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2009年1月31日 (土)

財政拡大策でも経済の先行き不透明感が強まる

Real Economic Growth日本時間の昨夜、米国商務省から昨年10-12月期の米国GDP速報が発表されました。前期比年率で▲3.8%のマイナス成長でした。右のグラフは New York Times のサイトから引用しています。個人消費がマインドの悪化から7-9月期に続いて前期比マイナスとなり、クリスマス商戦の不振を象徴するとともに、設備投資も大きく落ち込み、相変わらず住宅投資は回復の気配もなく、要するに、ほぼ全滅の様相を呈しています。別に、米国に限るわけでもなく、世界中で同じような経済状況で、昨夜のエントリーで指摘したように、我が日本の鉱工業生産も10-12月期は前期比で軽く2桁マイナスですから、来月半ばに発表される予定のGDP成長率も年率換算すれば2桁の大幅なマイナス成長を記録することはほぼ確実です。四半期年率の2桁マイナス成長が何年振りになるのかはメディアが報道してくれると思います。決して楽しみなわけではありませんが、やや興味はあったりします。いずれにせよ、ニュースソースは官庁なんだろうと思います。

A Global Kick Start: Economic-stimulus packages world-wide

そこで、各国こぞって財政政策の出動に励んでいるわけです。まず、上の地図は少し前の Wall Street Journal のサイトから引用しています。各国の財政拡大策を金額の大きさで地図の上にプロットしています。記事のタイトルは "The New Old Big Thing in Economics: J.M. Keynes" となっていたりします。

続いて、今週号の The Economist のサイトでも同じようなフラッシュ・ファイルの地図で各国の財政拡大策の詳細が取りまとめられたりしています。国名のある地図の部分をクリックすると、財政拡大策や金融救済策の詳細に関する情報が現れます。何と大胆にも、上にリンクを張っておいた The Economist のサイトのフラッシュ・ファイルに直リンしていたりします。

Poor visibility

しかしながら、財政政策を発動したり、金融救済策で安定化を図ったりしながらも、経済の先行き不透明感は払拭されません。上のマンガは今日付けの Financial Times のサイトに掲載されているものです。半分に縮小をかけたので少し見づらいんですが、ダボス会議の出席者が戻る方向は、景気後退から右回りに失業、保護主義、負債となっています。雪が降り始めて視界が悪そうな印象です。

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2009年1月30日 (金)

本日発表された経済指標について

本日は月末最終営業日の閣議日ということで、いくつかの経済指標が発表されました。現在の景気局面において、私が重視しているという意味で、今夜のエントリーで取り上げる順に、労働統計、鉱工業生産、消費者物価です。まず、労働関係のグラフは以下の通りです。

労働統計

2つのグラフのうち、上のパネルは赤い折れ線が失業率で左目盛りの単位はパーセントです。青は有効求人倍率で右目盛りの単位は倍です。下のパネルは新規求人数で、左軸の単位は万人です。上下とも季節調整済の計数で、シャドー部は景気後退期です。昨日の内閣府の認定に従って、2007年10月を直近のピークとしています。
11月ころから次のグラフで取り上げる生産が大幅に落ち込み始めて、雇用も派遣や期間工などの非正規労働者を中心に「派遣切り」とか、「雇い止め」と呼ばれる状況を呈して、大幅に悪化して来ているのは連日のように報じられている通りです。12月の失業率は11月の3.9%から4.4%にジャンプしました。就業者数が前月差で▲18万人減少する一方で、失業者数は+34万人増加しています。四捨五入の関係で合致しませんが、差引きで労働力人口は+15万人増加しており、そろそろ、生活が苦しくなって労働市場への参入が増加し始めているものの、就業が難しいという状況と想像されます。有効求人倍率も11月の0.76倍から12月は0.72倍と急速に悪化しています。下のパネルの新規求人数は12月は単月でかなり上向いているように見られますが、グラフにはないものの、有効求人数は減少を続けています。
特に雇用が崩壊しているのは、派遣や期間工などの非正規労働の部分なんですが、今日、厚生労働省から「非正規労働者の雇止め等の状況について」の1月の速報が発表されました。これによると、昨年10月から本年3月までに実施済み又は実施予定として、非正規労働者の期間満了や解雇による雇用調整は1,806事業所、約12.5万人となっています。就業形態別の割合をみると、派遣が68.7%、期間工などが18.6%、請負が8.4%となっています。次に取り上げる生産現場の情勢も含めて、当面、労働市場が改善する兆しは見当たりません。

鉱工業生産

次に、鉱工業生産です、12月の月次データが発表されて10-12月期の4半期データも利用可能となりましたので、在庫循環図も書いてみました。上のパネルは月次と4半期の鉱工業生産指数で、季節調整済の計数です。シャドー部は景気後退期です。下のパネルは4半期指数で描いた在庫循環図で、縦軸が出荷の前年同期比、横軸が在庫の前年同期比で、単位はともにパーセントです。赤の破線は45度線のつもりです。緑色の左向きの矢印で示した1999年の1-3月期から始まって、時計回りにほぼ2周近く循環して、上向き矢印の2008年10-12月期まで達しました。まだ、出荷が大幅に落ち込んで後ろ向きの在庫が積み上がっている局面です。
上のパネルで見ても一目瞭然ですが、バンジー・ジャンプのように生産は落ち込んでいます。12月の単月で▲9.6%減となりました。さらに暗いニュースは、製造工業だけを対象にしている生産予測指数を見ると1月が前月比で▲9.1%減と12月並みの減少に続いて、2月も▲4.7%となっていて、下げ止まる気配すら見えないことです。これを単純に鉱工業全体に当てはめると、もしも、3月が2月と同水準としても、1-3月期は▲20%を超える前期比マイナスとなります。3月もマイナスを記録することはほぼ確実ですから、今年1-3月期には生産の減少が加速することになります。従来からの私の主張の通り、実は、この1-3月期から、ひょっとしたら、4-6月期くらいまでが景気後退局面の中でも最も暗い大底であると考えるべきです。もっとも、さらに、7-9月期がもっと暗かったりして底割れが生じれば、年末にはデフレ・スパイラルを懸念する見方が出るような気がします。いずれにせよ、生産と雇用の調整に目途がつくまで、かなりの時間を要する可能性があります。この生産の落ち込みを考慮すると、非正規雇用にとどまらず、製造業においては正規職員の雇用調整が早ければ1-3月期から始まる可能性が十分あると覚悟するべきです。ついでながら、四半期データを見ると、昨年10-12月期は前期比で▲11.9%の低下となりましたので、鉱工業はGDPの2割強とはいっても、単純にシェアを当てはめるだけでもGDP成長率を▲3%近く押し下げることになります。4-6月期、7-9月期に続いて、10-12月期も3四半期連続でマイナス成長を記録することは確実です。

消費者物価

最後に、昨年年央に比べて大きく注目度を低下させた消費者物価のグラフは上の通りです。9月には全国のコア消費者物価が前年同月比で+2.3%の上昇と日銀の「物価上昇の理解」の上限を超えていたのが、10月+1.9%、11月+1.0%、とうとう12月には+0.2%まで上昇幅を縮小し、年央を待たずにデフレ入りが完全に視野に入りました。先週1月23日付けのエントリーでも主張した通り、このまま本年末を迎えて成長率がプラスに転換せず、物価もマイナスの状態が続くと、本格的なデフレ・スパイラルの可能性が生じかねません。日銀の金融政策の正念場だという気がします。

日経新聞の web サイトを見ると、経済ニュースとしてアップロードされた順番は、以下の通りです。半年ほど前までは消費者物価の注目度が高かったんですが、現在では労働・雇用に注目が集まっています。しかし、繰返しになりますが、生産の先行きを考えると、少なくとも製造業においては、正規職員まで雇用調整が及ぶ可能性を覚悟する必要がありそうな気がしてなりません。

  1. 11:26 失業率

  2. 12:50 鉱工業生産

  3. 16:55 消費者物価

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2009年1月29日 (木)

国際通貨基金の世界経済見通しと国際労働機構の雇用見通し

昨日、国際機関から2種類の見通しが発表されました。国際通貨基金 (IMF) の改訂版「世界経済見通し」 "World Economic Outlook Update"国際労働機構 (ILO) の「世界雇用の動向」 "Global Employment Trends" です。いずれも、リンク先から PDF 形式のリポートがダウンロードできます。

GDP Growth

まず、 IMF の経済見通しについて、世界全体及び新興国・途上国と先進国に分けたGDP成長率見通しのグラフは上の通りです。なお、グラフをクリックすると、別画面で詳細な見通しの画像が開くようにしてあります。先進国経済は今年2009年にマイナス成長を記録した後、来年2010年も緩やかな回復を見込んでいます。新興国・途上国についても、成長率の水準は先進国よりも大きいものの、グラフのシェイプは全く同じで、デカップリング論は破綻しました。主要国を見ると、今年2009年、米国▲1.6%、欧州▲2.0%、日本▲2.6%と先進国が軒並みマイナス成長に陥る一方で、中国も2008年の9.0%成長から2009年には6.7%に大幅に減速すると見通しています。その後、来年2010年には、米国が+1.6%成長とある程度回復するものの、欧州+0.2%、日本+0.6%とかなり景気回復の歩みは緩慢で、いわゆる V 字型回復とはほど遠い展開が予想されています。中国も2010年+8.0%成長と見込まれています。さらに深刻なダメージを受けるのは世界貿易で、2009年には▲2.8%の減少に落ち込むと見通されています。現在のような世界同時不況の折にこそ、国内的にはマクロ経済政策で安定化を図るとともに、国際的には自由貿易を堅持する必要があるんですが、現実には逆の動きが出かねないことは、昨年12月24日付けのエントリーでも主張しているところです。特に、共同通信のサイトでは、延べ22か国・地域が関税引き上げや国内産業支援策など貿易に影響する措置を取ったとするラミー WTO 事務局長名の作業文書が作成され、「定期的な監視が必要」と指摘していると報じています。具体例として、インドの鉄鋼製品の関税引上げや輸入制限、中国による繊維製品輸出の際の税優遇、ブラジルなどが加盟する南部共同市場による一部製品の共通関税引上げなどの例が紹介されているようです。繰返しになりますが、現在のような世界不況の際であるからこそ、国内的にはマクロ経済政策による需要喚起、国際的には保護主義を警戒しつつ交易の利益を実現することが必要であるのはいうまでもありません。

Global unemployment according to three scenarios

これに対して、ILO の雇用動向見通しも暗いものになっています。上のグラフの通りで、シナリオが3つ示してあります。第1のシナリオは昨年11月時点での改定 IMF 見通しをベースラインにしたもので、それでも、今年2009年には2007年に比べて18百万人ほど失業者が増加し、失業率も上昇すると見込まれています。それより悪い第2のシナリオは各国が歴史的に経験した危機の際の雇用悪化を盛り込んでいて、いうまでもなく、失業者数も失業率も第1のシナリオより悪化します。第3のシナリオは第2よりさらに悪化するもので、1991年不況時のショックを織り込んでいます。"decent work" を掲げる ILO ならずとも、景気が悪化して行く局面では "poor workers" が増加し、限界的に弱い部分から雇用を失うことは日本でも目の当たりに観察できる事実です。景気回復に向けて国内的国際的に力強く取り組む必要はいうまでもありません。

最後に、本日午後に内閣府で景気動向指数研究会が開催され、今次景気局面のピークを一昨年2007年10月と認定しました。12月18日付けのエントリーで紹介した「今次景気循環のピークに関する考察 - 状態空間モデルを用いた産出ギャップによるアプローチ」と題する私のペーパーも然るべくリバイズして提出しておきました。

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2009年1月28日 (水)

今日から始まるダボス会議の議論やいかに?

日本のメディアでもチラホラと報じられていますが、今日からいわゆるダボス会議が本格的に始まります。世界経済フォーラムのホームページにアジェンダなどが掲載されています。簡単なプログラムも "Programme at a Glance" と称して、PDF ファイルでアップロードされています。
私のように招待もされていなければ、自分で行く旅費も出ないようなエコノミストのために、WEB サイトで入手できる一連の資料が "Knowledge Concierge" として提供されており、以下の図表は、その中の "Briefing on Restoring Growth" から引用しています。"Restoring Growth" だけでなく、すべてのブリーフィング資料を取りまとめた PFD ファイルも入手可能となっています。もっとも、このブリーフィング資料は会計会社の PwC が請け負って作っているようで、少し難癖をつける人がいるかもしれません。

ダボス会議ブリーフィング資料より

かなり大量にある図表から私の趣味で8枚のグラフをピックアップしました。半分に縮小した上に一気につなぎ合わせていますので、やや見にくいんですが、上のパネルから順に、2013年までの世界の成長率とインフレ率の見通しのグラフ、S&P500 で見たボラティリティが第2次大戦後で類を見ないほど高まっているグラフ、そのため、各国政府がこぞって実施している財政政策について米国における効果の大きさのグラフ、その結果、日本が突出している G7 の政府債務残高のグラフ、他方、雇用者に占める日本の公務員比率は低いとするグラフがあり、「米国がクシャミをすれば、世界が風邪をひく」と題した米国への輸出依存度の高い国の地図、特に米国で世界貿易に対する世論の評価が低くなっているとするグラフ、これは不況期に自由貿易を堅持することの難しさを表しており、私が従来から指摘している重要なポイントです。最後に、新興国のリスクプレミアムは上昇しているものの、まだ、2000年の水準より低いとするグラフ、の8枚です。その他にもいっぱい図表があります。中には参考になる別のグラフもあるかもしれません。

地球環境問題なんかにはかなり熱心ではあるものの、世界の貧困問題などには冷淡な勝ち組の集まりと揶揄されることもあるダボス会議ですが、いろいろと公表されている資料の中には一見の価値があるものも含まれています。もっとも、繰返しになりますが、PwC 作成だったりします。

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2009年1月27日 (火)

