かなり強気な景気ウォッチャー調査結果と2次QE予想の取りまとめ
本日午後、内閣府から5月の景気ウォッチャー調査結果が発表されました。現状判断DIは前月比2.5ポイント上昇の36.7となり、5か月連続の上昇でした。同じく、先行き判断DIも前月比3.6ポイント上昇の43.3でした。私はかなり強い数字であり、国民のマインドが大きく改善していると受け止めています。特に、家計部門については、新型インフルエンザの影響により、旅行・飲食関連を中心にキャンセルの急増や売上の減少があったものの、環境対応車の購入に係る減税・補助、グリーン家電の購入に係るエコポイント付与、定額給付金の給付やプレミアム付き商品券の発行、高速道路料金の引下げによる需要増などが寄与していると考えられています。企業部門は明らかに出荷や生産が下げ止まっています。これを裏付けるように、東京商工リサーチの企業倒産調査によれば、今年5月は1年振りに倒産件数、負債総額とも前年同月を下回りました。もっとも、帝国データバンクの倒産集計によれば、相変わらず、倒産件数、負債総額とも増え続けています。このあたりは、私はそんなに詳しくないんですが、いずれにせよ、景気後退期は1-3月期ですでに終了し、転換点を過ぎた可能性があります。
いつものグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフが現状判断DI、赤が先行き判断DIです。いずれも昨年12月を底に上昇に転じています。なお、影を付けた景気後退期はそろそろ1-3月を底にヤメにしようかと考えないでもないんですが、明日発表の景気動向指数を見て判断したいと思います。
次に、以下の表は今週木曜日11日に発表予定の今年1-3月期のGDP速報改訂値、いわゆる2次QEの予想です。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめてあります。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
---|---|---|
日本総研 | ▲3.9% (▲14.8%) | 在庫投資の下方修正を設備投資や公共投資の上方修正が上回る |
みずほ総研 | ▲4.1% (▲15.5%) | 設備投資や公共投資は上方修正される一方、在庫投資が下方修正されるため内需寄与度のマイナス幅が拡大 |
ニッセイ基礎研 | ▲4.1% (▲15.4%) | 民間在庫の下方修正を設備投資、公的固定資本形成の上方修正が打ち消す形となるため、GDP全体の修正は小幅 |
三菱総研 | ▲3.9% (▲14.5%) | 公的資本形成、民間設備投資は上方修正となる一方で、民間在庫品増加が下方修正 |
三菱UFJ証券 | ▲4.1% (▲15.4%) | 設備投資が上方修正の一方、在庫投資は下方修正に |
第一生命経済研 | ▲3.9% (▲14.8%) | 上方修正だが、修正幅が小さいため、景気認識の変更をもたらすものにはならない |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | ▲4.4% (▲16.6%) | 在庫投資の前期比寄与度は-0.9%へと大幅に下方修正 |
要するに、各機関とも在庫が下方修正される一方で、設備投資と公共投資が上方修正され、総合的に修正幅は小さいと見ています。第一生命経済研のヘッドラインの通り、景気認識に大きな変更がもたらされることはないであろう点も一致しています。次の4-6月期がプラス成長と考えられるだけに、今回の1-3月期の2次QEは過去の数字であり、そんなに注目度は高くないような気がします。
| 固定リンク
コメント