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2009年4月 2日 (木)

G20 に向けた国際機関による経済見通しの感想

今日からロンドンで G20 会合が開催されます。ワシントンでの会合に続く第2回目です。すでに、このブログでは3月30日付けのエントリーで Financial Times の報道を引用して、財政による景気拡大と雇用創出、保護貿易への警戒などがコミュニケに盛り込まれることを取り上げてありますので、今夜は、この G20 会合に向けて、いくつかの国際機関が経済見通しを発表していますので、日米欧の、特に日本の今年と来年の経済について考えたいと思います。

まず、下の表は3月19日に国際通貨基金 (IMF) が発表した "IMF Note on Global Economic Policies and Prospects"からの引用です。2009年における世界の成長率は幅を持たせてありますが、マイナス成長との予測です。2009年は日米欧そろってマイナス成長ですし、新興国や途上国の成長率も大きく落ち込む見通しとなっています。なお、表をクリックすると、引用元の pdf ファイルが別窓で開くようにリンクが張ってあります。

Overview of the World Economic Outlook Projections

次に、3月31日に経済開発協力機構 (OECD) が発表した "OECD Interim Economic Outlook, March 2009"からの引用です。OECD 見通しは IMF 見通しよりもさらに悲観的で、日米欧はもとより、世界経済の成長率も2009年には大きくマイナスになると見込んでいます。グラフのタイトルは "Growth has collapsed" になっていたりします。同じく、表をクリックすると、引用元の pdf ファイルが別窓で開くようにリンクが張ってあります。

Growth has collapsed

さらに、3月30日に世界銀行が発表した "Global Economic Forecasts" からの引用です。2009年はともかく、2010年に入れば欧州以外はかなり急速に景気が回復するとの見通しになっています。それにしても、来年2010年の日本の成長率を1.5%と見込んでいたりします。私はここしばらくの日本の潜在成長率は1%台前半ではないかと考えていますので、何と、来年には潜在成長率を超える好況が到来する、との見通しになっています。私も強気で楽観的な見通しをこのブログで提供し続けているような気もしますが、来年1.5%成長とは、その私ですら気恥しくなるような経済予測だったりします。というわけで、発表の日付順で並べずに、世銀のリポートを最後に置きました。また、世銀の見通しの表は特に多くの国を並べていますので長々と引用していますが、下の表もクリックすると、引用元の pdf ファイルが別窓で開くようにリンクが張ってあります。

Global growth forecasts

IMF の世界経済の成長率は幅を持たせてありますのでグラフが書きづらく、取りあえず、日米欧についての2009年と2010年の国際機関の経済見通しを取りまとめたものが下のグラフです。なお、2010年の米国の成長率に関する OECD 見通しはゼロですので、棒グラフには現れていません。

日米欧の成長率見通し

世銀の2010年の見通しは、特に日本についてはほぼ論外と私は考えていますので、これを除外して考えると、要するに、我が日本経済は日米欧の中で最も成長率が低く、来年2010年になってもプラスには戻らないと見込まれているわけです。すでに、昨年10-12月期の1次QEが発表された2月16日付けのエントリーで、米欧に比べて日本経済の成長が低いことについては要約してありますし、3月14日付けのエントリーでは、製造業の生産・在庫の調整が一巡し、定額給付金の効果も現れる年央には一時的な回復局面のような景気状況が現れるものの、最終需要が伴わなければ2番底に向かう W 字型の景気パスの可能性も論じてありますから、何度も同じことは取り上げませんが、いずれにせよ、秋口以降の日本経済の動向が懸念されます。9月には確実に総選挙は終わっていますので、その時点での政府の経済対策がどうなっているか、先行する米欧の景気回復に伴う輸出の動向がどうなるか、いろいろと不確定要因がありますので何とも言えませんが、これらの国際機関の経済見通しを見る限り、単なる感想として、日本は米国市場に自動車を輸出するだけのモノカルチャー経済になってしまったのか、と思えてしまいそうになって怖いです。

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