景気動向指数はバブル後不況を超える景気の大底に向かう
本日午後、内閣府から今年2月の景気動向指数が発表されました。いずれも季節調整済みの月次計数で前月値と比較して、一致系列は▲2.7ポイント、先行系列は▲2.0ポイント、それぞれ下降しました。まず、朝日新聞の記事を引用すると以下の通りです。
内閣府が6日発表した2月の景気動向指数(速報)は、現状を示す一致指数が86.8と、前月より2.7ポイント下がった。7カ月連続の低下となり、02年4月以来約7年ぶりの低水準に落ち込んだ。低下幅は過去3番目。内閣府は景気の基調判断を9カ月連続で「悪化」に据え置いた。
一致指数を構成する指標は、鉱工業生産指数や大口電力使用量、有効求人倍率など速報段階で公表された九つすべてが前月より悪化した。また、2-3カ月先の景気動向を示す先行指数も75.2と、前月より2.0ポイント下がり、5カ月連続の低下となった。
3カ月前より改善した経済指標の割合を示すDI(ディフュージョン・インデックス)も同時に公表され、6カ月連続のゼロだった。6カ月連続でゼロとなるのは比較可能な80年1月以来初めて。
次に、いつもの景気動向指数のグラフは以下の通りです。前月までは上のパネルの CI だけだったんですが、今月は下のパネルの DI 一致系列のグラフも書いてみました。CI が方向感だけでなく、量感・ボリューム感も表しているのに対して、DI は方向感だけなんですが、それにしても、昨年9月以来、半年間の長きに渡って DI 一致指数がゼロを続けるのも、ある意味で、異常な事態であろうと私は考えています。
DI の一致系列が6か月連続でゼロを記録し続けている一方で、CI の方もまだまだ先行系列・一致系列とも低下を続けています。少なくとも反転の兆しは一向に見られず、大底に向かっていると見る方が自然な気がします。なお、グラフに見られる限りの1980年以降の景気後退局面直前の CI 一致系列のピークとトラフを抜き出したのが下の表です。CI 一致系列のピークとトラフですから、景気そのものの山と谷に一致しているわけではありません。
山 | 谷 (直近) | 下落幅 (率) |
---|---|---|
1980年2月 82.7 | 1982年10月 74.8 | ▲7.9 (▲9.6%) |
1985年7月 84.7 | 1986年11月 79.3 | ▲5.4 (▲6.4%) |
1990年10月 103.8 | 1993年12月 79.8 | ▲24.0 (▲23.1%) |
1997年5月 95.8 | 1998年12月 84.0 | ▲11.8 (▲12.3%) |
2000年12月 95.4 | 2002年1月 83.9 | ▲11.5 (▲12.1%) |
2007年8月 105.5 | 2009年2月 86.8 | ▲18.7 (▲17.7%) |
グラフでも表でも1980年の景気動向指数が利用可能な範囲で抜き出していますが、1990年代前半のいわゆるバブル崩壊後の景気後退期に近い景気の落ち込みを感じ取るエコノミストも少なくないと思います。表の計数ではありませんが、直近半年ほどの CI 一致系列の動きを見ると、リーマン・ショックのあった9月の99.8から今年の2月の86.8まで、毎月平均2.6ポイントずつ落ちています。ですから、この動きがあと2か月続くと下落幅としても下落率としても、ほぼバブル崩壊後の景気後退期の落ち込みに並ぶと考えて差支えありません。世間では4-5月くらいに主要メーカーの生産や在庫の調整が一巡すると報じられていますから、この単純計算を当てはめると、4月に生産や在庫の調整が終わるのであればほぼバブル崩壊後並み、5月に入るのであればバブル崩壊後を超える、ということになります。もっとも、極めて単純な前提の計算ではあります。その後、底這いかやや上向いた後、需要が盛り上がらなければ W 字型のパスを描いて2番底をつけに行く可能性も否定できないことはくり返し主張しているところです。
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