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2008年11月30日 (日)

長崎の紅葉の名所や、いずこに?

今日で11月も終わり、明日からは12月の師走です。私も今年は教師になったので走り回ることになるかもしれません。ということで、季節がら、長崎の紅葉の名所はどこかと探したんですが、ネットで検索すると以下の案内がありました。

オール九州では大分県の久住連山なんかが有名で、テレビの全国放送で流れたりもするんですが、長崎県では雲仙仁田峠とか、轟峡なんかが有名なようです。長崎市内の電車で行ける範囲ではありませんから、この週末に出かけるのは諦めました。その代わりというわけでもありませんが、宿舎のベランダに出ると、石を投げれば届きそうな距離に小学校の正門があり、その脇に見事な銀杏の木が真っ黄色に色づいています。家族を残してきた青山の家からほど近い神宮外苑の銀杏並木を思い出します。また、霞が関の官庁街にも案外と銀杏が多いのも思い出しました。
まったくどうでもいいことなんですが、上にリンクを張っておいた biglobe と goo の紅葉ガイドに出ている九州各県の紅葉の名所を数えると、以下の通りです。

県名biglobegoo
福岡511
佐賀36
長崎32
大分515
熊本410
宮崎56
鹿児島35

要するに、長崎には紅葉の名所が少ないのかもしれません。面積が小さいせいもあるのでしょう。確かに、私の宿舎からすぐ山があったりするんですが、この季節になっても、常緑樹が大部分なのか、青々と葉が茂っていて、ほとんど色づいている様子は見られません。先に上げた神宮外苑の銀杏並木とか、私が大学を出るまで過ごした京都の北の嵐山、南の東福寺の紅葉を懐かしんでいます。

ただ、書いていて思い出したところ、大学の構内には、長崎にもみじが少ないことの裏返しだという気もしますが、見事なもみじが卒業記念に何本か植えられています。ひょっとしたら、長崎の紅葉の名所は案外と身近にあるのかもしれません。

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2008年11月29日 (土)

三浦投手は阪神に入団するのか?

阪神ロゴ

先週から FA の公示に続いて交渉が始まり、我が阪神タイガースは横浜の番長こと三浦投手の獲得に乗り出しています。阪神とは関係ないところで、中日の中村内野手が楽天入り濃厚と報じられたりしてます。三浦投手は今月中ということで明日の11月30日に横浜球団事務所で記者会見を開いて発表するらしいんですが、私は阪神の三浦投手獲得に少し疑問を感じています。
と言うのは、まず、私の個人的な趣味ながら、打者出身の真弓新監督には打線の強化をお願いしたいので、外国人選手でも構わないですから、出来ることであれば、リソースを打線の方に振り向けて欲しい気がしているからです。井川投手の置き土産なのか、何なのか、まだ資金的に余裕あるのであれば、大型スラッガーに注ぎ込むのも一案かと思います。そして、三浦投手の戦力としての実力も少し疑問に思わないでもありません。阪神戦には強いんですが、他のチームから勝ち星を上げてくれるかどうか、昨シーズンオフに獲得した金村投手は結局1勝も上げられませんでしたし、三浦投手もどうかね、という気もしないでもありません。まあ、阪神戦に強かったですから、横浜に残留して阪神が負けてしまうのと差引き計算もあり得るんでしょうが、それではまるで、巨人が難波選手を獲ったみたいなもんだという気もしないでもありません。なお、難波効果については、かなり美化してありますが、沢木耕太郎さんのスポーツ・ノンフィクション『激しく倒れよ』の「三人の三塁手」に詳しいです。要するに、他チームで活躍されるよりは、自チームで飼殺し、ということなんですが、それはどうかという気もします。でも、たぶん、私のことですから、三浦投手が阪神の縦縞ユニフォームに袖を通せば応援するであろうことは間違いありません。

いずれにせよ、真弓新監督が掲げる「守りの野球」に反対するものではありませんが、出来れば打線の強化も考えていただければ、と願う次第です。

がんばれタイガース!

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2008年11月28日 (金)

本日発表された経済指標について

今日は、月末最終営業日の閣議日ということもあって、いくつかの経済指標が発表されました。今夜のエントリーではその中から鉱工業生産、消費者物価、そして、失業率などの労働統計を取り上げたいと思います。失業率は下がりましたが、その他の指標は典型的に景気後退期の特徴を示すものだと私は考えています。まず、これらの経済指標について、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産指数
経済産業省が28日発表した10月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は102.3となり、前月に比べて3.1%低下した。11月以降も生産の減少が続く見通し。世界的な景気減速を背景に自動車などの内外需が急速に減退し、在庫も増えている。景気後退局面の下で生産・在庫調整が長引く可能性が強まってきた。
10月の鉱工業生産の低下幅は事前の市場予測(2.6%)を上回った。経産省は鉱工業生産の基調判断を「低下傾向」とし、前月の「緩やかな低下傾向」から2カ月連続で下方修正した。
消費者物価
総務省が28日発表した10月の全国の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、生鮮食品を除く総合が102.4と、前年同月比1.9%上昇した。上昇は13カ月連続。項目別で価格の上昇幅が大きかったのは光熱・水道(8.0%上昇)だった。生鮮食品を含む総合では102.6と、1.7%上昇した。
生鮮食品を除く総合は、日経QUICKニュース社がまとめた市場予測平均値(1.9%上昇)と同じだった。
同時に発表した11月の東京都区部の消費者物価指数(中旬の速報値、2005年=100)は生鮮食品を除く総合で101.4と、前年同月比1.1%上昇した。
失業率
総務省が28日発表した10月の完全失業率(季節調整値)は3.7%となり、前月に比べ0.3ポイント低下した。完全失業者数は前年同月比16万人減の255万人となり、7カ月ぶりに減少した。また就業者数は6388万人となり、前年同月より36万人減少、9カ月連続の減少となった。
完全失業率を男女別にみると、男性が前月比0.2ポイント低下の3.9%、女性が0.4ポイント低下の3.5%だった。また完全失業者のうち、勤務先の人員整理や倒産などで失業した「勤め先都合」は61万人、「自己都合」は97万人だった。
有効求人倍率
雇用情勢の悪化が鮮明になってきた。厚生労働省が28日発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は0.80倍と、前月を0.04倍下回った。前月比で下がるのは9カ月連続で、2004年5月以来、4年5カ月ぶりの低水準となる。統計上の理由から総務省が同日発表した10月の完全失業率(同)は3.7%と前月より0.3ポイント改善したものの、厚労省は「雇用情勢は下降局面にある」(職業安定局)と判断している。
有効求人倍率は公共職業安定所(ハローワーク)で職を探している人1人あたりに何件の求人があるかを示す指標だ。10月は職を求める有効求職者数が2%増えた一方、企業の求人が2.1%減り、倍率が下がった。有効求人倍率の1倍割れは11カ月連続で、1倍割れの道府県も39に拡大した。

まず、鉱工業生産指数です。下のグラフの通り、10月の季節調整済み前月比は▲3.1%の低下となりました。先月の指標発表時の10月29日付けのエントリーで、今回の鉱工業生産指数の下がり方のスロープは前回の IT バブル崩壊後に比べて緩やかと見えるものの、これから先、急激な低下局面が控えている可能性が高いと指摘した通り、今月の発表を見る限り、その通りの推移を示していると感じざるを得ません。さらに、製造工業予測指数では11月が前月比▲6.4%、12月も▲2.9%のそれぞれ低下とされていて、これをそのまま鉱工業生産に当てはめると10-12月期は前期比で何と▲8.6%の低下と過去最大の減産となり、年内のうちに鉱工業生産は急激な低下を続けることが予想されています。しかも、10月単月の結果ですが、出荷が▲3.1%減となったため、在庫は+1.7%増と売行き不振に起因する後ろ向きの在庫積上がりが見られます。今月は四半期の計数がないので先月に示したような在庫循環図は書きませんでしたが、出荷・在庫バランスは第2象限の中ほどに達しているように直感的に感じています。世界的な景気後退・減速が続くと、在庫調整には1年くらいかかっても不思議ではありません。一昨日、11月26日付けのエントリーで強調した通り、来年前半の最も暗い闇に向かって進んでいるような気がしてなりません。なお、下のグラフは2005年を100とする指数で、青の折れ線が月次、赤が四半期のそれぞれ季節調整済みの鉱工業生産指数です。影を付けた部分は景気後退期で、直近はいつものように昨年10月をピークと仮置きしています。

鉱工業生産の推移

次に、消費者物価指数です。これも下のグラフの通り、10月の全国の生鮮食品を除くコア消費者物価は前年同月比で+1.9%の上昇にとどまりました。私は今年の年末には+2%を切ると考えていましたが、私の想定よりも急ピッチでエネルギー価格が低下しています。国内需要の減退もあって、コア CPI は完全にピークアウトしました。同業者エコノミストの中には、年内にもコア消費者物価の前年同月比が1%を切ると予想する向きもあり、私もその可能性は十分だと考え直すようになりました。しかし、黄色の棒グラフのエネルギーの寄与度はかなり落ちましたがまだプラスですし、緑色の食料は徐々にプラスの寄与度を大きくして来ていて、10月には寄与度で1%を超えました。原油に比べて穀物などが高止まりしていることをうかがわせます。しかし、この食料の寄与度の上昇も来年年央までで、その後は日本の物価はマイナスとなり、再びデフレに陥ることは従来から私が指摘している通りです。なお、下のグラフはすべて前年同月比のパーセント表示で、青の折れ線が全国のコア消費者物価、赤が同じく全国のコアコア、すなわち、生鮮食品に加えて食料とエネルギーを除く消費者物価、灰色が東京都区部のコア消費者物価です。棒グラフは全国のコア消費者物価に対する寄与度で、黄色がエネルギー、緑色が食料、水色が残差のその他です。

消費者物価の推移

最後に労働統計です。グラフが3パネル並べてあります。いずれも季節調整値です。一番上のパネルがもっともよく参照される失業率と有効求人倍率で、赤の折れ線グラフが失業率、左軸の単位はパーセントです。青が有効求人倍率で、右軸の単位は倍です。2番目のパネルのグラフは労働力人口と雇用者数の推移で、黒の折れ線が労働力人口、左軸の単位は万人です。緑色は雇用者数で右軸の単位は同じく万人です。一番下のパネルのグラフは先行指標となっている新規求人数で、単位はやっぱり万人です。影を付けた部分は鉱工業生産指数のグラフと同じく景気後退期で、直近の仮置きも同じです。

労働統計の推移

10月の失業率は3.7%と前月から0.3%ポイント改善しました。逆に、有効求人倍率は0.80倍と0.04ポイント悪化しました。逆方向に動いているんですが、明らかに、有効求人倍率の動きの方が景気動向を正確に反映しています。と言うのは、もともと、人口減少社会に入って労働力人口が増加しなくなっているところに加えて、景気後退局面に入ってから、職探しを諦めたと想像される人たちが大量に労働市場から退出していることが失業率低下の大きな要因と考えられるからです。真ん中のパネルのグラフを見ても、雇用者数が横ばいの中で、労働力人口が減り続けているのが見て取れます。しかも、この雇用者数の横ばい傾向もかなり曲者で、企業規模別非農林雇用者数の季節調整値を見ると、500人以上の事業所で9月に前月比▲20万人減、10月に▲62万人減と減少した一方で、30-499人の事業所では、9月に+22万人増、10月に+55万人増と増加しています。これを大企業におけるダウンサイジングと捉えるか、リストラと呼ぶべきかは分析するエコノミストの感性にもよるんですが、労働需給が緩和に向かっていることは明らかです。一番下のパネルの新規求人者数も月を追うごとに減少を続けていて、私も大学の教員として、これから卒業する学生諸君の就職がかなり心配になって来ています。厚生労働省の記者発表によれば、11月25日時点で来年3月の新規学校卒業者の採用内定取消しは331人と7年振りの高水準になっており、特に、大学生が302人を占めています。

私は従来から今回の景気後退局面は浅くて長いと考えて来たんですが、今日の発表にある鉱工業生産などを見る限り、深さも相当なもんだと考えを改めつつあります。消費者物価も、私のようなリフレ派のエコノミストが主張する2%のラインをあっさりと割り込んで、冗談めかして言えば、やや惜しい気もしないでもありません。来年前半の大底や年央から始まるデフレの時期に何が起こるかが今から怖い気もします。

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2008年11月27日 (木)

年金改革の終電は出てしまったのか?

先週水曜日11月19日付けのエントリーで主張した高齢者に偏った日本の社会保障の現状に関するフォローなんですが、2004年9月の国際通貨基金 (IMF) の "World Economic Outlook" の第3章 "HOW WILL DEMOGRAPHIC CHANGE AFFECT THE GLOBAL ECONOMY?" において、年金改革に関して、50歳超と定義されている年長者 (older people) の政治的なウェイト (political weight) に関する議論が展開されていると、私のブログの読者さんから教えてもらいました。なお、今夜のエントリーに限って、IMF の定義する50歳超の人たちを「年長者」 (older people - those over 50 years of age) とし、特に定義しない一般的な用語である「高齢者」と書き分けているつもりです。
特に興味深いのは下に示した Figure 3.12 で、グラフのタイトルは "The Last Train for Pension Reform Departs in ..." となっており、有権者に占める50歳以上人口の比率が過半数の50.1%に達して、年長者の政治的なウェイトが高まると年金改革の終電が出てしまう、という趣旨で、先進各国の終電の年次をグラフで示しています。リポート本文では50歳超 (over 50 years of age) なんですが、このグラフでは50歳以上 (aged 50 and older) となっていて、微妙に定義が違うハズなんですが、データの制約もありますし、十分、近似できるのは言うまでもありません。

The Last Train for Pension Reform Departs in ...

一番上のフィンランドやスイスでは2010年ころには50歳以上人口が有権者に占める比率が50%を超え、一番下の英国でも2040年ころには終電が出てしまうと計算されています。リポートから関連するパラを引用すると以下の通りです。なお、上付き文字の 31 というのは脚注です。ごていねいにも、50歳超の人たちは社会的利益よりも個人的利益に従って投票することを前提にしていると脚注に明記してあったりします。

An important dynamic for pension reforms is that demographic change - by increasing the political weight of older persons who may have the most to lose - is actually likely to make the implementation of such reforms increasingly difficult in the future. Older people - those over 50 years of age - will soon represent the majority of active voters in many advanced countries once the differing voter turnout between age groups is accounted for (Figure 3.12). 31

31 This depends on a number of assumptions, including that the over-50s vote for personal benefit rather than the benefit of society, and that voter turnout patterns remain the same in the future as in the past.

要するに、終電が出てしまう前に年金改革を断行する必要がある、との IMF の主張なんですが、上のグラフを見て、オヤと気付くことがあります。そうです。我が日本 Japan が入っていません。私も長らく公務員をして来て、こういったリポート作成の内幕は一般の方よりも知っているつもりでしたから、どこかの役所が横やりを入れて削除させたんだろうくらいに想像していたんですが、実は違いました。先週のエントリーでも引用した国立社会保障・人口問題研究所のデータに当たってみると、何と、日本の50歳以上人口が有権者、すなわち、20歳以上人口に占める比率は、2005年段階ですでに51.6%、2006年では52.0%に達しており、おそらく、2004年9月にこのリポートが発表される時点において、日本では年金改革の終電はとっくに出てしまっていたようです。なお、60歳以上もついでに計算したんですが、2006年時点で有権者の 1/3 を超えていました。ここ2-3年で一気に団塊の世代が60歳を迎えましたので、当然なのかもしれません。年齢を50歳で区切るか、60歳にするかは議論のあるところでしょうが、少なくとも、IMF のこのリポートでは50歳としているのは事実ですし、今夜のエントリーでは深入りしません。年齢の区切り方に関するコメントも受け付けません。なお、よく見かける人口ピラミッドは2005年時点で以下の通りです。

2005年の人口ピラミッド

実は、もうすぐ私も IMF の定義する50歳超の年長者のグループに仲間入りするんですが、少なくとも年金問題に関しては個人の利益よりも社会の利益に従って投票しようと考えています。高齢化がすさまじい勢いで進む中、成人年齢を18歳に引き下げたところで、年金改革の終電を引き戻すには焼け石に水もいいところでしょうから、終電が出てしまった日本では IMF の前提を否定すべく、高齢者に対して私益よりも公益に沿って投票するようにお願いするしかないのかもしれません。でも、年金ではないんですが、広い意味の社会保障という観点から、最近のカギカッコ付きの「後期高齢者医療」の問題などに対する高齢者のリアクションやメディアの報道振りを見る限り、私のお願いが聞き入れられるかどうか、はなはだ自信がありません。

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2008年11月26日 (水)

国際機関の経済見通しと米国次期政権の経済スタッフ

一昨日、国際通貨基金 (IMF) がアジア太平洋地域の経済見通し "Regional Economic Outlook: Asia and Pacific" を発表しました。成長率とヘッドラインのインフレ率の主要国一覧表は以下の通りで、このブログでも10月9日付けのエントリーで紹介しましたが、先月の IMF 世銀総会で示された世界経済見通しよりも成長率・インフレともにさらに下方修正されています。でも、11月7日付けのエントリーで紹介した改定見通しとの違いは大きくありません。日本は2008年+0.5%、2009年▲0.2%と来年はマイナス成長が示唆されています。さらに、来年、日本は再びデフレに陥ることが見通されています。なお、図表はリポート本体から引用しています。

Asia: Real GDP Growth & Headline CPI Inflation

今回の見通しで興味深かったのは、グラフながら四半期別の成長率見通しが示されたことです。一番下の茶色の破線が日本・オーストラリア・ニュージーランドのアジア太平洋地域における先進3か国の成長率で、来年1-3月期が現在の景気後退局面の大底、青の折れ線の NIEs や赤の ASEAN-5 などは、大雑把に来年1-3月期から4-6月期が大底になるように読み取れます。大きな方向感として、私の見方とも一致しています。もちろん、来年前半が景気後退の谷となって景気回復が始まるわけではなく、景気後退期の闇の中でももっとも深くて暗い闇が来年前半という意味です。ハッキリ言えば、現在よりももっと景気が悪くなるわけです。これは次に取り上げる OECD の経済見通しとの大きな違いですが、私は IMF のこの見通しの方により親近感を持っています。

Emerging Asia: Quarterly GDP Growth Forecasts

次に、昨日、経済開発協力機構 (OECD) が経済見通し "OECD Economic Outlook No. 84, November 2008" を発表しました。ついつい、今夜のエントリーでは発表日付順で取り上げてしまいましたが、おそらく、経済見通しとして参照される頻度からいえば IMF の地域経済見通しよりも OECD の経済見通しの方が桁違いに重視されているような気がしないでもありません。毎年、この見通しが出ると年の瀬が押し詰まってきた気になります。主要項目の見通し結果は下の表の通りです。日本を除いて米国と欧州では大雑把にこの年末年始、すなわち、2008年10-12月期から来年2009年1-3月期が現在の景気後退局面の大底で、その後は成長率も徐々に回復して、見通し最終期の2010年10-12月期にはほぼ潜在成長率水準に回帰すると予測されています。日本だけは少し別で、来年2009年1-3月期に財政政策の景気浮揚効果 (fiscal stimulus) により一時的に成長率を回復した後、その効果が切れる7-9月期には再びマイナス成長となり、見通し期間内には潜在成長率水準に達することなく、来年年央からデフレに陥ると見通しています。私もそれなりに財政政策の効果をポジティブに考える方のエコノミストだと思うんですが、この結果をスラッと見るとかなり大胆な政策効果を見込んでいる気がしないでもありません。OECD の日本担当デスクを知っていることもあり、財政政策の効果の大きさについてはやや疑問が残る気がしますが、大底の最悪期が後ズレする可能性は私も否定できませんし、デフレに逆戻りする確率が高いのはまったく同感です。なお、脚注を割愛してしまったんですが、四半期の成長率は季節調整済みの年率とされています。以下の図表は記者発表資料から引用しています。