入浴剤の効用

いよいよ本格的に寒い冬本番を迎え、私は特に乾燥肌でもないと思っているんですが、それでもやっぱり、この季節は入浴剤を使います。入浴剤を使わないと、2-3週間くらいで足の太ももあたりがかゆくなる時があり、そうなってからでは遅いので予防の意味を込めてお風呂には入浴剤を入れています。そのおかげで、少なくとも現時点までは、そんなにかゆみを覚えたりせずに快適に過ごしています。
その昔に在チリ大使館に勤務していた時は、現地人はシャワーしか使う習慣がなかったものですから、私もその作法に合わせたというわけでもないんですが、バスタブにお湯を張って体ごと浸かる日本式は毎日ではなく、ほぼ2日に1回のペースでした。でも、元来が風呂好きの性格で長風呂を楽しむのが趣味だったりするものですから、チリから帰国してからは毎日バスタブに浸かっています。長崎に来てからは、寒くなり始めた11月の下旬ころから入浴剤を使い始めて、最初は夏用のヤケに青い「トロピカル何とか」を入れていたんですが、最近はゆずの香りのするのを買って来て、ゆったりと長風呂を楽しんでいます。冬至にはゆず湯にするのが古くからの習慣だったりしますから、この季節にはピッタリなんだと思います。
昨夜のエントリーで書いたように、この季節の長崎はやや日本海側の気候に近くて、太平洋側の東京のようにカラカラに乾いているわけではなく、適当に雨が降ったりするんですが、それでも、健康のために適度な湿気をもたらすとともに、暖かい湯気を部屋に充満させることにして、お風呂上りに10分ほど風呂場の扉を開けっ放しにしたりしています。そうすると、暖かい湯気とともにほんのりとゆずの香りが部屋に満ちて、なかなか風雅な雰囲気を作り出してくれます。でも、こんなことをしていると結露には注意が必要かもしれません。

私は基本的に実用一点張りの人間で、皮膚のかゆみを抑えるために入浴剤を使っているんですが、好きな香りの入浴剤を使って、私のように風呂場の扉を開けっ放しにして香りを楽しむのもアリだという気がします。

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2009年1月26日 (月)

長崎は今日も雨だった

私は先週末に東京に戻っていて、よく知らなかったんですが、先週の土曜日に県北を中心に長崎ではが降っていたようです。地元紙を読むと、交通もかなり乱れていたようです。先々週の大学入試センター試験ではお天気がよかったので幸いだったかもしれません。日曜日の午後に長崎空港に下り立って、リムジンバスで長崎市内に戻る途中にかなりの積雪が残っていたのを見かけました。
今日のランチタイムに生協の学食で同僚教員と長崎のお天気の話をしていたんですが、長崎はやっぱり日本海側の気候にやや近いようです。松江などの山陰くらいまでは、新潟以北とは比べ物にならないまでも、かなり日本海側気候だと私は認識していて、九州でも福岡あたりは冬に雪がちらついたりする一方で、鹿児島や宮崎なんかは太平洋側の気候そのものだったりします。長崎はその中間的な存在で、県北は日本海側気候らしい一方で、私が暮らしている長崎市内はかなり県南に位置していますから、県北ほどではないと思っていたんですが、昨日の残り雪を見て、やっぱり、日本海側気候に近いような印象を持ちました。でも、昨夏が例外であったのでなければ、夏は太平洋側の気候に近いのかもしれません。まだ、1年の四季を通して長崎に住んだことがないので、実は、よく分からなかったりします。
8月に赴任してきた当初はカンカン照りのお天気が続いて、「長崎は今日も雨だった」なんて、とんでもないと感じましたが、さすがに11月上旬までで半袖の季節も終わり、その後は雨がよく降るように思います。専門外の私の勝手な想像ですが、海の上をプカプカと機嫌よく流れて来た雲が、長崎あたりの陸地や山にぶつかって雨を降らせているような印象です。突然、雲が広がって雨が降り出すことも少なくありません。もちろん、ジャカルタで見られた熱帯的なスコールとは違います。

夏のカンカン照りの季節ではそうも思わなかったんですが、秋以降の冬のこの季節には「長崎は今日も雨だった」という有名な歌詞は実感としてよく理解できます。

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2009年1月25日 (日)

アカデミー賞候補作の外国語映画部門に『おくりびと』が入る

メディアのニュースで大々的に報じられていますが、米国の映画芸術科学アカデミーから映画の第81回アカデミー賞の候補作が発表されました。日本作品では滝田洋二郎監督の『おくりびと』が外国語映画部門でノミネートされました。誠に残念ながら私は見ていませんが、本木雅広さんが納棺師を演じる映画で、日本映画が外国語映画部門候補になるのは5年前の第76回の山田洋次監督『たそがれ清兵衛』以来だそうです。主演・助演の男優・女優部門と監督部門・作品部門の主要6部門にプラス外国語映画部門の候補作を Oscar.com のサイトから引用すると以下の通りです。なお、私は公務員を長らくやっていますので出現順を気にするんですが、引用元に従っています。たぶん、男優・女優については姓の、作品については冠詞を除いたアルファベット順なんだという気がします。それから、部門の日本語訳は私が付しました。間違っているかもしれません。悪しからず。

  • Actor in a leading role (主演男優部門)
    • Richard Jenkins, THE VISITOR
    • Frank Langella, FROST/NIXON
    • Sean Penn, MILK
    • Brad Pitt, THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
    • Mickey Rourke, THE WRESTLER
  • Actor in a supporting role (助演男優部門)
    • Josh Brolin, MILK
    • Robert Downey Jr., TROPIC THUNDER
    • Philip Seymour Hoffman, DOUBT
    • Heath Ledger, THE DARK KNIGHT
    • Michael Shannon, REVOLUTIONARY ROAD
  • Actress in a leading role (主演女優部門)
    • Anne Hathaway, RACHEL GETTING MARRIED
    • Angelina Jolie, CHANGELING
    • Melissa Leo, FROZEN RIVER
    • Meryl Streep, DOUBT
    • Kate Winslet, THE READER
  • Actress in a supporting role (助演女優部門)
    • Amy Adams, DOUBT
    • Penélope Cruz, VICKY CRISTINA BARCELONA
    • Viola Davis, DOUBT
    • Taraji P. Henson, THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
    • Marisa Tomei, THE WRESTLER
  • Directing (監督部門)
    • THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
    • FROST/NIXON
    • MILK
    • THE READER
    • SLUMDOG MILLIONAIRE
  • Foreign Language Film (外国語映画部門)
    • The Baader Meinhof Complex
    • The Class
    • Departures
    • Revanche
    • Waltz With Bashir
  • Best Picture (作品部門)
    • THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
    • FROST/NIXON
    • MILK
    • THE READER
    • SLUMDOG MILLIONAIRE

『おくりびと』

『おくりびと』は外国映画賞の3番目で緑色のフォントにしてある Departures です。リンク先には Oscar.com の作品紹介があります。上の画像も同じサイトから引用しています。私は子供達とポケモン映画を見るくらいで洋画には詳しくないので、知り合いの受売りなんですが、落選作品や男優・女優にも注目が集まったそうです。例えば、作品部門で The Dark Knight が入らず、主演男優部門と主演女優部門で Gran Trino の Clint Eastwood や Revolutionary Road の Leonard DiCaprio や Kate Winslet が入らず、 Revolutionary Road では助演男優部門に Michael Shannon が入っただけで、作品賞にもノミネートされませんでした。繰返しになりますが、単なる受売りです。加えて、ほとんどの映画名や俳優さんの名前は Oscar.com から引いていますので英語そのままです。これも悪しからず。

発表は来月2月22日の予定だそうです。何となくヒマにしている日曜日に、コピペで済ませた映画のアカデミー賞に関する軽い話題でした。

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2009年1月24日 (土)

定額給付金をどう考えるか?

先週末に自民党と民主党の党大会を終えて、今週から本格的な国会における論戦が始まりました。エコノミストの目から見て重要なポイントは、何といっても、政府が2次補正予算に盛り込んだ総額2兆円の定額給付金の行方ではないでしょうか。ということで、昨夜の日銀の金融政策に続いて、週末ながら今日は政府の財政政策、特に、定額給付金について取り上げたいと思います。
まず、国会において多数を占める与党の内閣から提出した予算案ですから、通常は可決されると思うんですが、世間の動向に疎い私でも極めて評判が悪いことは知っています。下のグラフは朝日新聞が実施した世論調査のうち、定額給付金に関する賛否のグラフです。もちろん、朝日新聞のサイトから引用しています。

給付金に反対63% 朝日新聞世論調査

他方、産経新聞のサイトでは、実際に給付金が決まれば「給付金を受け取る」と答えた人は84.8%と大半を占め、ほとんどの世代で8割以上が受け取ると回答したことが報じられています。当然といえば当然でしょう。たとえ、「さもしい」と言われても、お金をくれるのに受け取らない人は少数派だろうと思います。
この定額給付金に対する反対意見をどう解釈するかなんですが、もちろん、麻生総理大臣や内閣から発信する情報が、先の「さもしい」発言とその後の撤回などを典型例として揺れ動いていることも一因ではあるものの、私から見れば、定額給付金に対する反対というよりも、その後の2011年度を目途とした消費税率の引上げに対する反対ではないかと受け止めています。多くの論調と同じではないかと思います。定額給付金への賛成と2011年度の消費税率引上げへの反対を天秤にかけて、消費税増税への反対の方が重かった、ということなのだろうと思います。加えて、景気拡大効果が小さいことも重視されていることは当然です。ですから、景気拡大効果の観点から、正面切って、定額給付金の総額2兆円を別の対策に使うという意見もあり得ますが、私はハッキリ反対です。広く浅くバラマキをするよりも、我が業界にドカンと落して欲しいと考えている関係者もいるかもしれませんし、その考えが従来型の公共投資政策で強かったような気もしますが、私の意見では、政府に景気効果が大きい使い道を決めてもらうのではなく、たとえ広く浅くのバラマキであっても消費者に選択をゆだねるのが、現時点での正しい財政資金の使い道だと考えています。
前世紀終わりころの小渕内閣から今世紀初頭の森内閣まで、せっせと公共投資による景気拡大を目指しましたが、残ったのは膨大な公債残高だけでした。もちろん、将来の消費税増税とセットで定額給付金も取止めにするというのも、世論調査などに見られる国民の声を反映した望ましい財政政策である可能性が大きいのではないかと私は考えますが、積極的にインフラ整備すべきニーズがあればともかく、現時点では、たとえ景気拡大効果がいく分か小さいとしても、従来型の公共投資に比較すれば消費者に使途をゆだねる減税の方がより望ましい財政政策であると私は考えています。特に、定額給付金の場合は逆進的な効果があり、所得に対する比率を考えれば低所得者に相対的に手厚く配布されますから、所得に対して比例的な減税より効果が大きいとの考えも成り立ちます。
しかし、費用対効果を考えると、定額給付にも大きな疑問符が付きます。政府の試算でGDP成長率を0.2%押し上げる効果があるとのことでしたが、それでは、2兆円を給付して1兆円の押上げ効果に止まることになり、はなはだ効率が悪いように見受けられます。その上に、消費税率が仮に2%ポイント引き上げられるとすれば、2011年度以降に毎年5兆円程度の負担増があるんですから、国民の多数が反対意見を表明するのは自然なことのように考えられます。さらに、この効率の悪さを助長しているのがリカード等価原理です。リカード等価原理が成立していれば、家計や政府以外の他の経済主体の行動が政府の財源調達とは独立となって何らの影響を受けず、財政政策の効果はゼロになります。将来の増税を表明することにより、政府は一所懸命にリカード等価原理が成り立つように、さらに言えば、定額給付金の効果を減殺すべく努力しているように私の目には映ります。

最後に取りまとめると、公共投資のニーズや生産誘発効果も減じた昨今では、定額給付金の形の減税は政府が何らかの使途を決める従来型の政府支出の増大よりも好ましいと考えられますが、国民の多数が反対し経済効果を大きく減殺する現在の方式で、後に増税が待ち構えているのであれば、定額給付金と消費税増税をセットで取止めにするとの国民の意志も無視するべきではないと私は考えます。

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2009年1月23日 (金)

日銀はデフレ・スパイラルを食い止められるか?

一昨日から開催されていた日銀の金融政策決定会合が昨日で終わり、昨日午後にその結果が発表されました。発表された文書のひとつに「当面の金融政策運営について」があり、その中で、いわゆる「展望リポート」の中間レビューとして、成長率と物価に関する日銀政策委員の大勢見通しが公表されています。上にリンクを張った文書の pp.3 にあり、以下の通りです。

日銀政策委員の大勢見通し

2009年度の政府経済見通しがゼロ成長である一方で、日銀政策委員の大勢は▲2%のマイナス成長を見込んでおり、ある意味で、非常に正直な見通しだという気がします。さらに、上でリンクを張ったのと同じ文書の pp.4 にはリスク・バランス・チャートも示されており、特に、成長率については下方リスクが高いような気がします。同時に、消費者物価についても、2009年度から2010年度にかけてマイナスを見込んでいます。会議後の白川総裁の記者会見では長々と会議結果について披露した後、最初の質問で「デフレ・スパイラル」について、インフレと成長に関する予想を上げつつ、インフレ予想については大きく変化していないと回答しています。でも、言及されなかった大きな問題は成長率です。
今後の景気展望については、かねてより、私は現在の2009年1-3月期ないし4-6月期くらいまでが景気後退局面の中でももっとも暗い闇で、ひょっとしたら、今年いっぱいくらいまでマイナスやゼロ近傍の成長が続く可能性があり、2009年ないし2009年度が終わるくらいの段階で、潜在成長率水準には達しないもののプラスの成長を記録し始め、そろそろ景気後退局面の終わりが見えて来る、あるいは、場合によっては、後付けの統計的な検証によれば、2010年前半くらいが景気の底となる、との標準的なシナリオを持っています。私にとっての標準シナリオであり、やや楽観的なバイアスは否定しません。しかし、少なくともデフレ・スパイラルについては、2010年年初から景気回復との標準シナリオが崩れて、2010年に入っても景気回復が視野に入らない場合、かなり現実味を帯びることになります。逆に言えば、私なんかよりも悲観的なバイアスを持つエコノミストのシナリオであれば、現実化する可能性が十分あるということです。それはともかく、デフレ・スパイラルが視野に入るのは、商品市況との関係で今年半ばと考えているエコノミストも少なくないようですが、私は2009年の終わりか、あるいは、2010年に入ってからが勝負だと考えています。すなわち、単純な物価の下落幅ということになれば今年半ばかもしれませんが、物価と成長のスパイラルとなれば今年終わりか来年初めで成長率がピックアップするかどうかが勝負です。白川総裁の記者会見では、取材する記者のレベルに合わせたんでしょうが、明確な回答は別にして、この点はハッキリと意識されていました。さらに、潜在成長率が、おそらく、1%台前半まで低下していることについても十分な認識が示されていると私は受け止めています。加えて、昨年末からの一連の措置により、よく、米国の連邦準備制度理事会 (FED) について比喩的に使われる用語を援用すれば、弾薬庫 (arsenal) には政策手段が豊富にそろっています。

思い返せば、2007年9月の段階で私レベルのエコノミストでも経済の変調に気づいていましたが、当時の福井総裁は「景気拡大が賃金を上昇させて、物価も上昇する」とのいわゆる「好循環メカニズム」を繰り返すだけで、ものすごく不安を感じたものです。でも、少なくとも、現在の日銀は景気局面が違うとはいえ、かなり的確に経済の現状を把握しているように総裁記者会見からは感じられます。日銀がデフレ・スパイラルの阻止に大きな役割を果たすことが期待できると私は受け止めています。

