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2009年1月22日 (木)

昨年2009年末の貿易統計は日本と世界の不況を示唆

本日、財務省から昨年2008年12月の貿易統計が発表されました。12月の統計が発表されましたので、同時に、2008年を通じた統計も利用可能となり、輸出額は前年比▲3.4%減の81兆492億円、輸入額は+7.9%増の78兆8917億円、差引きの貿易黒字は▲80.0%減の2兆1575億円と前年2007年の 1/5 に縮小したことから、メディアでは貿易黒字の大幅減少が取り上げられているような気がします。私は2008年通年の貿易収支よりも直近の輸出に関心がありますから、メディアからの記事の引用はしません。まず、貿易統計のグラフをやや雑に並べると以下の通りです。一番上のパネルが総括表で金額ベースの輸出入とその差額の貿易収支、真ん中のパネルが金額ベースの輸出の前年同月比伸び率を貿易指数により数量と価格に分解したもの、最後のグラフはこのところ注目度が大きく減じている交易条件です。詳しくは触れませんが、商品市況の大幅下落により、交易条件はほぼ2006年の水準に回復しました。

貿易統計の推移

まず、輸出入とも前年同月比で見て昨年10-12月期からバンジージャンプみたいに大きく減少しています。このところ、よく見かけるグラフの形だという気がします。また、昨年2008年10-12月期には貿易収支の赤字が定着したようで、この傾向は短期的に2-3四半期くらい続くかもしれません。すなわち、今年2009年の貿易収支は赤字になる可能性が排除できません。ただし、私の見方では日本経済よりも米国や世界経済の方が早く景気後退を脱するでしょうから、この景気局面のズレにより、日本の貿易収支は遅くとも今年末か来年早々には黒字を回復するだろうと見込んでいます。なお、12月の貿易収支に関する市場の事前コンセンサスは2500-3000億円くらいの赤字とのことでしたから、3207億円の赤字は市場予測よりやや悪かったことになります。
輸出に関しては品目別・地域別ともすべて大幅マイナスです。その輸出金額を数量と価格に分解して、12月から急に価格のマイナス寄与が大きくなっているのは、ドル建て価格に円高を転嫁できていない姿が浮かび上がります。輸出の採算が悪化して企業収益への影響もこれからもっと大きく出て来るものと私は考えています。特に、米国・欧州向けの自動車がガタ減りで、米国向け前年比▲52.6%減、欧州向け▲63.4%減の壊滅状態です。非正規雇用にしわ寄せが行く背景がここにあります。もう少し詳しく見ると、まず、品目別では、長崎ローカルで注目される船舶が前年同月比で+36.7%増となった以外は、品目を書き出すのもバカバカしくなるくらい、枕を並べてほぼすべてのセクターで2桁マイナスです。地域別も同じような状況で、米国・欧州・アジアとほぼ各地域とも▲30-40%ほどのマイナスを記録しています。今日発表された中国の10-12月期の成長率も+6.8%と大きく減速しており、12月の日本から中国への輸出も前年同月比で▲35.5%減少しています。このブログでは何度も繰り返しましたが、国際通貨基金 (IMF) や経済協力開発機構 (OECD) などの国際機関が援用して来たデカップリング論は跡形もなく吹き飛びました。
なお、通常、私は輸入についてはそんなに重視しないんですが、今回の12月貿易統計は少しだけ輸入を見ると、まず、輸出が前年同月比▲35.0%減 (11月は▲26.7%減)に対して、輸入は▲21.5%減 (11月は▲14.4%減)ですから、この間、円高が進んでいる、すなわち、財務省の発表資料によれば、昨年2008年12月の対ドルレートが93.53円に対して、前年同月が110.5円ですから、18.1%の円高が進んでいますから、大雑把に、この円高の価格効果から考えて輸入の減り方が輸出より少ないのはこんなもんだろうという気がします。しかし、この価格効果を除く部分は所得効果ということになりますが、少し前まで私は日本の景気後退の度合いは米国や欧州に比べて比較的緩やかと考えて来たんですが、やっぱり、同程度の需要の減退があったと考えるべきです。要するに、日本も世界不況の真っただ中に置かれていることは何ら間違いありません。

エコノミストの間では、この貿易統計を受けて、12月の鉱工業生産は前月比で▲10%近い減少を記録し、10-12月期のGDPに対する外需の寄与度は▲2%を超えるんではないかと見る向きが多いようです。そうすると、10-12月期のGDP成長率は年率で2桁マイナスになる可能性が高いと私は受け止めています。

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