Summary of projections

日本の景気回復が遅れて回復力も弱く、景気後退局面が長引くことについては、私が従来から主張していた通りです。私の見通しは今回の景気後退局面は浅いが長い、というもので、これをサポートするグラフを OECD の経済見通しから2点引用します。いずれも過去の景気後退局面と比較したものですが、まず、長い方については下の通りで、成長率の回復が1997年の景気後退局面よりはややマシとは言えるものの、今回の日本の景気回復が弱いことが過去のエピソードや主要国と比較してもうかがえます。

Economic downturns compared

さらに、下のグラフでは今回の景気後退局面において、最大となるマイナスのGDPギャップが棒グラフで示されています。OECD の記者発表資料にもある通り、日本は今回の金融危機の震源地 (epicenter) ではありませんから、景気の落ち込みは各国と比較しても浅いものにとどまっています。また、アスタリスクのポイントは各国における過去の平均的な景気後退の谷におけるGDPギャップなんですが、これにも達しないとの見通しです。なお、金融危機を発端とする今回の景気後退の最大の被害国、ワーストスリーはグラフの右に位置しているアイスランド、アイルランド、ルクセンブルクのようです。

The projected trough in the current cycle compare to previous troughs

国際機関の見通しの3番目は国際労働機関 (ILO) の「世界賃金報告」"Global Wage Report 2008/09" です。10月21日に報道機関向けに発表されて、昨日までエンバーゴがかかっていたようです。リポートでは、IMF の経済見通しに従えば、全世界の実質賃金は2008年の+1.7%増から2009年には+1.1%以下の増加にとどまり、先進国では2008年の+0.8%増から2009年には▲0.5%減と減少に転ずる、と ILO は予測しています。サイトから原文を引用すると、"Based on latest IMF growth figures, the ILO forecasts that the global growth in real wages will at best reach 1.1 per cent in 2009, compared to 1.7 per cent in 2008, but wages are expected to decline in a large number of countries, including major economies. Overall, wage growth in industrialized countries is expected to fall, from 0.8 per cent in 2008 to -0.5 per cent in 2009." とのことです。2005年末2006年初にかけて日本がデフレ脱却にさしかかったように見えた際、私は景気の回復や拡大はデフレ脱却の必要条件に過ぎず、賃金上昇が十分条件になると主張したことがありましたが、まだまだ賃金は上がらないようです。

国際機関の見通しを終えて、誠についでながら、昨日、S&P/ケース・シラー住宅価格指数が発表されました。2か月遅れの9月の指数です。下のグラフの青の折れ線が10都市、赤が20都市です。よく知られている通り、2000年1月を100とした指数です。シャドー部は景気後退期で、直近は昨年10月をピークと仮置きしています。私はこの方面の専門家ではありませんが、まだ、下げ止まりにはほど遠そうな気がします。

S&P/ケース・シラー住宅価格指数

最後に、オバマ米国次期大統領の経済政策スタッフが明らかになりつつあります。先週末には NY 連銀のガイトナー総裁が次期財務長官との報道が流れると、NY 株式市場が大きく上げたりしました。今週に入ってから、クリントン政権下で財務長官を務めたサマーズ元ハーバード大学学長を国家経済会議 (NEC) 議長に指名し、2010年1月に任期が切れる連邦準備制度理事会 (FED) のバーナンキ議長の後任にも、との憶測も流れています。さらに、カリフォルニア大学バークレイ校のクリスティナ・ローマー教授が大統領経済諮問委員会の次期委員長に指名と発表されました。私がエコノミストとして注目しているのはローマー教授で、ここ2-3か月の間にご主人のデビッド・ローマー教授とともに税制に関するペーパーを書いていたのを見かけています。ローマー女史の大学のホームページは以下の通りです。好みは分かれるかもしれませんが、顔写真も掲載されています。略歴やペーパーなども豊富で、いろいろと参考になるように思いますので、ここにリンクを残しておきます。

最後の最後に、米国の7-9月期のGDP統計の改定値も発表されています。10月31日付けのエントリーで私が指摘した通り、年率▲0.5%のマイナス成長に下方改定されました。日本の2次QEも下方改定されると私は見ています。今夜は海外の情報について多めに取りまとめておきます。

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2008年11月25日 (火)

「地産地消」は何を意味するか?

長崎に赴任して来て、テレビのコマーシャルなどで盛んに「地産地消」を宣伝しています。長崎の言葉なのか、九州弁なのか知りませんが、「じげもん」という言葉もよく耳にします。漢字にすれば「地下物」なんだろうかと想像していますが、要するに、地域で取れた農水産物を意味しているように私は受け取っています。
通常、経済学は交易の利得を強調します。狭い範囲で完結した生産と消費を行っているよりも、いろんな地域との比較優位に基づく交易により経済的な厚生が高まるのは明らかです。従って、私には「地産地消」がこの交易の利得を無視しているように思えて仕方がありません。特に、少し前に成立した「食育法」との関係で、「地産地消」や「じげもん」の消費促進が食育に役立つと言われると、大きな疑問を持ってしまいます。
私は「地産地消」や「じげもん」の消費促進は、基本的には、地域住民・消費者に対するセールスプロモーションであると考えています。簡潔に疑問を呈すると、例えば、具体的な価格をもって例示すれば、地域の住民や消費者が100円で買ってくれているところに、それよりも他地域の消費者が120円と高い価格をつけて買ってくれる場合に、地域の生産者はどのように行動するだろうか、と考えれば分かりやすいと思います。エコノミスト的に合理性を持って考えると、地域の生産者は地域住民・消費者に他地域の消費者と同じ120円の価格で買ってくれと言うか、100円でしか評価されない地元地域には売らずに120円で評価される他地域に売るのが合理的なような気がします。他地域で120円で売れるものを損を覚悟で100円で地元地域に引き続き売るのであれば、あるいは、非合理ながら食育に役立つのかもしれませんが、そうはしないような気がしてなりません。従って、地域生産者が合理的に行動しているのであれば、他地域で120円で売れないから100円で地元地域に売っているんではないかと考えるのが理にかなっているように私には見えます。もっとエゲツなく言えば、要するに、他地域で地元価格よりも高く売れないから仕方なく地元での消費促進を宣伝している、というのが実態のような気がしてなりません。
さらに、「じげもん」の食品としての安全性を売り物にする根拠も私には不明です。地元の顔の見える生産者が作っているので、何かあれば責任を問いやすいし、それだけに、安全性に留意して作られているハズだ、との主張は分からないでもありませんが、前半の「責任を問いやすい」までがより納得しやすい気がします。地元産品が安全だとするのであれば、比較対象とされている他地域や外国の産品が安全ではない、ということになり、考えようによっては悪質な宣伝と受け取る人がいないとも限りません。

先日、中国で長崎などの物産展が開催されて、知事や市長が出向いたりしていました。「地産地消」の宣伝も結構なんですが、より品質を高めて他地域に売り込む努力も重要なんだろうと考えないでもありません。

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2008年11月24日 (月)

APEC 首脳宣言

ペルーの首都リマで開催されていた APEC において、首脳宣言 "A NEW COMMITMENT TO ASIA-PACIFIC DEVELOPMENT" が発表されました。PDF ファイルでも公表されています。印刷用にはこちらの方が適しているかもしれません。

APEC logo

SIXTEENTH APEC ECONOMIC LEADERS' MEETING
"A NEW COMMITMENT TO ASIA-PACIFIC DEVELOPMENT"
Lima, Peru, 22-23 November 2008

We, the Economic Leaders of the Asia-Pacific Economic Cooperation (APEC) forum, gathered in Lima, Peru, under the theme: “A New Commitment to Asia-Pacific Development”. The theme chosen for APEC 2008 highlights the importance of reducing the gap between developed and developing member economies. We are committed to strengthening the social dimension of globalization and ensuring that all members and all sectors of our economies can access the skills and opportunities to participate in, and benefit from, regional and global trade and investment.

The current global financial crisis is one of the most serious economic challenges we have ever faced. We will act quickly and decisively to address the impending global economic slowdown. We welcomed the monetary and fiscal stimulus provided by APEC member economies and will take all necessary economic and financial measures to resolve this crisis, taking the necessary actions to offer hope to those most in need. Our resolve to address the deteriorating global economic situation, and support a prompt, ambitious and balanced conclusion to the WTO Doha Development Agenda (DDA) negotiations, is outlined in a separate statement issued at this meeting.

REGIONAL ECONOMIC CHALLENGES

Advancing Regional Economic Integration

Last year we agreed to an ambitious long-term agenda to strengthen regional economic integration. We welcomed the 2008 progress report from Ministers and officials on efforts to achieve this goal. We endorsed the 2009 work plan for the APEC Regional Economic Integration (REI) Agenda in order to build upon this year's accomplishments on REI and to accelerate efforts in all areas of this
agenda.

Our goal of free and open trade and investment in the Asia-Pacific region will be achieved through a series of unilateral reform measures combined with bilateral, regional and multilateral liberalization. We are committed to continuing the implementation of APEC's REI Agenda. In that regard, we:

  • welcomed progress made by member economies towards the Bogor Goals of free and open trade and investment in the Asia-Pacific region. We reinforced our commitment to achieving the Bogor Goals to promote growth, development and a rapid recovery from the current global slowdown.

  • we commended the progress made in examining the prospects and options of a possible Free Trade Area of the Asia-Pacific (FTAAP) as a long-term prospect. We noted advice from Ministers that while an FTAAP would likely be of economic benefit to the region as a whole, there would also be challenges in its creation. We instructed Ministers and officials to undertake further steps in examining the prospects and options of a possible FTAAP, including by conducting further analytical work on the likely economic impact of an FTAAP, and discussing the possible capacity building requirements for any possible future negotiations. In addition, we instructed officials to undertake initiatives designed to promote greater convergence among economies in key areas of APEC's trade and investment portfolio, including areas such as customs administration, trade facilitation and cross-border services.

  • welcomed five new model measures, resulting in a set of 15 completed chapters for Regional Trade Agreements (RTAs) and Free Trade Agreements (FTAs) that will promote high-quality RTAs/FTAs and greater consistency and coherence among these agreements in the region.

  • endorsed the continued process of implementation of APEC's second Trade Facilitation Action Plan (TFAP II) to achieve our stated goal of reducing trade transaction costs by an additional five percent between 2007 - 2010.

  • welcomed the APEC Investment Facilitation Action Plan (IFAP) to improve the investment environment in the region and commended the initiation of the study of bilateral investment agreements and core-investment-related activities of existing free-trade agreements.

  • emphasized the importance of strengthening financial markets in the region and welcomed the capacity building activities initiated by APEC Finance Ministers to reform capital markets. We recognized the pressing need for infrastructure development in APEC economies and welcomed the work undertaken by Finance Ministers on linkages between private public partnerships and capital market development. In this regard, we called on Finance Ministers to examine more fully the means to optimize linkages between private infrastructure finance and growth and development.

  • reaffirmed our commitment to strengthen the protection and enforcement of intellectual property rights (IPR) in the region, and reiterated the importance of comprehensive and balanced IPR systems that provide for and protect the incentives that encourage creation and innovation. We will continue to promote greater collaboration among our IPR experts and enforcement authorities.

  • we welcomed the progress by economies to implement the APEC Anti-Counterfeiting and Piracy Initiative as well as efforts to improve patent systems in the region and look forward to further progress in this area next year.

  • welcomed the Digital Prosperity Checklist as an important tool in APEC´s efforts to promote sustained economic growth through the use and development of information and communication technologies.

We welcomed the views and work carried out by the APEC Business Advisory Council (ABAC) on improving the business environment, and called for an active participation of small and medium enterprises (SMEs) in the REI agenda.

We asked Ministers and officials to continue the implementation of the REI Agenda as outlined in the progress report and report back to us in 2009 with a summary of steps taken to promote this agenda.

Noting the increased economic integration in the region, we also discussed Australia´s suggestions on how regional architecture can keep pace with changing circumstances.

Implementing Structural Reform

We agreed that our Leader's Agenda to Implement Structural Reform (LAISR) is a central element of APEC's agenda, integrating the three pillars of trade and investment liberalization, business facilitation, and economic and technical assistance and cooperation. We reiterated the fundamental importance of tackling ‘behind-the-border' barriers to trade and investment in the creation of wellperforming, resilient and robust economies.

We welcomed the outcomes of the Structural Reform Ministerial Meeting (SRMM), held in Melbourne in August 2008 and noted the endorsement by Ministers of APEC's Good Practice Guide on Regulatory Reform. We recognized the importance of developing a program of practical support for member economies to successfully undertake structural reform. This includes capacity building initiatives in the areas of regulatory reform, corporate governance and other LAISR areas.We encouraged active participation in the voluntary system of peer or self-review of our economies' efforts to implement structural economic reform.

We welcomed publication of the annual APEC Economic Policy Report and the accelerated work plan for Private Sector Development endorsed by Trade Ministers in June.

Improving Food Security in the Asia-Pacific

We are deeply concerned about the impact that volatile global food prices, combined with food shortages in some developing economies, are having on our achievements in reducing poverty and lifting real incomes over the last decade. The poor are especially vulnerable to increases in food prices. We support a fully coordinated response and a comprehensive strategy to tackle this issue through the Comprehensive Framework for Action developed by the United Nations (UN) Task Force on the Global Food Security Crisis. We will support the application and implementation of this Framework within the region, as appropriate.

Individual and collective policy responses to expand food and agricultural supply in the region should strengthen market forces to encourage new investment in agricultural technology and production systems. A prompt, ambitious and balanced conclusion to the WTO DDA negotiations would deliver substantial improvements in market access and reduce market-distorting measures in global agricultural trade.

We commended the work that APEC has undertaken in the area of food and agriculture, and welcome the work plan endorsed by APEC Ministers to refine and strengthen APEC's agenda to meet current and emerging food security challenges. We also recognized the role of ABAC in raising the importance of food and agricultural issues on the APEC agenda.

We directed APEC to increase technical cooperation and capacity building that will help foster agricultural sector growth, including efforts to increase food production; improve agricultural education; enhance natural resource management; promote the development of next generation biofuels made from non-food materials; build well-functioning markets and regulatory institutions; and make food storage, transportation, and distribution systems more efficient. We pledged cooperation to bolster conditions conducive to promoting agricultural research and development. We directed APEC to help member economies develop science-based regulatory frameworks to benefit from the potential of agricultural biotechnology.

ADDRESSING THE SOCIAL DIMENSION OF GLOBALIZATION

Promoting Corporate Social Responsibility (CSR) in the Asia-Pacific

We stressed that globalization based on economic, social and environmental progress can bring sustainable benefits to all APEC economies, their business sectors and their people. CSR can reinforce the positive effects that trade and investment have on growth, competitiveness and sustainable development. We encourage responsible and transparent business conduct that adheres to local legislation and regulations and takes into account guidelines related to CSR that have been developed by multilateral bodies, as appropriate.

We agreed that given increasing expectations amongst global consumers, investors and business partners regarding responsible and sustainable business practices, the voluntary activities that comprise CSR will remain an important aspect of doing business in the 21st century. We recognize that all stakeholders in our communities benefit when governments foster a business environment that encourages voluntary CSR practices. This will create greater value both for businesses and for the societies in which they function.

We welcomed the work that has been undertaken within APEC to promote CSR awareness and capabilities in the region, and future work that will encourage dialogue on CSR among relevant stakeholders including: businesses, governments, employees, communities, consumers, investors, and non-governmental organizations. We recognized ABAC's efforts in promoting CSR awareness and uptake in the region through the dissemination of information regarding CSR principles, practices and benefits.

We encouraged companies to incorporate CSR into their business strategies to take account of social, labour and environmental concerns. The development of CSR in the region will depend on the different domestic economic, social and cultural context of APEC members. We agreed to promote CSR practices in APEC economies on a voluntary basis in business operations of all sizes to complement public policies that foster sustainable development.

Combating Corruption in the Region

Corruption in both the public and private sectors is a serious threat to social and economic development in the region. We recognize that when criminal entities collude with corrupt public and private sector officials, it results in a culture of impunity and financial exploitation of the legitimate economy. We agreed to leverage our collective will to combat corruption and related transnational illicit networks by promoting clean government, supporting public-private partnerships, fostering market integrity, and transparent financial systems. We recognize that the criminalization of corruption can facilitate greater regional cooperation.

In support of our earlier APEC anti-corruption commitments, we commend efforts undertaken by member economies to develop comprehensive anti-corruption strategies. These include efforts to restore the public trust and protect against the abuse of our financial system through financial intelligence and law enforcement cooperation related to corrupt payments and illicit financial flows. These anti-corruption activities through APEC are consistent with the UN Convention Against Corruption (UNCAC), which we encouraged economies to ratify and implement, where applicable. We also supported the revised Financial Action Task Force (FATF) recommendations, where appropriate.

We welcomed the Lima Anti-Corruption Declaration on Financial Market Integrity through Effective Public-Private Partnerships and the APEC Guidelines for Public-Private Action against Corruption.

Strengthening Cooperation and Capacity Building in APEC

APEC's program of Economic and Technical Cooperation (ECOTECH) is essential to achieving our objective of building capacity in a range of sectors in APEC economies. We reaffirmed our commitment to the Manila Framework, which serves as the basis for the implementation of the ECOTECH activities outlined in the Osaka Action Agenda. We welcomed contributions from economies to APEC's capacity building programmes.

We welcomed China's proposal to host the 5th APEC Human Resources Development Ministerial Meeting in 2010. Ensuring that all members of our economies receive a quality education is critical to achieving social, individual, economic and sustainable development. It enables people to take advantage of the opportunities created by globalization. We supported the efforts of APEC Education Ministers to strengthen education systems in the region including ongoing support to the APEC Education Network. We welcomed the research-based steps taken by APEC in the areas of mathematics and science; language learning; career and technical education/technical vocational education and training; and information and communication technologies (ICT) and systemic reform. We support the recommendation of Education Ministers to facilitate international exchanges, working towards reciprocal exchanges of talented students, graduates and researchers.

We reaffirmed our commitment to build regional capacity to minimize health-related threats including avian and human influenza pandemics and communicable diseases such as HIV/AIDS. We welcomed continuing efforts to ensure economies are well prepared to deal with health threats and to respond to them in a way that minimizes their adverse impacts on human welfare, trade and investment. We reaffirmed our commitment to improve food and product safety standards and practices to facilitate trade and ensure the health and safety of our populations. We endorsed the work of the APEC Food Safety Cooperation Forum's Partnership Training Institute Network and called on Ministers to take additional steps to enhance food and product safety next year.

We are concerned that gender discrimination continues to have a significant impact on our economies. We committed to strengthening the capacity of APEC members to ensure that gender considerations are taken into account in the development of trade and economic policy, and to ensuring that the region's women are better able to participate in and benefit from regional and global trade.

ENHANCING HUMAN SECURITY IN THE REGION

Combating Terrorism and Securing Regional Trade

Enhancing human security and protecting the region's business and trade against natural, accidental or deliberate disruptions remains an enduring priority for APEC, and an essential enabling element in APEC's core trade and investment agenda.

We agreed that international terrorism and the proliferation of weapons of mass destruction and their means of delivery pose a direct threat to our vision of free, open, peaceful and prosperous societies, and reaffirmed our commitment to eliminate these threats. Since 2001, we have worked together with a common understanding that all terrorist acts are criminal and unjustifiable, and must be unequivocally condemned, especially when they target or injure civilians, or use the abhorrent practices of suicide bombing and hostage taking. Terrorism in all forms and manifestations, committed by whomever, wherever and for whatever purposes, is a profound threat to the peace and security of all people, and of all faiths. Terrorist acts cannot be excused or justified by any alleged cause, conflict, oppression, or poverty.