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2009年1月22日 (木)

昨年2009年末の貿易統計は日本と世界の不況を示唆

本日、財務省から昨年2008年12月の貿易統計が発表されました。12月の統計が発表されましたので、同時に、2008年を通じた統計も利用可能となり、輸出額は前年比▲3.4%減の81兆492億円、輸入額は+7.9%増の78兆8917億円、差引きの貿易黒字は▲80.0%減の2兆1575億円と前年2007年の 1/5 に縮小したことから、メディアでは貿易黒字の大幅減少が取り上げられているような気がします。私は2008年通年の貿易収支よりも直近の輸出に関心がありますから、メディアからの記事の引用はしません。まず、貿易統計のグラフをやや雑に並べると以下の通りです。一番上のパネルが総括表で金額ベースの輸出入とその差額の貿易収支、真ん中のパネルが金額ベースの輸出の前年同月比伸び率を貿易指数により数量と価格に分解したもの、最後のグラフはこのところ注目度が大きく減じている交易条件です。詳しくは触れませんが、商品市況の大幅下落により、交易条件はほぼ2006年の水準に回復しました。

貿易統計の推移

まず、輸出入とも前年同月比で見て昨年10-12月期からバンジージャンプみたいに大きく減少しています。このところ、よく見かけるグラフの形だという気がします。また、昨年2008年10-12月期には貿易収支の赤字が定着したようで、この傾向は短期的に2-3四半期くらい続くかもしれません。すなわち、今年2009年の貿易収支は赤字になる可能性が排除できません。ただし、私の見方では日本経済よりも米国や世界経済の方が早く景気後退を脱するでしょうから、この景気局面のズレにより、日本の貿易収支は遅くとも今年末か来年早々には黒字を回復するだろうと見込んでいます。なお、12月の貿易収支に関する市場の事前コンセンサスは2500-3000億円くらいの赤字とのことでしたから、3207億円の赤字は市場予測よりやや悪かったことになります。
輸出に関しては品目別・地域別ともすべて大幅マイナスです。その輸出金額を数量と価格に分解して、12月から急に価格のマイナス寄与が大きくなっているのは、ドル建て価格に円高を転嫁できていない姿が浮かび上がります。輸出の採算が悪化して企業収益への影響もこれからもっと大きく出て来るものと私は考えています。特に、米国・欧州向けの自動車がガタ減りで、米国向け前年比▲52.6%減、欧州向け▲63.4%減の壊滅状態です。非正規雇用にしわ寄せが行く背景がここにあります。もう少し詳しく見ると、まず、品目別では、長崎ローカルで注目される船舶が前年同月比で+36.7%増となった以外は、品目を書き出すのもバカバカしくなるくらい、枕を並べてほぼすべてのセクターで2桁マイナスです。地域別も同じような状況で、米国・欧州・アジアとほぼ各地域とも▲30-40%ほどのマイナスを記録しています。今日発表された中国の10-12月期の成長率も+6.8%と大きく減速しており、12月の日本から中国への輸出も前年同月比で▲35.5%減少しています。このブログでは何度も繰り返しましたが、国際通貨基金 (IMF) や経済協力開発機構 (OECD) などの国際機関が援用して来たデカップリング論は跡形もなく吹き飛びました。
なお、通常、私は輸入についてはそんなに重視しないんですが、今回の12月貿易統計は少しだけ輸入を見ると、まず、輸出が前年同月比▲35.0%減 (11月は▲26.7%減)に対して、輸入は▲21.5%減 (11月は▲14.4%減)ですから、この間、円高が進んでいる、すなわち、財務省の発表資料によれば、昨年2008年12月の対ドルレートが93.53円に対して、前年同月が110.5円ですから、18.1%の円高が進んでいますから、大雑把に、この円高の価格効果から考えて輸入の減り方が輸出より少ないのはこんなもんだろうという気がします。しかし、この価格効果を除く部分は所得効果ということになりますが、少し前まで私は日本の景気後退の度合いは米国や欧州に比べて比較的緩やかと考えて来たんですが、やっぱり、同程度の需要の減退があったと考えるべきです。要するに、日本も世界不況の真っただ中に置かれていることは何ら間違いありません。

エコノミストの間では、この貿易統計を受けて、12月の鉱工業生産は前月比で▲10%近い減少を記録し、10-12月期のGDPに対する外需の寄与度は▲2%を超えるんではないかと見る向きが多いようです。そうすると、10-12月期のGDP成長率は年率で2桁マイナスになる可能性が高いと私は受け止めています。

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2009年1月21日 (水)

米国オバマ大統領の就任演説

米国東部時間の昨日、オバマ大統領の就任式が執り行われました。宣誓の最初の方ではとちったりしていましたが、連邦最高裁のロバーツ長官からの最初の呼びかけは "Senator Obama" だったのが、 "So help me God." で宣誓が終わった段階で "Congratulation, Mr. President." に代わっていたのが印象的でした。報道されていたように、ミシェル夫人が手にしていたのはリンカーン元大統領が宣誓式で使った聖書なんでしょう。もちろん、安全保障や政治課題などの重要なポイントはいくつもありますが、エコノミストとして就任演説での聴きどころは次の2つのパラだと思いますので重複をいとわず引用します。

What the cynics fail to understand is that the ground has shifted beneath them - that the stale political arguments that have consumed us for so long no longer apply. The question we ask today is not whether our government is too big or too small, but whether it works - whether it helps families find jobs at a decent wage, care they can afford, a retirement that is dignified. Where the answer is yes, we intend to move forward. Where the answer is no, programs will end. And those of us who manage the public's dollars will be held to account - to spend wisely, reform bad habits, and do our business in the light of day - because only then can we restore the vital trust between a people and their government.
Nor is the question before us whether the market is a force for good or ill. Its power to generate wealth and expand freedom is unmatched, but this crisis has reminded us that without a watchful eye, the market can spin out of control - and that a nation cannot prosper long when it favors only the prosperous. The success of our economy has always depended not just on the size of our Gross Domestic Product, but on the reach of our prosperity; on our ability to extend opportunity to every willing heart - not out of charity, but because it is the surest route to our common good.
特に、上の引用で私が青くて太いフォントで下線を引いておいた政府に関する部分は、言うまでもなく、レーガン大統領の第1期目の就任演説での余りにも有名なセンテンス "In this present crisis, government is not the solution to our problem; government is the problem." を大いに意識したものと言えます。2番目のパラの市場に対する考え方もクルーグマン教授らのリベラルなエコノミストの主張をかなりの程度に受け入れているように私には見受けられました。

以下は、C-SPAN が YouTube のサイトにアップしたビデオと読売新聞のサイトから引用した英文和文の就任演説全文です。なお、和文の方の見出しは読売新聞で付したのであろうと私は考えています。


My fellow citizens:

I stand here today humbled by the task before us, grateful for the trust you have bestowed, mindful of the sacrifices borne by our ancestors. I thank President Bush for his service to our nation, as well as the generosity and cooperation he has shown throughout this transition.

Forty-four Americans have now taken the presidential oath. The words have been spoken during rising tides of prosperity and the still waters of peace. Yet, every so often the oath is taken amidst gathering clouds and raging storms. At these moments, America has carried on not simply because of the skill or vision of those in high office, but because We the People have remained faithful to the ideals of our forbearers, and true to our founding documents.

So it has been. So it must be with this generation of Americans.

That we are in the midst of crisis is now well understood. Our nation is at war, against a far-reaching network of violence and hatred. Our economy is badly weakened, a consequence of greed and irresponsibility on the part of some, but also our collective failure to make hard choices and prepare the nation for a new age. Homes have been lost; jobs shed; businesses shuttered. Our health care is too costly; our schools fail too many; and each day brings further evidence that the ways we use energy strengthen our adversaries and threaten our planet.

These are the indicators of crisis, subject to data and statistics. Less measurable but no less profound is a sapping of confidence across our land - a nagging fear that America's decline is inevitable, and that the next generation must lower its sights.

Today I say to you that the challenges we face are real. They are serious and they are many. They will not be met easily or in a short span of time. But know this, America - they will be met.

On this day, we gather because we have chosen hope over fear, unity of purpose over conflict and discord.

On this day, we come to proclaim an end to the petty grievances and false promises, the recriminations and worn out dogmas, that for far too long have strangled our politics.

We remain a young nation, but in the words of Scripture, the time has come to set aside childish things. The time has come to reaffirm our enduring spirit; to choose our better history; to carry forward that precious gift, that noble idea, passed on from generation to generation: the God-given promise that all are equal, all are free, and all deserve a chance to pursue their full measure of happiness.

In reaffirming the greatness of our nation, we understand that greatness is never a given. It must be earned. Our journey has never been one of short-cuts or settling for less. It has not been the path for the faint-hearted - for those who prefer leisure over work, or seek only the pleasures of riches and fame. Rather, it has been the risk-takers, the doers, the makers of things - some celebrated but more often men and women obscure in their labor, who have carried us up the long, rugged path towards prosperity and freedom.

For us, they packed up their few worldly possessions and traveled across oceans in search of a new life.

For us, they toiled in sweatshops and settled the West; endured the lash of the whip and plowed the hard earth.

For us, they fought and died, in places like Concord and Gettysburg; Normandy and Khe Sahn.

Time and again these men and women struggled and sacrificed and worked till their hands were raw so that we might live a better life. They saw America as bigger than the sum of our individual ambitions; greater than all the differences of birth or wealth or faction.

This is the journey we continue today. We remain the most prosperous, powerful nation on Earth. Our workers are no less productive than when this crisis began. Our minds are no less inventive, our goods and services no less needed than they were last week or last month or last year. Our capacity remains undiminished. But our time of standing pat, of protecting narrow interests and putting off unpleasant decisions - that time has surely passed. Starting today, we must pick ourselves up, dust ourselves off, and begin again the work of remaking America.

For everywhere we look, there is work to be done. The state of the economy calls for action, bold and swift, and we will act - not only to create new jobs, but to lay a new foundation for growth. We will build the roads and bridges, the electric grids and digital lines that feed our commerce and bind us together. We will restore science to its rightful place, and wield technology's wonders to raise health care's quality and lower its cost. We will harness the sun and the winds and the soil to fuel our cars and run our factories. And we will transform our schools and colleges and universities to meet the demands of a new age. All this we can do. And all this we will do.

Now, there are some who question the scale of our ambitions - who suggest that our system cannot tolerate too many big plans. Their memories are short. For they have forgotten what this country has already done; what free men and women can achieve when imagination is joined to common purpose, and necessity to courage.

What the cynics fail to understand is that the ground has shifted beneath them - that the stale political arguments that have consumed us for so long no longer apply. The question we ask today is not whether our government is too big or too small, but whether it works - whether it helps families find jobs at a decent wage, care they can afford, a retirement that is dignified. Where the answer is yes, we intend to move forward. Where the answer is no, programs will end. And those of us who manage the public's dollars will be held to account - to spend wisely, reform bad habits, and do our business in the light of day - because only then can we restore the vital trust between a people and their government.

Nor is the question before us whether the market is a force for good or ill. Its power to generate wealth and expand freedom is unmatched, but this crisis has reminded us that without a watchful eye, the market can spin out of control - and that a nation cannot prosper long when it favors only the prosperous. The success of our economy has always depended not just on the size of our Gross Domestic Product, but on the reach of our prosperity; on our ability to extend opportunity to every willing heart - not out of charity, but because it is the surest route to our common good.

As for our common defense, we reject as false the choice between our safety and our ideals. Our Founding Fathers, faced with perils we can scarcely imagine, drafted a charter to assure the rule of law and the rights of man, a charter expanded by the blood of generations. Those ideals still light the world, and we will not give them up for expedience's sake. And so to all other peoples and governments who are watching today, from the grandest capitals to the small village where my father was born: know that America is a friend of each nation and every man, woman, and child who seeks a future of peace and dignity, and that we are ready to lead once more.

Recall that earlier generations faced down fascism and communism not just with missiles and tanks, but with sturdy alliances and enduring convictions. They understood that our power alone cannot protect us, nor does it entitle us to do as we please. Instead, they knew that our power grows through its prudent use; our security emanates from the justness of our cause, the force of our example, the tempering qualities of humility and restraint.

We are the keepers of this legacy. Guided by these principles once more, we can meet those new threats that demand even greater effort - even greater cooperation and understanding between nations. We will begin to responsibly leave Iraq to its people, and forge a hard-earned peace in Afghanistan. With old friends and former foes, we will work tirelessly to lessen the nuclear threat, and roll back the specter of a warming planet. We will not apologize for our way of life, nor will we waver in its defense, and for those who seek to advance their aims by inducing terror and slaughtering innocents, we say to you now that our spirit is stronger and cannot be broken; you cannot outlast us, and we will defeat you.

For we know that our patchwork heritage is a strength, not a weakness. We are a nation of Christians and Muslims, Jews and Hindus - and non-believers. We are shaped by every language and culture, drawn from every end of this Earth; and because we have tasted the bitter swill of civil war and segregation, and emerged from that dark chapter stronger and more united, we cannot help but believe that the old hatreds shall someday pass; that the lines of tribe shall soon dissolve; that as the world grows smaller, our common humanity shall reveal itself; and that America must play its role in ushering in a new era of peace.

To the Muslim world, we seek a new way forward, based on mutual interest and mutual respect. To those leaders around the globe who seek to sow conflict, or blame their society's ills on the West - know that your people will judge you on what you can build, not what you destroy. To those who cling to power through corruption and deceit and the silencing of dissent, know that you are on the wrong side of history; but that we will extend a hand if you are willing to unclench your fist.

To the people of poor nations, we pledge to work alongside you to make your farms flourish and let clean waters flow; to nourish starved bodies and feed hungry minds. And to those nations like ours that enjoy relative plenty, we say we can no longer afford indifference to suffering outside our borders; nor can we consume the world's resources without regard to effect. For the world has changed, and we must change with it.

As we consider the road that unfolds before us, we remember with humble gratitude those brave Americans who, at this very hour, patrol far-off deserts and distant mountains. They have something to tell us today, just as the fallen heroes who lie in Arlington whisper through the ages. We honor them not only because they are guardians of our liberty, but because they embody the spirit of service; a willingness to find meaning in something greater than themselves. And yet, at this moment - a moment that will define a generation - it is precisely this spirit that must inhabit us all.

