新しいペーパー「財政の持続可能性に関する考察」を書き上げる
先週で後期の授業が終わり、私の日本経済論の期末試験は来週ですので、せっせとペーパーを書いています。状態空間モデルから産出ギャプを計測した先のペーパー「今次景気循環におけるピークの考察」に続いて、「財政の持続可能性に関する考察」を書き上げました。3月に発行される本学の紀要である『経済と経営』2009年3月号に研究ノートとして掲載される予定です。サイドにリンクを張ってある大学のホームページに pdf ファイルでアップロードしてあります。前の繰返しですが、特にご興味ある方を除いてダウンロードすることはオススメしません。
概要は、財政の持続可能性に関する端緒となったドーマー条件から説き起こして、財政のプライマリー・バランスの考え方、メインとなる確率過程を応用した時系列分析による財政の持続可能性に関する検定方法に加えて、2年前の今ごろの季節に経済財政諮問会議で、当時の竹中総務大臣と民間議員の東京大学吉川教授の間で展開された利子率・成長率論争に関する私の感想やマンキュー教授らが書いた財政赤字に関するギャンブル確率のモンテカルロ推計、さらに、ティロル教授による世代重複モデルへの「バブル」の導入やリカード等価原理まで、幅広い財政サステイナビリティをサーベイしています。しかも、私のペーパーにしてはめずらしく、何の実証もありません。サーベイしたペーパーの実証結果はいくつか、我が国財政の持続可能性に関するものだけを紹介しています。ただし、難しげな数式が延々と続く部分は相変わらずちゃんとあります。
昨年の末から今年に入って、ようやく、ペーパーを書くペースが上がってきたように感じていますが、逆に言えば、新任教員としてこの半年近くは授業の負担が重かったです。大学教授を数年もやれば、それなりに蓄積も出来て、学生は何年かで入れ替わるんですから、同じような授業内容でクルクルと回すことも出来るんでしょうが、8月に着任して後期のシラバスの作成から始めて、息つくヒマもなく9月末には授業が始まりましたし、それまでサラリーマンをしていた私にはかなり授業が重荷だった時期もあります。でも、正直なところを考えると、エコノミストとして大学に出向した際に業績として残るのは、学生への教育だけではなく研究成果の方もあるんでしょうから、授業よりもペーパーを書く方に重点を置くような考えが成り立つ素地があることも事実です。
この先は、もう少し研究業績を上げるために、この春休みや夏休みなんかにハイピッチでペーパーを書き続けたいと思います。
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