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2008年12月 6日 (土)

米欧の不景気な話と週末の軽い話題

昨夜のエントリーを「世界中どこでもみんな不景気なんです。」で締めくくった後に、米国の雇用統計が発表されました。詳しくは日を改めて取り上げますが、誠に不景気極まりない統計でした。いくつか、外国メディアのサイトから記事ページをリンク付きでリストアップすると以下の通りです。

米国の雇用統計について、上と同じ "Wall Street Journal" のサイトから失業率と非農業部門雇用者数の前月差をプロットしたグラフを引用すると以下の通りです。なお、いつもの "New York Times" に掲載されている "Labor Picture in November" は引用しませんが、リンクを張っておきます。

Shedding Jobs

米国に次いで不景気なニュースはドイツです。ドイツの中央銀行であるドイツ連銀が来年とさ来年のドイツ経済見通しを発表しました。来年の経済成長率は▲0.8%と予想されています。ほかの主要な経済指標の見通しは以下の表の通りです。詳細なドイツ語のリポートから引用しています。一番上の BIP (real) が実質成長率、ドイツ語の Bruttoinlandsprodukt の省略形です。1行置いて、GDPコンポーネントです。大雑把に雰囲気なりとも理解できる人が多いことを願っています。労働市場 Arbeitsmarkt の欄の Erwerbstätige が雇用者数の増減率で、2009-2010年とも▲0.5%の減少を見込み、1行置いて失業率 Arbeitslosenquote は2009年8.1%、2010年8.5%と上昇を続けると予想されています。物価上昇率はヘッドラインが Verbraucherpreise で、2009年は0.8%に急低下した後、2010年には1.4%と考えているようです。次の行の "ohne Energie" はもちろんエネルギーを除く物価上昇率です。リポートを読むと、ヘッドラインの物価上昇率はエネルギー価格の動向次第で来年年央にはマイナスを付けることも想定しているようです。

Eckwerte der gesamtwirtschaftlichen Prognose

一応、私は国際派エコノミストを自称していますので、母国語である日本語のほかに英語とスペイン語を理解するマルチリンガルなんですが、ドイツ語とフランス語は電子辞書を片手に読めるだけです。まだフランス語の方がマシで一般紙も必要に応じて読んだりしなくもないですが、ドイツ語は経済分野に限られます。でも、マシな方のフランス語でも会話はムリがあり、パリで道に迷った時はお掃除のオバサンとスペイン語で会話して窮地を脱したこともあります。さらに、ジャカルタに3年間いたんですが、インドネシアやマレーシアで使われているマレー語はサッパリで、ごく普通の日常会話に限られます。経済分野の意思疎通すらムリです。3年も住んでいたにもかかわらず、マレー語は住んだこともないフランス語やドイツ語以下だったりします。ですから、以前にはこのブログでも2007年5月9日付けのエントリーでフランスの "Le Monde" からアフガニスタンの記事を、また、2007年9月26日付けのエントリーではチリの "El Mercurio" からペルーのフジモリ元大統領に関する記事を、それぞれ引用したこともありますが、インドネシアのメディアから引用したことはありません。今日はヒマにしている週末ですので、単なる趣味でドイツ語メディアからも引用することにします。ついては、"Handelsblatt" のサイトから、このドイツ連銀の経済見通しに関連する記事のヘッドライン部分の最初のパラだけを引用すると以下の通りです。

Die Perspektiven für die deutsche Wirtschaft trüben sich rapide ein: Mit dem neuerlichen Einbruch der Auftragseingänge in der deutschen Industrie rechnen Ökonomen für das kommende Jahr mit der schwersten Rezession seit dem zweiten Weltkrieg. Die Bundesbank erwartet einen Rückgang des Bruttoinlandsprodukts (BIP) um 0,8 Prozent.