We agreed that terrorist attempts to abuse or corrupt trade flows, finance, transportation, travel communications and modern technologies will not be tolerated. We pledged our full cooperation to ensure that the flow of people, goods and investments remained secure and open, and that economies and markets operated without disruption. We welcomed the initiative of a group of member economies led by Singapore to undertake a Trade Recovery Programme pilot exercise in 2009. We recognized the important role played by the UN and its Global Counter-Terrorism Strategy. We stressed the need for implementation, where applicable, of UN counter-terrorism measures and the Financial Action Task Force's (FATF) Special Recommendations on Terrorist Financing. We urged APEC Ministers and officials to continue to help secure the region's economic, trade, investment and financial systems from terrorist attack or abuse and trade-based money laundering. We welcomed the ongoing efforts of the international community to combat piracy and armed robbery at sea and encouraged further concerted efforts to fight against piracy.

Disaster Risk Reduction, Preparedness and Management

The frequency and intensity of natural disasters related to the distortion of climate patterns in the region is increasing and the location of, and growth of, cities and mega-cities in vulnerable areas increases the impact of catastrophic events. Improving risk reduction, disaster preparedness and management in the region is a critical human security issue facing the region. We agreed that the challenges in this area are significant and growing in complexity and required greater international cooperation and coordination with the private sector, international organizations and nongovernment organizations.

We recognized that there continues to be operational challenges in regional disaster responses and greater coordination is needed as the number of disaster management arrangements and players in the region continues to grow. We agreed that greater focus is needed on disaster risk reduction, emergency preparedness and building domestic disaster management capabilities. In this regard, we welcomed the adoption of an APEC Strategy for Disaster Risk Reduction and Emergency Preparedness and Response initiated by Peru; the APEC Principles on Disaster Response and Cooperation proposed by China; the Stocktake on Disaster Management Capacity Building Needs; and welcomed the Australia-Indonesia proposal for a Disaster Risk Reduction Facility and its linkages to APEC economies and the APEC Task Force on Emergency Preparedness.

We endorsed the priority APEC has given to promoting risk management, business resilience and public-private sector partnerships, and supported efforts to prepare economies for the recovery phase. We instructed officials to undertake long-term capacity building projects aimed at accelerating recovery in disaster affected areas in APEC economies and supported the inclusion of education on disaster issues in school curricula where appropriate.

CLIMATE CHANGE, ENERGY SECURITY AND CLEAN DEVELOPMENT

Our ability to successfully confront the challenge of climate change will be crucial to the wellbeing of future generations. As a global issue, climate change must be addressed in a comprehensive manner, through international cooperation under the UN Framework Convention on Climate Change (UNFCCC) in 2009. Reducing poverty is likely to become more difficult in those developing economies most vulnerable to the adverse effects of climate change and related natural disasters. We reaffirmed our commitment to the Sydney APEC Leaders' Declaration on Climate Change, Energy Security and Clean Development.

We support decisive and effective long term cooperation now, up to and beyond 2012 to address climate change under the UNFCCC, in accordance with the principle of common but differentiated responsibilities and respective capabilities. We welcomed decisions taken by the international community at the UN Climate Change Conference in Bali in 2007 and the efforts to build a consensus on long term cooperative action, including a global emission reduction goal. We also noted the declaration in this regard by the G8 Hokkaido Toyako Summit held in July this year. We recognize the economic diversity and different domestic circumstances of individual APEC economies in addressing climate change.

We reaffirmed our commitment to the Action Agenda announced as part of the Sydney Declaration. We appreciate and encourage the efforts of individual APEC economies to meet these goals. We also welcomed the establishment of the Asia-Pacific Network for sustainable Forest Management and Rehabilitation (APFNet) and appreciate China's commitment to further financial support for this initiative. We expressed support for the cooperation and capacity building for climate change mitigation and adaptation, including those that promote the development and deployment of clean technologies. We appreciate Australia, Japan and the United States' financial support for the Climate Investment Funds, particularly the Clean Technology Fund.

We recognized the value of conservation, sustainable forests management and land use practices and enhancement of carbon stocks in forests and agricultural soils for carbon sequestration in the global response to climate change.

Recognizing that climate change could impede economies' abilities to achieve sustainable economic growth and reduce poverty, we strongly support international cooperation and capacity building for mitigation and adaptation as objectives that should be equally pursued, including those that promote low-emissions technology development and transfer to, and financial support for, developing economies. We also call for additional and coordinated efforts to better understand vulnerabilities caused by the impact of climate change on our oceans and their resources to develop more effective adaptation strategies. We endorsed the positive contribution of the Major Economies Leaders' Declaration to the UNFCCC. We committed to concerted action under the UN and complementary processes to reach an equitable and effective post-2012 international climate change arrangement at the UN Climate Change Conference in Copenhagen in December 2009.

Conscious that access to adequate, reliable, clean and affordable energy resources is vital to sustaining economic prosperity in the region, we reaffirmed our commitment to supporting the energy needs of regional economies by promoting open energy markets and free energy trade and investment. Such markets are crucial to the development of renewable sources of energy and the dissemination of low emission energy technologies, including new and alternative energy resources and technologies. We encouraged our officials to promote such developments and urge them to pursue regional energy efficiencies and maximize the potential development of clean energy technology.

Strengthening APEC

APEC is the pre-eminent forum for economic cooperation in the region. We are committed to strengthening APEC's institutional processes to ensure it remains responsive to a rapidly changing global environment. Cooperative action within APEC can contribute to better outcomes on the major international challenges we face. We welcomed advice from APEC Ministers on the successful establishment of a Policy Support Unit in the APEC Secretariat as well as progress on the appointment of an Executive Director of the APEC Secretariat for a fixed term.

We endorsed in full the Joint Statement of Ministers at the 20th APEC Ministerial Meeting.

We welcomed the offer of Indonesia to host APEC in 2013. We welcomed the invitation from the Prime Minister of Singapore to meet again in Singapore in 2009.

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長崎にて日本初の列福式

今日は長崎で日本初の列福式が開催されます。ペトロ岐部と187殉教者が福者に列せられ、列福式を執り行うためにバチカンからローマ法王の代理としてジョゼ・サライバ・マルティンス枢機卿が来日しています。また、カトリック中央協議会では列福関連情報のサイトを開設しており、ロゴも発表しています。私のこのサイトは著作権の許諾を得ていませんので、ロゴを掲示することは差し控えます。このような行事なんですから、著作権フリーにしてほしい気もしないでもありませんが、各団体の考え方なんでしょう。
このブログで以前から表明しているように、私は京都出身の仏教徒、広く知られている呼び方では浄土真宗、仲間内では一向宗の門徒ですから、カトリックの行事に参加することはありませんが、公開されている殉教者リストによれば、京都教区の殉教者がもっとも多数に上っています。当時の日本の中心だったことがうかがえます。

雨がちのお天気も、今この瞬間は雨が止み、つい先ほどは一瞬ながら太陽も顔をのぞかせ、列福式を祝福しているようです。すべての宗教の大きな目的である、地に平和を、人の心の安らかならんことを、私も微力ながら願っています。

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2008年11月23日 (日)

高校ラグビー長崎県決勝を見に行く

今日は少し雲が多かったんですが、午後から出かけて、花園をかけた高校ラグビー長崎県決勝を見に行きました。長崎北高校 vs 長崎南山高校の対決という以外に、何らの予備知識を持たずに出かけてしまったんですが、甲子園の高校野球と違って花園の高校ラグビーはややマイナーでしょうから、私が高校時代から知っているのは、その後、明大から新日鉄釜石に進んだ目黒高校の松尾選手、また、ともに同大から神戸製鋼に進んだ伏見工の平尾選手と大八木選手くらいのものです。しかし、何の予備知識もないながら、バスでたまたま乗り合わせた高校生諸君が長崎北高校だったので、この高校を心情的に応援していたりしました。下の写真はキックオフの瞬間です。右サイドが長崎北高校、左が長崎南山高校です。

高校ラグビー長崎県決勝

結果は、私の心情的な応援が功を奏したのか、長崎北高校が前半開始10分少々にトライとゴールをあげて前半を7-0で折り返し、後半も早い時間帯にトライとゴールをあげて14-0と突き放した後、長崎南山高校にトライとゴールを返されましたが、終了間際の猛攻をしのぎ切って14-7で勝ちました。花園出場です。最後の閉会式の誰かエラいさんの挨拶で知ったんですが、昨年は長崎北陽台高校が花園の全国高校ラグビー大会に出場し、ノーシードながらセミファイナルまで進んだそうです。今年は長崎北高校はどこまで行くんでしょうか?
決勝が行われたのは長崎市総合運動公園かきどまり陸上競技場というところで、自家用車を持たない私にはバスしか交通手段がありません。長崎に来て初めてバスに乗りました。スポーツ観戦も長崎に来て初めてでした。京都の学生時代は、ラグビーでは近鉄が強かったですから、近鉄沿線に住んでいた私は花園に社会人ラグビーを見に行ったり、甲子園に高校野球を見に行ったり、また、プロ野球では当時の阪急が黄金時代を迎えていましたから、西宮球場に日本シリーズを見に行ったりと、アチコチスポーツ観戦で出かけた記憶があります。就職して東京に出て来てからも、その昔の後楽園球場でプロ野球を見たり、青山に引っ越してからは東京六大学やプロ野球を神宮球場に見に行ったこともあります。さすがに、首都圏や関西圏と違って、長崎では全国レベルのスポーツ観戦はムリですが、高校サッカーも強いようですし、高校生のスポーツはいろいろと楽しめるのかもしれません。しかし、さすがに、高校スポーツはマイナーですから、入場無料なのはいいんですが、WEB サイトのどこを調べても、キックオフの時刻が出ていなかったものですから、取材に来たことのある記者さんにメールで問い合わせたりしていました。

行楽シーズンの3連休も明日の九州は雨らしいです。昨日今日と、お天気がまずまずなうちにお出かけを楽しみました。

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2008年11月22日 (土)

大学祭に遊びに行く

昨日の午後から大学祭が始まりました。今週半ばの真冬並みの寒さが嘘のように晴れ上がって、陽射しがたっぷりで気温も上がり、今日は大学に行って大学祭の雰囲気を楽しんで来ました。このごろのことですから、ホームページも開設してあったりします。

大学祭 (経済学部キャンパス)

まず、私のホームグランドの経済学部キャンパスです。立て看板からも明らかなように、第51回目の大学祭です。正午少し前に着いて、いきなり昼食の食べ物を探し始めます。研究室が隣り合った同僚教授のゼミがおでんを出していましたので、適当に買い求めます。これまた適当に座って食べていると、特に顔見知りでもない学生が来て、唐揚げのナゲットやシューマイやといろいろと売りつけられます。こういうのは私はめったに断らないことにしていますので快く買って食べました。一気におなかがいっぱいになります。最後はこれも研究室が近い同僚教員のゼミが出しているぜんざいで締め括りました。
それにしても、大学の規模というか、旧高商を継承した経済学部だけのキャンパスですから人数も少なく。私なんかから見たらとっても地味な大学祭です。バザーテントと称して、ゼミや運動部が食べ物を売っていたり、講堂で軽音楽部などが演奏していたりするだけです。思い起こせば、このブログで子供達を大学祭に連れていったのを紹介したのは3年も前になります。松戸に住んでいた時に駅前にあった名の知れない大学とはいうものの、幼児教育のコースがありましたし、子供連れはそれなりに楽しめましたが、規模もそれなりだった気がします。松戸から青山に引っ越して、その名も青山学院大学がすぐ近くにあったんですが、そのうちにと思いつつブログで大学祭を紹介する機会がないままに長崎に単身赴任してしまって、実は後悔しています。

大学祭 (本部キャンパス)

経済学部では規模が小さいと感じましたので、経済学部と医学部・歯学部を除く学部が集まっている本部キャンパスにも行ってみました。立て看板も立派で、右下にあるように全学美術部が描いているようです。実は、私の宿舎は経済学部よりも本部キャンパスの方が断然近かったりします。本部キャンパスは大学前という電停の駅もあるほどで、電車通りに面していて交通もグッと便利です。場所も長崎市街のアップタウンのほぼ中央に位置しています。しかし、その分、教員も学生も知らない人ばっかりだったりします。また、本部キャンパスには教員養成の学部があるので、小学生が楽しめるコーナーも充実していたりしました。やっぱり、経済学部キャンパスよりも人数が段違いに多くて活気がありました。
薄々聞いていたんですが、今回の大学祭のテーマは上の立て看板の通り、Infinity ということで、軽い衝撃を受けます。どうして衝撃かというと、私が接する限りの経済学部の学生諸君は英語に弱くて数学も怪しいと感じいているにもかかわらず、数学上のかなり難解な概念を英語で表現しているからです。案の定、アチコチに「無限大」という表現が踊っていました。私は30年ほど前に大学の教養部で数学は数学6か、数学7まで取った記憶があるんですが、担当教官が言った言葉で覚えているのは、「無限大」は高校までの言い方で、大学における数学の「無限」は違う、というのがありました。どう違うのかはすっかり忘れましたが、私はこれを軽くマネして、高校の社会と大学の経済学は違う、そんなに暗記する必要はなく科学としての基本であるシステムの解明に重点を置く、と宣言して初回の授業を始めたりしています。まあ、しかし、ここは「無限」と「無限大」の違いという難しいことは考えずに大学祭を楽しむに限ります。

お天気がよくて暖かな3連休初日に大学祭を楽しんで来ました。

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2008年11月21日 (金)

アレックス・アベラ『ランド - 世界を支配した研究所』(文藝春秋)を読む

アレックス・アベラ『ランド - 世界を支配した研究所』(文藝春秋)アレックス・アベラ『ランド - 世界を支配した研究所』(文藝春秋) を読みました。その名の通り、ランド研究所に関する詳細なリポートで、邦訳は牧野洋さんです。ほぼ国家機密のベールに包まれている研究所ですから、よくぞここまで調べ上げたものだと感心していたんですが、実は、最後の「あとがき」を読んで知ったところによれば、ランド研究所の公認の下で、実際の関係者にもインタビューして書かれたルポルタージュのようです。著者のアベラ氏は小説家であるとともにジャーナリストとして紹介されています。ランド研究所公認の下で書き始められたものとはいえ、著者はランド研究所にはかなり批判的で、その後、出入り禁止になったとも聞きます。なお、表紙の画像にもある通り、原題は Soldiers of Reason - The RAND Corporation and the Rise of American Empire です。『合理性の戦士 - ランド研究所と米帝国の台頭』とでもなるんでしょうか。なお、ランド研究所 (RAND Corporation) とは米国空軍からの調査分析を請け負うことを目的として設立された総合シンクタンクですが、もちろん、その後、他の政府機関や民間企業からの依頼も受けるようになっています。米国カリフォルニア州サンタモニカに本部があります。本の表紙の写真からは割愛しましたが、帯にあるように、ゲーム理論、システム分析、フェイルセーフ、合理的選択論などを生み出しています。著者のカウントによれば30人近いノーベル賞受賞者を輩出しています。現在の米国国務長官のライス女史も長らくランド研究所の理事を務めていました。
最大の読ませどころは米国がベトナム戦争にかかわって行く部分で、その意味ではハルバースタム『ベスト&ブライテスト』と似通った部分もあります。人物としてはランド研究所を代表するウォルステッター教授が中心になります。現在の米国のネオコンの創始者と目されている人物です。日本では前の世銀総裁として名が通っているウォルフォウィッツ氏の指導教官で、ウォルフォウィッツ前世銀総裁は国防次官としてイラク戦争を指揮しています。事実上、ウォルステッター教授の死でこの本は幕を閉じます。もちろん、ベトナム戦争に関するペンタゴンペーパーの流出なども大きく取り上げられています。ランド研究所の象徴ともいえるソ連との冷戦下における核戦略について、私は全く詳しくないんですが、ノーベル賞を受賞したアロー教授の合理的選択論とか、シェリング教授のゲーム論などが多いに応用されているようです。ゲーム論はともかく、合理的選択論が核戦略に応用されているとは知りませんでした。経済や社会保障の面では、ランド研究所が実施したメディケアの発足に伴うコスト・シェアリングについての大規模な社会実験も有名です。患者の自己負担を導入しても医療サービスの質が低下しないことを実証して、現在でも参照されています。
私が解釈する限り、著者が考えるランド研究所の最大の問題点は、この本の原題にもある通り、ランド研究所の考える合理性への疑問とオープンな議論よりも密室の政策決定につながったランド研究所の閉鎖性にあるように思います。しかし、実は、私自身はかなり合理性を重視しますので、ひょっとしたら、この本の著者よりもランド研究所に近い立場なのかもしれません。かつては、「その考え方は非合理的だ」と非難することによって、「アンタはバカだ」というのとほぼ同義に使っていた時期もあったりします。このブログでも、2年前の2006年9月20日付けの「国民が決めることと専門家が決めること」と題するエントリーで、すべてを国民が決めるわけではないとも主張していますし、今週に入ってからでも、社会保障に関するカギカッコ付きの「国民の判断」は高齢者有利のバイアスがかかる可能性も指摘しています。専門の経済分野では市場の自由を重視するカギカッコ付きの「保守派」なんだろうと自分自身を定義して来ましたが、ひょっとしたら、政治的にはネオコンに近いのかもしれないと、改めて考えさせられていたりします。しかし、少し前までの資源高の時期に、エネルギーや食料の国家管理を主張していた論者もいましたが、市場で配分するのではなく国家が資源配分を行うようになれば武力で資源確保をする誘因になり、ひいては戦争への道であることを理解せずに主張しているのは困ったものだと考えていますから、少なくとも、米国のイラク戦争・占領のように武力で何らかの問題を解決しようとする考えは非合理的だと認識していることは確かです。

最後に、米国には、ランド研究所の他に、私が時折ホームページを参照している範囲だけでも、経済分野で著名なブルッキングス研究所や経済を含む科学一般で先端的な役割を果たしているサンタフェ研究所など、日本の企業付属的な研究所とはまったく異なるシンクタンクがいっぱいあります。研究者の末席を汚す者として、恵まれた研究環境はうらやましく思います。その米国シンクタンクの内部事情に触れ、ネオコンの発祥も知り、米国の政治的な意志決定の一端を垣間見るようで、決して、万人にオススメできる本ではありませんが、とっても興味深いコンテンツを有していると考えています。

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2008年11月20日 (木)

10月の貿易統計から今後の輸出動向を占う

本日、財務省から10月の貿易統計が発表されました。750億円前後の黒字を予想していた市場の事前コンセンサスに反して、ヘッドラインの貿易収支は639億円の赤字を記録しました。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

財務省が20日発表した10月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出総額は前年同月比7.7%減の6兆9261億円となった。世界的な金融危機と景気低迷の影響で、2001年12月以来、約7年ぶりの大幅な減少率を記録した。欧米向けに加え、アジア向けの輸出も6年8カ月ぶりの減少に転じた。貿易収支は639億円の赤字で、10月としては1980年以来、28年ぶりの赤字となった。
日本の貿易収支は8月に3321億円の赤字となり、1月を除いて約26年ぶりの赤字を記録した。金融危機の打撃で世界経済が冷え込み、10月は2カ月ぶりの赤字となった。

いつもの通り、何枚かグラフを書いています。まず、下のグラフはヘッドラインの輸出入と貿易収支の推移です。青い折れ線が輸出額、赤が輸入額で、緑色の棒グラフが差額の貿易収支です。すべて金額ベースで、左軸に対応して10億円単位です。本年年央から輸出入額が接近して貿易収支がほぼゼロになり、今年8月と10月には赤字を記録しています。