For as much as government can do and must do, it is ultimately the faith and determination of the American people upon which this nation relies. It is the kindness to take in a stranger when the levees break, the selflessness of workers who would rather cut their hours than see a friend lose their job which sees us through our darkest hours. It is the firefighter's courage to storm a stairway filled with smoke, but also a parent's willingness to nurture a child, that finally decides our fate.

Our challenges may be new. The instruments with which we meet them may be new. But those values upon which our success depends - hard work and honesty, courage and fair play, tolerance and curiosity, loyalty and patriotism - these things are old. These things are true. They have been the quiet force of progress throughout our history. What is demanded then is a return to these truths. What is required of us now is a new era of responsibility - a recognition, on the part of every American, that we have duties to ourselves, our nation, and the world, duties that we do not grudgingly accept but rather seize gladly, firm in the knowledge that there is nothing so satisfying to the spirit, so defining of our character, than giving our all to a difficult task.

This is the price and the promise of citizenship.

This is the source of our confidence - the knowledge that God calls on us to shape an uncertain destiny.

This is the meaning of our liberty and our creed - why men and women and children of every race and every faith can join in celebration across this magnificent mall, and why a man whose father less than sixty years ago might not have been served at a local restaurant can now stand before you to take a most sacred oath.

So let us mark this day with remembrance, of who we are and how far we have traveled. In the year of America's birth, in the coldest of months, a small band of patriots huddled by dying campfires on the shores of an icy river. The capital was abandoned. The enemy was advancing. The snow was stained with blood. At a moment when the outcome of our revolution was most in doubt, the father of our nation ordered these words be read to the people:

"Let it be told to the future world...that in the depth of winter, when nothing but hope and virtue could survive...that the city and the country, alarmed at one common danger, came forth to meet [it]."

America. In the face of our common dangers, in this winter of our hardship, let us remember these timeless words. With hope and virtue, let us brave once more the icy currents, and endure what storms may come. Let it be said by our children's children that when we were tested we refused to let this journey end, that we did not turn back nor did we falter; and with eyes fixed on the horizon and God's grace upon us, we carried forth that great gift of freedom and delivered it safely to future generations.

Thank you. God bless you and God bless the United States of America.


◆危機への決意◆

市民の皆さん。私は今日、我々の前にある職務に対して厳粛な気持ちを抱き、あなた方から与えられた信頼に感謝し、我々の祖先が支払った犠牲を心に留めながら、ここに立っている。私は、ブッシュ大統領の我が国への奉仕、並びに大統領がこの政権移行期間に示した寛容さと協力に感謝する。

これで44人の米国人が大統領就任宣誓を行った。宣誓は、繁栄の高まりのときや、平和で静かなときに行われたこともあった。しかし、しばしば、宣誓は、暗雲が垂れこめるときや荒れ狂う嵐のときに行われた。こうした時、米国は、指導者たちの技量や理念だけに頼ることなく、我々人民が祖先の理想に忠実で、建国の文言に正直であることによって、乗り切ってきた。

ずっとそうやってきた。この世代の米国人も同様にしなければならない。

我々が危機の最中にいることは、現在では明白だ。我々の国家は、暴力と憎悪の広範なネットワークを相手に戦争を行っている。我々の経済は、ひどく弱体化している。一部の者の強欲と無責任の結果であるだけでなく、厳しい決断をすることなく、国家を新しい時代に適合させそこなった我々全員の失敗の結果である。家は失われ、職はなくなり、ビジネスは台無しになった。我々の健康保険制度は金がかかり過ぎる。荒廃している我々の学校はあまりにも多い。さらに、我々のエネルギーの消費のしかたが、我々の敵を強化し、我々の惑星を脅かしているという証拠が、日増しに増え続けている。

これらは、データと統計に基づく危機の指標だ。予測は困難だが、間違いなく深刻なのは、我々の国土に広がる自信の喪失や、米国の凋落(ちょうらく)は避けがたく、次の世代はうなだれて過ごさなければならないというぬぐいがたい恐怖だ。

今日、私はあなた方に告げる。我々が直面している試練は本物だ。試練は深刻で数多い。試練は容易に、または、短い時間で対処できるものではない。しかし、米国よ、わかってほしい。これらの試練は対処されるだろう。

この日、我々は、恐怖ではなく希望を、紛争と不一致ではなく目標の共有を選んだため、ここに集った。

この日、我々は、我々の政治をあまりにも長い間阻害してきた、ささいな不満や偽りの約束、非難や言い古された定説を終わらせることを宣言する。

◆国家の偉大さ◆

我々の国はまだ若いが、聖書の言葉には、子どもじみたことをやめるときが来たとある。我々の忍耐に富んだ精神を再確認し、より良い歴史を選び、貴重な才能と、世代から世代へと引き継がれてきた尊い考えを発展させるときが来た。尊い考えというのは、すべての人は平等で、自由で、あらゆる手段により幸福を追求する機会を与えられるという、神からの約束のことである。

我々の国の偉大さを再確認するとき、我々は、偉大さが決して与えられたものではないことに気づく。それは勝ち取らなければならないのだ。我々の旅は、近道でも安易なものでもなかった。我々の旅には、仕事より娯楽を好み、富と名声の喜びだけを望むような、臆病者のための道筋はなかった。むしろ、我々の旅は、危機に立ち向かう者、仕事をする者、創造をしようとする者のためのものだ。それらの人々は、著名な人たちというより、しばしば、無名の働く男女で、長い、でこぼこした道を繁栄と自由を目指し、我々を導いてきた人々だ。

我々のために、彼らは、わずかな財産をまとめ、新たな生活を求めて大洋を旅した。

我々のために、彼らは、劣悪な条件でせっせと働き、西部に移住し、むち打ちに耐えながら、硬い大地を耕した。

我々のために、彼らは、(独立戦争の戦場)コンコードや(南北戦争の)ゲティスバーグ、(第2次大戦の)ノルマンディーや(ベトナム戦争の)ケサンのような場所で戦い、死んだ。

しばしば、これらの男女は、我々がより良い生活を送れるように、手の皮がすりむけるまで、もがき、犠牲になり、働いた。彼らは米国を、個人の野望を合わせたものより大きく、生まれや富や党派のすべての違いを超えるほど、偉大であると考えていた。

◆米国を作り直そう◆

これが今日、我々が続けている旅なのだ。米国は依然として地球上で最も繁栄し、力強い国だ。我々の労働者は今回危機が始まった時と同様、生産性は高い。我々は相変わらず創意に富み、我々が生み出す財やサービスは先週や先月、昨年と同様、必要とされている。能力も衰えていない。しかし、同じ手を用いるだけで、狭い利益にこだわり、面倒な決定を先送りする、そんな時代は確実に終わった。今日から我々は立ち上がり、ほこりを払って、米国を作り直す仕事に取りかかろう。

なすべき仕事は至る所にある。米国経済は、大胆かつ迅速な行動を求めている。そして我々は新規の雇用創出のみならず、新たな成長の礎を整えることができる。道路や橋を造り、電線やデジタル通信網を敷き、商業を支え、我々を一つに結び付ける。科学を本来あるべき地位に戻し、医療の質を引き上げながら、そのコストは減らす。太陽、風や土壌を利用して自動車を動かし、工場を動かす。新時代の要請に合うよう学校や単科大、大学を変えていく。我々はすべてのことを成し遂げられるし、行っていく。

我々の野望の大きさについて疑念を抱く人がいる。我々のシステムは多くの大きな計画に耐えられないと指摘する人もいる。だが、彼らは忘れている。彼らはこの国が何を成し遂げたかを忘れている。想像力が共通の目的と出合った時、必要が勇気と結びついた時、自由な男女が何を達成できるかを忘れているのだ。

皮肉屋が理解できないのは、彼らがよって立つ地面が動いたということだ。長い間、我々を疲れさせてきた陳腐な政治議論はもはや通用しない。我々が今日問うべきなのは、政府の大小ではなく、政府が機能するか否かだ。家族が人並みの給与の仕事を見つけたり、負担できる(医療)保険や、立派な退職資金を手に入れることの助けに、政府がなるかどうかだ。答えがイエスの場合は、その施策を前進させる。ノーならば終わりとなる。公的資金を管理する者は適切に支出し、悪弊を改め、誰からも見えるように業務を行う。それによって初めて、国民と政府の間に不可欠な信頼を回復できる。

問うべきなのは、市場の良しあしでもない。富を作り自由を広げる市場の力に比肩するものはない。だが、今回の(経済)危機は、監視がなければ、市場は統制を失い、豊かな者ばかりを優遇する国の繁栄が長続きしないことを我々に気づかせた。我々の経済の成功はいつも、単に国内総生産(GDP)の大きさだけでなく、我々の繁栄が広がる範囲や、機会を求めるすべての人に広げる能力によるものだった。慈善としてではなく、公共の利益に通じる最も確実な道としてだ。

◆我々の安全とは◆

我々の共通の防衛については、安全と理想とを天秤(てんびん)にかけるという誤った選択を拒否する。我々の想像を超える危機に直面した建国の父たちは、法の支配と国民の権利を保障する憲章を起案した。憲章は、何世代もの犠牲によって拡充された。これらの理想は、今日でも世界を照らしており、我々は都合次第で手放したりはしない。今日(の就任式を)見ている他国の国民や政府ら。巨大都市から私の父が生まれた小さな村まで。米国が平和と尊厳の未来を求めるすべての国々、すべての男女と子供の友人であり、我々がもう一度、指導力を発揮していく用意があると、知ってほしい。

前の世代は、ファシズムや共産主義と、ミサイルや戦車だけではなく、強固な同盟と強い信念を持って対峙(たいじ)したことを思い出してほしい。彼らは、我々の力だけでは我々を守れず、好きに振る舞う資格を得たのではないことも理解していた。代わりに、慎重に使うことで力が増すことを理解していた。我々の安全は、大義の正当性や模範を示す力、謙虚さ、自制心からいずるものだ。

我々は、この遺産の番人だ。こうした原則にもう一度導かれることで、我々は、一層の努力や、国家間の一層の協力や理解が求められる新たな脅威に立ち向かうことができる。我々は、責任ある形で、イラクをイラク国民に委ね、苦労しながらもアフガニスタンに平和を築き始めるだろう。古くからの友やかつての敵とともに、核の脅威を減らし、地球温暖化を食い止めるためたゆまず努力するだろう。

◆変わる世界◆

我々は、我々の生き方について謝らないし、それを守ることを躊躇(ちゅうちょ)しない。テロを引き起こし、罪のない人を殺すことで目的の推進を図る人々よ、我々は言う。我々の精神は今、より強固であり、壊すことはできないと。あなたたちは、我々より長く生きることはできない。我々は、あなたたちを打ち破るだろう。

我々のつぎはぎ細工の遺産は強みであって、弱みではない。我々は、キリスト教徒やイスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、それに神を信じない人による国家だ。我々は、あらゆる言語や文化で形作られ、地球上のあらゆる場所から集まっている。

我々には、南北戦争や人種隔離の苦い経験があり、その暗い時代から出てきて、より強く、より団結するようになった。我々は信じている。古くからある憎しみはいつかなくなり、民族を隔てる線も消えると。世界が小さくなる中で、我々に共通の人間愛が現れることになると。米国が、平和な新しい時代の先駆けの役割を果たさねばならないと。

イスラム世界よ、我々は、相互理解と尊敬に基づき、新しく進む道を模索する。紛争の種をまいたり、自分たちの社会の問題を西洋のせいにしたりする世界各地の指導者よ、国民は、あなた方が何を築けるかで判断するのであって、何を破壊するかで判断するのではないことを知るべきだ。腐敗や欺き、さらには異議を唱える人を黙らせることで、権力にしがみつく者よ、あなたたちは、歴史の誤った側にいる。握ったこぶしを開くなら、我々は手をさしのべよう。

貧しい国の人々よ、我々は誓う。農場に作物が実り、きれいな水が流れ、飢えた体に栄養を与え、乾いた心を満たすため、ともに取り組むことを。我々と同じように比較的満たされた国々よ、我々が国境の向こう側の苦悩にもはや無関心でなく、影響を考慮せず世界の資源を消費することもないと言おう。世界は変わった。だから、我々も世界と共に変わらなければならない。

我々の前に広がる道について考える時、今この瞬間にもはるかかなたの砂漠や遠くの山々をパトロールしている勇敢な米国人たちに、心からの感謝をもって思いをはせる。彼らは、アーリントン(国立墓地)に横たわる亡くなった英雄たちが、時代を超えてささやくように、我々に語りかけてくる。我々は彼らを誇りに思う。それは、彼らが我々の自由を守ってくれているからだけではなく、奉仕の精神、つまり、自分自身よりも大きい何かの中に進んで意味を見いだす意思を体現しているからだ。これこそが時代を決するこの時に、我々すべてが持たねばならない精神だ。

◆新しい責任の時代◆

政府はやれること、やらなければならないことをやるが、詰まるところ、わが国がよって立つのは国民の信念と決意である。堤防が決壊した時、見知らぬ人をも助ける親切心であり、暗黒の時に友人が職を失うのを傍観するより、自らの労働時間を削る無私の心である。我々の運命を最終的に決めるのは、煙に覆われた階段を突進する消防士の勇気であり、子どもを育てる親の意思である。

我々の挑戦は新しいものかもしれない。我々がそれに立ち向かう手段も新しいものかもしれない。しかし、我々の成功は、誠実や勤勉、勇気、公正、寛容、好奇心、忠実、愛国心といった価値観にかかっている。これらは、昔から変わらぬ真実である。これらは、歴史を通じて進歩を遂げるため静かな力となってきた。必要とされるのは、そうした真実に立ち返ることだ。

我々に求められているのは、新しい責任の時代に入ることだ。米国人一人ひとりが自分自身と自国、世界に義務を負うことを認識し、その義務をいやいや引き受けるのではなく喜んで機会をとらえることだ。困難な任務に我々のすべてを与えることこそ、心を満たし、我々の個性を示すのだ。

これが市民の代償であり約束なのだ。これが我々の自信の源なのだ。神が、我々に定かではない運命を形作るよう命じているのだ。

これが我々の自由と信条の意味なのだ。なぜ、あらゆる人種や信条の男女、子どもたちが、この立派なモールの至る所で祝典のため集えるのか。そして、なぜ60年足らず前に地元の食堂で食事することを許されなかったかもしれない父親を持つ男が今、最も神聖な宣誓を行うためにあなたの前に立つことができるのか。

◆自由を未来へ◆

だから、我々が誰なのか、どれほど長い旅をしてきたのか、その記憶とともにこの日を祝おう。米国誕生の年、酷寒の中で、愛国者の小さな一団は、氷が覆う川の岸辺で、消えそうなたき火の傍らに身を寄せ合った。首都は見捨てられた。敵は進軍してきた。雪は血で染まった。我々の革命の結末が最も疑わしくなった時、我が国の祖は、この言葉を人々に読むよう命じた。

