« 景気ウォッチャー調査はいつになったら底を打つのか? | トップページ | 設備投資とGDP成長率の先行きを暗示する機械受注統計 »

2009年1月14日 (水)

OECD 先行指標とダボス会議資料から世界経済のリスクを探る

今週に入って、経済開発協力機構 (OECD) の先行指標 (OECD Composite Leading Indicators, CLI) が発表されるとともに、ダボス会議を主催する世界経済フォーラム (World Economic Forum) から「グローバルリスク・ネットワーク報告書 2009」が公表されました。後者のリポートはもうすぐ始まるダボス会議のキーノートになるペーパーなんだろうと思います。いずれも、pdf ファイルでリポートがダウンロード出来ますので、以下にリンクを張っておきます。なお、どうでもいいことかもしれませんが、少なくとも、昨年の「グローバルリスク・ネットワーク報告書 2008」は日本語バージョンがありましたので、今年もそのうちに出るのかもしれません。何らご参考まで。

まず、経済協力開発機構 (OECD) の先行指標は以下のグラフの通りです。かなり膨大な情報量ですが、上にリンクを張ったリポートにあるグラフを全て抜き出してみました。

OECD 先行指標

少し大きめの最初の4枚が全 OECD 加盟国、中国、米国、ユーロ圏諸国で、標題は全て "Strong Slowdown" となっています。その後に、日仏独などの主要国のグラフが並んでいます。要するに、新興国の中国、インド、ロシアまで含めて、ほぼ全ての国が "Strong Slowdown" なわけで、唯一例外なのはブラジルで、単なる "Downturn" と表現されています。しかし、ブラジルも含めて、上のグラフにある全ての国が景気後退局面に入っているような影を付けてあります。このグラフは CI ですから、DI と違って水準を見ることも出来るんですが、ブラジルを除いて、ほぼ全ての国で昨年後半から真っ逆さまに落ちているが見て取れます。まさに、世界経済の現状をよく表現していると私は感じています。もちろん、メキシコとかアジアの ASEAN や韓国・台湾などはグラフがありませんし、私もそんなに熱心に観察しているわけではありませんが、先進国・新興国の大部分は同じような経済状況なんだろうと考えています。約80年前の世界大恐慌の際には、社会主義経済体制を取っていた当時のソ連だけはその影響をかなりの程度に免れていたという歴史的事実がありますが、今回の世界不況は例外なしのように見受けられます。デカップリング論は完全に破綻したようです。

Country Exposure to Asset Bubbles and Economic Risks

もう少し世界全体のリスクを考えたのが、世界経済フォーラムの「グローバルリスク・ネットワーク報告書 2009」です。上のグラフの通りで、少し縮小してあるので見づらいかもしれませんが、我が日本はほぼど真ん中に位置しているようです。リポートの pp.5 Figure 5 を引用しています。縦軸に Asset bubble risk が取られていて、横軸は Economic risks となっています。韓国、ベトナム、香港、シンガポール、タイなど東アジア諸国が世界全体の中でも右上にあり、いずれのリスクも大きいことが示唆されています。リポートの最後に "Appendix 1: The Risk Assessment and Risk Barometer" として、経済的リスク10項目、地政学的リスク9項目、環境リスク9項目、社会的リスク5項目、技術的リスク3項目のそれぞれについて、蓋然性 (likelihood)、金額及び人命損失の重大性 (severity) 別に評価がなされています。私は地政学的リスクなどはよく分かりませんので、経済的リスクに着目すると、石油・ガス価格の上昇はリスクとしては大きく減退したものの、6%成長を下回るような中国経済の減速、財政危機の発生、資産価格の崩壊、経済政策が内向きになってグローバル化の恩恵が損なわれる危険などが指摘されています。私が昨年末から盛んに指摘して来た「近隣窮乏化政策」なんかにも、今年のダボス会議では焦点が当てられるのかもしれません。当然です。

実は、昨年まで、私はダボス会議をそんなに重要だとは思っていなかったんですが、世界経済のリスクがこれほどまでに高まると、今年は少し注目してみようかと考えています。

|

« 景気ウォッチャー調査はいつになったら底を打つのか? | トップページ | 設備投資とGDP成長率の先行きを暗示する機械受注統計 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/207184/27131560

この記事へのトラックバック一覧です: OECD 先行指標とダボス会議資料から世界経済のリスクを探る:

« 景気ウォッチャー調査はいつになったら底を打つのか? | トップページ | 設備投資とGDP成長率の先行きを暗示する機械受注統計 »