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2009年4月15日 (水)

今夏のボーナス予想やいかに?

この3月末から4月初めにかけて、いくつかのシンクタンクなどから今夏のボーナス予想が発表されています。まず、この今夏の1人当たりボーナス支給額について、GDP統計や日銀短観などでチェックしているシンクタンクなどのリポートから下の表を取りまとめました。証券会社などの金融機関では顧客向けに出しているニューズレターでクローズに公表する形式の機関もありますし、私もメールなんかに添付してもらっているリポートもあるんですが、いつもの通り、ネットに PDF ファイルなどでオープンに公表している機関に限って取り上げています。なお、公務員とあるのは、みずほ総研と第一生命経済研については国家公務員と地方公務員の平均なんですが、日本総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートには平均がなく、地方公務員の計数を取ってあります。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。なお、詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールされてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名民間
(伸び率)
公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研37.5万円
(▲7.6%)
59.9万円
(0.0%)
製造業を中心に大幅に減少
みずほ総研37.6万円
(▲7.5%)
69.7万円
(▲10.0%)
企業収益の悪化により、支給月数、所定内賃金ともにボーナス押し下げ
第一生命経済研37.6万円
(▲7.3%)
61.0万円
(+1.0%)
民間一人当たり支給額は前年比▲7.3%と大幅マイナスを予想
三菱UFJリサーチ&コンサルティング37.0万円
(▲8.9%)
59.9万円
(0.0%)
企業収益の大幅な減少を反映して、3年連続で減少

一見すると官民格差が大きいように見受けられますが、公務員の官庁エコノミスト出身の大学教授として、公務員バッシングに加担しないとの観点から言い訳を書いておくと、支給対象割合が大幅に異なるのが一因です。公務員の場合はほぼ全員にボーナスが支給されるのに対して、民間企業の場合は80%くらいしか支給されません。しかも、この支給割合は低下して来ています。例えば、計数を明記している三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートに従えば、1997年には91.7%あった支給割合が今夏には80.8%まで低下すると見込まれています。まあ、それにしても、0.8で割り戻しても50万円に達しない民間企業に比べて、ほぼ60万円に届く公務員は、少なくとも、ボーナスの観点からすれば恵まれているのかもしれません。
官民格差は別にして、民間企業の1人当たり夏季ボーナスとしては3年連続でマイナスとなることは明らかで、過去最大の落ち込みとなったのは2002年の▲7.1%減でしたから、これを上回る可能性が大きいとの予想となっています。さらに、前のパラでも書いたように、支給対象者数が▲2-▲3%くらい低下する予想が多く、1人当たりの減少率と支給対象の低下をかけ合わせて、民間企業の支給総額は2桁マイナスに達しても不思議ではありません。さらに、公務員についても、昨年度の人事院勧告では据置きとされているにもかかわらず、読売新聞の記事などによれば、勧告を行った当の人事院が民間に合わせて、公務員の夏季賞与を減額すべく、異例の臨時の人事院勧告を行うとの報道もあります。そうなると官民そろって共倒れかもしれません。
夏季賞与のこのような減額の背景は、第1に、企業収益の落ち込みです。世界的な需要の減退により売り上げが減少し、経常収益でみて、日本企業の総計の企業収益がマイナスになる可能性があるほどの経済情勢ですから、収益に応じた支給を原則とするボーナスに回す資金が不足しているのも事実です。第2に、労働分配率の上昇です。みずほ総研のリポートに従えば、バブル期には60%を下回っていた労働分配率が、昨年2008年10-12月期には70%超に達しました。非正規雇用の調整に続いてリストラによる正規職員の雇用調整も一部に始まっており、伸縮可能な賃金部分と見なされているボーナスの減少は避けられません。

経済が怖いところは景気循環があるところです。日本の場合は企業活動を起点として、何らかの原因による需要減退などにより企業収益が減少すれば賃金、すなわち、消費者の所得が停滞し、GDPの大きな部分を占める消費の低迷を招き、スパイラル的に経済活動が後退してしまいます。もちろん、逆は逆なんですが、オーバーヒートすることもあります。エコノミストの目から見て、企業活動は最悪期を出しつつあるように見えなくもありませんが、これからは家計が景気後退の荒波に突入する時期を迎えているのかもしれません。

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