「酷寒の中、希望と美徳しか生き残ることができない時、共通の脅威に気づいた町も田舎もそれに立ち向かうために進み出た、と未来の世界で語られるようにしよう」

アメリカよ。我々自身が共通の脅威に直面している時に、我々自身の苦難の冬に、時を超えたこれらの言葉を思い出そう。希望と美徳を抱き、このいてつく流れに再び立ち向かい、どんな嵐が訪れようとも耐えよう。

そして、我々の子孫に言い伝えられるようにしようではないか。我々が試された時、旅を終わらせることを拒み、後戻りすることも、くじけることもなかった、と。そして、地平線と、神の慈しみをしっかりと見つめ、自由という偉大な贈り物を運び、未来の世代に無事に届けた、と。

ありがとう。神の祝福が皆さんにあらんことを。そして、神の祝福がアメリカ合衆国にあらんことを。

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2009年1月20日 (火)

就任式を迎えた米国オバマ新大統領への期待が高まる

各メディアがこぞって米国の第44代オバマ新大統領の就任式を報じています。リンカーン元大統領の故事にならって列車でワシントン入りしたとか、これもリンカーン元大統領の使った聖書で宣誓式を執り行うとか報じられています。私のこのマイナーなブログで詳細を書いても仕方ありませんから、別の角度から取り上げたいと思います。それは、NewYork Times のサイトで報じられていた New York Times / CBS News Poll の結果です。同じサイトから引用した結果は以下のグラフの通りです。

New York Times / CBS News Poll

2008年4月時点と2009年1月時点の結果を並べたもので、左上は5年前に比べて米国が改善しているかどうか、右上は逆に5年後はどうか、左下は仕事 (job) の観点から、米国の最良の時期が過ぎたか、これから来るのか、最後に、右下は経済が悪い状況にあると考える回答の割合です。左上の過去を振り返る見方と右下のグラフを除いて、明らかに、右上と左下のグラフから、2008年4月の時点から現時点で先行きに明るい見方が増えていることを表しているように私は受け止めています。

知っている人も多いと思いますが、NewYork Times では昨年のノーベル経済学賞に輝いたクルーグマン教授が隔週でコラムを書いています。昨年11月の米国大統領選挙直後のコラムは "Franklin Delano Obama?" と題したコラムでした。言うまでもなく、オバマ新大統領をニューディール政策を実行したローズベルト元大統領になぞらえた内容です。ですから、エコノミストの多くは、南北戦争後の白人と黒人の融和に努めたリンカーン元大統領の政治的手腕よりも、ローズベルト元大統領の経済手腕をオバマ新大統領に期待しているように見受けられます。私もその1人です。

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2009年1月19日 (月)

米国の景気回復と日本の基礎的財政収支

週末に大学入試センター試験があったりして、少し遅れましたが、今夜は先週金曜日1月16日に発表された日米の資料を取り上げたいと思います。まず、米国の大統領経済報告が米国議会に提出されました。もちろん英文で400ページを超える膨大なリポートですから、全部を読んだわけではないんですが、先行き見通しはかなり楽観的といえます。ブッシュ政権最後の経済見通しは以下の通りです。リポートの pp.54 から引用しています。

Administration Economic Forecast

第4四半期対比で、経済成長率は2008年の▲0.2%のマイナス成長から2009年には+0.6%、2010-11年には+5.0%に急回復する一方で、雇用は2009年平均で毎月▲23.5万人の非農業部門雇用者が減少し、失業率は7.7%に達すると見込んでいます。消費者物価は2%前後の安定と呼べる範囲で推移するのは大雑把にコンセンサスがあるような気もします。なお、2008年夏以降の金融危機については、そのルーツは1990年代末にあると、クリントン大統領時代に責任転嫁しているとも読める姿勢を示し、アジアや中東など海外の経常収支黒字国から安価な資金の大量流入が住宅ブームを招いたのが根本原因であるとして、これまた、責任転嫁の姿勢が垣間見えたりします。いずれにせよ、明日には新しい大統領が就任式を迎えるわけですから、注目度が低いのはいうまでもありません。

国・地方の基礎的財政収支 (対名目GDP比)

これに対して、日本の財政収支はかなりの程度に世界景気の回復に依存しているようです。これも16日の金曜日に開催された経済財政諮問会議の資料から、上のグラフは国・地方の基礎的財政収支 (対名目GDP比) です。水色が世界経済が急回復するケースで、上の方の折れ線グラフは歳出削減幅が14.3兆円と大きかったり、社会保障を名目で横ばいに据え置いたりしたケースで、下の折れ線は歳出削減幅が11.4兆円で社会保障を物価上昇に合わせて引き上げるケースです。上下のレンジは同じで、黄色が世界経済の回復がそれなりに順調なケース、ピンクは世界経済が底ばいするケースです。上にリンクを張ったリポートに詳しい前提があります。いずれにせよ、世界経済が急回復するとしても、2010年代半ばまでは基礎的財政収支がバランスしないとの試算結果になっています。底ばいケースでは一向に好転しなさそうに見えます。

"The Sustainability of Fiscal Policy in the United States" と題するカリフォルニア大学サンタ・バーバラ校のボーン教授のペーパーで示された財政のサステイナビリティに関する検定に従えば、直感的に言って、基礎的財政収支がマイナスの赤字であっても、その赤字幅が減少しているのであれば、財政はサステイナブルであるとしています。私は慶應義塾大学経済学部の土居准教授がボーン教授の検定に従った推計をしているペーパーも読んだことがあります。それは別にして、極めて大雑把に言って、上のグラフが右上がりになっていないと、ボーン教授の定義による財政のサステイナビリティは満たさないわけで、かなりの程度、日本財政のサステイナビリティは世界経済の動向に依存しているようです。

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2009年1月18日 (日)

国連ミレニアム開発目標

このところ、開発経済学を少し勉強し始めています。どうということはないんですが、国連ミレニアム開発目標 (Millennium Development Goals) を表に取りまとめてみました。

GOALS and TARGETSINDICATORS
Goal 1: Eradicate extreme poverty and hunger
Target 1
Halve, between 1990 and 2015, the proportion of people whose income is less than one dollar a day.
1. Proportion of population below $1 (1993 PPP) per day
2. Poverty gap ratio (incidence x depth of poverty)
3. Share of poorest quintile in national consumption
Target 2
Halve, between 1990 and 2015, the proportion of people who suffer from hunger.
4. Prevalence of underweight children under five years of age
5. Proportion of population below minimum level of dietary energy consumption
Goal 2: Achieve universal primary education
Target 3
Ensure that, by 2015, children everywhere, boys and girls alike, will be able to complete a full course of primary schooling.
6. Net enrolment ratio in primary education
7. Proportion of pupils starting grade 1 who reach grade 5
8. Literacy rate of 15-24 year-olds
Goal 3: Promote gender equality and empower women
Target 4
Eliminate gender disparity in primary and secondary education, preferably by 2005, and in all levels of education no later than 2015.
 9. Ratio of girls to boys in primary, secondary and tertiary education
10. Ratio of literate women to men, 15-24 years old
11. Share of women in wage employment in the non-agricultural sector
12. Proportion of seats held by women in national parliament
Goal 4: Reduce child mortality
Target 5
Reduce by two thirds, between 1990 and 2015, the under-five mortality rate.
13. Under-five mortality rate
14. Infant mortality rate
15. Proportion of 1 year-old children immunized against measles
Goal 5: Improve maternal health
Target 6
Reduce by three quarters, between l990 and 2015, the maternal mortality ratio.
16. Maternal mortality ratio
17. Proportion of births attended by skilled health personnel
Goal 6: Combat HIV/AIDS, malaria and other diseases
Target 7
Have halted by 2015 and begun to reverse the spread of HIV/AIDS
18. HIV prevalence among pregnant women aged 15-24 years
19. Condom use rate of the contraceptive prevalence rate
20. Ratio of school attendance of orphans to school attendance of non-orphans aged 10-14 years
Target 8
Have halted by 2015 and begun to reverse the incidence of malaria and other major diseases.
21. Prevalence and death rates associated with malaria
22. Proportion of population in malaria-risk areas using effective malaria prevention and treatment measures
23. Prevalence and death rates associated with tuberculosis
24. Proportion of tuberculosis cases detected and cured under DOTS (internationally recommended TB control strategy)
Goal 7: Ensure environmental sustainability
Target 9
Integrate the principles of sustainable development into country policies and programmes and reverse the loss of environmental resources.
25. Proportion of land area covered by forest
26. Ratio of area protected to maintain biological diversity to surface area
27. Energy use (kg oil equivalent) per $1,000 GDP (PPP)
28. Carbon dioxide emissions per capita and consumption of ozone-depleting CFCs (ODP tons)
29. Proportion of population using solid fuels
Target 10
Halve, by 2015, the proportion of people without sustainable access to safe drinking water and sanitation.
30. Proportion of population with sustainable access to an improved water source, urban and rural
31. Proportion of population with access to improved sanitation, urban and rural
Target 11
By 2020, to have achieved a significant improvement in the lives of at least 100 million slum dwellers
32. Proportion of households with access to secure tenure
Goal 8: Develop a global partnership for development
Target 12
Develop further an open, rule-based, predictable, non-discriminatory trading and financial system.
Includes a commitment to good governance, development and poverty reduction — both nationally and internationally

Target 13
Address the special needs of the least developed countries.
Includes: tariff- and quota-free access for least developed countries' exports; enhanced programme of debt relief for heavily indebted poor countries (HIPC) and cancellation of official bilateral debt; and more generous ODA for countries committed to poverty reduction

Target 14
Address the special needs of landlocked developing countries and small island developing states (through the Programme of Action for the Sustainable Development of Small Island Developing States and the outcome of the twenty-second special session of the General Assembly)

Target 15
Deal comprehensively with the debt problems of developing countries through national and international measures in order to make debt sustainable in the long term
Some of the indicators listed below are monitored separately for the least developed countries (LDCs), Africa, landlocked developing countries (LLDCs) and small island developing states (SIDS)

Official Development Assistance(ODA)
33. Net ODA, total and to LDCs, as percentage of OECD/Development Assistance Committee (DAC) donors' gross national income (GNI)
34. Proportion of total bilateral, sector-allocable ODA of OECD/DAC donors to basic social services (basic education, primary health care, nutrition, safe water and sanitation)
35. Proportion of bilateral ODA of OECD/DAC donors that is untied
36. ODA received in landlocked developing countries as a proportion of their GNIs
37. ODA received in small island developing states as proportion of their GNIs

Market Access
38. Proportion of total developed country imports (by value and excluding arms) from developing countries and from LDCs, admitted free of duty
39. Average tariffs imposed by developed countries on agricultural products and textiles and clothing from developing countries
40. Agricultural support estimate for OECD countries as percentage of their GDP
41. Proportion of ODA provided to help build trade capacity

Debt Sustainability
42. Total number of countries that have reached their Heavily Indebted Poor Countries Initiative (HIPC) decision points and number that have reached their HIPC completion points (cumulative)
43. Debt relief committed under HIPC initiative
44. Debt service as a percentage of exports of goods and services
Target 16
In cooperation with developing countries, develop and implement strategies for decent and productive work for youth.
45. Unemployment rate of young people aged 15-24 years, each sex and total
Target 17
In cooperation with pharmaceutical companies, provide access to affordable essential drugs in developing countries.
46. Proportion of population with access to affordable essential drugs on a sustainable basis
Target 18
In cooperation with the private sector, make available the benefits of new technologies, especially information and communications.
47. Telephone lines and cellular subscribers per 100 population
48. Personal computers in use per 100 population and Internet users per 100 population

世界経済が悪化の一途をたどり、先進国経済も沈没しかけている今こそ、世界の貧困絶滅に向けて努力すべき時だという気がしています。ダメージは最貧国 (LLDC) の方が先進諸国より大きいと考えられるからです。エコノミストとして、何が出来るのかを考えたいと思います。

それにしても、このところ、何となく、html でテーブルを組むのに熱心になっていたりします。

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2009年1月17日 (土)

大学入試センター試験が始まる

今日から大学入試センター試験が始まりました。明日までの2日間です。朝日新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

本格的な受験シーズンの到来を告げる大学入試センター試験が17日、全国738の会場で始まった。志願者数は前年より596人多い54万3981人。18日までの2日間、6教科28科目の試験が実施される。初日は公民、地理歴史、国語のほか、毎年トラブルが相次いでいる英語のリスニングを含む外国語がある。
過去最多の797大学・短大がセンター試験を利用。志願者の内訳は、高校などの現役生が43万1263人(全体の79.3%)、既卒者10万6133人(19.5%)、高校卒業程度認定試験の合格者ら6585人(1.2%)となっている。今春、高校などを卒業予定の人のうちどれぐらいが志願したかを示す「現役志願率」は、初めて4割を超えて40.4%となった。
平均点の中間発表は21日、得点調整の有無の発表は23日の予定。

それにしても、30代の若い准教授はセンター試験を受験した経験者ですし、私くらいのアラウンド・フィフティー以上の教授陣はセンター試験の前身である共通一次すら受験していないんでしょうが、教員としては監督の経験があります。受験したことも監督したこともないのは私くらいのものだったかもしれません。もちろん、私も大学教員になったんですから、入学者選抜の重要性は理解しているつもりです。それにしても、大学教授とは授業や何やで立ち仕事が多いと分かってはいるものの、ほぼ、今日は1日中の立ち仕事でした。でも、長崎はいいお天気でしたし、英語のリスニングを含めて大したトラブルもなく第1日目が終了して何よりでした。
大学の正門では、おそらく、高校や予備校なんかから大勢が応援に駆けつけていました。受験生は制服姿が多かったような気がします。長崎ローカルの人であれば見分けがつくのかもしれません。私には分かりませんでした。昼休みなんかには、同じ制服でベンチや教室で集まって昼食を取ったりしていました。ペチャペチャと明るくおしゃべりをしているグループもあれば、トイレを待つ列に並んでいても真剣にノートやテキストに目を通す受験生も目立ちました。今後の人生の一定の方向性を決めかねないんですから当然です。我々監督の方も真剣そのものです。緊張しました。こんなことを言っても、何の足しにもなりませんが、受験生が大変なのは言うまでもないものの、監督する大学教員の方も大変なんです。受験生よりも早く会場に到着して、遅く出ます。私なんかからすれば、受験生以上の緊張感だったりします。取りあえず、大きなトラブルなく第1日が終了してホッとしています。

何はともあれ、
がんばれ受験生!

