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2009年5月 1日 (金)

マイナスに入った消費者物価と悪化を続ける労働統計

本日、いくつかの重要な経済指標が発表されました。まず、総務省から3月の消費者物価指数と失業率、それから、厚生労働省から有効求人倍率や新規雇用者数などの一般職業紹介統計が、それぞれ発表されました。まず、統計のヘッドラインについて、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

労働統計
雇用情勢が急激に悪化している。総務省が1日発表した3月の完全失業率(季節調整値)は4.8%と前月比0.4ポイント上昇。失業者数は前年より67万人増え、増加幅としては過去最高に並ぶ高水準となった。厚生労働省によると、3月は解雇などによる正社員の離職も2万人を超え、雇用不安は深刻さを増している。一方で総務省が発表した3月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は生鮮食品を除く総合で1年半ぶりのマイナスとなり、デフレ懸念も強まってきた。
失業率は15歳以上の働く意思のある人のうち全く職についていない人の比率。同率が4.8%に乗せたのは04年8月以来。完全失業者数は335万人と前年同月比67万人増え、5カ月連続の増加となった。
単月での悪化幅は0.5ポイント上昇した1967年3月以来の大きさ。業績不振企業が非正規社員だけでなく、正規社員の雇用調整にまで踏み込むようになり、雇用の悪化スピードが加速している。
消費者物価
総務省が1日発表した3月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、変動の激しい生鮮食品を除くベースで100.7となり、前年同月に比べ0.1%低下した。CPIが下落に転じたのは2007年9月以来、1年半ぶり。ガソリンが昨年の高騰の反動で値下がりしたのに加え、食料品の値上がりが一服したのが響いた。物価の反転下落を受けて、先行きのデフレ懸念が強まっている。
CPIは昨夏に2%台の高い伸び率を示した後、上げ幅を急速に縮小。1月以降は横ばいが続いていた。3月はガソリンが26.7%下がったほか、ノート型パソコンが45.8%下落。生鮮食品を除く食料が2.9%上昇となり、前月から値上がり率を0.4ポイント縮めたことも、物価の押し下げ要因となった。
生鮮食品を含んだ総合指数も0.3%低下し、2月の0.1%低下から下げ幅を拡大。05年11月のマイナス0.8%以来、3年4カ月ぶりの下落率となった。

まず、いつもの通り、労働統計のグラフは以下の通りです。一番上のパネルの赤い折れ線が失業率で単位はパーセント、真ん中の青い折れ線が有効求人倍率で単位は倍、一番下のオレンジが新規求人数で単位は万人です。いずれも月次の季節調整済み系列で、影を付けた部分は景気後退期です。

労働統計

上のグラフの労働統計について景気局面との関係では、一般に、失業率は遅行系列、有効求人倍率は一致系列、新規求人数は先行系列と考えられています。最近の経済指標では、先週の4月22日に取り上げた貿易統計や昨日の鉱工業生産指数など、一部に景気底入れに向かう動きを示していると解釈できるものが現れ始めているんですが、労働指標はサッパリです。遅行系列の失業率はさて置いて、一致性の高い有効求人倍率は景気後退局面入りに先立って悪化し始めて、いまだに反転の兆しすらありません。先行性が高いと考えられている新規求人倍率も同じです。特に、3月は雇用者数が前月差で▲46万人減少しましたが、生産の動きと照らし合わせると、まだ雇用調整が進んでいないと見る向きもあり、昨夜のエントリーで書いたように、生産がリバウンドしても雇用の悪化が続く可能性があり、ということは、消費が景気の回復の足を引っ張る可能性があるということです。もうひとつ、消費の下押し圧力になりそうなのがデフレです。

消費者物価

1年半振りに全国ベースのコアCPIがマイナスを記録しました。ひとつの要因は、上のグラフの黄色の棒グラフで示したエネルギーの寄与度がマイナスになったことなんですが、ただし、緑色の棒グラフの食料のプラスの寄与度は、ほぼエネルギーに匹敵するものがあり、エネルギーと食料を除くその他の水色の棒グラフが今年になってマイナスに入っているのを注目すべきです。要するに、直感的ながら、エネルギーだけでは決してなく、GDPギャップがマイナス幅を拡大し、これが物価を押し下げている構図が浮かび上がります。さらに、思い起こせば、昨年の8月くらいが原油価格のピークでしたから、我が国の消費者物価はアッという間に大きく下落する可能性が高いと私は考えています。従来から、私は今年の年央には消費者物価がマイナスを付けるという意味でのデフレに入ると考えていて、少し前に今年前半に消費者物価がマイナスを付けると微修正し、実際には全国ベースで3月からマイナスになったわけですが、少なくとも、私が想定するペースよりもかなり早くにデフレになってしまっています。バックグラウンドを考えると、私が考えていたよりもGDPギャップのマイナスが大きくなっていると言い換えることも出来ます。しかも、4-5月くらいまでは関西弁で言う「ボチボチ」の範囲だと思うんですが、昨年に原油価格がピークを付けた8月に向かって、まさに昨年の裏返しが生じるわけで、GDPギャップではなく物価だけに起因する要因で消費者物価のマイナス幅は急速に拡大する可能性があると私は考えています。夏場には全国のコアCPIの下落率が▲1%を超えても不思議ではありません。大きなマイナスを記録する期間は長くないと思いますが、厄介なのは消費者の期待形成への影響です。2001-02年のデフレの再来のようなもので、消費者マインドに物価下落期待が織り込まれてしまうと、「安くなってから買う」という消費の先延ばしが生じ、消費が停滞します。このため、ゆっくりながらも景気転換点に向かう動きを阻害し、景気回復が大きく遅れることにもつながりかねません。

景気回復局面で生産やそのバックグラウンドの輸出が先行するのは日本の場合は当然ですが、さらにその動きをサポートする家計の所得や消費にはまだまだ明るさは見られません。景気転換点までの道のりは長いかもしれません。

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