輸出入と貿易収支の推移

8月が赤字になったのは7月の輸出が前年同月比で+8.0%増と大きく伸びた反動で+0.3%増にとどまったこととともに、商品市況の高騰の影響を受け、貿易指数の価格指数の前年同月比で直近のピークを付けたこともあり、輸入が17.4%増となったことが寄与しています。しかし10月が赤字になった大きな要因は輸出の伸びがマイナスを記録したことです。10月は輸入の伸びも前年同月比で+7.4%増となりましたが、輸出は▲7.7%減を記録しました。輸出金額の▲7.7%減のうち、数量の寄与度が▲6.1%減、価格が▲1.7%減となっています。数量ベースの方が大きく落ち込んでいます。数字を丸めた関係で合計が一致しませんが、ご容赦ください。下のグラフの上の方のパネルの通りです。緑色の折れ線グラフが輸出の金額指数の前年同月比で、これを赤い棒グラフの数量指数と青の価格指数の寄与度に分解しています。いずれも単位は左軸の前年同月比パーセントです。

輸出減少の要因

上のグラフの下のパネルは、今年10月単月の輸出の主要輸出先別に緑色の金額と赤の数量の前年同月比をプロットしています。横軸の単位は上のパネルと同じでパーセントです。世界的な金融危機と景気後退・減速の影響により、欧米向けの輸出は金額ベースで▲20%近い減少となり、アジア向けの輸出も金額・数量とも10月にはマイナスを記録しました。以下は、10月単月の金額ベースの前年同月比の統計ですが、地域別に輸出が増加しているのは中東+11.3%増とロシア+24.0%増だけです。アジア向け輸出をもう少し詳しく見ると、ASEAN 向けは+3.8%増とプラスを記録しましたが、アジア NIEs 向けは▲9.6%減、中国向けですら▲0.9%減となりました。ロシアと中東だけでは世界経済をけん引するのに力不足なのは明らかですから、私が疑問視していたデカップリング論は完全に破綻して、世界同時不況に陥っていることは明らかです。なお、同じく10月単月の金額ベースの前年同月比ですが、品目別を見ても、一般機械が▲3.4%減、電気機器が▲10.6%減、輸送機械が▲13.1%減などと、主力輸出品目が軒並み前年同月比割れとなっています。これら3品目の10月の輸出額に占める比率は、一般機械と電気機器がともに20%程度、輸送機械は25%程度ですから、輸出額の 2/3 を占める品目でマイナスを記録していることになります。
この輸出動向について、軽く想像されることですが、10月単月の数字で済ますわけにはいきません。おそらく、私も含めて、もっともディープな落ち込みは来年1-3月期であろうと考える向きが多いものですから、この10月の輸出動向は半年近く続く可能性があります。貿易収支については商品市況が大きく下げていますし、日本の景気も悪化していますから、輸入もそんなに増加が続くとは考えられず、必ずしも貿易赤字が定着するとは思いませんが、輸出が低迷を続けることはかなり確度が高いと考えるべきです。とすると、いくつかインプリケーションが考えられます。まず、目先の話として、10-12月期の鉱工業生産指数はドッと落ちるだろうと私は考えています。季節調整済の前期比で軽く▲3%くらいはマイナスになる可能性があります。10月単月でもこれくらいのマイナスとなる可能性が高いと考えています。次に、もう少し先までを考えると、従来と同じ主張ですが、輸出が弱いということはかなり直接的に設備投資に反映されますから、来年年央から秋口くらいまでは設備投資が弱含みで推移することが予想されます。昨年10-12月期をピークにした現在の日本の景気後退局面は来年いっぱいまで続く可能性が大いにあります。政府が来年度経済見通しをマイナスにするかもしれないと報じられていますが、大いにあり得ることです。

我が国経済で景気循環の起点となる鉱工業生産のさらに前に位置する輸出の動向に大きな暗雲が垂れこめていることが、この10月の貿易統計で確認されたと私は感じています。

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2008年11月19日 (水)

日本の社会保障はどのくらい高齢者に手厚いのか?

昨日、国立社会保障・人口問題研究所から2006年度の年金、医療、介護などの社会保障給付費が発表されました。社会保障給付費は引き続き伸びを続けており、2006年は前年度伸び率は+1.5%増と低かったんですが、総額は89兆円となり、人口は減少しているにもかかわらず、毎年過去最高を更新し続けています。PDF ファイルの詳細なリポートも公表されています。まったくどうでもいいことですが、社会保障・人口問題研究所のホームページのディレクトリ構成を見ると、社会保障給付費の関係のページは ss-cost、おそらく、social security cost の省略と考えられるディレクトリに置かれています。実に正しい認識だと感心してしまいました。それはともかく、朝日新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

06年度に医療や年金、介護などに税金や公的保険から支払われた社会保障給付費は、過去最高の89兆1098億円となったことが18日、国立社会保障・人口問題研究所のまとめで分かった。前年度からの伸びは1.5%で、1950年度の集計開始以来、3番目に低かった。06年4月の診療報酬改定が、過去最大のマイナス3.16%だった影響だという。
分野別では、全体の32%を占める医療は、28兆1027億円。前年度の28兆1094億円から微減した。53%を占める年金は47兆3253億円で2.2%増。福祉分野も、児童手当の支給対象拡大などに伴い、2.3%増の13兆6818億円になった。
高齢者関係への給付が最も多く、62兆2297億円で、70%を占めた。一方、子育て支援費用が含まれる児童・家族関係は3兆5391億円で4%にとどまった。また06年度は、障害者自立支援法施行で障害関係に分類される費用が増えたため、15%増の2兆5618億円。
国民所得に占める割合は23.87%。国民1人あたりの給付費は、1.5%増の69万7400円だった。
いろんな分類の仕方があって、いろんな分析が可能なんでしょうが、私なんかの少し古い世代の常識だったのは、日本は社会保障のうちで医療が占める割合が高かったということです。ひと昔前までは、高齢者比率がそんなに高くないことから年金の比率は低く、介護制度のないころは病院が老人ホーム代わりになっていましたから、医療が大きな比率を占めるのは当然です。現在では、年金の比率が急速に高まり、介護保険制度の創設もあって医療のシェアが低下しています。 といったような私が学生相手に日本経済論で講義しているような概観は別として、社会保障国民会議の最終報告を取り上げた11月5日付けのエントリーなどで従来から主張しているように、日本の社会保障制度が高齢者に偏っていて少子化や人口減少と悪循環を起こしている統計的な裏付けを見てみたいと思います。下の2枚のグラフです。上のグラフは我が国の社会保障給付の1975年度から2006年度までの時系列的な変化で、下のグラフは2005年時点における各国比較です。どちらも、一番下の凡例にある通り、灰色が高齢者関係、赤が児童や家族関係、水色がその他を表しています。日本式の分類と経済協力開発機構 (OECD) に従った各国比較の分類で微妙に割合が違うんですが、いずれも、高齢者向けの社会保障給付が大きな割合を占めていて、児童や家族向けの給付が極端に少ないのが見て取れると思います。

社会保障給付の推移と各国比較

もちろん、高齢者比率が日本では高いから仕方ないとの批判もあり得ます。しかし、例えば、ドイツと比較すると、いずれも2005年の統計で、日本の高齢者比率が20.16%であるのに対して、ドイツは18.78%となっており、米国の12.26%などと違って、日独の間にはそれほど大きな違いはありません。従って、社会保障給付のうちの大雑把に5%、5兆円くらいを高齢者向けから児童・家族向けにシフトさせることは、控え目に言ってもムリな政策だとは私には思えません。社会保障給付の5%を高齢者向けから児童・家族向けにシフトさせても、高齢者向けの比率はドイツと同程度ですし、児童・家族向けはフランスやスウェーデンにはまだ及びません。そんなに大きなムリをせずに、歪みを小さく出来る可能性が十分あると私は考えています。しかも、5兆円は考えようによっては大きな金額です。高齢者向けで1割のカットを実現できれば、逆から見て、児童・家族向けの給付は倍増となります。11月5日付けのエントリーで主張した通り、社会保障国民会議の最終報告は、小泉内閣以来の給付削減から負担増加へと大きく舵を切ったと解釈されていて、私はこの方針転換に同意しかねますが、百歩譲って負担増加により給付を維持するとしても、給付の中身を高齢者向けから児童・家族向けにシフトすることは可能ではないかという気がします。もちろん、短期的に大きな効果を望むことは難しいでしょうが、10年、20年と経るうちにジワジワと少子化や人口減少に何らかの効果を発揮すると私は考えています。加えて、現役時代の貯蓄を取り崩すことなく、年金だけで日常生活が出来てしまう高齢者への給付を、わずかとはいえ削減することにより、ひょっとしたら、高齢者の労働力市場への参加が高まり、人口減少下での経済活力の低下を抑制することが可能となるかもしれません。ただし、この最後の点については留保を付しておきます。
将来の社会保障制度をどうするかは最終的には国民の判断となり、憲法に定める現在の代議制民主主義の下では、投票権を持たない未成年の意思は反映されず、もしも、高齢者の投票率が高いのであれば、高齢者に有利で若年層に不利なバイアスのかかったカギカッコ付きの「国民の判断」が下される可能性が高いのは事実です。政治家にしても、メディアにしても、自分の支持基盤、いわば「タニマチ筋」に便宜を図るのはある意味で当然です。ですから、私は大学の講義などで学生相手に、社会的な出来事に無関心でいることなく、もっと投票に行きメディアにも物申すように呼びかけています。長らく公務員をしてきた私の信条は、「国民は時間がかかっても正しい判断を下す」というものです。

最後に、この社会保障の歪みの問題を取り上げるたびに、やや悲壮感が漂って、暗い気分になってしまいます。私の考えが少数意見だということは自覚していますが、間違っているわけではないことを願っています。

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2008年11月18日 (火)

今年のベスト経済書は?

そろそろ11月も半ばを過ぎようとしており、年の瀬も間近になり、メディアや出版社など何社かから今年の経済書のアンケート回答依頼が私の許にも寄せられています。アンケート元によっては、回答すると図書券をくれる社もあり、なるほど、大学教授になったらこんなアンケートも送られて来るのかと、一瞬、感心しないでもなかったんですが、よくよく考えてみると、記憶はきわめて不確かながら、役所の課長宛てにも送られて来ていて、課長補佐にもならない20年ほど前のころに代筆で書き送った記憶がなくもないと思い出しています。
中には、参考として何冊か候補になりうる経済書のリストを添付してくれる会社もあります。自社の出版物が多いのかどうかは分かりません。何となく、私の直感では、今年は「サブプライム」、「中国」、「地球環境」といったキーワードの本が多いような気がしないでもありません。それにしても、こういったリストを眺めていると、経済書だけでも実に多くの本が出版されていることを実感します。逆に、自分がいかにも読書をしていないことも痛感します。
まだ回答をすべて送り終えたわけではありませんが、私の頭の中では、香西泰・宮川努・日本経済研究センター [編] になる『日本経済グローバル競争力の再生 - ヒト・モノ・カネの歪みの実証分析』(日本経済新聞社) がひとつの候補かと考えています。しっかりした実証分析をベースにしつつ、専門書と一般書の中間的なラインを狙っているのか、学術書にはあり得ないしおりのひもを入れたりしています。でも、アンケートは1冊ではなく、複数冊に順位を付して回答する場合が多いので、その他については、適当にアンケートを実施している当該社の出版物を入れて歓心を買っておこうかという気がしないでもありません。図書券をくれる会社は特にそうだったりします。ハッキリと買収されているのかもしれません。

特定の本を読んだ後の読書感想文ではありませんが、経済書というやや狭い範囲ながら本邦読書界の話題ということで、読書感想文の日記に分類しておきます。

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2008年11月17日 (月)

GDP統計は2四半期連続のマイナス成長で景気後退を確認

本日、内閣府から7-9月期のGDP統計の1次速報が発表されました。エコノミストの業界で1次QEと呼ばれている指標です。ヘッドラインの実質GDP成長率は前期比で▲0.1%、前期比年率で▲0.4%のマイナス成長となりました。4-6月期は前期比で▲0.9%と下方改定されましたので、2四半期連続でのマイナス成長を記録したことになります。ほぼゼロ成長との事前の市場コンセンサスにミートし、特段のサプライズはありませんでした。従って、東証株価の値動きも小幅でした。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が17日朝発表した7-9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.1%減、年率換算で0.4%減だった。前期に大幅減少した輸出の戻りが鈍い中、控除項目の輸入が増加。内需の柱である設備投資も落ち込み、2四半期連続でマイナス成長になった。
重しになったのは外需で、成長率への寄与度はマイナス0.2%だった。輸出は前期比0.7%増えたが、控除項目の輸入が1.9%増と一段と伸び、補いきれなかった。
一方、内需も0.1%増と勢いに乏しかった。企業の投資意欲の減退に伴い設備投資が1.7%減少。個人消費は0.3%増え、改正建築基準法施行の影響が一巡した住宅投資も4.0%増加したが、設備投資の落ち込みが響いて内需全体ではゼロ近傍にとどまった。民間在庫の寄与度はプラス0.0%で、GDP成長率のうち内需の寄与度はプラス0.1%だった。

要するに、設備投資を中心に内需の伸びも弱く、従来から日本経済を支えていた外需が世界的な金融危機の影響と資源高のためにマイナスの寄与度を示すと、当然ながら、成長率もマイナスになります。下の表は需要項目別などのGDP成長率です。基本的に、雇用者所得も含めて実質の前期比ですが、表示の通り、名目GDPは名目ですし、GDPデフレータだけは伝統に従って前年同期比となっています。また、アスタリスクを付した民間在庫と外需は前期比伸び率に対する寄与度表示となっています。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、完全性は保証しません。正確な計数は上の内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2007/
7-9
2007/
10-12
2008/
1-3
2008/
4-6
2008/
7-9
国内総生産GDP+0.6+0.4+0.6▲0.9▲0.1
   民間消費+0.2+0.2+0.6▲0.6+0.3
   民間住宅▲8.4▲9.8+5.1▲3.1+4.0
   民間設備+1.8+0.5▲0.3▲1.4▲1.7
   民間在庫 *+0.0+0.0▲0.2▲0.0+0.0
   公的需要▲0.4+0.8▲0.2▲1.1+0.1
   外需 *+0.5+0.3+0.4▲0.0▲0.2
国内総所得GDI+0.4▲0.2+0.0▲1.5▲0.6
名目GDP+0.2▲0.1+0.2▲1.2▲0.5
雇用者所得+0.6▲0.4+0.2▲0.4▲0.2
GDPデフレータ▲0.6▲1.3▲1.5▲1.6▲1.6

前の4-6月期はあらゆる項目にマイナスが並びましたが、反動増の要素もあるとはいうものの、7-9月期は消費や住宅などの内需項目ではいくつかプラスを記録しています。しかし、商品価格がほぼピークに達していたのと、世界的な景気後退・減速や金融危機の影響などから外需が本格的にマイナスになり始め、結果として日本経済も2四半期連続でのマイナス成長となりました。下のグラフではもう少し詳しく需要項目別の前期比寄与度を見ています。青い折れ線のGDP成長率のほか、棒グラフで示されている各需要項目の寄与度は凡例にある通りです。

GDP成長率寄与度

最近では2005年の10-12月期を例外として、設備投資の符号とGDP成長率の正負が一致していることに注目すべきと私は考えています。最近2四半期の今年4-6月期と7-9月期もそうなっています。水色の設備投資の寄与度がマイナスになれば、全体のGDP成長率もマイナスになります。前々から、設備投資が来年年央から秋口くらいまでマイナスの傾向が続くと私は主張していて、もちろん、個別の四半期では瞬間的にプラスを記録する場合もあり得ますが、あと1年くらいは設備投資が弱い状態が続くと私は考えています。すなわち、GDP成長率もほとんど常にマイナスとはいわないものの、景気対策が集中するなどの特殊要因がない限り、潜在成長率水準にはほとんど達することなく、景気後退期らしく低い伸び率が続く可能性が高いと私は考えています。
もうひとつ、設備投資に着目すべき理由は、川上の外需の動向をかなり着実に反映し、川下の雇用動向を左右するからです。世界的な景気の減速や後退に直面して、トヨタやシャープなどの我が国を代表する輸出企業が減産を始めていることは報道の通りですし、大方の予想では米欧ですら来年下半期まで潜在成長率水準は回復しないと考えられていますから、我が国の景気回復はさらに遅れることになる可能性があります。労働需給についても、昨日の日経新聞などで報じられた通り、大学の教員としては大いに気にかかるんですが、主要企業は新卒採用を減少する方向にありますし、今日発表されたGDP統計の雇用者所得も2四半期連続で減少していますから、かなり需給が緩和した状態が続くものと考えるべきです。日銀短観でも9月調査で見られた雇用の不足感が過剰感になるのは時間の問題です。来年の物価はマイナスを記録する可能性が高いと私は見ており、消費の下支え効果がなくはないんでしょうが、賃金と雇用から消費が弱含みの展開となること確実です。

GDP、GDIと交易利得

さらに、上のグラフではGDPに加えてGDIを折れ線で、その差額の交易利得を棒グラフで示してあります。赤い折れ線がGDP、青がGDIで、緑色の棒グラフが交易利得です。縦軸の単位はいすれも2000年固定価格の実額の兆円で、GDPとGDIの折れ線グラフは左軸、交易利得の棒グラフは右軸です。原油価格などの商品市況が上昇を始めた2003年ころからコンスタントに交易利得がマイナスとなり、2005年10-12月期には2000年固定価格で10兆円を、2007年10-12月期には同じく20兆円を超え、この7-9月期にはとうとう30兆円に達しました。軽く実質GDPの5%を超えています。まったく同じことなんですが、赤のGDPと青のGDIの乖離が大きくなっています。ひょっとしたら、7-9月期が交易利得がマイナスを付けるピークではないかとも考えられますが、単純にGDPがマイナス成長している以上に景気実感が悪化している大きな一因となっていることは確かです。

今夜のエントリーでは為替レートの要素を含まずに見通してみましたが、世界的な金融危機が深刻化して、相対的に円資産が見直されることにより円高が進むと、さらに日本の景気は下振れることになります。加えて、先日来、何度も繰り返していますが、7-9月期については日本だけでなく欧米でも月を追うごとに景気が悪化していた実感があり、2次QEでは下方改定されることが明らかです。そして、10-12月期はさらに成長率のマイナス幅を拡大することも確実です。今日発表されGDP成長率はすでに過去の数字と見なされて、マーケットは木曜日に公表される10月の貿易統計を注視しているような気がします。8月に続いて貿易収支は赤字なんでしょうか?

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2008年11月16日 (日)

スポーツの秋

経済関係のエントリーが続いていたので、少し気分転換にと思って、女子スポーツの話題を取り上げたいと思います。

まず、全日本バドミントン選手権において、今年限りでペアを解消するオグシオが5連覇で有終の美を飾りました。北京オリンピックで4位に入った末綱・前田ペアを破っての堂々の優勝でした。誠におめでとうございます。私は関西人らしくアッサリした性格ですから、今さら、ペア解消が惜しいとか、諦めの悪いことは言いません。それぞれの道でがんばってほしいと思います。それにしても、三洋電機のスポーツ部はパナソニックの子会社になってどうなるんでしょうか。私が知っている範囲でめぼしい成績を上げているのはラグビーくらいなんですが、パナソニックがああいう家族主義的な会社なので、存続したりするんでしょうか。
それから、昨日、テニスの全日本選手権で復帰したクルム伊達公子選手が優勝しました。ワールドクラスに名を連ねる杉山選手や私のひいきの森田選手とはまだ当たっていませんが、日本国内ではトップクラスの実力をまだ保持しているところを見せつけました。詳細は忘れたんですが、何かのテレビ番組で松岡修造さんが、「伊達選手がすごいのか、他の選手がふるわないのか?」と聞かれて、即座に「伊達選手がすごい」と答えていたのを見ました。そうなのかもしれません。来年の全豪オープンにも挑戦するそうですから、私自身は何となく複雑な心境ではありますが、がんばってほしい気もします。

芸術の秋、読書の秋、食欲の秋とともにスポーツの秋も見逃せません。

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G20 金融サミット首脳宣言

昨日、G20 金融サミットが閉幕し首脳宣言を採択しました。以下の通りです。出典は米国大統領府、すなわちホワイトハウスです。我が国の外務省と財務省のホームページもチェックしましたが、9時半の時点で日本語訳はアップされていませんでした。

For Immediate Release
Office of the Press Secretary
November 15, 2008

Declaration of the Summit
on Financial Markets and the World Economy


1. We, the Leaders of the Group of Twenty, held an initial meeting in Washington on November 15, 2008, amid serious challenges to the world economy and financial markets. We are determined to enhance our cooperation and work together to restore global growth and achieve needed reforms in the world's financial systems.

