在庫を通じた生産の変動について考える
ここしばらくの授業で、企業の生産活動が日本の景気循環の大きなエンジン、プラスもマイナスも、になっていることを学生諸君に説明しています。主として、最終需要の変化に基づくわずかな消費や販売の変動が在庫の最適化行動を通じて増幅され、生産や出荷の大きな変動を引き起こす例を、実際の数値例に基づいて説明しています。まず、前提は以下の通りです。
- 生産側と販売側はともに販売に関する静学的な予想に基づいて、生産側では前期の販売と同じ量を生産し、販売側でも前期の販売と同じ量を入荷 (生産側から見れば出荷) します。
- 生産側においても、販売側においても、出荷や販売と同量の在庫を保有します。
- ただし、販売側で需要の変動があり、入荷と異なる販売であった場合は在庫の変動が生じ、次期の入荷を増減させて在庫調整を行います。
- 同様に、生産側で出荷の変動があり、生産と異なる出荷であった場合は在庫の変動が生じ、次期の生産を増減させて在庫調整を行います。
期 | 生産 / 在庫 | 出荷 = 入荷 | 販売 / 在庫 |
1 | 100 / 100 | 100 | 100 / 100 |
2 | 100 / 100 | 100 | 90 / 110 |
3 | 90 / 120 | 70 | 90 / 90 |
4 | 60 / 90 | 90 | 90 / 90 |
5 | 90 / 90 | 90 | 90 / 90 |
6 | 90 / 90 | 90 | 100 / 80 |
7 | 100 / 70 | 120 | 100 / 100 |
8 | 130 / 100 | 100 | 100 / 100 |
9 | 100 / 100 | 100 | 100 / 100 |
- 第1期には、生産、生産側の在庫、出荷・入荷、販売、販売側の在庫とも100で均衡しています。
- 第2期には、販売が何らかの理由により減少し、販売側で意図せざる在庫の積上がりが生じます。
- 第3期には、販売側で販売の減少とそれに見合った在庫調整を行うため入荷を減らし、その結果、生産側で意図せざる在庫の積上がりが生じます。
- 第4期には、生産側で出荷の減少とそれに見合った在庫調整が行われ、生産は減少します。
- 第5期には、生産、生産側の在庫、出荷・入荷、販売、販売側の在庫とも90で均衡を回復します。
- 第6期には、販売が何らかの理由により増加し、販売側で意図せざる在庫の減少が生じます。
- 第7期には、販売側で販売の増加とそれに見合った在庫の積増しを行うため入荷を増やし、その結果、生産側で意図せざる在庫の減少が生じます。
- 第8期には、生産側で出荷の増加とそれに見合った在庫の積増しを行うため生産が増加します。
- 第9期には、生産、生産側の在庫、出荷・入荷、販売、販売側の在庫とも100で均衡を回復します。
一応、上の表は板書して学生諸君もノートを取っていたように思いますので、頭に入っていることと期待していますが、厳しい就職戦線を乗り切るために、しっかりと授業を進めたいと考えています。
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