米国の雇用調整は長引くか?
昨日、米国の雇用統計が発表されました。ヘッドラインの非農業部門雇用者は24万人の減少となり、失業率は6.5%にハネ上がりました。いずれも市場の事前コンセンサスよりもかなり悪い結果でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
米労働省が7日発表した10月の雇用統計(季節調整済み)によると、非農業部門の雇用者数は24万人減少し、10カ月連続で悪化した。失業率(軍人を除く)は6.5%で前月から0.4ポイント上昇しており、94年3月(6.5%)以来の高水準となった。金融危機と景気後退の懸念が深まり、米国の雇用情勢は厳しさを増している。
10月の雇用の実態は雇用者数20万人減、失業率6.3%を見込んでいた市場予測より悪かった。雇用情勢の悪化は企業の資金調達難や内需の低迷を受けて深刻化している。7―9月期の実質経済成長率もマイナスに落ち込み、景気後退への懸念が一段と強まりそうだ。
10月の失業者数は60万3000人増の1008万人。雇用者数の内訳は政府部門が2万3000人増える一方で、民間部門は26万3000人減った。製造(9万人)、建設(4万9000人)、小売り(3万8000人)など幅広い業種で減少が目立つ。
次々にメディアのサイトから引用しますが、いつもの "New York Times" の "Labor Picture in October" は以下の通りです。
さらに、私の描いた雇用者数と失業率の推移のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、赤の折れ線が非農業部門雇用者数の前月差増減で、単位が1000人の左目盛、青が失業率で単位はパーセントで右目盛りです。影を付けた部分は景気後退期で、直近は昨年10月がピークと仮置きしています。
まったく技術的な話になるんですが、NBER がリセッション認定をしない中で、ひょっとしたら、この年央がピークとされる可能性もあり、そうすると、景気後退に入った初期で大幅な雇用の減少が生じていることとなりますから、この先は底なしの不況に陥る可能性があります。消費者のセンチメントも大幅に悪化していますし、2週間後に控えた感謝祭明けのクリスマス商戦も大きな期待は持てません。もともと、住宅という実物資産の価格下落が景気後退局面入りのきっかけでしたから、実物資産価格の調整が金融資産よりも長期間を要するため、今回の景気後退局面は長いというのが大方の予想だったんですが、消費と雇用の悪循環で雇用調整が長引くことになれば、さらに不況期間が長くなるおそれが大きくなります。私はうまくいけば来年いっぱいで景気後退が終わると考えていたんですが、金融市場の混乱も収束の気配すらなく、景気回復はさ来年よりももっと先になりそうな予感もします。米国のオバマ次期大統領は民主党の支持基盤であるビッグスリーなどの自動車産業にはそれなりのテコ入れをすることと考えられますが、どこまで雇用が回復するかは未知数です。
景気後退が長引いて米国の景気回復が遅れると、原油などの商品価格はさらに下落して、新興国の景気減速圧力は強まりますし、我が国の景気にも大きな影響があります。引き続き、米国の景気動向から目が離せません。
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