2. Over the past months our countries have taken urgent and exceptional measures to support the global economy and stabilize financial markets. These efforts must continue. At the same time, we must lay the foundation for reform to help to ensure that a global crisis, such as this one, does not happen again. Our work will be guided by a shared belief that market principles, open trade and investment regimes, and effectively regulated financial markets foster the dynamism, innovation, and entrepreneurship that are essential for economic growth, employment, and poverty reduction.

Root Causes of the Current Crisis

3. During a period of strong global growth, growing capital flows, and prolonged stability earlier this decade, market participants sought higher yields without an adequate appreciation of the risks and failed to exercise proper due diligence. At the same time, weak underwriting standards, unsound risk management practices, increasingly complex and opaque financial products, and consequent excessive leverage combined to create vulnerabilities in the system. Policy-makers, regulators and supervisors, in some advanced countries, did not adequately appreciate and address the risks building up in financial markets, keep pace with financial innovation, or take into account the systemic ramifications of domestic regulatory actions.

4. Major underlying factors to the current situation were, among others, inconsistent and insufficiently coordinated macroeconomic policies, inadequate structural reforms, which led to unsustainable global macroeconomic outcomes. These developments, together, contributed to excesses and ultimately resulted in severe market disruption.

Actions Taken and to Be Taken

5. We have taken strong and significant actions to date to stimulate our economies, provide liquidity, strengthen the capital of financial institutions, protect savings and deposits, address regulatory deficiencies, unfreeze credit markets, and are working to ensure that international financial institutions (IFIs) can provide critical support for the global economy.

6. But more needs to be done to stabilize financial markets and support economic growth. Economic momentum is slowing substantially in major economies and the global outlook has weakened. Many emerging market economies, which helped sustain

the world economy this decade, are still experiencing good growth but increasingly are being adversely impacted by the worldwide slowdown.

7. Against this background of deteriorating economic conditions worldwide, we agreed that a broader policy response is needed, based on closer macroeconomic cooperation, to restore growth, avoid negative spillovers and support emerging market economies and developing countries. As immediate steps to achieve these objectives, as well as to address longer-term challenges, we will:

* Continue our vigorous efforts and take whatever further actions are necessary to stabilize the financial system.
* Recognize the importance of monetary policy support, as deemed appropriate to domestic conditions.
* Use fiscal measures to stimulate domestic demand to rapid effect, as appropriate, while maintaining a policy framework conducive to fiscal sustainability.
* Help emerging and developing economies gain access to finance in current difficult financial conditions, including through liquidity facilities and program support. We stress the International Monetary Fund's (IMF) important role in crisis response, welcome its new short-term liquidity facility, and urge the ongoing review of its instruments and facilities to ensure flexibility.
* Encourage the World Bank and other multilateral development banks (MDBs) to use their full capacity in support of their development agenda, and we welcome the recent introduction of new facilities by the World Bank in the areas of infrastructure and trade finance.
* Ensure that the IMF, World Bank and other MDBs have sufficient resources to continue playing their role in overcoming the crisis.

Common Principles for Reform of Financial Markets

8. In addition to the actions taken above, we will implement reforms that will strengthen financial markets and regulatory regimes so as to avoid future crises. Regulation is first and foremost the responsibility of national regulators who constitute the first line of defense against market instability. However, our financial markets are global in scope, therefore, intensified international cooperation among regulators and strengthening of international standards, where necessary, and their consistent implementation is necessary to protect against adverse cross-border, regional and global developments affecting international financial stability. Regulators must ensure that their actions support market discipline, avoid potentially adverse impacts on other countries, including regulatory arbitrage, and support competition, dynamism and innovation in the marketplace. Financial institutions must also bear their responsibility for the turmoil and should do their part to overcome it including by recognizing losses, improving disclosure and strengthening their governance and risk management practices.

9. We commit to implementing policies consistent with the following common principles for reform.

* Strengthening Transparency and Accountability: We will strengthen financial market transparency, including by enhancing required disclosure on complex financial products and ensuring complete and accurate disclosure by firms of their financial conditions. Incentives should be aligned to avoid excessive risk-taking.

* Enhancing Sound Regulation: We pledge to strengthen our regulatory regimes, prudential oversight, and risk management, and ensure that all financial markets, products and participants are regulated or subject to oversight, as appropriate to their circumstances. We will exercise strong oversight over credit rating agencies, consistent with the agreed and strengthened international code of conduct. We will also make regulatory regimes more effective over the economic cycle, while ensuring that regulation is efficient, does not stifle innovation, and encourages expanded trade in financial products and services. We commit to transparent assessments of our national regulatory systems.

* Promoting Integrity in Financial Markets: We commit to protect the integrity of the world's financial markets by bolstering investor and consumer protection, avoiding conflicts of interest, preventing illegal market manipulation, fraudulent activities and abuse, and protecting against illicit finance risks arising from non-cooperative jurisdictions. We will also promote information sharing, including with respect to jurisdictions that have yet to commit to international standards with respect to bank secrecy and transparency.

* Reinforcing International Cooperation: We call upon our national and regional regulators to formulate their regulations and other measures in a consistent manner. Regulators should enhance their coordination and cooperation across all segments of financial markets, including with respect to cross-border capital flows. Regulators and other relevant authorities as a matter of priority should strengthen cooperation on crisis prevention, management, and resolution.

* Reforming International Financial Institutions: We are committed to advancing the reform of the Bretton Woods Institutions so that they can more adequately reflect changing economic weights in the world economy in order to increase their legitimacy and effectiveness. In this respect, emerging and developing economies, including the poorest countries, should have greater voice and representation. The Financial Stability Forum (FSF) must expand urgently to a broader membership of emerging economies, and other major standard setting bodies should promptly review their membership. The IMF, in collaboration with the expanded FSF and other bodies, should work to better identify vulnerabilities, anticipate potential stresses, and act swiftly to play a key role in crisis response.

Tasking of Ministers and Experts

10. We are committed to taking rapid action to implement these principles. We instruct our Finance Ministers, as coordinated by their 2009 G-20 leadership (Brazil, UK, Republic of Korea), to initiate processes and a timeline to do so. An initial list of specific measures is set forth in the attached Action Plan, including high priority actions to be completed prior to March 31, 2009.

In consultation with other economies and existing bodies, drawing upon the recommendations of such eminent independent experts as they may appoint, we request our Finance Ministers to formulate additional recommendations, including in the following specific areas:

* Mitigating against pro-cyclicality in regulatory policy; * Reviewing and aligning global accounting standards, particularly for complex securities in times of stress; * Strengthening the resilience and transparency of credit derivatives markets and reducing their systemic risks, including by improving the infrastructure of over-the-counter markets; * Reviewing compensation practices as they relate to incentives for risk taking and innovation; * Reviewing the mandates, governance, and resource requirements of the IFIs; and * Defining the scope of systemically important institutions and determining their appropriate regulation or oversight.

11. In view of the role of the G-20 in financial systems reform, we will meet again by April 30, 2009, to review the implementation of the principles and decisions agreed today.

Commitment to an Open Global Economy

12. We recognize that these reforms will only be successful if grounded in a commitment to free market principles, including the rule of law, respect for private property, open trade and investment, competitive markets, and efficient, effectively regulated financial systems. These principles are essential to economic growth and prosperity and have lifted millions out of poverty, and have significantly raised the global standard of living. Recognizing the necessity to improve financial sector regulation, we must avoid over-regulation that would hamper economic growth and exacerbate the contraction of capital flows, including to developing countries.

13. We underscore the critical importance of rejecting protectionism and not turning inward in times of financial uncertainty. In this regard, within the next 12 months, we will refrain from raising new barriers to investment or to trade in goods and services, imposing new export restrictions, or implementing World Trade Organization (WTO) inconsistent measures to stimulate exports. Further, we shall strive to reach agreement this year on modalities that leads to a successful conclusion to the WTO's Doha Development Agenda with an ambitious and balanced outcome. We instruct our Trade Ministers to achieve this objective and stand ready to assist directly, as necessary. We also agree that our countries have the largest stake in the global trading system and therefore each must make the positive contributions necessary to achieve such an outcome.

14. We are mindful of the impact of the current crisis on developing countries, particularly the most vulnerable. We reaffirm the importance of the Millennium Development Goals, the development assistance commitments we have made, and urge both developed and emerging economies to undertake commitments consistent with their capacities and roles in the global economy. In this regard, we reaffirm the development principles agreed at the 2002 United Nations Conference on Financing for Development in Monterrey, Mexico, which emphasized country ownership and mobilizing all sources of financing for development.

15. We remain committed to addressing other critical challenges such as energy security and climate change, food security, the rule of law, and the fight against terrorism, poverty and disease.

16. As we move forward, we are confident that through continued partnership, cooperation, and multilateralism, we will overcome the challenges before us and restore stability and prosperity to the world economy.

Action Plan to Implement Principles for Reform

This Action Plan sets forth a comprehensive work plan to implement the five agreed principles for reform. Our finance ministers will work to ensure that the taskings set forth in this Action Plan are fully and vigorously implemented. They are responsible for the development and implementation of these recommendations drawing on the ongoing work of relevant bodies, including the International Monetary Fund (IMF), an expanded Financial Stability Forum (FSF), and standard setting bodies.

Strengthening Transparency and Accountability

Immediate Actions by March 31, 2009 * The key global accounting standards bodies should work to enhance guidance for valuation of securities, also taking into account the valuation of complex, illiquid products, especially during times of stress. * Accounting standard setters should significantly advance their work to address weaknesses in accounting and disclosure standards for off-balance sheet vehicles. * Regulators and accounting standard setters should enhance the required disclosure of complex financial instruments by firms to market participants. * With a view toward promoting financial stability, the governance of the international accounting standard setting body should be further enhanced, including by undertaking a review of its membership, in particular in order to ensure transparency, accountability, and an appropriate relationship between this independent body and the relevant authorities. * Private sector bodies that have already developed best practices for private pools of capital and/or hedge funds should bring forward proposals for a set of unified best practices. Finance Ministers should assess the adequacy of these proposals, drawing upon the analysis of regulators, the expanded FSF, and other relevant bodies.

Medium-term actions * The key global accounting standards bodies should work intensively toward the objective of creating a single high-quality global standard. * Regulators, supervisors, and accounting standard setters, as appropriate, should work with each other and the private sector on an ongoing basis to ensure consistent application and enforcement of high-quality accounting standards. * Financial institutions should provide enhanced risk disclosures in their reporting and disclose all losses on an ongoing basis, consistent with international best practice, as appropriate. Regulators should work to ensure that a financial institution' financial statements include a complete, accurate, and timely picture of the firm's activities (including off-balance sheet activities) and are reported on a consistent and regular basis.

Enhancing Sound Regulation

Regulatory Regimes

Immediate Actions by March 31, 2009 * The IMF, expanded FSF, and other regulators and bodies should develop recommendations to mitigate pro-cyclicality, including the review of how valuation and leverage, bank capital, executive compensation, and provisioning practices may exacerbate cyclical trends.

Medium-term actions * To the extent countries or regions have not already done so, each country or region pledges to review and report on the structure and principles of its regulatory system to ensure it is compatible with a modern and increasingly globalized financial system. To this end, all G-20 members commit to undertake a Financial Sector Assessment Program (FSAP) report and support the transparent assessments of countries' national regulatory systems. * The appropriate bodies should review the differentiated nature of regulation in the banking, securities, and insurance sectors and provide a report outlining the issue and making recommendations on needed improvements. A review of the scope of financial regulation, with a special emphasis on institutions, instruments, and markets that are currently unregulated, along with ensuring that all systemically-important institutions are appropriately regulated, should also be undertaken. * National and regional authorities should review resolution regimes and bankruptcy laws in light of recent experience to ensure that they permit an orderly wind-down of large complex cross-border financial institutions. * Definitions of capital should be harmonized in order to achieve consistent measures of capital and capital adequacy.

Prudential Oversight

Immediate Actions by March 31, 2009 * Regulators should take steps to ensure that credit rating agencies meet the highest standards of the international organization of securities regulators and that they avoid conflicts of interest, provide greater disclosure to investors and to issuers, and differentiate ratings for complex products. This will help ensure that credit rating agencies have the right incentives and appropriate oversight to enable them to perform their important role in providing unbiased information and assessments to markets. * The international organization of securities regulators should review credit rating agencies' adoption of the standards and mechanisms for monitoring compliance. * Authorities should ensure that financial institutions maintain adequate capital in amounts necessary to sustain confidence. International standard setters should set out strengthened capital requirements for banks' structured credit and securitization activities.

* Supervisors and regulators, building on the imminent launch of central counterparty services for credit default swaps (CDS) in some countries, should: speed efforts to reduce the systemic risks of CDS and over-the-counter (OTC) derivatives transactions; insist that market participants support exchange traded or electronic trading platforms for CDS contracts; expand OTC derivatives market transparency; and ensure that the infrastructure for OTC derivatives can support growing volumes.

Medium-term actions * Credit Ratings Agencies that provide public ratings should be registered. * Supervisors and central banks should develop robust and internationally consistent approaches for liquidity supervision of, and central bank liquidity operations for, cross-border banks.

Risk Management

Immediate Actions by March 31, 2009 * Regulators should develop enhanced guidance to strengthen banks' risk management practices, in line with international best practices, and should encourage financial firms to reexamine their internal controls and implement strengthened policies for sound risk management. * Regulators should develop and implement procedures to ensure that financial firms implement policies to better manage liquidity risk, including by creating strong liquidity cushions. * Supervisors should ensure that financial firms develop processes that provide for timely and comprehensive measurement of risk concentrations and large counterparty risk positions across products and geographies. * Firms should reassess their risk management models to guard against stress and report to supervisors on their efforts. * The Basel Committee should study the need for and help develop firms' new stress testing models, as appropriate. * Financial institutions should have clear internal incentives to promote stability, and action needs to be taken, through voluntary effort or regulatory action, to avoid compensation schemes which reward excessive short-term returns or risk taking. * Banks should exercise effective risk management and due diligence over structured products and securitization.

Medium -term actions * International standard setting bodies, working with a broad range of economies and other appropriate bodies, should ensure that regulatory policy makers are aware and able to respond rapidly to evolution and innovation in financial markets and products.

* Authorities should monitor substantial changes in asset prices and their implications for the macroeconomy and the financial system.

Promoting Integrity in Financial Markets

Immediate Actions by March 31, 2009 * Our national and regional authorities should work together to enhance regulatory cooperation between jurisdictions on a regional and international level. * National and regional authorities should work to promote information sharing about domestic and cross-border threats to market stability and ensure that national (or regional, where applicable) legal provisions are adequate to address these threats. * National and regional authorities should also review business conduct rules to protect markets and investors, especially against market manipulation and fraud and strengthen their cross-border cooperation to protect the international financial system from illicit actors. In case of misconduct, there should be an appropriate sanctions regime.

Medium -term actions * National and regional authorities should implement national and international measures that protect the global financial system from uncooperative and non-transparent jurisdictions that pose risks of illicit financial activity. * The Financial Action Task Force should continue its important work against money laundering and terrorist financing, and we support the efforts of the World Bank - UN Stolen Asset Recovery (StAR) Initiative. * Tax authorities, drawing upon the work of relevant bodies such as the Organization for Economic Cooperation and Development (OECD), should continue efforts to promote tax information exchange. Lack of transparency and a failure to exchange tax information should be vigorously addressed.

Reinforcing International Cooperation

Immediate Actions by March 31, 2009 * Supervisors should collaborate to establish supervisory colleges for all major cross-border financial institutions, as part of efforts to strengthen the surveillance of cross-border firms. Major global banks should meet regularly with their supervisory college for comprehensive discussions of the firm's activities and assessment of the risks it faces. * Regulators should take all steps necessary to strengthen cross-border crisis management arrangements, including on cooperation and communication with each other and with appropriate authorities, and develop comprehensive contact lists and conduct simulation exercises, as appropriate.

Medium -term actions * Authorities, drawing especially on the work of regulators, should collect information on areas where convergence in regulatory practices such as accounting standards, auditing, and deposit insurance is making progress, is in need of accelerated progress, or where there may be potential for progress. * Authorities should ensure that temporary measures to restore stability and confidence have minimal distortions and are unwound in a timely, well-sequenced and coordinated manner.

Reforming International Financial Institutions

Immediate Actions by March 31, 2009 * The FSF should expand to a broader membership of emerging economies. * The IMF, with its focus on surveillance, and the expanded FSF, with its focus on standard setting, should strengthen their collaboration, enhancing efforts to better integrate regulatory and supervisory responses into the macro-prudential policy framework and conduct early warning exercises. * The IMF, given its universal membership and core macro-financial expertise, should, in close coordination with the FSF and others, take a leading role in drawing lessons from the current crisis, consistent with its mandate. * We should review the adequacy of the resources of the IMF, the World Bank Group and other multilateral development banks and stand ready to increase them where necessary. The IFIs should also continue to review and adapt their lending instruments to adequately meet their members' needs and revise their lending role in the light of the ongoing financial crisis. * We should explore ways to restore emerging and developing countries' access to credit and resume private capital flows which are critical for sustainable growth and development, including ongoing infrastructure investment. * In cases where severe market disruptions have limited access to the necessary financing for counter-cyclical fiscal policies, multilateral development banks must ensure arrangements are in place to support, as needed, those countries with a good track record and sound policies.

Medium -term actions * We underscored that the Bretton Woods Institutions must be comprehensively reformed so that they can more adequately reflect changing economic weights in the world economy and be more responsive to future challenges. Emerging and developing economies should have greater voice and representation in these institutions. * The IMF should conduct vigorous and even-handed surveillance reviews of all countries, as well as giving greater attention to their financial sectors and better integrating the reviews with the joint IMF/World Bank financial sector assessment programs. On this basis, the role of the IMF in providing macro-financial policy advice would be strengthened. * Advanced economies, the IMF, and other international organizations should provide capacity-building programs for emerging market economies and developing countries on the formulation and the implementation of new major regulations, consistent with international standards.

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今週末は体調が優れず、次の3連休の週末は大学祭ですから今週は学生諸君のテンションが高いかもしれないので、しっかり休養しています。

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2008年11月15日 (土)

G20 金融サミットで何を話し合うのか?

昨日、欧州統計局 (Eurostat) から欧州の7-9月期のGDP統計が発表され、406月期の前期比▲0.2%のマイナス成長に続いて、7-9月期も▲0.2%と2四半期連続でのマイナス成長を記録し、いろんなメディアで欧州が景気後退局面に入ったと報じられています。昨夜のエントリーで取り上げましたが、週明けにGDP統計が発表される日本もそのうちかもしれません。

G20 ロゴ

さて、米国の首都ワシントンで世界主要20カ国の首脳が集まって、金融サミットが開催されています。二言になってしまいますが、景気回復と金融安定を目指しているのは明らかで、そのために何をするのかが協議されているわけです。これについて、VoxEU のサイトでは、アイチェングリーン教授とボールドウィン教授の編集により、"What G20 leaders must do to stabilise our economy and fix the financial system" と題するリポートが公表されています。世界の著名エコノミストがいろんな意見を寄せています。東京大学の伊藤隆俊教授も "G20 Summit: What they should achieve" と題する一文を寄せていて、マクロ経済監視の強化、IMF と世銀による流動性供給、クロスボーダー取引を含む金融機関の監督強化、金融機関の破産制度の4点からの議論を喚起しています。いろんなエコノミストから金利引下げや財政支出の拡大をはじめとして、個別の規制のあり方などが論じられていてなかなか興味深いものがあります。もちろん、日本が提案しているような国際通貨基金 (IMF) の機能強化や新機関の創設もあったりします。

注目の金融サミットはどのような成果をもたらすんでしょうか?

