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2009年2月 6日 (金)

景気動向指数に見る日本と世界の景気後退

本日午後、内閣府から昨年2008年12月の景気動向指数の速報値が発表されました。2005年を100とした季節調整済みの一致指数は前月比で▲2.6ポイント低下して92.3となりました。後で表を示しますが、一致指数のピークである一昨年2007年8月の105.7から累積で▲13.4ポイント下がったことになります。景気後退が深刻になって来ていることが数字の面でも裏付けられたと私は受け止めています。加えて、この数字は外れ値を刈り込んで除外している可能性がエコノミストの間で指摘されていて、極端に弱い数字で刈り込まれたのを入れると実態はもっと悪化している可能性も排除できません。また、12月の先行指数も前月差で▲2.0ポイント低下し、少なくとも年央から7-9月期くらいまで景気が回復する見込みは薄そうな気がします。まず、毎日新聞のサイトから記事の最初のパラグラフだけを引用すると以下の通りです。

内閣府が6日公表した昨年12月の景気動向指数(速報値)によると、景気の現状を示す「CI」(合成指数、05年=100)の一致指数は前月比2.6ポイント下落の92.3だった。5カ月連続の下落で、下落幅は過去3番目の大きさ。内閣府はCIに基づく景気の基調判断を「悪化」で据え置いた。

続いて、一致指数と先行指数のグラフは以下の通りです。青い折れ線が一致指数、赤が先行指数で、シャドー部はいつもの通り景気後退期です。

景気動向指数

さらに、いつも書いている表ですが、景気動向指数は昨年4月公表分から CI になり、DI の時と違って方向性だけでなくボリューム感も見て取れるようになりましたから、景気動向指数のうちの一致指数の動きについて、上のグラフに現れる限りの1980年代からの景気後退期と現在の景気後退における、直前のピークからトラフまでの下落幅と下落率を比較したのが次の表です。なお、ピークの月は景気動向指数のうちの一致指数がピークを付けた月であって、いわゆる景気循環日付とはズレを生じている場合があります。

下落幅 (率)
1980年2月 82.81983年2月 74.9▲7.9 (▲9.5%)
1985年7月 84.81986年11月 79.4▲5.4 (▲6.4%)
1991年1月 103.51993年12月 79.9▲23.6 (▲22.8%)
1997年5月 95.81998年10月 84.0▲11.8 (▲12.3%)
2000年12月 95.42002年1月 84.0▲11.4 (▲12.3%)
2007年8月 105.72008年12月 92.3▲13.4 (▲12.7%)

1980年代の2回の景気後退局面は一致指数の低下の幅で見ても下落率で見ても1桁にとどまっていましたが、バブル崩壊後の景気後退は別格としても、世紀の変わり目をはさむ2回の景気後退期ではいずれも2桁となりました。今回の景気後退局面では、まだ底を付けていないにもかかわらず、すでに下落幅で見ても下落率で見ても2桁に達しています。バブル後の景気後退局面と比較するのは時期尚早としても、統計の面からも現在の景気後退がかなり厳しいものであることが裏付けられていると考えるべきであり、これは、かなり景気実感にフィットするという気がします。

1次微分2次微分景気局面
ゼロプラス景気転換点 (底)
プラスプラス拡大前期
プラスマイナス拡大後期
ゼロマイナス景気転換点 (山)
マイナスマイナス後退前期
マイナスプラス後退後期

なお、いつも書いていることですが、現時点の今年1-3月期から4-6月期くらいは景気後退局面の中でも大底の一番暗い局面であると私は考えており、それを統計データの動きに関する簡単な数学的思考によって少し明確にしたいと思います。まず、上の表は、今日発表された景気動向指数や鉱工業生産などの景気に敏感な統計であれば何でもいいんですが、ミッチェル的な景気拡大と後退の2分法をもう少し細かくしたもので、景気の転換点を除けば、景気拡大と後退の両局面をさらに前期と後期に分割することが可能であることを示しています。何で分割するかというと2次微分の符号です。何かのデータ、景気動向指数や鉱工業生産のグラフを思い浮かべると分かりやすいんですが、ミッチェル的な景気の2分法では1次微分が正であって、右上がりになっているのが景気拡大局面と考え、逆に、1次微分が負となって右下がりになっているのが景気後退局面です。1次微分がゼロになるのが景気転換点です。もちろん、景気局面が正確なサインカーブで描かれることはあり得ませんが、例えば、景気後退局面において1次微分が負で右下がりでさらに、まるでバンジージャンプのように、右下がりの度合いが大きくなっている、すなわち、2次微分も負になっているような局面は、特に、景気の大底と見なすことが出来ます。日本においては今年前半、米欧では国によっては今年1-3月期が1次微分が負で右下がりかつ、2次微分も負で右下がりの度合いが大きくなっている局面だと私は考えています。これが、相変わらず右下がりなんだけど、その右下がりの度合いが小さくなる、すなわち、2次微分が正に転ずると、いわゆる下げ止まりの状態に近くなり、一定の期間を経て景気転換点、つまり、底を打つようになります。現在は、上の表で言うと、景気後退局面の前期であり、1次微分も2次微分もマイナスとなっていて、景気が加速度的に悪化している状況と捉えるべきです。しかも、景気転換点を経て1年が経過したにもかかわらず、いまだに景気後退局面の前期にあるわけですから、この先はさらに長い可能性も同時に示唆されています。

OECD/CLI

日本の景気動向指数のついでながら、経済協力開発機構 (OECD) も昨年2008年12月の先行指数 (OECD/CLI) を発表しました。上は日本・米国・欧州についてのグラフです。単位はハッキリしないんですが、long term average = 100 となる指数です。横軸だけでなく、縦軸もスケールを合わせてありますから、日米欧の景気が加速度的に悪化している状況が国別に比較できます。3枚のグラフとも OECD/CLI はまだ1次微分も2次微分もマイナスの局面にあることが直感的に理解できると思います。なお、今まで私が見逃していただけかもしれませんが、OECD の景気日付が更新されているように見受けました。私の興味ある国や地域について、現在の景気後退局面に入った直近のピークを表に取りまとめると以下の通り、OECD は認定しています。

国・地域名ピーク
OECD2007年11月
G72007年11月
日本2007年12月
米国2007年10月
EU2007年10月
英国2007年11月
韓国2008年2月
主要アジア5国2008年2月
中国2007年6月
インド2007年4月
インドネシア2008年3月

日本をはじめとする先進各国はフツーに2007年10-12月期をピークとして景気後退局面に入っています。そして、デカップリング論が盛んだった時期に私が主張したように、アジアのいくつかの国は欧米先進国からラグを伴って景気後退局面に入っています。私の主張では、このラグが6-8四半期くらいあれば、自然とデカップリングするかもしれないというものでしたが、韓国やインドネシアでもラグは1四半期でしたし、OECD の認定にして正しいとすれば、新興国の代表たる中国やインドは先進国に先駆けて景気後退局面入りしています。結果として、日本、中国、韓国、インド、インドネシアからなる主要アジア5国は2008年2月のリセッション入りと認定されています。そんなに一般的に馴染みのある話題ではありませんし、今夜のエントリーは長くなったので深追いはしませんが、私には非常に興味あるテーマです。今後、少し真剣に研究したいと思わないでもありません。

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