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2009年3月12日 (木)

2008年10-12月期GDP成長率は在庫の積上りで上方修正

今日は、国立大学でいっせいに後期試験が始まりました。本学も学内は静かなものでした。

さて、本日、内閣府から昨年2008年10-12月期のGDP統計が発表されました。エコノミストの業界で2次QEと呼ばれている重要な経済指標です。いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が12日発表した2008年10-12月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質で前期比3.2%減、年率換算で12.1%減だった。2月に公表した速報値と比べて前期比が0.1ポイント、年率は0.6ポイントの上方修正。景気後退の影響で企業の在庫が速報段階の推計よりも膨らんだ影響で、GDPの減少率が小さくなった。第1次石油危機だった1974年1-3月期の年率13.1%減に次ぐ戦後2番目のマイナス成長で、日本は深刻な不況にある。
改定値は日経グループのQUICKがまとめた民間調査機関25社による事前予測の平均値(年率で12.9%減)を上回った。3四半期連続のマイナス成長は、IT(情報技術)バブルの崩壊で景気が後退した01年以来となる。

次に、いつものGDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者所得を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは名目ですし、GDPデフレータだけは伝統に従って前年同期比となっています。また、アスタリスクを付した民間在庫と外需は前期比伸び率に対する寄与度表示となっています。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、完全性は保証しません。正確な計数は最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2007/
10-12
2008/
1-3
2008/
4-6
2008/
7-9
2008/10-12
1次QE2次QE
国内総生産(GDP)+1.0+0.3▲1.2▲0.4▲3.3▲3.2
   民間消費+0.4+0.7▲0.8+0.3▲0.4▲0.4
   民間住宅▲10.7+4.6▲1.9+4.0+5.7+5.7
   民間設備+2.2▲0.7▲2.3▲3.4▲5.3▲5.4
   民間在庫 *+0.0▲0.2▲0.2+0.0+0.4+0.5
   公的需要+1.3▲1.0▲0.9+0.0+0.9+1.1
   外需 *+0.5+0.3+0.1▲0.1▲3.0▲3.0
      輸出+3.0+3.0▲2.3+0.6▲13.9▲13.8
      輸入+0.3+1.5▲3.1+1.7+2.9+3.0
国内総所得(GDI)+0.2▲0.3▲1.8▲0.8▲1.4▲1.3
名目GDP+0.4+0.0▲1.4▲0.7▲1.7▲1.6
雇用者所得+0.1▲0.0▲0.9▲0.3+1.0+1.1
GDPデフレータ▲1.3▲1.4▲1.5▲1.6+0.9+0.7

次に、2005年1-3月期以降の寄与度別グラフは以下の通りです。今回は国内総生産 GDP だけでなく、国内総所得 GDI の折れ線グラフも加えてみました。

2008年10-12月期GDP統計

取りあえず、GDP成長率が過去最大のマイナス幅を記録しなかったので、メディアが大騒ぎすることはないように思います。しかし、上方改定された主因は売行き不振に起因する後ろ向きの在庫の積上りですから、実体経済はむしろ悪化している可能性が高く、日本経済として望ましい姿であろうハズもありません。さらに、私は統計的にではなく、トピックとして在庫調整や財産調整が進んでいるとの報道などに接していますが、少なくとも昨年いっぱいは在庫が積み上がっていることは確実ですから、今年の前半にこの在庫調整が進むと、成長率を押し下げる要因になることは明らかです。1-3月期か4-6月期には在庫が大きくマイナスに寄与する場面が出て来そうな気がします。
最後に、エコノミストの間で、W 字型の2段階調整論が出始めています。私も、月曜日の景気ウォッチャー調査や一昨日の景気動向指数を見て、3-4月が株価の底と見ているアナリストもいることを考え合わせると、ゴールデンウィークあたりから株価も底這いから反転の兆しを見せたりした上で、マインドも5-6月あたりから本格的な上昇を見せ始め、実体経済も在庫や生産の調整が年央に一巡するのであれば、ソロリと年末から来年前半の景気転換点に向かうような、とっても楽観的かつ一直線な見通しを書きましたが、昨夜のエントリーでは機械受注統計を見て、まだまだ設備投資の急激な減少が続くと見通しを微妙に修正し、日銀短観に見られるビジネスマインドが注目点なんて、かなりいい加減なことを書いてしまいました。しかし、今夜は長くなりましたし、日を改めて、先行きの在庫と設備の調整や景気動向について取り上げたいと思います。

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