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2008年11月14日 (金)

来週発表の7-9月期GDP1次速報はマイナス成長か?

来週月曜日の11月17日に内閣府から今年7-9月期のGDP統計、エコノミストの業界で1次QEと呼ばれている指標が発表されます。4-6月期が季節調整済みで前期比▲0.7%のマイナス成長を記録しましたので、7-9月期も連続でマイナスになるのかどうか、大いに注目されています。
この統計について、シンクタンクや金融機関各社の予想が出そろいました。実は、一昨日に微修正をかけたシンクタンクもありました。金融機関などでは顧客向けに出しているニューズレターで公表する形式の機関もありますし、私もメールなんかに添付してもらっているリポートもあるんですが、今夜のところはネットに PDF ファイルなどでオープンに公表している機関に限って取り上げています。下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。なお、詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールされてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研▲0.1%
(▲0.2%)
2四半期連続のマイナス成長
みずほ総研+0.3%
(+1.0%)
7-9月期の成長は住宅投資と在庫投資に押し上げられた面が強い
三菱UFJ証券▲0.2%
(▲0.6%)
デフレ・ギャップはさらに拡大へ
第一生命経済研+0.3%
(+1.0%)
在庫投資による押し上げでプラス成長
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3%
(+1.1%)
住宅と公共投資の反動増が成長率の押し上げ要因
ニッセイ基礎研+0.2%
(+0.8%)
年率ゼロ%台の低成長を予測

私自身の予想はというと、スラッと考えるとマイナス成長なんでしょうが、みずほ総研や第一生命経済研のリポートにあるように、在庫投資の動向次第だという気もしています。10月29日付けのエントリーで在庫循環図を描いてみて、前年同期比では在庫調整に入っていて在庫は減少を始めていますが、前期比ではまだ後ろ向きの在庫が積み上がっている状況です。もっとも、これは鉱工業生産指数レベルでの在庫ですから、流通段階での在庫については情報が不足しているのも事実です。この在庫の積上がりが成長率にプラスで寄与するのであれば、全体のGDPを押し上げてプラスの成長率になることも考えられます。ただし、プラスになったとしてもわずかで、潜在成長率と目されている1.5-2%の水準に遠く及ばないことは明らかです。さらに、7-9月期に在庫の積上がりが見られると、8月13日付けの4-6月期1次QEを取り上げたエントリーで指摘したように、次の10-12月期か来年の1-3月期くらいにドカンと大きく在庫投資がマイナスになる可能性も残されています。

OECD 経済見通し

同じ成長率予想ということで、ついでながら、昨日、経済開発協力機構 (OECD) が日米欧の経済見通しを発表しました。上の表は記者発表資料から引用しています。このブログの11月7日付けのエントリーで取り上げた国際通貨基金 (IMF) の見通しと同様で、来年は日米欧ともマイナス成長を予測しています。OECD の見通しは IMF と違って2010年まであり、しかも四半期別の計数が示されていることで、これに従えば、米欧は今年年末から来年年初にかけて大きなマイナス成長を記録した後、2010年の最終四半期にほぼ潜在成長率水準に回帰するのに対して、我が日本は景気回復が遅れるとの見通しになっています。加えて、来年年央からインフレ率が再びマイナスを記録し、日本はデフレに舞い戻ることが予測されています。私が10月30日付けのエントリーなどで指摘したように、この OECD の経済見通しが正しいとすれば、年が明ければ日銀がゼロ金利に入り、さらに量的緩和を模索するのは確実だと言えます。

最後に来週発表の7-9月期の1次QEに無理やり話題を戻すと、10月31日付けのエントリーで米国のGDP統計を取り上げた時と同じで、7-9月期については月を追うごとに景気が悪化していることから、日本の7-9月期のGDPについても1次QEがプラス成長であったとしても、2次QEではマイナス成長を含めて下方改定される可能性が高いことを指摘しておきたいと思います。

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2008年11月13日 (木)

原油価格は上がるのか、下がるのか?

約3か月前の8月18日付けのこのブログのエントリーで「商品市況の先行きをどう見るか?」と題して、原油価格を中心に商品市況は低下に向かうと見通しましたが、実際に、NY 市場の指標となる WTI 価格が激しい勢いで下落しています。一時はバレル当たり145ドル近辺に上昇していたものが、直近では60ドル周辺で取引されています。ほぼ昨年年初の水準まで低下したことになります。もっとも、5年くらい前までは25-30ドルの水準でしたから、これでもまだ高いといえなくもありません。まず、最近2年間の原油価格のグラフは以下の通りです。WEB 上のサービスで描いています。

原油価格の推移

原油価格が大きく低下したのは、実物面で、先進国の景気後退のみならず、中国をはじめとする新興国でも景気が減速し、世界的な景気の停滞から原油に対する需要が低迷しているところに加え、産油国側でも OPEC などで減産に関する足並みがそろわず、需給が緩和していることが基本的な理由です。もちろん、原油を資産として捉え資金が流入したことも、原油価格を引き上げる一因でしたので、現状では、世界的な金融危機による流動性不足から、原油に流れていた資金が逆流している面もあります。ホンの少し先に視点を移すと、これも8月18日付けのエントリーで取り上げた通り、大統領就任後16カ月でのイラク撤兵を公約に掲げたオバマ上院議員が米国大統領選挙に圧勝し、米国のイラク撤兵が大きく現実化に向けて進み始めています。今年年央に原油価格がピークであった時でさえ、イラクが原油増産に踏み切ればかなりの程度に供給不足は解決するとの見方も根強く、米国のオバマ次期大統領の来年1月の就任は原油需給に対する緩和要因であることは確かです。目先の原油価格について、唯一値上がりする可能性があるのはドル為替の下落ですが、少なくとも、我が国にとってはドルの下落以上に円が増価するでしょうから、ドル建てで原油価格が上昇したとしても、国内向けの円建てでの原油価格には影響はほとんどないものと考えられます。

それでは、この先も原油価格が下がり続け、5年前のバレル当たり25-30ドルのレンジに戻るのかというと、そうは考えられません。昨日、国際エネルギー機関 (IEA) から「世界エネルギー見通し2008」"World Energy Outlook 2008" が発表され、2030年にはバレル当たり200ドルを超える可能性が指摘されています。基本的には、原油開発に対する投資が不足して供給不安がある一方で、中国をはじめとする新興国のエネルギーに対する根強い需要が価格を押し上げるものと想定されています。以下では、IEA の記者発表資料からいくつかグラフを紹介します。

World primary energy demand in the Reference Scenario

まず、上のグラフの通り、世界のエネルギー需要は今後も拡大を続けます。上のグラフの縦軸の単位は Mtoe (million tons of oil equivalence)、すなわち、石油換算の100万トンです。石油に対する需要は今後もコンスタントに増加を続けますし、特に、今世紀に入ってからの石炭に対する需要が大きく高まっている点が注目されます。茶色い部分です。明らかに、世界の工場となった中国における石炭需要が大きな部分を占めています。

Change in oil demand by region in the Reference Scenario, 2007-2030

エネルギーを石油に限っても、中国は石油消費を増加させると IEA では予測しています。上のグラフは、2007年から2030年にかけて、石油需要の地域別の増減を示しています。先進国で構成される OECD 諸国が軒並み石油に対する需要を2007年から2030年の23年間で減少するのに対し、途上国や新興国では増加が予想され、特に、インド、中東、そしてどこよりも中国で大きな石油需要の増加が見込まれています。横軸の単位 mb/d は1日当たり100万バレルです。

World oil production in the Reference Scenario

これらの需要の増加に対して、供給は非常に心もとない状態が続いています。上のグラフは石油の供給元に関して、日量100万バレル単位で示されていますが、黄色の液化天然ガスが増えるのはともかく、青の部分の既存油田の供給量はすでに下降局面に入っており、将来にわたっては、水色の部分の未開発あるいは未発見の油田に頼らねばならない状態です。

これらのエネルギー見通しを踏まえて、IEA では産油国などに対して原油供給に対する適正な水準での投資を呼びかけるとともに、消費国に対して代替エネルギーの開発などを要請しています。地球温暖化対策への配慮が盛り込まれていることは言うまでもありません。

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2008年11月12日 (水)

日本企業の社会的な役割とは何か?

昨日、民間調査機関である帝国データバンクと東京商工リサーチから相次いで10月の企業倒産の統計が発表されました。どちらも、同じ傾向を示しているんですが、今夜のエントリーでは帝国データバンクの倒産集計からデータを取りたいと思います。どうしてかというと、家族を残して来た青山の自宅から赤坂図書館に自転車で行く時に、青山通りに面した帝国データバンクの本社の前を通るので、何となく親しみがあるからです。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

民間調査会社の帝国データバンクが11日発表した10月の全国企業倒産集計によると、倒産件数は前年同月比13.7%増の1231件となった。比較可能な2005年4月以降では最多。建設・不動産業で相次いだ大型倒産で取引先などの連鎖倒産が発生したうえ、金融不安で銀行の融資態度が厳しくなったことで資金繰りに行き詰まった中小・零細企業の倒産が増えた。
負債総額は9790億1500万円で同約2.2倍。世界的な金融危機を背景に、大和生命保険や不動産投資信託のニューシティ・レジデンス投資法人などが倒産したため。
業種別でみると、建設業が324件で4.9%増えた。景気低迷や円高で苦しむ製造業は30.4%増の176件。小売業は6.0%増の231件、サービス業は18.0%増の203件だった。上場企業の倒産は8件だった。
ということで、記事にもあるように、基準変更のあった2005年4月以降の倒産件数と負債総額の推移をグラフで示すと以下の通りです。青の折れ線が倒産件数の推移で、右目盛の単位は件数です。赤の棒グラフが負債総額で、左目盛りの単位は10億円です。ただし、棒グラフの負債総額については、最新から2番目の今年9月の負債総額は表示し切れていません。すなわち、9月には日本法人のリーマン・ブラザーズ証券が戦後2番目の負債3兆4314億円で破綻したこともあり、実は、負債総額は5兆3198億円に上ります。グラフの左目盛りの上限は1兆円で切ってありますので、表示し切れていません。悪しからず。

企業倒産の推移

倒産件数は一貫して増加傾向にあるものの、負債総額は今年の年央から1兆円近い月が多くなり、経済への影響も大きくなっています。特に、10月の特徴として、主因別の内訳を見ると、8月に続いて、いわゆる「不況型の倒産」が80%を超えていることが上げられます。すなわち、原材料価格が高止まりしている状況にあって、内外ともに景気後退が加速して不況色を強め、内需の停滞に加えて外需の減速も加わり、企業の収益環境が大きく悪化しているところに、金融危機の深刻化から金融機関の厳しい融資姿勢が続き、資金調達環境がさらに悪化しているため、倒産が増加しているという構図です。
日本では、英米流のコーポレート・ガバナンスに代わって、企業の社会的責任 (CSR) という概念が普及していますが、私から見て日本企業の最大の社会貢献は従業員への OJT ではなかろうかと考えています。大学教員として恥ずかしながら、義務教育を終えて高校・大学の3-7年間で教えることと、期間が大きく違うながらも、就職してから約40年で身に付けるものを比較して、日本はこの学校と企業の教育訓練に果たす役割の差がもっとも大きい国のひとつではないかと思います。イメージ的に考えるだけなんですが、米国では、MBA とまで言わないとしても、大学でかなりのハードな勉強が待ち受けている一方で、転職が多いものですから、企業内の OJT よりも職場の外における能力開発の方に重点があるような気がしないでもありません。日本企業は会社の外で得た能力を基に所得を得る場としてだけではなく、従業員の能力や生産性を高める場でもあるような気がします。つまり、日本では高校や大学での勉強に比較して、圧倒的に就職してから学ぶ部分の方が大きいと私は考えています。もっとも、学校レベルで教える汎用的な教育と異なり、企業では個別企業特有の教育訓練を実施するんでしょうから、企業が倒産したりして転職を余儀なくされると、かなりの分がムダになる可能性を秘めているという意味で、企業が本来の going-concern としてのみ果たし得る役割かもしれません。

米国の自動車産業はビッグスリー救済法案を協議するとも報じられていますし、今年から来年にかけては企業の生き残りをかけた体力勝負の場面が来そうな気がします。やや無責任な表現に聞こえるかもしれませんが、雇用を維持し従業員の教育訓練に大きな役割を果たしている企業が生き残ることを望みたいと思います。

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2008年11月11日 (火)

気ウォッチャー調査に見る九州人の気質

本日、内閣府から10月の景気ウォッチャー調査が発表されました。街角景気などと呼ばれているもので、全国のスーパーや家電量販店の店員さん、ホテルマン、タクシー運転手など家計動向、企業動向、雇用等、代表的な経済活動項目の動向を敏感に反映する現象を観察できる業種の適当な職種の中から選定した2,050人を調査対象といています。10月の現状判断 DI は、前月比5.4ポイント低下の22.6となり、7か月連続で低下しました。先行き判断 DI についても、前月比6.9ポイント低下の25.2となっています。内閣府では基調判断を「景気の現状は急速に厳しさを増している」とし、前月までの「景気の現状は厳しい」から下方修正しています。九州に限っていえば、現状判断 DI が27.7から19.9となり、全国各地域の中でももっとも大きな下げ幅となり、DI の水準でも全国の最低水準を記録しました。なお、景気ウォッチャー調査では沖縄は九州から除かれています。

景気ウォッチャー調査

今日発表された景気ウォッチャー調査の現状判断 DI の全国と九州は上のグラフの通りです。赤い折れ線が全国で、青が九州です。いずれも右目盛りで、シャドー部分は景気後退期です。いつもの通り、直近は昨年10月をピークと仮置きしています。一見してわかるのは、前回の景気後退期の直前のピークと、景気後退期の最後の方のトラフで、ともに、全国よりも九州の方がピークはより高く、トラフはより低い結果となっていることです。その後の細かい動きを見ても大雑把に同様のことがいえ、2000年1月以降の現状判断 DI の標準偏差を計算すると、全国が 7.79 であるのに対して、九州は 8.28 となっています。要するに、九州では景気ウォッチャーの現状判断 DI データのバラツキが大きいわけです。ひょっとしたら、景気がいい局面では九州人のマインドは全国平均よりも強く楽観的になり、逆に、景気が悪い時はより深く悲観的に感じるのかもしれません。九州の人は感情の動きが激しく、いわゆる激情型の傾向があるのかもしれません。これは何となく世間一般の理解と符合しているような気がしなくもありません。

いずれにせよ、リーマン・ブラザーズ証券の破綻などがあった9月中旬以降は、消費者マインドが底をはう状態が続いており、何をどうすれば上向くのかは私の想像を超えています。街角景気のマインド調査は前回の景気後退期には先行指標であっただけに、気にかかるところです。

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今日は結婚記念日♪

今日は私と女房の結婚記念日です。
単身赴任して離れて暮らしての結婚記念日は10年余りの結婚生活で初めてです。一応、まだ忘れていないことを明らかにするため、朝から記念日の日記をアップしておきます。

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2008年11月10日 (月)

機械受注統計から何を読み取るか?

本日、内閣府から9月分の機械受注統計が発表されました。電力と船舶を除くコア機械受注と呼ばれる指標は季節調整済み系列の前月比で+5.5%増と5月統計以来のプラスを記録しました。もっとも、市場の事前コンセンサスである+5%増にほぼミートし、何らのサプライズはありませんでした。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が10日発表した9月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比5.5%増の9407億円となり、4カ月ぶりに増加した。このうち製造業は9.7%増、非製造業は1.3%減だった。10-12月期は前期比1.2%増の2兆9103億円を見込む。
9月の受注実績(民需)の内訳をみると、製造業では15業種中9業種が増加し、特に石油・石炭製品工業(前月比97.9%増)や化学工業(73.8%増)などで伸びが目立った。一方、船舶・電力を含めた非製造業全体では4.5%減。8業種中5業種が減少しており、電力業(35.5%減)や建設業(15.0%減)などが落ち込んだ。

4か月振りのプラスとはいうものの、8月の前月比▲14.5%減からのリバウンドとしては小さいものでした。さらに、7-9月期として四半期で見ると、前期比で▲10.4%減と急激な減少を記録し、3か月前の予測であった▲3.0%減を大幅に下回りました。企業の設備投資意欲が大きく後退していることを裏付けています。先行きについても、現時点で、10-12月期は前期比で+1.2%増と小幅ながらプラスを回復するとの予想ですが、達成は困難との見方も出ています。下のグラフは、上の青い折れ線グラフが船舶と電力を除くコア機械受注で、月次の季節調整済み系列です。単位は兆円です。下の方の緑色の折れ線グラフが達成率で四半期の季節調整済み系列です。単位はもちろんパーセントです。シャドー部分は景気後退局面で、直近は昨年10月または10-12月期をピークと仮置きしています。

機械受注統計

コア機械受注がすでに下方トレンドに入っていることは青色の折れ線グラグからも明らかです。この先、よく言われるように、受注→引渡し→取付けと進み、GDPベースの設備投資は取付けベースですから、機械受注は2-4四半期のラグを伴う設備投資の先行指標となり、私の荒っぽい予想でも来年年央から秋口くらいまでは設備投資の減少ペースが続くものと考えています。また、緑の折れ線で示されているように、達成率も7-9月期には91.9%まで低下し、景気後退ラインと見なされている90%レベルに大きく近づきました。

機械受注の手持ち残高

最後に、機械受注に関して少し長崎ローカルの話題に近い統計を取り上げます。機械受注の手持ち月数です。長崎には三菱重工とか佐世保重工をはじめとする造船業が一大基幹産業をなしていて、この景気後退期に入ってからも、4年分くらいの手持ち受注残高があるといわれていて、それだけあれば当面は大丈夫だろうとの見方もあるんですが、受注の手持ち月数がたくさんあれば大丈夫というのは全くの間違いです。通常、モノの分かったエコノミストであれば、受注の手持ち月数が増加することは発注元の設備投資意欲が減退していて、むしろ、黄色から赤信号だと見なします。上のグラフは青の折れ線が船舶を除く機械受注の手持ち月数で左目盛り、赤が船舶で右目盛です。左右どちらの軸も受注手持ち月数の月が単位になっています。かなり飛び跳ねていますが、一応、季節調整済の系列です。シャドー部分は景気後退期で、直近は昨年10月をピークと仮置きしています。なお、過去にさかのぼって季節調整指数を含めて頻繁な改定のある指標ですので、長期統計が発表されていないこともあり、5年以上前のデータの正確性は少し自信がありません。お含み置き下さい。
グラフを見れば明らかなんですが、受注の手持ち月数は景気後退局面に入ると上昇します。船舶については、2004年後半から2005年の景気の踊り場で上昇した後、今回の景気後退局面でさらに上昇しています。すなわち、受注の手持ち月数とは、金額ベースの受注残高を最近3か月の平均販売額で除したものですから、ストックの受注の増加よりもフローの販売の減少に敏感に反応し、手持ち月数の上昇は販売の減退に起因すると考えられるわけです。長崎の造船業で手持ち工事がまだ4年分あるということは、販売が振るわないことの裏返しであり、なすべき仕事が4年分あるのではなく、売るのに4年かかってしまうと解釈すべきです。逆に、手持ち月数が小さくなっていることは、もうすぐ仕事がなくなる前触れでは決してなく、仕事を終えるとすぐに売れてしまう状態を示しています。そのことは上のグラフからハッキリと読み取れると思いますが、メディアの記者さんなどで全く逆の理解をしている人も散見されます。というか、間違った見方が主流のような気すらします。我が経済学部もさらに努力して、もっと正しい経済の見方を広める必要がありそうに思えてなりません。

少し長崎の事情にも触れましたが、いずれにせよ、私の従来からの主張である来年年央から秋口、金融危機の悪化などがあれば、場合によってはさらに先までの設備投資の停滞を今回の機械受注統計は明らかにサポートしていると私は受け止めています。

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2008年11月 9日 (日)

下の子が天野三段の将棋教室に出かける

今日は下の子が天野三段の将棋教室に出かけました。6枚落ちですから、飛車角と桂香落ちで天野三段に初めて勝って大喜びだったみたいです。女房に頼んでおいたので写真が送られて来ました。

天野三段の将棋教室にて指導を受ける下の子

私が行ったわけではありませんが、お出かけの日記に分類しておきます。

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大学教授のファッションやいかに?