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2009年1月16日 (金)

大学生の就職先人気企業ランキングから産業別の景気を考える

本題に入る前に、欧州中央銀行 (ECB) が政策金利であるレポレートを50ベーシス引き下げて2.0%にしました。いずこも同じ金融緩和です。下のグラフは "Financial Times" のサイトから引用しています。

Eurozone interest rates

さて、本題に入って、今週1月13日にダイヤモンド・ビッグ&リード社から「大学生が選んだ人気企業ランキング2009!」が発表されました。大学生に日本経済論を教える身としては、いろんな意味で気にかかるところです。まずは、男女別かつ文系理系別の人気企業ランキングのトップテンは以下の通りです。

文系・男子
順位企業名
200920082007
111三菱商事
234三井物産
323三菱東京UFJ銀行
444住友商事
5710三井住友銀行
6109パナソニック
757東京海上日動火災保険
866丸紅
985伊藤忠商事
101414野村證券
理系・男子
順位企業名
200920082007
122パナソニック
239ソニー
3410シャープ
4107住友商事
555三菱商事
593三井物産
776野村総合研究所
811日立製作所
988キヤノン
10114東芝
文系・女子
順位企業名
200920082007
157ベネッセコーポレーション
213東京海上日動火災保険
3611ジェイティービー (JTB)
421三菱東京UFJ銀行
5813三井住友銀行
6923資生堂
71527オリエンタルランド
81615丸紅
932全日本空輸 (ANA)
1045三菱商事
理系・女子
順位企業名
200920082007
1117資生堂
21923明治製菓
321パナソニック
474サントリー
51919森永製菓
667ロッテ
7-27住友商事
8--旭化成グループ
91514武田薬品工業
1022-富士フイルム
101212コーセー
引用元のダイヤモンド・ビッグ&リード社のサイトにもあるんですが、大手企業・安定企業志向がより鮮明になっているようです。言うまでもなく、30年前は私も文系の男子の大学生でしたから、女子学生、特に、理系の女子学生についてはよく分からないんですが、食品会社が見受けられるのは、男子の理学部や工学部と違って、女子の理系は食物科なんかが多いんだろうと想像しています。男子学生の場合、文系・理系ともに総合商社の人気が高くなっていて、これに加えて、文系では大手金融機関、理系では大手電機メーカーに人気が集まっているような気がします。 なお、サイトでは文系・男子は150位まで、理系・男子と文系・女子は100位まで、理系・女子は30位までのランキングが pdf ファイルでダウンロード出来るようになっています。10位までのランキングでも明らかなんですが、もっと長いランキングを見ても、トヨタやホンダといった自動車会社の凋落振りが激しいことが分かります。昨年のランキングではトヨタは文系・男子で20位、理系・男子では6位だったんですが、今年は53位と23位に大きくランキングを落としていたりします。現在の経済環境下では、もうすぐ、電機会社の人気も落ちそうな報道も見かけたりします。言うまでもありませんが、各産業界の景気を如実に反映しているような気がします。ただし、人気企業ランキングですから明示的には入りようがないんでしょうが、就職先として考えた場合、公務員の人気が上昇しているような気もしないでもありません。それにしては、公務員試験委員も経験した私のゼミに学生の集まりが悪いので、力不足を感じてしまいます。また、昨年9月半ばのリーマン・ショック以降、ここ2-3か月で世界経済は大きく様変わりしましたが、日本については金融会社が人気を保っているのは理由のあることかもしれません。でも、やっぱり、外資系金融機関の人気は落ちているような気もします。

最後に、これまた本題とは関係ない話題で、米国のメディアは NY のラガーディア空港を飛び立った US エアウェイズの飛行機がハドソン川に不時着したニュースで持切りです。155人の命を救った機長が顔写真入りで紹介されていて、ほとんど英雄になっていたりします。このような事故の際に、寒い中を我が身を省みずに救助に駆けつける米国人のスピリットは敬服すべきものがあるように感じます。もちろん、全部見たわけではありませんが、以下の NBC ニュースのビデオが私の見た中では一番興味深かったです。私も東京と長崎を飛行機で行ったり来たりする身ですので、こういった事故は他人ごとではあり得ません。

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2009年1月15日 (木)

設備投資とGDP成長率の先行きを暗示する機械受注統計

本日、内閣府から昨年11月の機械受注統計調査報告が発表されました。事前の市場コンセンサスでも2ケタ近い減少を予想していましたが、コア機械受注と呼ばれる船舶と電力を除く民需の季節調整済み前月比で見て▲16.2%減と大幅な悪化を示しました。機械設備に対する需要の加速度的な減退が示されたことから、内閣府では基調判断を3か月ぶりに下方修正し、前月までの「減少している」から「大幅に減少している」と変更しました。いつものグラフは以下の通りです。左軸の単位は兆円です。

機械受注統計

ついでながら、日経新聞朝日新聞で取り上げられていた日本工作機械工業会のデータではなく、日本工作機械販売協会のデータなんですが、工作機械に限った受注は以下のグラフの通りです。この1年でほぼ半減といったところでしょうか。

工作機械受注統計

特徴としては、要するに、最近の経済指標は押し並べてそうなんですが、すべての製造業が軒並み悪いということです。需要先別の季節調整済みの前月比で見て、一応、非製造業としては、通信の+23.9%増や金融保険の+42.2%増などが下支えとなってプラスを維持しているものの、製造業はほぼ全滅で、電気機械の▲18.8%減、自動車の▲33.6%減などの主力輸出セクターの加工組立て型産業に加えて、化学の▲54.7%減、石油石炭の▲54.7%減、鉄鋼の▲52.9%など、資源高に支えられて比較的堅調に推移して来た素材関連セクターも急減しています。
どうしてそうなったのかというと、輸出や国内需要の急速な減少により後ろ向きの意図せざる在庫が積み上がって来ていて、輸出向けをはじめとする国内の生産が大きく減少するとともに企業収益が急速に悪化していることから、日銀短観などでも示されている通り、設備の過剰感が急速に高まって来ているからです。雇用の過剰感については、年末から年始にかけて、派遣労働者や期間工の「派遣切り」や「雇い止め」といった言葉が報道にあふれて明らかになっていますが、機械設備の方でも同じ状況になっているわけです。
この結果、昨年7-9月期に続いて、10-12月期も機械受注は2四半期連続で2ケタ減となる公算が非常に高く、それどころか、今年1-3月期もさらに大きな2ケタ減が続くんではないかと私は考えています。ということは、機械受注はGDPコンポーネントの設備投資の先行指標ですから、私が従来から主張している通り、今年年央まで設備投資はマイナスが続き、GDP成長率も年央くらいまで、ひょっとしたら、5-6四半期連続でマイナス成長が続く可能性があります。しかも、この機械設備のストック調整はグローバルなレベルで見て、まだ始まったばかりであり、底は全く見えません。今年年央以降も設備投資のマイナスが続く可能性も排除できません。今年前半が景気の底の中でも最も暗い時期であると私は考えていましたが、ひょっとしたら、この先、もっと暗くなるのかもしれないと危惧しています。

最後に、経済の話題を離れて、本日夕刻の選考会において、芥川賞は津村記久子さんの「ポトスライムの舟」に、直木賞は天童荒太さんの『悼む人』と山本兼一さんの『利休にたずねよ』に、それぞれ授賞されることが決まったと報じられています。私が何となく心情的に応援していた恩田陸さんの『きのうの世界』は選に漏れたようです。ひょっとしたら、日を改めて週末にでも取り上げるかもしれません。

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2009年1月14日 (水)

OECD 先行指標とダボス会議資料から世界経済のリスクを探る

今週に入って、経済開発協力機構 (OECD) の先行指標 (OECD Composite Leading Indicators, CLI) が発表されるとともに、ダボス会議を主催する世界経済フォーラム (World Economic Forum) から「グローバルリスク・ネットワーク報告書 2009」が公表されました。後者のリポートはもうすぐ始まるダボス会議のキーノートになるペーパーなんだろうと思います。いずれも、pdf ファイルでリポートがダウンロード出来ますので、以下にリンクを張っておきます。なお、どうでもいいことかもしれませんが、少なくとも、昨年の「グローバルリスク・ネットワーク報告書 2008」は日本語バージョンがありましたので、今年もそのうちに出るのかもしれません。何らご参考まで。

まず、経済協力開発機構 (OECD) の先行指標は以下のグラフの通りです。かなり膨大な情報量ですが、上にリンクを張ったリポートにあるグラフを全て抜き出してみました。

OECD 先行指標

少し大きめの最初の4枚が全 OECD 加盟国、中国、米国、ユーロ圏諸国で、標題は全て "Strong Slowdown" となっています。その後に、日仏独などの主要国のグラフが並んでいます。要するに、新興国の中国、インド、ロシアまで含めて、ほぼ全ての国が "Strong Slowdown" なわけで、唯一例外なのはブラジルで、単なる "Downturn" と表現されています。しかし、ブラジルも含めて、上のグラフにある全ての国が景気後退局面に入っているような影を付けてあります。このグラフは CI ですから、DI と違って水準を見ることも出来るんですが、ブラジルを除いて、ほぼ全ての国で昨年後半から真っ逆さまに落ちているが見て取れます。まさに、世界経済の現状をよく表現していると私は感じています。もちろん、メキシコとかアジアの ASEAN や韓国・台湾などはグラフがありませんし、私もそんなに熱心に観察しているわけではありませんが、先進国・新興国の大部分は同じような経済状況なんだろうと考えています。約80年前の世界大恐慌の際には、社会主義経済体制を取っていた当時のソ連だけはその影響をかなりの程度に免れていたという歴史的事実がありますが、今回の世界不況は例外なしのように見受けられます。デカップリング論は完全に破綻したようです。

Country Exposure to Asset Bubbles and Economic Risks

もう少し世界全体のリスクを考えたのが、世界経済フォーラムの「グローバルリスク・ネットワーク報告書 2009」です。上のグラフの通りで、少し縮小してあるので見づらいかもしれませんが、我が日本はほぼど真ん中に位置しているようです。リポートの pp.5 Figure 5 を引用しています。縦軸に Asset bubble risk が取られていて、横軸は Economic risks となっています。韓国、ベトナム、香港、シンガポール、タイなど東アジア諸国が世界全体の中でも右上にあり、いずれのリスクも大きいことが示唆されています。リポートの最後に "Appendix 1: The Risk Assessment and Risk Barometer" として、経済的リスク10項目、地政学的リスク9項目、環境リスク9項目、社会的リスク5項目、技術的リスク3項目のそれぞれについて、蓋然性 (likelihood)、金額及び人命損失の重大性 (severity) 別に評価がなされています。私は地政学的リスクなどはよく分かりませんので、経済的リスクに着目すると、石油・ガス価格の上昇はリスクとしては大きく減退したものの、6%成長を下回るような中国経済の減速、財政危機の発生、資産価格の崩壊、経済政策が内向きになってグローバル化の恩恵が損なわれる危険などが指摘されています。私が昨年末から盛んに指摘して来た「近隣窮乏化政策」なんかにも、今年のダボス会議では焦点が当てられるのかもしれません。当然です。

実は、昨年まで、私はダボス会議をそんなに重要だとは思っていなかったんですが、世界経済のリスクがこれほどまでに高まると、今年は少し注目してみようかと考えています。

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2009年1月13日 (火)

景気ウォッチャー調査はいつになったら底を打つのか?

本日の午後、内閣府から昨年12月の景気ウォッチャー調査の結果が発表されました。景気の現状判断 DI は11月の 21.0 から、とうとう、15.9 まで落ち込みました。9か月連続の低下です。リーマン・ショック後の10月調査で▲5.4ポイント低下したのには及びませんでしたが、それに続く史上第2位の落込み幅の▲5.1ポイントを記録しました。

景気ウォッチャー調査

もちろん、DI ですから、水準よりも方向性を見るべき指標であることはエコノミストの常識として承知しているものの、今世紀初頭の IT バブル崩壊後の景気後退局面の最低値は2001年10月の 27.2 でしたから、その水準は昨年2008年10月以来ずっと割っているんですが、あまりにも水準が低くなって、ほとんどの国民が「景気が悪い」と感じていることを実感します。また、なぜか11月には少し改善した九州の DI も12月には大きく落ちて、全国と同じようなレベルに達しています。
マインドが大きく悪化しているのは国民一般だけでなく、エコノミストも同じようなもんで、昨日開催された日経新聞主催の新春景気討論会に関して、今日の日経新聞で報じられていましたが、世界経済の現状についてはほぼ全員が非常に厳しい認識を示していました。米国経済の成長率は2009年はマイナスか、よくてゼロ近傍とのコンセンサスでしたし、日本経済についても、今年いっぱいマイナス成長が続くとの意見もありました。もっとも、日米欧の主要国をはじめとして財政政策や金融政策をてこに底入れを探る動きがあるとの見方も表明されていたようです。

DI の水準は別にして、前回の景気後退期には景気ウォッチャー調査は先行指標となっていましたし、実際に、マインドが好転すれば消費や投資の活発化が望めるわけですから、この指標がいつになったら底を打つのかにも注目したいと思います。

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2009年1月12日 (月)

ブログの見た目を変更する

この冬休みに、私のブログの体裁を少し変更しました。基本的には、css のレベルで対応していますが、以下の通りです。

  1. 基本のフォントを Windows Vista 標準のメイリオ (Meiryo) に変更
  2. トップページのエントリー数を大幅に減少
  3. 改行を英文ワードラップなしの強制改行に変更

最初のは前々から考えていたんですが、フォントをメイリオに変更しました。Windows Vista の標準フォントといいながら、実は、Windows Vista にしかインストールされていないので、そもそも、メイリオが入っていないパソコンでは表示は何ら変わりありません。でも、Windows XP でしたらメイリオのフォントをインストールすることが出来ます。マイクロソフトの以下のサイトからダウンロード出来ます。私は決してオススメするものではありませんから、あくまで自己責任でお試し下さい。なお、私が試してみたところ、Windows XP のパソコンにメイリオをインストールしても、ブラウザが Internet Explorer 6 である限りは、やっぱり、表示の乱れは生じます。Windows Vista で Internet Expoler 7 に合わせて表示を最適化していますので、ご容赦下さい。

どうしてフォントをメイリオにしたのかといえば、小さい字が見やすいと思ったからです。特に、私のこのブログの場合、新聞記事なんかを blockquote のタグで引用する場合なんかにフォントを少し小さくしていますから、読みやすくなっているように思います。そもそものきっかけは、ガジェットに TBS のニュースを置いていて、これがメイリオで表示されているので見やすいと感じたのが始まりで、12月14日のエントリーで取り上げたように、年賀状なんかもメイリオで書いて気に入ってしまいました。ローマンなフォントと比べてシャープさに欠けるんですが、特に、本学のロゴマークと相性がいいように感じないでもありません。
2番目のエントリー数は、私のブログの場合はサイドにアルバムを置いていて長いもんですから、ついつい、トップページの記事数を増やして釣合いを取ろうとしてしまっていたんですが、画像を含む記事だとブログを開くのが重くなってしまい、方向転換することに決めました。一時は50ものエントリーを表示させていたんですが、20まで減らしました。3番目のワードラップなしの強制改行にしたのは、単なる気分です。ホントは英文ワードラップをかけて英単語が途中で切れないようにした方が見やすいのかもしれませんが、まあ、好みもありますし、私の場合はモニタで読むよりも範囲で選択してコピーすることの方が多いので、特段、英単語の途中で強制改行されても関係ありません。

Professor Yoshioka Street

最後に、昨年8月10日付けのエントリーで紹介した画像のひとつなんですが、年始の挨拶に季節に合わせた冬の画像を送ってもらいました。どこかのサイトで作ってくれるハメ込み画像だと思うんですが、実在するのであれば、かなり寒い地方を通っているのかもしれません。

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2009年1月11日 (日)

どうして尾曲りネコが長崎に多いのか?

