世銀の "Global Development Finance" と朝日新聞調査による地域経済の景気判断
日本時間で今日の午後12時30分に世銀の「世界開発金融」 "Global Development Finance 2009" のエンバーゴが解け、特に、世銀の経済見通しなどについて各紙でいっせいに報道されています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
世界銀行は21日、2009年の世界経済の実質成長率がマイナス2.9%に落ち込むとの見通しをまとめた。10年はプラス2.0%、11年は同3.2%まで回復すると予測しているが、金融危機を伴う景気後退だけに回復力は弱いとみている。
09年の成長率は日米欧がそれぞれ、マイナス6.8%、同3.0%、同4.5%。10年にはそれぞれプラス1.0%、同1.8%、同0.5%まで回復する。
景気後退下で世界経済をけん引する新興国では、中国が09年の6.5%から10年に7.5%に、インドが5.1%から8.0%まで持ち直す。新興国を含む発展途上国全体の09年の成長率は1.2%。高めの成長率を維持する中印両国を除けばマイナス1.6%になる計算だ。
今どき当然ながら、このリポートは pdf ファイルでも提供されていますし、日本語のサマリーも同じく pdf ファイルでアップロードされています。pdf で提供されている英文のリポート全文は約150ページです。ここから、最も簡略化された世界経済見通しの表を引用すると以下の通りです。
上に引用したのはリポートの pp.33 にある Table 1.10 なんですが、そのタイトルは "A protracted recession" だったりします。なお、日本の成長率見通しは pp.9 の Table 1.1 に見られます。引用した日経新聞の記事にもありますが、今年2009年▲6.8%の大幅なマイナス成長の後、2010年+1.0%、2011年+2.0%と順調に回復するシナリオが提示されています。日経新聞では+1%成長では「力強さを欠く」との表現になっていますが、人口減少社会に入った上に、今回の世界同時不況で資本蓄積のスピード、すなわち、設備投資も大幅に鈍化しましたから、1%成長はほぼ潜在成長率に見合った水準ではないかという気もします。
次に、朝日新聞のサイトから引用した都道府県別の景気判断の地図は上の通りです。この画像は紙面では見かけませんでしたので、web だけの掲載かもしれません。朝日新聞社が独自に実施した47都道府県の商工会議所と地元金融機関のトップらを対象に行った地域経済アンケートの結果です。さすがに、「拡大・回復傾向」との回答なまだないようですが、ほとんどの都道府県が「下降・悪化傾向」との回答の中で、熊本県、大阪府、愛知県、富山県、群馬県とともに、我が長崎県は全国の中でもやや景気判断がいい部類に入っています。まさか、単に勘違いしているということはないでしょうから、資源高に支えられた造船業が景気を引っ張っているのかもしれません。
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