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2008年11月10日 (月)

機械受注統計から何を読み取るか?

本日、内閣府から9月分の機械受注統計が発表されました。電力と船舶を除くコア機械受注と呼ばれる指標は季節調整済み系列の前月比で+5.5%増と5月統計以来のプラスを記録しました。もっとも、市場の事前コンセンサスである+5%増にほぼミートし、何らのサプライズはありませんでした。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が10日発表した9月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比5.5%増の9407億円となり、4カ月ぶりに増加した。このうち製造業は9.7%増、非製造業は1.3%減だった。10-12月期は前期比1.2%増の2兆9103億円を見込む。
9月の受注実績(民需)の内訳をみると、製造業では15業種中9業種が増加し、特に石油・石炭製品工業(前月比97.9%増)や化学工業(73.8%増)などで伸びが目立った。一方、船舶・電力を含めた非製造業全体では4.5%減。8業種中5業種が減少しており、電力業(35.5%減)や建設業(15.0%減)などが落ち込んだ。

4か月振りのプラスとはいうものの、8月の前月比▲14.5%減からのリバウンドとしては小さいものでした。さらに、7-9月期として四半期で見ると、前期比で▲10.4%減と急激な減少を記録し、3か月前の予測であった▲3.0%減を大幅に下回りました。企業の設備投資意欲が大きく後退していることを裏付けています。先行きについても、現時点で、10-12月期は前期比で+1.2%増と小幅ながらプラスを回復するとの予想ですが、達成は困難との見方も出ています。下のグラフは、上の青い折れ線グラフが船舶と電力を除くコア機械受注で、月次の季節調整済み系列です。単位は兆円です。下の方の緑色の折れ線グラフが達成率で四半期の季節調整済み系列です。単位はもちろんパーセントです。シャドー部分は景気後退局面で、直近は昨年10月または10-12月期をピークと仮置きしています。

機械受注統計

コア機械受注がすでに下方トレンドに入っていることは青色の折れ線グラグからも明らかです。この先、よく言われるように、受注→引渡し→取付けと進み、GDPベースの設備投資は取付けベースですから、機械受注は2-4四半期のラグを伴う設備投資の先行指標となり、私の荒っぽい予想でも来年年央から秋口くらいまでは設備投資の減少ペースが続くものと考えています。また、緑の折れ線で示されているように、達成率も7-9月期には91.9%まで低下し、景気後退ラインと見なされている90%レベルに大きく近づきました。

機械受注の手持ち残高

最後に、機械受注に関して少し長崎ローカルの話題に近い統計を取り上げます。機械受注の手持ち月数です。長崎には三菱重工とか佐世保重工をはじめとする造船業が一大基幹産業をなしていて、この景気後退期に入ってからも、4年分くらいの手持ち受注残高があるといわれていて、それだけあれば当面は大丈夫だろうとの見方もあるんですが、受注の手持ち月数がたくさんあれば大丈夫というのは全くの間違いです。通常、モノの分かったエコノミストであれば、受注の手持ち月数が増加することは発注元の設備投資意欲が減退していて、むしろ、黄色から赤信号だと見なします。上のグラフは青の折れ線が船舶を除く機械受注の手持ち月数で左目盛り、赤が船舶で右目盛です。左右どちらの軸も受注手持ち月数の月が単位になっています。かなり飛び跳ねていますが、一応、季節調整済の系列です。シャドー部分は景気後退期で、直近は昨年10月をピークと仮置きしています。なお、過去にさかのぼって季節調整指数を含めて頻繁な改定のある指標ですので、長期統計が発表されていないこともあり、5年以上前のデータの正確性は少し自信がありません。お含み置き下さい。
グラフを見れば明らかなんですが、受注の手持ち月数は景気後退局面に入ると上昇します。船舶については、2004年後半から2005年の景気の踊り場で上昇した後、今回の景気後退局面でさらに上昇しています。すなわち、受注の手持ち月数とは、金額ベースの受注残高を最近3か月の平均販売額で除したものですから、ストックの受注の増加よりもフローの販売の減少に敏感に反応し、手持ち月数の上昇は販売の減退に起因すると考えられるわけです。長崎の造船業で手持ち工事がまだ4年分あるということは、販売が振るわないことの裏返しであり、なすべき仕事が4年分あるのではなく、売るのに4年かかってしまうと解釈すべきです。逆に、手持ち月数が小さくなっていることは、もうすぐ仕事がなくなる前触れでは決してなく、仕事を終えるとすぐに売れてしまう状態を示しています。そのことは上のグラフからハッキリと読み取れると思いますが、メディアの記者さんなどで全く逆の理解をしている人も散見されます。というか、間違った見方が主流のような気すらします。我が経済学部もさらに努力して、もっと正しい経済の見方を広める必要がありそうに思えてなりません。

少し長崎の事情にも触れましたが、いずれにせよ、私の従来からの主張である来年年央から秋口、金融危機の悪化などがあれば、場合によってはさらに先までの設備投資の停滞を今回の機械受注統計は明らかにサポートしていると私は受け止めています。

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