かなり久し振りで、長崎に関するエントリーです。実は、少し前の毎日新聞のサイトで見かけたんですが、長崎には尾が曲がったり切れたりしているネコが多いそうです。さらに、それを日本「長崎ねこ」学会と称して、楽天ブログで「尾曲りねこを探せ!」というサイトも開設されています。一応、以下はこれらのサイトへのリンクです。

これらのサイトの情報を総合すると、我が母校である京都大学霊長類研究所の野沢謙元所長らの調査結果があって、長崎県内の猫は尾が途中で曲がったり、切断されたように短い猫が約8割を占めていて、鹿児島、宮崎、熊本、福岡の他の九州各県も6-7割だったらしいです。理由は定かでないんですが、尾曲がり猫は東南アジアに多いと言われていて、江戸時代にオランダの貿易船がネズミ捕りのため船に猫を積み、出島を通じて長崎に、さらに全国の港町に広がったとの説もあるそうです。また、一説には、尾が曲がった猫の北限は宮城と岩手あたりとの観察結果もあるらしいです。江戸末期の開国後は木造の帆船から鉄鋼製の蒸気船に切り替わっていて、ネズミの被害が相対的に軽微であったことから船にネコを乗せる需要も少なくなったと考えられますので、尾曲りネコは江戸時代の木造船主流のころに東南アジアから日本に渡って来たとの仮説も成り立つのかもしれません。
長崎市内に位置する本学にも生協の学食があってネコが何匹か住み着いています。ひょっとしたら、意識の問題ではありますが、飼っていると主張する教職員がいるかもしれません。ネコがいるあたりが大学とオフィスの違いかもしれません。経済学部キャンパスの場合、大雑把に、入口から入って最初にもっとも古い建物である本館があって、その奥に新館があり、その次に生協の建物があります。1階が書籍などの売店で2階が学食の食堂です。さらに奥の坂を登った研究所に私の研究室が位置していますので、生協周辺から研究所あたりを縄張りにしているネコとはよく顔を合わせます。このグループに白黒ブチの親子がいて、私が赴任した8月ころは子供の方はまだやたらと小さかったんですが、今では親と見分けがつかないくらいに大きくなりました。私はエサをやらないのでなついてくれませんから、尾っぽをしっかりと観察したことはありません。どうでもいいことですが、本館脇のあたりを縄張りにして住み着いている別のグループのネコもいます。こちらはさらに観察の機会がありません。
私は大学を卒業して就職してからは延々と集合住宅に住んでいますのでペットは飼っていませんが、母親が好きだったので京都ではネコを飼っていたこともあります。ですから、私は実はネコのノミ取りが出来たりします。もっとも、白い毛の部分に限ります。それから、ジャカルタに3年間住んでいた時には、かなり多くのネコを見かけましたが、尾が曲がっているかどうかはまったく気付きませんでした。先ほどの仮説によれば、オランダ船が尾曲りネコを持ち込んだとすれば、ジャカルタあたりを出港していた可能性も十分あり、長崎で8割なんですから、ジャカルタならほぼ100パーセントのネコの尾が曲がっていたり、切れていたりしていてもいいような気がしますが、恥ずかしながら、まったく記憶にありません

江戸時代の鎖国のころはジャカルタと長崎を結ぶ航路が盛んだったであろうことは理解しますが、すでに150年前に終わった鎖国のころの影響が今でもネコに残っているとは知りませんでした。

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2009年1月10日 (土)

英文サイトで見る米国雇用統計への反応

日本時間の昨夜、米国労働省から2008年12月の雇用統計が発表されました。12月単月で非農業部門雇用者数は▲52.4万人減少し、失業率も7.2%にハネ上がりました。この結果、2008年を通して、非農業部門雇用者数は▲258.9万人減で、第二次大戦が終わった1945年の▲275万人減に次ぐ大幅な減少となりました。詳しくは3連休明けにでも改めて考えるかもしれませんが、土曜日の今日は、取りあえず、米国のマディアなどサイトでどのように受け止められているかをピックアップしておきたいと思います。

まず、雇用統計が発表される前の1月9日金曜日付けの Wall Street Journal では、"Jobs Report Can't Shock (Or Can It?)" と題して、もうどんなに悪くても驚かない、という考えなのかもしれません。しかし、その後、雇用統計が発表されると、やっぱり、"Jobless Rate Surges to 7.2%; Nonfarm Payrolls Drop 524,000" のタイトルで "Employment Breakdown" と評価していたりします。

正直に、やっぱりタイヘンだと考えているのは New York Times で、下のフラッシュファイルは "Job Losses in 2008" と題する記事のサイトから引用していて、大胆にも直リンしていたりします。非農業部門雇用者が減少を続け、失業率が逆に上昇を続けた2008年1年間の雇用情勢が分かるようになっています。

最後に、それではこの景気後退がいつまでの長さ、どのくらいの深さで続くのかと、ほぼ私と同じようなことを考えているのがミネアポリス連銀です。"The Recession in Perspective" と題するサイトで戦後米国の景気後退局面のエピソードと今次景気後退を長さと深さに分けて、以下のグラフを使って考察しています。

Table 1

Notes:

  1. Employment is nonfarm payroll employment calculated by the Bureau of Labor Statistics.

  2. Postwar recessions include the 10 recessions as defined by the NBER that started between 1946 and 2006.

  3. Mildest, median and harshest recessions are defined for each month; the specific recession for each category changes over time.

Table 2

Notes:

  1. Output is gross domestic product adjusted for inflation as calculated by the Bureau of Economic Analysis.

  2. Postwar recessions include the 10 recessions as defined by the NBER that started between 1946 and 2006.

  3. Mildest, median and harshest recessions are defined for each quarter; the specific recession for each category changes over time.

Table 3

Note:

  • Chart shows percentage decline in nonfarm employment 12 months after the start of each recession. This reflects the most recent data available for employment in the current recession.

Table 4

Notes:

  1. The largest percentage decline for the current recession has yet to be determined: thus, the ? for the current recession.

  2. Individual data series often peak before or after the official NBER start of a recession. For example, employment in the 1973 recession rose 0.9 percent before falling 2.8 percent from the employment peak.

Table 5

Note:

  • Chart shows percentage decline in real gross domestic product 3 quarters after the start of each recession. This reflects the most recent data available for output in the current recession.

Table 6

Note:

  • The largest percentage decline for the current recession has yet to be determined: thus, the ? for the current recession.

今日のところは週末モードで、米国雇用統計に関するヨソのサイトの情報を取りまとめておきます。ひょっとしたら、3連休明けに改めて取り上げるかもしれません。

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2009年1月 9日 (金)

景気動向指数に見る景気後退の長さと深さ

本日の午後、内閣府から昨年2008年11月の景気動向指数の速報値が発表されました。季節調整済みの一致指数は前月比で▲2.8ポイントも低下して、94.9となりました。11月の鉱工業生産まではいきませんが、かなり大きな落込み幅を記録したといえます。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインなどに関する記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が9日午後発表した11月の景気動向指数(速報)によると、景気合成指数(CI)の一致指数は前月比2.8ポイント低下の94.9だった。鉱工業生産指数や有効求人倍率など指数を構成する経済指標の多くが悪化し、落ち込み幅は過去2番目の大きさ。過去最大の落ち込みとなった8月、過去3番目の低下だった10月に続き、景気の急速な悪化が浮き彫りとなった。内閣府は同指数の基調を先月と同じ「悪化を示している」と判断した。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前に比べて改善した指標が占める割合で示すDIも低迷。一致DIは3カ月連続で0%だった。

景気動向指数 (CI) の一致指数は昨年後半になって、8月、10月、11月と落込み幅としてはワーストスリーが並んでいます。もっとも、8月の場合は、私には原因不明ながら、7月に大きく輸出がジャンプした反動も加わっていますから、実体的には10月や11月の落ち込みが大きいと感じられるのは当然です。いつものグラフを書くと以下の通りです。赤い折れ線が先行指数で、青が一致指数です。影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の景気のピークについては、私自身の研究成果により2007年11月としていたところ、最近の報道により、内閣府が10月ピークと判断しているとの情報に接し、やっぱり、2007年10月をピークに仮置きしています。今月29日の景気動向指数研究会で何らかの結論が出るハズです。

景気動向指数

直感的に見ても明らかなように、先行指数も一致指数も、まだまだ、1次微分が負で2次微分も負、というカンジで、底に向かって突き進んでいる途中です。理論的には、一致指数の1次微分がゼロになった時点が大雑把に景気の底なんでしょうが、底は依然として見えません。一致指数の前に先行指数の1次微分がゼロになるハズなんですが、それすら見通せる段階ではないような気がします。一応、昨年2008年10-12月期から今年の前半くらいが景気後退期の中でも最も暗い闇で、来年年初から前半くらいには景気が底を打つというのが直感的に考えてエコノミストの大雑把なコンセンサスではないかと思いますが、現実的に見ても、まだ1年くらいは先の話です。少なくとも、歴史的に見た過去の景気後退局面と比較しても、かなり長くて深いことは確かなようです。下の表は昨年2008年12月9日付けのエントリーで取り上げたものを少し変更したんですが、一致指数の山と谷を取っています。バブル崩壊後の景気後退局面では3年近くにわたって、▲23.6ポイント下落しました。現時点で、ongoing の景気後退期は1年を過ぎており、もう1年たつと2年ということになります。最後の行の谷は2008年11月時点のものであり、表にあるよりもさらに景気後退局面が長くて、下落幅が大きいであろうことは疑問の余地がありません。バブル崩壊後の景気後退局面と比較するのは時期尚早でしょうが、少なくとも、過去2回の景気後退局面よりは長くて深いであろうことはかなり確度が高いと考えるべきです。

下落幅
(下落期間)
1991年1月 103.51993年12月 79.9▲23.6
(2年11か月)
1997年5月 95.81998年12月 84.0▲11.8
(1年7か月)
2000年12月 95.42002年1月 84.0▲11.4
(1年1ヶ月)
2007年10月 105.52008年11月 94.9▲10.6
(1年1ヶ月)

表には取り上げませんでしたが、先行指数は2006年5月の104.4のピークから、2008年11月81.5まで、すでに2年6か月の間に▲22.9と、ほぼバブル崩壊後の景気後退局面に匹敵する下落幅と下落期間を示しています。バブル崩壊後の一致指数と先行指数は、一見しても、かなりシェイプが違うので、単純な比較は出来ませんが、現在の景気後退局面はバブル崩壊後の不況と同等の長さと深さである可能性も排除できません。

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2009年1月 8日 (木)

田中慎弥『神様のいない日本シリーズ』(文藝春秋)を読む

田中慎弥『神様のいない日本シリーズ』(文藝春秋)田中慎弥さんの『神様のいない日本シリーズ』(文藝春秋) を読みました。先日1月5日付けのエントリーで紹介した通り、第140回芥川賞の候補作品にも選ばれています。左の画像は単行本で出版された本の表紙で、クリックすると文藝春秋社のページが別窓で開きます。でも、私が読んだのは昨年2008年10月号の「文學界」でした。ですから、より性格には二重カッコではなく、一重カッコで書名を引用すべきなのかもしれませんが、もちろん、内容は同じだと思います。短編ではないんでしょうから、中篇くらいの長さだと思います。父親が小学4年生の男の子に話しかけるモノローグという形を取っています。小学4年生の息子は扉の向こうに閉じこもっていて、何も話はしませんからダイアローグではありえません。どうして小学4年生の男の子が部屋に閉じこもっているかというと、同じ野球部の6年生に父親の父親、すなわち、男の子からすれば父方の祖父についてのことなどでいじめられたりしたからです。男の子からした祖父のことを、父親は「あの男」と呼び、父親が自分の幼少のころから、男の子の母親、つまり、父親の妻となる女性に出会った中学生のころ、特に、中学3年生の時の学芸会で「ゴドーを待ちながら」の演劇に取り組んだことなどを、「香折」という男の子の名前の由来まで含めて、延々とモノローグで語り続けます。父親は自分からは扉を開けることはしないと明言し、扉を閉ざした状態でのコミュニケーションを最後まで維持し続けます。
小説や文学にやや疎い私の見方かもしれませんが、完成度の高い小説に思えました。もちろん、モノローグで終わらせずに、最後に小学4年生の男の子に何らかのレスポンスをさせるという形を取ることも考えられなくもないでしょう。例えば、バルザックの『谷間のゆり』では、フェリックスの長い手紙の後に、それを読んだナタリーの短い手紙が添付されています。ここでは、ナタリーはこんな打明け話は2度として欲しくないとフェリックスをたしなめたりしています。でも、小学4年生にはこれはムリそうだから、モノローグで終わらせるのも一案かと思ったりしました。
タイトルになっている『神様のいない日本シリーズ』のうち、後半の「日本シリーズ」は1958年の西鉄vs巨人と1986年の西武vs広島の2戦がクローズアップされます。どちらも3連敗の後の4連勝で、それぞれ、西鉄と西武が日本一に輝いています。順序が逆になりましたが、前半の「神様」は1958年の日本シリーズで「神様、仏様、稲尾様」といわれた稲尾投手や「ゴドーを待ちながら」のゴドーをゴッドを解釈したりと、「神様」も「日本シリーズ」もともに、いろんなものを重層的に暗示させています。でも、小学4年生の男の子がやっている野球が大きなモチーフになっていることは確かなような気がします。モロのネタバレを書きそうな気がしますので、野球についてはサラリと終えたいと思います。