長崎に来て大学教授になってから、ほぼ100日が経過して、夏から秋への季節も経ました。夏の間は休みで学生が大学に来ないこともあり、私なんかは T シャツに短パン、サンダルという出で立ちで大学に通っていたりしたんですが、さすがに先月から授業が始まって学生諸君がキャンパスにあふれるようになり、少しは服装にも気を使うようになりました。しかし、基本はそんなに変わりありませんし、公務員とか大学の教員とかの職業はファッションセンスがいいとは決して見なされていないので、気が楽なことも確かです。なお、今日のエントリーでは、私は女性のファッションには詳しくないので、男性限定で考えています。最初にお断りしておきます。
ですから、教授会などで同僚を見渡しても、スーツ姿は少ないように見受けられます。私もスーツにネクタイを締めるのは授業の時だけです。授業と教授会は曜日が違いますので、教授会にはジーンズにラガーシャツで出席したりしています。しかも私の場合は、ヒゲを剃るのも授業の時だけです。普段は無精ヒゲのままで大学に通っています。もっとも、公務員のころから私は週に1-2回しかヒゲを剃らず、通常ヒゲありを通していましたので、大学に来てから急に不精になったというわけではありません。ですから、急なテレビの取材があったりすると不適切な服装のために、後日に録直しということがあったりしました。
季節が進んで、そろそろ秋風が吹いて寒くなりましたので、職場ではカーディガンなんぞを着用する季節になったんですが、私は何と白衣を着ています。本学は医学部や薬学部があるので、生協で白衣を取り扱っています。一度、大学に来たら白衣を着てみようと考えていたことは確かですが、ものすごく実用的です。生協前の石のベンチに腰を下ろしてもズボンを気にする必要はありませんし、ティッシュを忘れて学食に行っても袖口で口を拭いても OK です。ハンカチを忘れてトイレに行っても、手を洗った後に裾の方がタオル代わりになります。とってもオススメで、ひょっとしたら、役所に戻っても白衣を着続けるかもしれません。
しかし、そんな大学教授も服装をスーツにネクタイで決める時があります。入試の時です。大学では入試関係は特に機密性の高い事項と見なされていて、このあたりは、I 種公務員経済職の試験委員を経験して、平成10年4月3日付けの官報に氏名が公示された私なんかからすれば少し違和感があります。でも、大学教員の間はこれに従って、私が入試に関していつ何をしたかは触れませんが、1月のセンター試験や3月の大学ごとの試験などのペーパーテストの試験監督であればまだしも、この10-12月期の各種入学試験には面接がある場合が多く、面接試験の時にはさすがにスーツにネクタイが圧倒的に多くなります。私と同じように無精ヒゲで通している教員も他にいるんですが、私も含めてちゃんとヒゲを剃ったりしています。まだ、卒業式と入学式を経験していないんですが、今のところ、スーツとネクタイの比率が一番高まるのは面接のある入試の際だと私は結論しています。

最後に、ファッションの一部を成す ID カードについて、不可思議な ID カードを取り上げます。大学に着任した時に事務室から ID カードを作るかどうかと質問を受け、奇ッ怪な質問だと思いながらも作ってもらったんですが、長崎に来てから100日を経過しても、まったく誰にも見せたことがありません。大学のキャンパスなんて、ご近所の小中学生の通学路になっていたり、犬の散歩道になっていたり、単なる駐車場になっていたりして、ほぼ出入り自由ですし、その他の場所でも ID カードの確認を要求されたことはありません。一応、私は ID カードを作りましたが、全く不要なシロモノなのかもしれません。

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2008年11月 8日 (土)

米国の雇用調整は長引くか?

昨日、米国の雇用統計が発表されました。ヘッドラインの非農業部門雇用者は24万人の減少となり、失業率は6.5%にハネ上がりました。いずれも市場の事前コンセンサスよりもかなり悪い結果でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

米労働省が7日発表した10月の雇用統計(季節調整済み)によると、非農業部門の雇用者数は24万人減少し、10カ月連続で悪化した。失業率(軍人を除く)は6.5%で前月から0.4ポイント上昇しており、94年3月(6.5%)以来の高水準となった。金融危機と景気後退の懸念が深まり、米国の雇用情勢は厳しさを増している。
10月の雇用の実態は雇用者数20万人減、失業率6.3%を見込んでいた市場予測より悪かった。雇用情勢の悪化は企業の資金調達難や内需の低迷を受けて深刻化している。7―9月期の実質経済成長率もマイナスに落ち込み、景気後退への懸念が一段と強まりそうだ。
10月の失業者数は60万3000人増の1008万人。雇用者数の内訳は政府部門が2万3000人増える一方で、民間部門は26万3000人減った。製造(9万人)、建設(4万9000人)、小売り(3万8000人)など幅広い業種で減少が目立つ。

次々にメディアのサイトから引用しますが、いつもの "New York Times" の "Labor Picture in October" は以下の通りです。

Labor Picture in October

さらに、私の描いた雇用者数と失業率の推移のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、赤の折れ線が非農業部門雇用者数の前月差増減で、単位が1000人の左目盛、青が失業率で単位はパーセントで右目盛りです。影を付けた部分は景気後退期で、直近は昨年10月がピークと仮置きしています。

米国雇用統計の推移

まったく技術的な話になるんですが、NBER がリセッション認定をしない中で、ひょっとしたら、この年央がピークとされる可能性もあり、そうすると、景気後退に入った初期で大幅な雇用の減少が生じていることとなりますから、この先は底なしの不況に陥る可能性があります。消費者のセンチメントも大幅に悪化していますし、2週間後に控えた感謝祭明けのクリスマス商戦も大きな期待は持てません。もともと、住宅という実物資産の価格下落が景気後退局面入りのきっかけでしたから、実物資産価格の調整が金融資産よりも長期間を要するため、今回の景気後退局面は長いというのが大方の予想だったんですが、消費と雇用の悪循環で雇用調整が長引くことになれば、さらに不況期間が長くなるおそれが大きくなります。私はうまくいけば来年いっぱいで景気後退が終わると考えていたんですが、金融市場の混乱も収束の気配すらなく、景気回復はさ来年よりももっと先になりそうな予感もします。米国のオバマ次期大統領は民主党の支持基盤であるビッグスリーなどの自動車産業にはそれなりのテコ入れをすることと考えられますが、どこまで雇用が回復するかは未知数です。

景気後退が長引いて米国の景気回復が遅れると、原油などの商品価格はさらに下落して、新興国の景気減速圧力は強まりますし、我が国の景気にも大きな影響があります。引き続き、米国の景気動向から目が離せません。

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2008年11月 7日 (金)

先進各国は金融政策の量的緩和に進むのか?

世界経済、特に、先進国経済が不況色を強めて来ているのは、誰に言ってもらわなくても肌で感じられるところですが、とうとう、強気かつ楽観的な経済見通しで知られる国際通貨基金 (IMF) の改訂世界経済見通し "World Economic Outlook Update" でも先進国は来年はマイナス成長とのご託宣が下りました。わずか5ページの短いリポートのタイトルは "Rapidly Weakening Prospects Call for New Policy Stimulus" となっています。金融政策の緩和余地をさらに探るとともに、政策金利がゼロに近付いている現状では財政政策による景気浮揚策についても、十分に政策目標が厳選され、緩和的な金融政策に支持されていて、財政に余裕がある、との3条件を満たす場合は有効性を認めています。従来から少しスタンスを変更したような気がしないでもありません。なお、成長率見通しの概要は以下の通りです。概要表をクリックすると詳細表が別画面で表示されます。

Latest IMF projections

ということで、そんなことは各国の政策担当者には分かり切っていますから、先週、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会 (FED) や日銀が金利引下げを実施していますし、昨日は欧州中央銀行 (ECB) とイングランド銀行 (BOE) も政策金利を下げました。特に、英国は150ベーシスと極めて異例の大幅利下げでした。下のグラフの通りです。このグラフは朝日新聞のサイトから引用しています。なお、アジアでも、例えば、お隣の韓国では10月9日に25ベーシス、27日に75ベーシスの計100ベーシスの引下げを実施した後、昨日、11月7日にも50ベーシスの金利引下げを実施し、政策金利は4.0%に達しています。別に、麗々しく国際会議を開催して各国首脳が集まらなくても、着々と国際協調利下げが実行されているといえます。

政策金利の推移

私が注目すべきと考えているのは、英国が直近の5%を超えるインフレを無視して150ベーシスの金利引下げを実施したにもかかわらず、昨日段階で、市中金利、特に、ポンド建ての LIBOR の3か月物が10ベーシス強しか、また、ECB が50ベーシスの利下げを行ったにもかかわらず、ユーロ建て LIBOR に至っては10ベーシス弱しか下がらず、逆イールドの解消にはほど遠く、銀行間取引がまだ忌避されていることです。要するに、昨日の欧州と英国の利下げは失敗に終わりました。政策目的を達成できなかったといえます。もちろん、欧州と英国だけの事情ではなく、先週、10月30日付けのエントリーで指摘した通り、米国で準備預金に付利するのは銀行間取引が忌避されている結果ですし、米国や日本とも共通の現象といえます。現実に大規模なデフォルトを生じているわけではありませんが、銀行間取引においてカウンターパーティ・リスクプレミアムがここまで大きいと観察されるのは過去に例のないことかもしれません。政策金利を引き下げても銀行間取引が活発化せず、その政策金利も下限に近付きつつあるとすれば、金融政策で可能なのは量的緩和ということになります。これも10月30日付けのエントリーでアトランタ連銀のグラフを引用したように、米国では FED のバランスシートが急拡大して、暗黙の下に実質的な量的緩和の領域に踏み込んでいます。特に、米国では日本と比べものにならないくらいに MMF が決済手段として利用されているため、金利をゼロにすると元本割れを起こしそうになった MMF の取付け騒ぎを生ずるリスクが高まりますので、日銀がやったようなホントのゼロ金利は米国では不可能です。せいぜいが FF レート0.5%くらいが下限ではないかと私は見ています。ですから、量的緩和政策の採用も欧州に比べて早かった可能性があります。先週段階では気づきませんでしたが、FED が準備預金に付利して政策金利の下限を設けることは MMF 対策だったのかもしれないと考えるようになりました。もちろん、日本でも私が指摘しているように来年には量的緩和が視野に入ります。特に、欧州が明示的な量的緩和に入れば急激な円高が進む可能性がありますから、このあたりは一蓮托生のような気がします。ユーロ圏と英国についても、時期は特定できないものの、政策金利が1.5-2%を下回っても銀行間取引でカウンターパーティー・リスクプレミアムが依然として大きいと観察されるようであれば、少し前の日本のように明示的か現在の米国のように暗黙の下かは別として、量的緩和の模索に向かうものと私は考えています。早ければ年内かもしれません。

もうすぐ米国の雇用統計が発表されますが、その前に、簡単に先進各国の金融政策の動向について取りまとめておきます。

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2008年11月 6日 (木)

オバマ次期米国大統領の演説を聞く

本題に入る前に、今日の午後に内閣府から景気動向指数が発表されました。特に、どうということはないんですが、景気後退局面が継続していることが確認できます。それだけです。グラフは以下の通りです。いつものように、赤い折れ線が先行系列、青が一致系列で、影を付けた部分は景気後退局面です。直近は昨年10月をピークと仮置きしています。

景気動向指数の推移

さて、本題に入って、昨夜から今日にかけて、何回かオバマ次期米国大統領の演説を聞きました。主として、勝利演説なんですが、投票直前の演説もありました。何といっても圧巻だったのは地元シカゴでの勝利宣言の演説 (Victory Speech) でした。聴衆に向けて "Hello, Chicago." から軽く始めて、最初の方は静かな雰囲気で、敗れたマケイン上院議員から "extraordinarily gracious call" を受けたことを紹介しつつ、次期副大統領のバイデン上院議員や家族とともに、選挙対策の責任者たちに謝意を表しつつ、中盤で最も盛り上がったのは、"The road ahead will be long. Our climb will be steep. We may not get there in one year or even in one term, but America, I have never been more hopeful than I am tonight that we will get there. I promise you: We as a people will get there." のあたりでしょうか。最後の方は聴衆とともに "Yes, we can." を連呼しつつ、最後はお決まりの "Thank you. God bless you. And may God bless the United States of America." で締め括っていました。もちろん、選挙直後の勝利宣言ですから、細かい政策に関する発言はありません。
私はそんなに、政治家の演説を聞く方ではないと思うんですが、在チリの大使館で外交官をしていた時にスペイン語の勉強代わりに聞いたキューバのカストロ議長の演説が最も印象に残っていました。でも、2005年8月に郵政解散した直後の小泉総理大臣の演説に最も迫力を感じました。そして、米国大統領選挙前後のオバマ次期大統領の演説に最も知性が読み取れました。まあ、悪いんですが、現職大統領よりも知性を感じるのは私だけではなかろうという気がしないでもありません。

最後に、メチャメチャ長くなるんですが、記録に残す意味もあり、オバマ次期大統領の勝利宣言演説を "New York Times" のサイトから引用します。なお、日本語訳を朝日新聞のサイトで見かけましたが、可能であるならば英語で味わうべき演説だと思います。

SENATOR BARACK OBAMA: (Cheers, applause.) Hello, Chicago. (Cheers, applause.)

If there is anyone out there who still doubts that America is a place where all things are possible, who still wonders if the dream of our Founders is alive in our time, who still questions the power of our democracy, tonight is your answer. (Cheers, applause.)

It's the answer told by lines that stretched around schools and churches in numbers this nation has never seen, by people who waited three hours and four hours, many for the first time in their lives, because they believed that this time must be different, that their voices could be that difference.

It's the answer spoken by young and old, rich and poor, Democrat and Republican, black, white, Hispanic, Asian, Native American, gay, straight, disabled and not disabled -- (cheers) -- Americans who sent a message to the world that we have never been just a collection of individuals or a collection of red states and blue states; we are and always will be the United States of America. (Cheers, applause.)

It's the answer that -- that led those who've been told for so long by so many to be cynical and fearful and doubtful about what we can achieve to put their hands on the arc of history and bend it once more toward the hope of a better day. It's been a long time coming, but tonight, because of what we did on this day, in this election, at this defining moment, change has come to America. (Cheers, applause.)

A little bit earlier this evening, I received an extraordinarily gracious call from Senator McCain. (Cheers, applause.) Senator McCain fought long and hard in this campaign, and he's fought even longer and harder for the country that he loves. He has endured sacrifices for America that most of us cannot begin to imagine. We are better off for the service rendered by this brave and selfless leader. (Applause.) I congratulate him, I congratulate Governor Palin for all they've achieved, and I look forward to working with them to renew this nation's promise in the months ahead. (Cheers, applause.)

I want to thank my partner in this journey, a man who campaigned from his heart and spoke for the men and women he grew up with on the streets of Scranton, and rode with on the train home to Delaware, the vice president-elect of the United States, Joe Biden. (Cheers, applause.)

And I would not be standing here tonight without the unyielding support of my best friend for the last 16 years, the rock of our family, the love of my life, the nation's next first lady, Michelle Obama. (Cheers, applause.)

Sasha and Malia, I love you both more than you can imagine, and you have earned the new puppy that's coming with us to the White House. (Cheers, applause.)

And while she's no longer with us, I know my grandmother is watching, along with the family that made me who I am. I miss them tonight, and know that my debt to them is beyond measure.

To my sister Maya, my sister Auma, all my other brothers and sisters, thank you so much for all the support that you've given to me. I am grateful to them. (Cheers, applause.)

And to my campaign manager, David Plouffe -- (cheers, applause) -- the unsung hero of this campaign who built the best -- (cheers) -- the best political campaign I think in the history of the United States of America -- (cheers, applause) -- to my chief strategist, David Axelrod -- (cheers, applause) -- who has been a partner with me every step of the way, to the best campaign team ever assembled in the history of politics -- (cheers) -- you made this happen, and I am forever grateful for what you've sacrificed to get it done. (Cheers, applause.)

But above all, I will never forget who this victory truly belongs to. It belongs to you. (Cheers, applause.) It belongs to you. (Cheers.)

I was never the likeliest candidate for this office. We didn't start with much money or many endorsements. Our campaign was not hatched in the halls of Washington; it began in the backyards of Des Moines and the living rooms of Concord and the front porches of Charleston. It was built by working men and women who dug into what little savings they had to give $5 and $10 and $20 to the cause. (Cheers, applause.) It grew strength from the young people who rejected the myth of their generation's apathy -- (cheers) -- who left their homes and their families for jobs that offered little pay and less sleep. It drew strength from the not-so-young people who braved the bitter cold and scorching heat to knock on the doors of perfect strangers, and from the millions of Americans who volunteered and organized, and proved that more than two centuries later a government of the people, by the people and for the people has not perished from the Earth. This is your victory. (Cheers, applause.)

Now, I know you didn't do this just to win an election, and I know you didn't do it for me. You did it because you understand the enormity of the task that lies ahead. For even as we celebrate tonight, we know the challenges that tomorrow will bring are the greatest of our lifetime: two wars, a planet in peril, the worst financial crisis in a century. Even as we stand here tonight, we know there are brave Americans waking up in the deserts of Iraq and the mountains of Afghanistan to risk their lives for us. There are mothers and fathers who will lie awake after their children fall asleep and wonder how they'll make the mortgage or pay their doctors' bills or save enough for their child's college education.

There's new energy to harness, new jobs to be created, new schools to build, and threats to meet, alliances to repair.

The road ahead will be long. Our climb will be steep. We may not get there in one year or even in one term, but America, I have never been more hopeful than I am tonight that we will get there. I promise you: We as a people will get there. (Cheers, applause.)

AUDIENCE: Yes, we can! Yes, we can! Yes, we can! Yes, we can! Yes, we can!

MR. OBAMA: There will be setbacks and false starts. There are many who won't agree with every decision or policy I make as president, and we know the government can't solve every problem. But I will always be honest with you about the challenges we face. I will listen to you, especially when we disagree. And above all, I will ask you to join in the work of remaking this nation the only way it's been done in America for 221 years -- block by block, brick by brick, calloused hand by calloused hand.

What began 21 months ago in the depths of winter cannot end on this autumn night. This victory alone is not the change we seek; it is only the chance for us to make that change.

And that cannot happen if we go back to the way things were. It can't happen without you, without a new spirit of service, a new spirit of sacrifice. So let us summon a new spirit of patriotism, of responsibility where each of us resolves to pitch in and work harder and look after not only ourselves, but each other.

Let us remember that if this financial crisis taught us anything, it's that we cannot have a thriving Wall Street while Main Street suffers. In this country, we rise or fall as one nation; as one people.

