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2009年1月 7日 (水)

「経済財政の中長期方針と10年展望 (仮称)」を読む

昨夕、経済財政諮問会議が開催されました。今年の第1回目の会合だと思います。主たる議題は「経済財政の中長期方針と10年展望 (仮称)」についての議論だったようです。今夜のこのエントリーのタイトルにもしました。要するに、経済財政の中長期展望ということで、タイトルそのものです。もっとも、メディアでは、このリポートの5ページにある基礎的財政収支についての表現、「我が国の財政収支は急激に悪化しており、2011年度までに国・地方の基礎的 (初期的) 財政収支を黒字化させるとの目標の達成は困難になりつつある。」を最重要視して報道しているように私には見受けられます。それもそのはずで、我が国だけでなく、米国でも2009会計年度 (2008年10月-2009年9月) は1兆ドル規模の赤字であると、オバマ次期大統領がガイトナー次期財務長官やオルザグ次期行政管理予算局 (OMB) 局長らと財政見通しを協議した結果を記者発表しています。私は日経新聞のサイトで見ました。また、東京都も赤字ではないものの、久し振りのマイナス予算だそうです。コチラは読売新聞のサイトで見かけました。景気後退局面が厳しくなって、税収が落ち込むとともに財政出動のために財政収支が悪化するのは当然といえば当然です。
話を「経済財政の中長期方針と10年展望 (仮称)」に戻すと、実に、役所の文書とは思えないくらいに正直に書いてあります。私が離れた後の霞が関で大きな変化が生じているのかもしれません。わずか12ページのコンパクトな文書ですから、お時間のある向きには一読をオススメします。でも、3-4ページにかけての基礎的財政収支の対GDP比の数字が全部伏せ字になっていたりします。このあたりは従前通りだという気もします。メディアの注目は別にして、この文書本来の主たるコンテンツは第2章の「経済社会の将来展望」なんだろうと私は考えています。特に、9-11ページにある次の将来展望の7点は重要だと思います。

  1. 低炭素・高環境社会
  2. 健康長寿社会
  3. 消費先進国
  4. 活力と独自性のある地方
  5. 人材最大活用社会
  6. 新たな金融モデルの構築
  7. 世界経済をリードするアジアの新時代

かなり精粗まちまちの7点なんですが、第2点目と第4点目が大きな財政リソースを要することは政府でも自覚されているハズだと思います。リポートにあるように、「団塊世代がすべて年金受給者となる2010年代半ばまでに」基礎的財政収支を均衡させるとの目標を達成するためには、特に、第2点に対してどのように対応するかが焦点となりそうな気がします。

そろそろ、長かった冬休みから本格的に経済評論の日記に復帰するつもりです。

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