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2008年12月26日 (金)

本日発表の労働統計、生産統計、物価統計

少なくともブログについては、ほぼ完全に冬休みモードに私は突入していたんですが、今日は役所の御用納めで、年内最後の営業日かつ閣議日でしたので、いくつか重要な経済指標が発表されましたから、簡単に取りまとめておきたいと思います。失業率や有効求人倍率などの労働統計、鉱工業生産、消費者物価です。半年くらい前の原油価格がバレル当たり140ドルを超えていた時期くらいまでは、注目度合いが今とはまったく逆で、消費者物価の注目度が最も高かったんですが、現在では雇用情勢が最大の関心事になっているような気がします。NHK の朝の連続テレビ小説「だんだん」を見た後の8時半のニュースはたった5分間なんですが、失業率と有効求人倍率の統計はしっかり流れていました。まず、いつもの通り、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

労働統計
厚労省が26日発表した11月の有効求人倍率(季節調整値)は0.76倍と、前月を0.04ポイント下回った。前月を下回るのは10カ月連続で、2004年2月以来の低水準となる。有効求人倍率は公共職業安定所(ハローワーク)で職を探している人1人あたりに何件の求人があるかを示す指標。1倍割れの道府県が41まで拡大した。
また総務省が同日発表した11月の完全失業率(同)は前月比0.2ポイント上昇の3.9%で3カ月ぶりの悪化となった。男女別では男性が0.2ポイント悪化の4.1%、女性が0.3ポイント悪化の3.8%。完全失業者数は前年同月より10万人増の256万人。企業のリストラは正社員にも広がっており、失業率は一段と上昇する可能性が高い。厚労省は雇用情勢について「厳しい状況。今後も悪化が予想される」(職業安定局)としている。
鉱工業生産
経済産業省が26日発表した11月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は94.0となり、前月に比べて8.1%低下した。2カ月連続の低下で、マイナス幅は統計上さかのぼれる1953年2月以降で最大。12月以降も生産の減少が続く見通し。世界経済の急速な減速を受け、企業が戦後かつてないスピードで生産調整に向かっている。
11月の鉱工業生産の前月比低下幅は事前の市場予測(6.6%)を上回った。これまでの最大の低下幅は2001年1月の4.3%で、これを大きく超えた。
消費者物価
総務省が26日発表した11月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の激しい生鮮食品を除くベースで101.6と、前年同月比1.0%上昇した。ガソリン価格が1年2カ月ぶりに前年を下回ったため、伸び率は10月の1.9%上昇から急低下。前月比も0.8%の低下と約4年ぶりの下げ幅となり、物価の伸びは急速に鈍ってきている。
前年同月比の上昇率が前月を下回ったのは3カ月連続。消費税の導入や税率引き上げの時期を除くと、0.9ポイントの低下は第二次オイルショック後の物価上昇が落ち着く段階にあった1981年4月以来の大きさとなった。

まず、労働統計のグラフは以下の通りです。上のパネルが失業率と有効求人倍率、下が新規求人数です。目盛りや単位は凡例にある通りですが、シャドー部は景気後退期を表しています。直近は私自身の研究成果に基づく判定に従って、2007年11月をピークと仮置きしています。詳細は12月18日付けのエントリーにあります。なお、内閣府が公表している景気動向指数の「個別系列の概要」によれば、新規求人数が先行系列に、有効求人倍率が一致系列に、完全失業率が逆サイクルの遅行系列に、それぞれ採用されています。ついでながら、鉱工業生産指数も一致系列に採用されています。

労働統計の推移

失業率が0.2%ポイント、有効求人倍率が0.04ポイント悪化し、新規求人数の減少傾向はもう2年近くも止まりません。完全失業者数が大幅に増えて、よく言われるように、「巷に失業者があふれる」ような状況には、少なくとも現時点ではなっていませんが、同じく今日発表された厚生労働省の「非正規労働者の雇止め等の状況について (12月報告)」によれば、非正規労働者の中途解除や期間満了などによる雇用調整のうち、本年10月から来年3月までに実施済み又は実施予定として、全国の労働局及び公共職業安定所で12月19日時点で把握できたものは、全国で1,415件、約85千人に上っています。先行指標である新規雇用者数も減少が続いていますし、雇用情勢は厳しさを増しつつあるとしか言いようがありません。

鉱工業生産指数の推移

次に、上のグラフは鉱工業生産指数です。世間一般では労働情勢に注目が集まりがちですが、当然ながら、企業が非正規労働者に対する雇用調整を行っている背景には生産の減少があるわけで、11月の生産は季節調整済の前月比で▲8.1%の低下となりました。直接の原因としては、今週12月22日付けのこのブログのエントリーで取り上げた輸出の大幅減の影響であろうと私は考えています。なお、グラフには取り上げませんでしたが、在庫は大幅に積み上がり調整圧力が強まっています。鉱工業生産は市場の事前コンセンサスでは前月比で▲7%程度の低下と見通されていたんですが、▲8%を超え、さらに、製造工業予測指数は12月の▲8%に続いて、来年1月も▲2.1%の低下と大幅な減産予想となっています。この年末年始に工場の休止期間を長めに取る企業も多いと報じられており、この10-12月期に続いて来年1-3月期まで前期比で2桁減産の可能性が十分あると私は感じています。鉱工業はGDPの2割程度しか占めないとよく言われますが、それでも、その2割が2桁減産すると成長率に引き直して▲2%の下押し圧力となります。来年早々に発動されるであろう財政政策の効果などにもよりますが、今年の4-6月期と7-9月期に続いて、現在の10-12月期はもちろん、さらに来年1-3月期まで4四半期連続でGDPがマイナス成長となる可能性が示唆されていると私は受け止めています。やっぱり、今回の景気後退局面は長くて、しかも、かなり深いと考えるべきです。

消費者物価指数の推移

雇用や生産と違って、物価はここ半年で上昇率も注目度も大きく下げましたが、別の観点から私は注目すべきだと考えています。今年の年央には原油価格がバレル140ドルを超えて、食料などの他の商品とともに物価を押し上げていましたが、今や、原油はピーク時の3割程度の水準での取引となっており、11月時点ではコア CPI の前年同月比に対するエネルギーの寄与度はほぼゼロまで低下しました。現時点では、まだ高水準の寄与度を続けている食料価格の動向次第という面もありますが、来年年央には消費者物価がマイナスをつけて、再びデフレに陥る確度も高くなっており、日銀がどのように対応するかが焦点だと、私は今年年央までとは逆の方向で注目しています。日銀の対応が後手に回ってデフレが長引くようだと、現在の景気後退局面がさらに深くて長くなるような気がします。

このブログのエントリーとしては、おそらく、今年最後の経済評論の日記になりそうな気もしますが、誠に寒々とした今日のお天気のような経済指標だった気がします。

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