小説や純文学に疎い私のことですから、ネタバレなしに読書感想文を書くのは難しいんですが、繰返しになるものの、完成度の高い小説だと感じました。芥川賞候補作品ですから単行本を置いていたり、また、「文學界」であれば置いている図書館も少なくないと思います。一読をオススメ出来る小説だと思います。

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2009年1月 7日 (水)

「経済財政の中長期方針と10年展望 (仮称)」を読む

昨夕、経済財政諮問会議が開催されました。今年の第1回目の会合だと思います。主たる議題は「経済財政の中長期方針と10年展望 (仮称)」についての議論だったようです。今夜のこのエントリーのタイトルにもしました。要するに、経済財政の中長期展望ということで、タイトルそのものです。もっとも、メディアでは、このリポートの5ページにある基礎的財政収支についての表現、「我が国の財政収支は急激に悪化しており、2011年度までに国・地方の基礎的 (初期的) 財政収支を黒字化させるとの目標の達成は困難になりつつある。」を最重要視して報道しているように私には見受けられます。それもそのはずで、我が国だけでなく、米国でも2009会計年度 (2008年10月-2009年9月) は1兆ドル規模の赤字であると、オバマ次期大統領がガイトナー次期財務長官やオルザグ次期行政管理予算局 (OMB) 局長らと財政見通しを協議した結果を記者発表しています。私は日経新聞のサイトで見ました。また、東京都も赤字ではないものの、久し振りのマイナス予算だそうです。コチラは読売新聞のサイトで見かけました。景気後退局面が厳しくなって、税収が落ち込むとともに財政出動のために財政収支が悪化するのは当然といえば当然です。
話を「経済財政の中長期方針と10年展望 (仮称)」に戻すと、実に、役所の文書とは思えないくらいに正直に書いてあります。私が離れた後の霞が関で大きな変化が生じているのかもしれません。わずか12ページのコンパクトな文書ですから、お時間のある向きには一読をオススメします。でも、3-4ページにかけての基礎的財政収支の対GDP比の数字が全部伏せ字になっていたりします。このあたりは従前通りだという気もします。メディアの注目は別にして、この文書本来の主たるコンテンツは第2章の「経済社会の将来展望」なんだろうと私は考えています。特に、9-11ページにある次の将来展望の7点は重要だと思います。

  1. 低炭素・高環境社会
  2. 健康長寿社会
  3. 消費先進国
  4. 活力と独自性のある地方
  5. 人材最大活用社会
  6. 新たな金融モデルの構築
  7. 世界経済をリードするアジアの新時代

かなり精粗まちまちの7点なんですが、第2点目と第4点目が大きな財政リソースを要することは政府でも自覚されているハズだと思います。リポートにあるように、「団塊世代がすべて年金受給者となる2010年代半ばまでに」基礎的財政収支を均衡させるとの目標を達成するためには、特に、第2点に対してどのように対応するかが焦点となりそうな気がします。

そろそろ、長かった冬休みから本格的に経済評論の日記に復帰するつもりです。

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2009年1月 6日 (火)

サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(白水社)を読む

サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(白水社)昨夜の「読書感想文の日記」は第140回芥川賞と直木賞に関する本邦読書界の話題でしたが、今夜のエントリーは正真正銘の読書感想文で、村上春樹さんの新訳になるサリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(白水社)を読みました。旧訳とでも称するのか、同じ白水社の Hakusui U Books のシリーズから出版されている野崎孝さん訳の『ライ麦畑でつかまえて』の方も何度か読んでいますので、5-6回くらいになると思います。1年半ほど前の2007年6月7日付けのエントリーで、やっぱり、村上春樹さんの新訳になる『グレート・ギャッツビー』を取り上げて以来、この『キャッチャー・イン・ザ・ライ』も読もう読もうと考え続けて来たんですが、とうとう、読んだという感じです。昨年の読書感想文で取り上げた村上春樹さんのエッセー『うずまき猫のみつけかた』の最初の章で「一に足腰、二に文体」というのがありましたが、まさに、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』のためにあるような言葉かもしれません。何度読んでも新鮮に感じます。サリンジャーのグラース家のシリーズに出て来る長男のシーモアに通ずるような、主人公ホールデン・コールフィールドの破滅型・落下型の性格は別にしても、第2次世界大戦直後の1950年ころの米国の東部ティーンエイジャーの雰囲気をよく伝える文体だと思います。いわゆるプレップ・スクールの高校生からアイビーリーグの大学生なんかの考え方や話し方の雰囲気が伝わって来ます。もちろん、私のような中年のオッサンではなく、できれば、多感なハイティーンの高校生から大学生のころに読んでおくべき本であることは間違いありません。
何度読んでも新鮮に感じるんですが、今回は、教職についてから始めて読んだので、特に、一番最後の部分の主人公とアントリーニ先生との interaction が印象的でした。学校教育によって「自分の知力のおおよそのサイズ」が分かるようになる、との発言なんか、何度も読んだのに、改めて感じ方が違ってしまいました。もちろん、いつものことながら、主人公の妹のフィービーの気の利いた会話やリアクションは都会的なセンスにあふれています。「けっきょく、世の中のすべてが気に入らないのよ」とズバリと主人公に指摘するんですから、とってもファンタスティックで参ってしまいます。どうしても、ニューヨークに戻ってからの後半に印象的な部分が多い小説のような気がしないでもありません。我が家の子供達はまだ小学生ですが、高校生くらいになれば読ませてみたいと思っています。

残り少なくなって来た冬休みに、二晩続けての読書感想文の日記でした。

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2009年1月 5日 (月)

第140回芥川賞と直木賞の候補作品

昨日、文藝春秋社から第140回芥川賞と直木賞の候補作品が発表されました。どちらも、1月15日の選考会です。まず、候補作品の一覧は以下の通りです。

  • 第140回芥川賞候補作品
    • 鹿島田真希 (かしまだまき)「女の庭」 (文藝秋号)
    • 墨谷渉 (すみたにわたる)「潰玉 (かいぎょく)」 (文學界12月号)
    • 田中慎弥 (たなかしんや)「神様のいない日本シリーズ」 (文學界10月号)
    • 津村記久子 (つむらきくこ)「ポトスライムの舟」 (群像11月号)
    • 山崎ナオコーラ (やまざきナオコーラ)「手」 (文學界12月号)
    • 吉原清隆 (よしはらきよたか)「不正な処理」 (すばる12月号)
  • 第140回直木賞候補作品
    • 恩田陸 (おんだりく)「きのうの世界」 (講談社)
    • 北重人 (きたしげと)「汐のなごり」 (徳間書店)
    • 天童荒太 (てんどうあらた)「悼む人」 (文藝春秋)
    • 葉室麟 (はむろりん)「いのちなりけり」 (文藝春秋)
    • 道尾秀介 (みちおしゅうすけ)「カラスの親指」 (講談社)
    • 山本兼一 (やまもとけんいち)「利休にたずねよ」 (PHP研究所)
なお、毎日新聞と朝日新聞のサイトで第140回芥川賞と直木賞について候補作品とともにごく簡単に報じられていました。リンクは以下の通りです。

恩田陸『きのうの世界』(講談社)毎日新聞のサイトで報じられているんですが、芥川賞候補の田中さん、津村さん、山崎さんはすでに3回目の候補作品ですし、直木賞の恩田さん、天童さん、山本さんも3回目だそうです。私は詳しくないんですが、文学好きの方にとってみれば、すでにお馴染みの作家のみなさんなのかもしれません。私は専門外かつそんな文学趣味でもないので、これらの中で読んだことのある作家は田中慎弥さんだけで、川端賞を受賞した「蛹」(『新潮』2007年8月号収録)の読書感想文を昨年2008年5月17日付けのエントリーにアップしています。しかし、いつもは芥川賞だけに注目しているんですが、今回、私が密かに注目しているのは直木賞候補作品に上げられている恩田陸さんの『きのうの世界』です。左上の写真の本です。画像をクリックすると講談社の紹介ページにリンクが張ってあり、別窓で開くと思います。恩田さんがファンタジーやミステリの作品を数多く発表していることは、読んだことがないながら、私でも知っています。実は、今日の午後から近くの図書館に出かけて、まだ年末年始休みの閉館だったのでガックリと帰って来たんですが、帰宅してからインターネットで恩田陸さんの候補作品『きのうの世界』を東京都港区の図書館で検索してみると、100件ほどの予約待ちみたいです。まあ、確かめたわけではありませんが、他の作家の候補作もよく似た状況なんでしょう。いずれにせよ、私がこのブログで直木賞受賞作の「読書感想文の日記」をアップしたのは3冊だけで、すなわち、東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』(文芸春秋)、森絵都さんの『風に舞いあがるビニールシート』(文藝春秋社)、松井今朝子さんの『吉原手引草』(幻冬舎) なんですが、実は、読書感想文はアップしていないものの、三浦しをんさんの『まほろ駅前多田便利軒』も読んでいたりします。このうち、『まほろ駅前多田便利軒』と『吉原手引草』は図書館で借りて読みました。もしも、『きのうの世界』に直木賞が授賞されれば、ひょっとしたら、買って読んでみようかという気になるかもしれません。でも、取りあえずは、長崎の図書館に当たってみたいと考えなくもありません。少なくとも、芥川賞が授賞された作品については、いつもの通り、「文藝春秋」の3月号で選評とともに読みたいと考えています。

今日のエントリーは、本を読んだわけではありませんが、本邦読書界の話題ということで「読書感想文の日記」に分類しておきます。

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2009年1月 4日 (日)

お年玉で「とんがりボウシと魔法の365にち」を買いに行く

いよいよお正月の3が日も昨日で終わって、おそらく、明日から出勤というサラリーマンも少なくないような気がします。私はもう少し冬休みを楽しみます。我が家も、おにいちゃんは勉強が忙しくなりますが、下の子はまだ時間的な余裕があります。
ということで、今日は午後から下の子がお年玉でもらったお金を握りしめてゲームソフトを買いに走るのに付き添います。ニンテンドー DS のソフトです。コナミの「とんがりボウシと魔法の365にち」です。ものすごく流行っているゲームなので、実は、出かける前にお店に在庫確認の電話をしたりします。2軒目で在庫ありとのことでしたので取置きをお願いして、午後から出かけました。
ゲームの中身は私にはよく分かりません。小学生向きというのは確かですし、2年前に買い与えた「どうぶつの森」と同じシリーズみたいです。下の子が3年生の時の一昨年の夏休みの読書感想文で取り上げた「サークル・オブ・マジック」のように、魔法学校に入学するところから始まるそうです。「ハリー・ポッター」のシリーズのように、学生寮もあるといいます。なお、我が家の下の子は杉並の魔法学校に入学したらしいです。我が家の子供達は杉並区に在住していた時に生まれています。

「とんがりボウシと魔法の365にち」で遊ぶ下の子

上の写真はゲームを始めた下の子です。夜になって、やっぱり下の子の星の観察の宿題にも付き合います。おにいちゃんは忙しいので、下の子とともに過ごす時間が多くなりつつ、私はもう少し冬休みを楽しみます。

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2009年1月 3日 (土)

笑う門には福来たる

いいお天気のお正月も今日でいわゆる三が日が終わります。近場の初詣などの他は、特に、出かけるでもなく寝正月を過ごし、昼間はテレビなんぞを見たりもします。サラリーマンのころは正月三が日が終われば4日からは出勤だったんですが、昨夏に教員になってからはもう少し冬休みがあります。でも、この年末年始はカレンダーがいいので、公務員でももう少し長い休みが取れたかもしれません。
昨夜と今夜はクイズ番組をテレビで見ます。特に、今夜は小学生の学習分野から学年別の出題でしたので、子供達も熱心に見ました。でも、これらのクイズ番組は基本的にお笑い系です。正しい知識を競うような雰囲気がありながら、実は、おバカな解答に笑い転げるのが主目的だったりします。でも、おにいちゃんは漢字辞典を持ち出して部首を調べたり、理科便覧で星の名前や星座を調べたりします。なかなか、我が子ながら勉強熱心に育ってくれてうれしく感じたりしなくもありません。

テレビのクイズ番組を見て笑い転げる子供達

勉強熱心とは言いつつも、上の写真はテレビを見て笑い転げる子供達です。「笑う門には福来たる」という格言を思い出します。

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2009年1月 2日 (金)

子供達が書初めに臨む

いいお天気のお正月も2日目を迎え、今日は小学生の子供達が書初めに臨みます。小学3年生から習字の授業が始まりますので、昨年、下の子は初めての書初めだったように記憶しています。昨年の小学校の宿題は3文字でしたが、今年は4年生に進級して4文字に増えています。実は、6年生のおにいちゃんも4文字です。でも、上級生になるほど、お題の文字が難しかったりするのは当然です。

書初めをする下の子
書初めをするおにいちゃん

昔は私も書道を習っていたりしましたが、前世紀末にジャカルタに赴任する際に離れてからはサッパリで、もっぱらパソコンのワープロに頼っています。そのうちに、書道なんかも伝統芸能になってしまうのかもしれません。

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2009年1月 1日 (木)

乃木神社に初詣に行く

改めまして、
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

あけましておめでとうございます

我が家の吉例で、今年の元旦も近くの乃木神社に一家そろって初詣に行きました。我が家からは明治神宮も近いんですが、なぜか、明治神宮とは逆方向の乃木神社に行きます。毎年の吉例です。おみくじを引いて破魔矢を買います。青山に引っ越す前、松戸神社に初詣に行って、私は2年連続で大凶を引き当てたりしたんですが、今年は、我が家の全員が吉や小吉や中吉でした。誰も凶を引かない年もめずらしい気がしないでもありません。

一家そろって初詣

午後からは、子供達はまずニンテンドー DS を持ち出してポケモン・ゲームで遊びます。下の子がおにいちゃんの部屋になだれ込んで、ベッドで2人が並んで寝転んでゲームをします。昨日の大晦日はポケモン・カードゲームでしたが、元旦の今日はニンテンドー DS のゲーム機でポケモン・ゲームのダイヤモンド&パールです。

ポケモン・ゲームで遊ぶ子供達

夕方には、これまた、我が家の吉例にならって人生ゲームで遊びます。フリーターや派遣社員などは、お給料が不安定であることを身にしみて実感できます。今年最初の人生ゲームは下の子がトップになりました。

人生ゲームで遊ぶ子供達

人生ゲームの後、私が子供達のポケモン・カードゲームのお相手をしました。少し前まではカード30枚のハーフデッキ戦だったんですが、今ではなぜか、60枚のスタンダードデッキ戦となっています。ますます、私は子供達にはかなわなくなり負け続けてしまいました。

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あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

新しい2009年が明けて、少しでも世界経済が上向くことを願っています。
それでは、もう寝ます。おやすみなさい。

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