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2009年3月 6日 (金)

イングランド銀行の量的緩和から日銀応援団エコノミストの活用法を考える

昨日、英国の中央銀行であるイングランド銀行と欧州中央銀行がそろって金融政策を決定会合を開催し、それぞれ政策金利を0.5%ポイント引き下げることを決めました。これにより、英国の政策金利は0.5%に、欧州は1.5%になったわけです。加えて、イングランド銀行は量的緩和政策に踏み込むこととし、国債などの資産購入により750億ポンドの資金供給を行うと発表しました。今夜のエントリーでは、このイングランド銀行の量的緩和に関して、国内の反応から日銀の動向を探りたいと思います。特に、日銀応援団のようなエコノミストの反応から日銀の動向を探ります。まず、イングランド銀行の金融政策変更に関して私が参照したサイトは以下の通りです。

まず、イングランド銀行の政策金利の0.5%はほぼ底に達したと見られます。言うまでもありませんが、イングランド銀行史上最低の政策金利を更新しています。よく知られたように、イングランド銀行は1694年以降の300年を超える期間の政策金利を公表していて、私も今回だけは見返してみましたが、文句なく最低水準であることを確認しました。加えて、キング総裁は会議後の記者会見で "I think it is very unlikely interest rates can go any lower." と発言したと Financial Times のサイトで見かけました。だからこそ、金利をこれ以上引き下げることが出来ないために量的緩和の領域に入ったということが出来ます。もっとも、上のリストの最初に入れたイングランド銀行のステートメントには量的緩和、quantitative easing という文言は出て来ません。さらに、金利が底に達したということともに、もう1点、イングランド銀行のステートメントでは "a very low level of Bank Rate could have counter-productive effects on the operation of some financial markets and on the lending capacity of the banking system." として、金融市場や銀行システムに逆効果とも付け加えています。極めて正論です。

Quantitative easing - how it could work?

そして、かなり明確な量的緩和の実施です。上の図は Financial Times のサイトから引用しています。参照先の画像の一部を切り取っていたりします。最後は Financial Times らしく皮肉に、either/or で商業銀行がイングランド銀行に持っている口座の預金を積むだけか、商業銀行の貸出しが増加するか、と結論しています。前者であれば、経済に何の効果もないとの見方なのかもしれませんが、少なくとも、銀行破綻のリスクはかなり減少すると私は考えていますから、何の効果もないということではあり得ません。それから、英国では日米のような準備預金制度は存在しませんので、商業銀行は準備預金ならざる、単なるイングランド銀行に保有している口座の預金を積むことになります。なお、量的緩和の資金供給は "the Bank would also buy medium- and long-maturity conventional gilts in the secondary market." の手法により行われるようです。

前置きがやたらと長くなりました。実は、私はこのイングランド銀行の決定にそんなに興味は持っていませんが、一応、明示的に量的緩和に踏み出しましたから、国内の反応が楽しみです。我がエコノミストの業界にも日銀の応援部隊というか、日銀広報部分室勤務のような人が何人かいて、そういったエコノミストの論調を観察していると、日銀が何を考えているのかがよく分かります。私はそんなに日銀ウォッチャーではありませんが、別に日銀そのものをウォッチしなくても、これらの日銀寄りの発言を繰り返す応援部隊のエコノミストを見ていると十分だからです。見るべきポイントは次の2つです。

  • "a very low level of Bank Rate could have counter-productive effects"という点を日銀応援部隊が強調するのであれば、日銀はゼロ金利政策を取りたくないと考えている。逆は逆。
  • 今回のイングランド銀行の量的緩和策を日銀応援部隊が評価するのであれば、日銀は近い将来の量的緩和策を模索している。逆は逆。

誰とはいいませんが、明らかに日銀寄りの発言を繰り返しているエコノミスト諸氏が、今週末から来週にかけて、イングランド銀行の金融政策変更をどのように評価するかが、とっても楽しみです。同時に、もうすぐ発表される米国の雇用統計もある意味で楽しみです。

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