どうでもいいことですが、英語圏以外では、小数点はコンマで表現する場合が多いと改めて思い知らされます。フランス語でもスペイン語でもドイツ語でも、多くの大陸欧州国の言語では、少なくとも、私が接する限りの経済分野の成長率や失業率や金利などのパーセント表示の際の小数点はコンマです。それから、ドイツ語の新聞は先ほども引用した経済系に強い "Handelsblatt" を見る場合が多くで、ドイツ情報はこれでほぼ十分でしょう。後は、ドイツ連銀が本拠を置くフランクフルトの "Frankfurter Allgemeine Zeitung" を時々見るくらいです。しかし、フランス語の新聞については私も引用したことのある "Le Monde" や "Le Figaro" なんかが日本では有名なんですが、実は、この2紙はやや保守系で政治記事ばかりが多くて、経済系の "Les Echos" なんかも見る必要がありそうな気がします。なお、"Les Echos" は「レス・エコーズ」と発音したりすると、ものすごくフランス人にバカにされます。「レゼコー」と読みましょう。最後に、英国は "Financial Times" だけで新聞は十分と私は考えていて、日本の新聞で取り上げられた範囲で他の新聞のサイトに行くことにしていますが、週刊誌の "The Economist" だけはほぼ毎週のようにチェックしています。風刺の利いたマンガや日本では見かけないグラフなんかの画像を収集していたりします。おそらく私の感触では、インターネット上の英語情報は日本語情報と比べて量の点では2桁か3桁上を行くと思いますので、積極的に活用しています。

Person of the Year 2008: Time

さて、米国の雇用統計やドイツ連銀の経済見通しから始まって、書いているうちに、小数点の打ち方から大きく方向転換したついでに、最後は、週末らしい軽い話題を取り上げます。と言うことで、"Time" 誌年末恒例の "Person of the Year 2008" の投票が始まっています。12月19日発売の12月29日号で発表される予定だそうです。上の画像を見て、「オヤ」と思うのは、米国の大統領選挙で共和党の副大統領候補になったアラスカ州のペイリン知事が2人いることではないでしょうか。おそらく、下段真ん中がホンモノのペイリン知事で、上段左の女性はティナ・フェイさんではないかと私は考えています。そんなに大きな自信があるわけではありません。と言うのも、フェイさんはペイリン知事のモノマネで一気に有名になりました。元々はコメディで活躍する女優さんです。どうしてオバマ米国次期大統領や英国のブラウン首相なんかといっしょにこの写真に収まっているかと言うと、今日の時点でトップテンが敬称略で以下のようになっているからです。

  1. Barack Obama
  2. Douglas Melton
  3. Tina Fey
  4. Michael Phelps
  5. Hillary Clinton
  6. J. Craig Venter
  7. Sarah Palin
  8. T. Boone Pickens
  9. Robert Mugabe
  10. Usain Bolt

軽く想像されるように、ダントツのトップはオバマ米国次期大統領です。2位のメルトン博士と6位につけているベンター博士はナントカ細胞とかゲノム解読の分野の権威で、エコノミストである私の守備範囲外もいいところですからよく知りません。さらに、4位のフェルプス選手と10位のボルト選手は北京オリンピックの水泳と陸上短距離の金メダリスト、8位のピッケンズ氏はテキサスの石油王で大富豪、程度の知識しか私にはありません。後はフェイさんを除いて政治家で、ダントツのオバマ次期大統領と5位のクリントン次期国務長官、7位のペイリン知事、9位のムガベ大統領となっています。特に解説の必要もありませんが、今年選挙のあったジンバブエのムガベ大統領はネガティブな意味で有名なんだろうと私は考えています。と言うことで、なぜかホンモノのペイリン知事の7位に対して、モノマネの方のフェイさんが3位に入って、逆転現象が見られます。あるいは、投票に参加した米国人以外の読者なども含めるべきかもしれませんが、このあたりの米国人の感性は私には理解しかねるところがあります。

昨日から冬本番の寒さに襲われた長崎で、外出するのも億劫になってしまい、ついつい長く書き連ねてしまいました。一応、書出しのトピックに従って経済評論の日記に分類しておきます。

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