぎ融資を実施すると決めた。見返りとして同社の79.9%の株式を取得できる権利を政府が確保することにし、事実上、政府の管理下で再建にあたる。米国発の金融危機を防ぐ狙い。一方、FRBは同日、最重要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現行の年2.0%のまま据え置くことを決めた。
AIGへのつなぎ融資は2年間で、AIGの全資産を担保にする。金利はロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の3カ月物に8.5%上乗せした水準。AIGはつなぎ融資で資金繰りをつけ、時間をかけて資産売却し融資を返済する。

LIBOR に850ベーシス上乗せした金利にも驚きましたが、これにより、巨大な保険会社だった AIG はかなりの程度に解体され、もうからない日本法人なんかは売却されたりするのかもしれません。投資銀行と商業銀行だけでなく、保険会社も巻き込んだ金融機関の大規模な再編が生じることは言うまでもありません。また、記事の引用はしませんが、リーマン・ブラザーズ証券についても、投資銀行業務の部門は英国バークレイズ銀行への売却の交渉が進んでいるような報道もあります。昨年8月のパリバ・ショックに端を発したサブプライム・ローン問題による米国金融機関の経営危機は、私の考えるように第4波がある可能性を残しつつも、やや収束に向かう可能性があります。
しかし、次に金融機関が経営危機に陥る可能性を2点指摘しておきたいと思います。第1は、同じくサブプライム・ローン問題を起点として欧州の金融機関が経営危機に見舞われる可能性です。最近ではディスクロージャーという方が分かりやすくなった情報開示の点で、欧州の金融機関は米国よりややクローズな点が指摘されていますので、本格的な不良債権処理の段階で、ひょっとしたら、びっくりするような情報が公開される可能性は排除できません。さらに、昨夜のエントリーでも投資銀行と商業銀行の違いについて指摘しましたが、実は、投資銀行と商業銀行に違いがあるのは英米と米国の占領下にあった日本くらいなもので、大陸欧州はいわゆるユニバーサル・バンキング制度を取っているので、投資銀行業務における不良債権のために経営がピンチになれば、即、商業銀行部門の決済業務に影響が及ぶ可能性もなしとしません。私は詳しくないものの、英米のように会社ごとにファイアーウォールを設けているほどではなくても、社内的にチャイニーズウォールを設けたりして、利益相反や決済業務への影響は最小限に食い止められるんではないかと思いますが、それにしても、ユニバーサル・バンキングの銀行だけに決済の観点からはリスクがあるような気がしてなりません。
第2に、サブプライム・ローン問題を起点とするのではなく、現在も進行中の商品市況の下落により金融機関の経営危機が発生するリスクも考慮すべきです。日本では原油価格の下落を歓迎する意見も聞かれますが、金融の観点から見ると、それほど単純な現象ではありません。日本の銀行における不良債権は土地が起点で、米国の不良債権は住宅が起点でしたが、次の不良債権は原油などの商品を起点とする可能性が十分あります。資産価格の下落という意味では同じです。原油などの商品の場合は、米国の住宅ローンほどの複雑な証券化の過程を経ていないように見受けられますので、コトは単純かもしれませんし、米国の住宅ローンから組成された証券市場ほどの規模があるわけではないんですが、ここ2-3年の商品市況の上昇はかなりの程度に需要にサポートされていたとはいえ異常でしたので、限界的に商品価格を決めて来た途上国や新興国が米国の景気後退に合わせて景気を減速させるとすれば、市場規模は小さいながらも上げ幅が米国の住宅とは比べ物になりませんから、巨大な損失を計上する金融機関が現れても私は不思議に思いません。

グローバル化が進んだ世界経済の中でも、金融市場はもっともグローバルに動く市場のひとつですし、金融市場の混乱から実物経済へのネガティブな波及も大きくなっているように見受けられます。ゴルディ・ロックス経済を支えて来た米国の資本と中国の労働力のうち、前者が大きくコケたんですから影響は甚大です。今夜のエントリーのタイトルへの回答は、「世界的な金融危機はまだ続く」ということなのかもしれません。

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