日銀の金融政策変更に関する感想
昨日から開催されていた日銀の金融政策決定会合の結果、政策金利を20ベーシス引き下げて0.1%とし、長期国債の月間買入れ額を1.2兆円から1.4兆円に拡大、CP 現先オペの対象先として日本政策投資銀行の追加、すなわち、日本政策投資銀行が購入した CP を現先方式で買い取るなどの発表がありました。詳細は日銀発表文がアップロードされています。政策金利については、昨日の bloomberg のニュースサイトなどで、OIS (overnight indexed swap) から JPモルガンが算出した12月会合での利下げ織込み度合いは、一昨日17日午後の時点で50%を超えたことが報じられており、順当な結果と考えられます。ほかについても、ほぼ事前の報道通りの結果と私は考えています。
ということで、私の感想なんですが、第1に、9月半ばのリーマン・ショック以降、日銀はかなり追い込まれた形でなければ金融緩和をしない姿勢が見受けられます。今回も官房長官や財務大臣などの大合唱がありましたし、もちろん、連邦準備制度理事会 (FED) の金融緩和策に対応した面がにじみ出ています。やっぱり、白川総裁ではリーダーシップに欠けると見るエコノミストがいても不思議ではありません。第2に、量的緩和に属する対策がややショボく見えなくもありません。金利引下げ余地が限られているんですから、勝負は量的緩和と私は考えています。20ベーシスの金利引下げで大きな景気浮揚効果があると考えるエコノミストは少数派でしょうが、他方で、資金供給の方では、FED のように短期間でバランスシートを2.5倍に膨らませることも可能です。「中央銀行としてなし得る最大限の貢献」との文言がありますから、今後を注目したいと思いますが、言われなければやらない体質になっているのであれば期待薄かもしれません。今後のデータをチェックして、私の感想が間違っていることを期待しています。
今後の注目点は、白川総裁が著書で強調しているように、あくまで金利ターゲットにこだわるのか、資金供給量のターゲットに移行するのかです。別の表現をすれば、「中央銀行としてなし得る」の前半部分が金利ターゲットを意味し、後半の「最大限の貢献」を制約するのかどうかが見ものです。たぶん、制約するんだろうと私は考えています。でなければ、不要な形容詞です。その理解の上で、さらに追い込まれて本格的な量的緩和に移行するのが私の予想です。来年4月以降には量的緩和に追い込まれるというのが基本的なシナリオですが、あくまで金利の上げ下げが「中央銀行としてなし得る」範囲と白川総裁が考えて積極的な量的緩和に進まなければ、やむなく政府が実施することになります。そうなると、実績のある政策としては財務省の為替介入ということになります。もしそうだとすれば、政府と日銀が協調して、というより、日銀がやってくれないので政府が仕方なく、に近い姿になる可能性があります。先日も書きましたが、近隣窮乏化政策みたいで、やや下品であるのもさることながら、その後の景気循環の方向性を部分的なりとも決めかねない可能性があって、私は気乗りしません。昨年10-12月期にピークを迎えた今回の景気拡大が輸出主導だったのは、日米の景気拡大ペースの差も大いにありますが、為替介入により景気拡大を本格化させたことも何らかの影響を及ぼした可能性があります。
中川財務・金融大臣のように今回の日銀の政策決定を「満額回答」に近く評価する向きもありますが、私自身はもう少し待ってから評価したいと考えています。タイトルを感想とはしたものの、何だか、とてもまとまりないエントリーでした。今日、閣議了解された政府経済見通しについては、日を改めて取り上げたいと思います。
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