Let's resist the temptation to fall back on the same partisanship and pettiness and immaturity that has poisoned our politics for so long. Let's remember that it was a man from this state who first carried the banner of the Republican Party to the White House -- a party founded on the values of self-reliance and individual liberty and national unity. Those are values we all share. And while the Democratic Party has won a great victory tonight, we do so with a measure of humility and determination to heal the divides that have held back our progress. (Cheers, applause.)

As Lincoln said to a nation far more divided than ours, "We are not enemies, but friends -- though passion may have strained it must not break our bonds of affection." And to those Americans whose support I have yet to earn, I may not have won your vote tonight, but I hear your voices, I need your help, and I will be your president too. (Cheers, applause.)

And to all those watching tonight from beyond our shores, from parliaments and palaces to those who are huddled around radios in the forgotten corners of the world, our stories are singular, but our destiny is shared, and a new dawn of American leadership is at hand. (Cheers, applause.) To those -- to those who would tear the world down: we will defeat you. (Cheers, applause.) To those who seek peace and security: we support you. (Cheers, applause.) And to all those who have wondered if America's beacon still burns as bright: tonight we proved once more that the true strength of our nation comes not from the might of our arms or the scale of our wealth, but from the enduring power of our ideals -- democracy, liberty, opportunity and unyielding hope. (Cheers, applause.)

That's the true genius of America, that America can change. Our union can be perfected. And what we have already achieved gives us hope for what we can and must achieve tomorrow.

This election had many firsts and many stories that will be told for generations. But one that's on my mind tonight's about a woman who cast her ballot in Atlanta. She is a lot like the millions of others who stood in line to make their voice heard in this election, except for one thing: Ann Nixon Cooper is 106 years old. (Cheers, applause.)

She was born just a generation past slavery; a time when there were no cars on the road or planes in the sky; when someone like her couldn't vote for two reasons, because she was a woman and because of the color of her skin. And tonight, I think about all that she's seen throughout her century in America: the heartache and the hope, the struggle and the progress, the times we were told that we can't, and the people who pressed on with that American creed, yes we can.

At a time when women's voices were silenced and their hopes dismissed, she lived to see them stand up and speak out and reach for the ballot. Yes we can.

When there was despair in the Dust Bowl and depression across the land, she saw a nation conquer fear itself with a New Deal, new jobs, a new sense of common purpose. Yes we can.

AUDIENCE: Yes we can!

MR. OBAMA: When the bombs fell on our harbor and tyranny threatened the world, she was there to witness a generation rise to greatness and a democracy was saved. Yes we can.

AUDIENCE: Yes we can!

MR. OBAMA: She was there for the buses in Montgomery, the hoses in Birmingham, a bridge in Selma, and a preacher from Atlanta who told a people that "We shall overcome." Yes we can.

AUDIENCE: Yes we can!

MR. OBAMA: A man touched down on the Moon, a wall came down in Berlin, a world was connected by our own science and imagination. And this year, in this election, she touched her finger to a screen and cast her vote, because after 106 years in America, through the best of times and the darkest of hours, she knows how America can change.

Yes, we can.

AUDIENCE: Yes, we can.

MR. OBAMA: America, we have come so far. We have seen so much. But there's so much more to do. So tonight let us ask ourselves, if our children should live to see the next century, if my daughters should be so lucky to live as long as Ann Nixon Cooper, what change will they see? What progress will we have made?

This is our chance to answer that call. This is our moment. This is our time -- to put our people back to work and open doors of opportunity for our kids; to restore prosperity and promote the cause of peace; to reclaim the American dream and reaffirm that fundamental truth that out of many, we are one; that while we breathe, we hope; and where we are met with cynicism and doubt and those who tell us that we can't, we will respond with that timeless creed that sums up the spirit of a people: Yes, we can.

AUDIENCE: Yes, we can.

MR. OBAMA: Thank you. God bless you. And may God bless the United States of America. (Cheers, applause.)

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2008年11月 5日 (水)

社会保障国民会議の最終報告は大きな政府への第一歩か?

本題に入る前に、海外の話題を軽く2点取り上げたいと思います。第1に、昨日投票が行われた米国の大統領選挙では事前の世論調査通りに、オバマ上院議員が地滑り的な勝利を収めました。米国で初めてのアフリカ系大統領の誕生です。アチコチで大いに報じられていますから詳細は割愛します。第2に、欧州委員会は2008年秋季経済見通しを発表し、欧州が景気後退局面に入ったことを事実上認めました。見通しに関するグラフを2点ほど引用すると以下の通りです。上のグラフは赤い棒グラフが実績及び見通しの成長率、青の棒グラフが潜在成長率、黒の折れ線が GDP ギャップです。下のグラフは成長率見通しの確率分布をファンチャートで表示しています。

Economic Forecast autumn 2008

さて、本題に入って、昨日、社会保障国民会議の最終報告が麻生総理大臣に提出されました。もっとも注目されたのは最終報告の付属資料にある社会保障の機能強化のための追加所要額の試算でしょう。2015年度と2025年度について試算されています。公費ベースの必要額と、ごていねいにも消費税率の換算も計算されています。下の表の通りです。なお、下の表は朝日新聞のサイトから引用しています。

社会保障改革に必要な追加財源

麻生総理大臣が自民党総裁に選ばれた際、9月22日付けのこのブログで「麻生総理大臣の財政政策上のインプリケーションは何か?」と題したエントリーを取り上げ、私から2点主張しました。第1に、大きな政府を志向している可能性と、第2に、行き過ぎた高齢者優遇政策の可能性です。昨日の社会保障国民会議の最終報告については、麻生総理大臣の就任直後といってもいいような時期の提出で、福田前総理大臣の意向の方が強く働いているのかもしれませんが、少なくとも、世間一般はこの最終報告書は小泉政権以来の社会保障給付の削減に力点を置いた改革から、給付を維持しつつ負担増を求める方向に転換したと受け止める向きが圧倒的に多いような気がします。現在進行形の世界的な金融危機や景気後退への対応として短期的に財政支出を増やすのはともかく、中長期的に財政を拡大させるのには私は大きな疑問が残りますし、現在のような手厚い高齢者への所得移転を継続するのであれば、経済社会の活力が殺がれる可能性も小さくないと危惧しています。要するに、私が心配したとおりにコトが進んでいるような気がしてなりません。

もともと投票率が高い上に、今後ますます国民の中で占める比率が高まっていく高齢者をターゲットにした政策は、おそらく、それなりに支持を受ける可能性はあり得ます。しかし、現在でも行き過ぎた高齢者優遇措置と少子化や人口減少が悪循環に陥っていることは明らかで、ホントに大きな政府でいいのか、という気がしているのは私だけなんでしょうか?

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2008年11月 4日 (火)

本日投票の米国大統領選挙でブラッドリー効果は現れるか?

メディアで報じられているように、今日は米国大統領選挙の投票日です。米国は国内で時差のある国ですが、すでに投票の始まっている州もあるようです。各種メディアの報じるところによれば、世論調査ではオバマ上院議員が10%ポイント前後の差をつけてマケイン上院議員をリードしていて、米国初の黒人大統領が誕生する確率が高いと信じられています。金融危機の深まりや米国景気の悪化とともにオバマ候補の支持率が上がったのはよく知られている通りです。下のフラッシュは大胆にも "New York Times" のサイトから直リンしています。フラッシュですから、マップにある州をクリックすると過去の選挙結果などが現れます。大きな画面で操作したい向きは上のリンクから本来サイトへどうぞ。パッと見では赤の共和党マケインが優勢に見えるんですが、面積で優勢でも選挙には関係ありません。大票田のカリフォルニア州、イリノイ州、ニューヨーク州などは青の民主党オバマ候補が抑えていて、このフラッシュが作成された時点で 291-163 ですでにオバマ上院議員が過半数の投票人を獲得するかのようなマップになっています。しかし、投票当日のブラッドリー・ワイルダー効果がどのように出るかも、私のような専門外の日本人には計り知れません。

ブラッドリー・ワイルダー効果とは、よく知られたように、1982年のカリフォルニア州知事選挙で、事前の世論調査ではかなりの差をつけていた黒人のトム・ブラッドリー候補が、結局は当選しなかったことに由来し、対面調査では差別論者と見られたくないために黒人、あるいは非白人候補を支持すると回答していた選挙民が、当然ながら、秘密投票である実際の投票の際には黒人や非白人候補には投票しないことから名付けられています。1989年のバージニア州知事選挙でも同様の事象が発生し、黒人のワイルダー知事は事前の世論調査とはかけ離れた僅差での勝利にとどまりました。それでも、ブラッドリー候補は落選しましたが、ワイルダー知事は当選しました。四半世紀を経て、かつてのブラッドリー・ワイルダー効果もかなり弱まっていると見るのが常識的なんですが、今日の投票は州知事レベルの選挙ではなく大統領選挙ですから、より強力に発現するとの意見も無視できません。

世界的な金融危機の中では米国すらメゾスコピックな存在になってしまったような気もしますが、何といっても世界の中で頭抜けたスーパーパワーであることは確かです。原油価格に大きな影響を及ぼしかねないイラク占領政策の行方を含めて、経済財政政策の動向にもエコノミストとして米国の動向には目が離せません。

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2008年11月 3日 (月)

NHK 連続テレビ小説「だんだん」に見る京言葉

NHK 連続テレビ小説「だんだん」このブログでは、「純情きらり」のあたりから、「芋たこなんきん」、「どんど晴れ」、「ちりとてちん」、「瞳」と NHK の連続テレビ小説は必ず取り上げていて、最近の傾向として、「純情きらり」を除いて東京局作成のを酷評して、大阪局作成の年度後半のを評価するようになっている気がしないでもありません。でも、私の見方からすると、東西の製作局というよりも、ヒロインの好みで評価が分かれていると感じています。要するに、ストーリーはどうでもいいのかもしれません。ということで、現在放映中の「だんだん」は第6週に入っていますので、そろそろ取り上げたいと思います。ヒロインは何とダブル・ヒロインでしかも双子のマナカナ、すなわち、三倉茉奈さんと三倉佳奈さんです。すべての NHK 連続テレビ小説を見ているわけでもありませんが、ダブル・ヒロインは過去にあったものの、女優さんが双子というのは初めてなんではないかと思います。もっとも、「ふたりっ子」で双子のダブル・ヒロインの幼少時代をマナカナが演じていますので、これは例外かもしれません。あらすじを NHK のホームページから簡単に紹介すると、島根と京都に離れ離れになった双子の姉妹が18歳の時に再会し、デュエット歌手としてプロデビューを果たしながら、人気の絶頂期に解散を決意し、それぞれのふるさと島根と京都で新しい人生への一歩を踏み出す、というものです。
青山に住んでいたころは、NHK の連続テレビ小説はほぼ毎朝欠かさず見ていたんですが、さすがに、長崎に来て単身赴任を始めて夜学の授業もあり、毎回は見なくなりました。テレビでは、先週あたりから姉妹が京都の同じ家に住むようになって舞台が京都の方が格段に多くなり、一方のヒロインが舞妓さんをしていることもあって京言葉が随所に出て来ますので、今日のエントリーでは京言葉について取り上げたいと思います。その前に、京言葉の少し広域概念である関西弁については、感謝を表す「おおきに」とか、謝罪を表現する「堪忍」とかは共通だと思うんですが、京阪神で微妙に違っているのも確かです。例えば、「堪忍」には京都では「堪忍どっせ」と続けますが、大阪では「堪忍でっせ」と言うように思います。でも、京阪神での違いを問われた時に私が答える典型例は、「来ない」という標準語の表現です。京都では「きーひん」、大阪では「けーへん」、神戸では「こーへん」と言います。カ行変格活用の非常に複雑な応用例ではないかという気がします。もちろん、その他にもいろいろと京阪神の別があるんでしょうが、これが典型で分かりやすいと私は考えています。
さて、狭義の京言葉については、私は京都の出身ですから、テレビに出て来る表現は完璧に理解できるのは言うまでもなく、当然ながら、自分でも使えます。京言葉は女言葉と誤解されている面もありますが、テレビに出て来る男衆さんも使っていますし、私や私の父なんかもも「そうどす」とか、「へえ」、「ほな」などを違和感なく使います。私は大学卒業まで現在までの人生のほぼ半分を京都で過ごしたものの、残りの約半分は東京が長いですから、今ではほとんど標準語ですが、シーンや雰囲気が異なればガラリと京言葉になります。逆に、やや無機質で、その名の通りビジネスライクなオフィスでのビジネス・シーンでは京言葉は似合いませんし、私の口からも出ることはありません。やっぱり、シーンや雰囲気により似合う言葉が大きく違うものだと実感します。たぶん、私も着物姿で祇園に行って舞妓さんを侍らすようなことが出来れば、京言葉がスラスラと出て来るんだと思います。しかし、着物を着て帯を結ぶくらいは何でもありませんし、2-3年前まで正月には家族で着物を着て初詣に行ったりしていましたが、舞妓さんを侍らすような機会はありそうもなく、しばらくはやや無機質なビジネス・シーンや大学の授業では標準語なんだろうと思います。でも、京言葉が出ない以上に九州弁を習得しないであろうことは確度が高そうな気がします。

最後に、NHK の連続テレビ小説のタイトルになっている「だんだん」は島根言葉で感謝を表すようなんですが、私は中学生か高校生のころの大昔に正岡子規について書かれた本を読んでいて、松山でも「だんだん」は標準語の「有り難う」と同じ意味だと今でも記憶しています。「だんだん」は中国四国地方で幅広く使われていたりするんでしょうか。このあたりは、私は京都と東京の二都物語プラス長崎ですので、よく分かりません。

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2008年11月 2日 (日)

長崎市立図書館でハリー・ポッター第1話の原書を借りる

今日も午後から電車で出かけて、今年1月に出来たばかりの長崎市立図書館に行きました。とってもめずらしいんでしょうが、行きの電車は宅建協会提供の車両で乗車料金が無料でした。運転手さんが回数券やお金を払おうとするお客さんを制して、この電車は無料である旨を何度も説明しまくっていました。私が長崎に来てから約3か月、おそらく、200回くらい電車に乗っていると思いますが、初めての経験でした。ひょっとしたら、私の運勢が上向いているのかもしれません。

長崎市立図書館は、ほぼ市役所と県庁の中間地点くらいに位置していて、ダウンタウンへの入口くらいの便利な場所にあります。地図は上の通りです。今年1月に完成したばかりで、建物も蔵書も新しく、長崎の読書人で賑わっています。賑わい過ぎて図書館カードを作るのに今でも時間がかかるのが難点かもしれません。幼児向けのコーナーも充実していますし、中高生向けのコーナーもあります。でも、後者のスペースが前者に比べてひどく狭かったりします。
私はハリー・ポッターの第1話の原書を借ります。"Harry Potter and the Sorcerer's Stone" のタイトルでしたので米国版です。英国版なら「賢者」は "Sorcerer" ではなく "Philosopher" になっていると思います。どうして借りたのかというと、ハリーのペットのふくろうのヘドウィグがメスであることを確認するため、もう一度、ハグリッドがハリーの誕生日を祝うためヘドウィグをプレゼントした第1話の場面を読み返そうと思ったからです。ダイアゴン横町に行ってホグワーツ校入学の準備の買い物をする最後のシーンです。いろんなところに、"her wing" とか、"her head" とか、ダーズリー家に帰ってから、"He had decided to call her Hedwig," とかありますから、英語版を読めばヘドウィグがメスであることは明らかです。
私はハリー・ポッターのシリーズについて邦訳は全部読んでいますが、英語版は第1話と第7話しか読んでいません。すなわち、最初と最後だけです。どうしてかとツラツラ考えると、子供達が生まれて子育てが忙しかったり、ジャカルタに赴任して図書館で借りるわけにはいかなかったりと、いろいろな理由があったかったからではないかと解釈しています。第1話を杉並区の図書館で借りて読んだのは、邦訳が出版される前年の1998年だと記憶していますので10年ほど前のことです。ちゃんと読んでいればヘドウィグがメスであることはすぐに分かると思うんですが、昨年、第7話の US 版を読むまですっかり忘れていました。ここまで明らかに女性代名詞で受けていますので、語学力貧困な私でも理解できなかったとは考え難く、要するに、忘れていたんだと思います。英語の brother や sister は日本語では兄と弟、あるいは、姉と妹に訳し分けないといけませんので、ハリー・ポッターのシリーズでも、ペチュニアとリリーの関係が誤訳されているのは有名ですが、逆に、動物を人称代名詞で受ける場合、日本語ではオスとメスは詳細には訳し分けないので、邦訳からだけでは判然としません。やっぱり、翻訳書を楽しむには、少しくらいは原書も読む必要があると痛感しました。

私は青山に残して来た子供達が小さいころから図書館によく連れて行っていて、青山に引っ越してからは子供達も大きくなったので、私一人ででも1-2週に1回の割合でママチャリを飛ばして図書館通いを続けていました。長崎にも立派な図書館があることを知り、大いに利用したいと考えています。

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2008年11月 1日 (土)

ロープウェイで稲佐山に登り長崎の夜景を満喫する

今日は、朝からまずまずのお天気で気温も上がりましたので、夕方から稲佐山に登って来ました。

長崎ロープウェイ

上の写真は長崎ロープウェイです。近くの電停からこの長崎ロープウェイまで歩いて行きます。途中に、とっても立派な与党系の宗教団体の建物がありました。私の属している景気循環学会と同じようにナントカ学会と称しているんですが、学術や研究には余り関係がなさそうな気がしないでもありません。それはともかく、ロープウェイに乗って5分ほどの空の遊覧で稲佐山の展望台に着きます。元来、私は高いところが苦手で、USJ や海遊館に遊びに行った時には我が家のおにいちゃんとともに天保山の大観覧車に乗るのは避けましたし、シンガポールのセントーサ島から本島を結ぶケーブルカーに乗った時も2度と乗りたくないと思ったくらいですから、飛行機が離陸するのもアッという間に上がるような気がしますし、今日の長崎ロープウェイも一気に高いところに行ったように感じてしまいました。でも、まあ、たったの5分間の空中遊覧です。制服姿のガイドさんが添乗して簡単な説明をしてくれます。

稲佐山より長崎市街

上の写真は稲佐山から見た夕暮れ近くの長崎市街です。昼ころまではいいお天気だったんですが、日ごろの行いが悪いせいか、夕方から少し靄がかかってしまいました。左端が JR の長崎駅くらいで、中央に港を配してみました。長崎市街の地理に不案内なのでよく分からないんですが、右端くらいにグラバー園が入っているんではないかと期待しています。平地が狭いので山の中腹くらいまで建物が広がっています。これが夜景の美しさにつながっているようです。5時前に稲佐山に登って、1時間半くらい日が暮れるのを待ちます。お天気がもっとよければ夕焼けがきれいなんでしょうが、今日はダメでした。

稲佐山より長崎の夜景

ということで、上の写真は長崎の夜景です。私の腕前とコンパクトデジカメの限界を露呈しているかもしれません。実際に肉眼で見ろともっときれいなので申し添えます。山の中腹まで建物があるので、かなり立体的な夜景です。ですから、稲佐山の展望台には、一眼レフを三脚の上のセットした腕自慢の方も多く詰めかけていて、盛んに長崎の夜景を撮っていました。ロープウェイのガイドさんの説明によれば、長崎の夜景は、函館・神戸と並ぶ日本の3大夜景だそうです。そういえば、先週行った中華街も3大中華街のひとつと称していましたし、夜景と中華街のほかにも長崎にはいろいろと日本の3大ナントカがあると聞きましたが、そんなに日本のビッグスリーが集まっているとはやや疑わしい誇らしいと感じます。

3連休初日に少し気分転換を兼ねて、いつもの電車で行ける範囲のお出かけでした。それにしても、稲佐山を出る時は軽い上着が必要なくらい寒かったんですが、下に降りるとかなり気温が高いと感じました。わずか333メートルの小さな山ですが、ずいぶんと違いを感じます。

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