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2009年7月27日 (月)

ヤケに強気なアジア開銀の Asia Economic Monitor

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週の7月23日にアジア開銀が Asia Economic Monitor (AEM), July 2009 を発表しています。もちろん、リポート全文の pdf ファイルもアップされています。私が注目している経済の現状分析と見通しに関する基本的な部分は、このブログの今年3月31日付けのエントリーで取り上げた『アジア開発見通し』 Asian Development Outlook (ADO) 2009 の中間見直し版といった位置づけなんでしょうが、大きく下方修正した前回と違って、かなり強気の見通しとなっています。まず、リポートの Highlights から経済の現状と見通しについて私が重要と考えるポイントを5点ほどピックアップすると以下の通りです。

  • Economic growth in emerging East Asia dropped sharply in the first quarter of 2009, but early indicators suggest the pace of decline slowed during the second quarter.
  • The slowdown in growth, coupled with lower oil and food prices, helped inflation to decline across the region.
  • Emerging East Asia has entered the transition from recession to recovery, with GDP growth sourced more from domestic stimulus than a resurgence in external demand.
  • Emerging East Asia could see a V-shaped recovery, with growth dipping sharply in 2009 before regaining last year's pace in 2010.
  • Major risks to the outlook include (i) a more prolonged recession and weaker recovery than expected in developed countries; (ii) unintended consequences of economic stimulus or premature policy tightening; (iii) falling inflation becoming deflation; and (iv) non-economic events with low probabilities, but potentially large impacts.

ほぼ上の Highlights で尽きるんですが、最近の景気動向ということで、東アジア主要国について、GDP統計よりも速報性の高い生産統計のグラフを引用すると以下の通りです。前年同月比ですが、日本の鉱工業生産指数と同じような動きを示しており、今年1-3月期が谷であったと推定される国や地域が見受けられます。リポート pp.3 の Figure 2 を引用しています。

Figure 2: Industrial Production Growth - ASEAN-4 and Viet Nam

また、アジア諸国の景気後退のひとつの大きな要因として、先進各国の景気後退による外需の不振が上げられ、GDP成長率の落ち込みと輸出比率の関係をリポート pp.5 の Figure 6 で示しています。かなり不明瞭な関係ながら、2009年1-3月期の成長率の落ち込みは輸出比率の大きさと何らかの相関があることを示そうとしているようです。

Figure 6: Exports Share and GDP Growth - Emerging East Asia

繰返しになりますが、上の Highlights で議論は尽きていて、東アジアは外需の落ち込みから景気後退に突入したものの、ほぼ今年1-3月期を谷としてすでに景気回復局面に入っており、新興国らしくというか、その回復過程は V 字型が想定されています。先行きのリスクとしては、第1に、先進国の景気後退が長引くこと、第2に、不適切な政策対応、特に、早過ぎる引締め、そして、第3に、商品市況の下落に伴う物価上昇率の低下がデフレを招くこと、最後に、わけの分からない経済外要因で締めくくられています。

日本経済を主として見ている私なんかからすれば、ヤケに強気な経済見通しだという気もしないでもありませんが、昨年春の Asian Development Outlook (ADO) 2008 を取り上げた2008年4月2日付けのエントリーに書いたように、かつての昭和30年代の日本と同じで、極めて大袈裟に言えば、今は中年を過ぎてしまった日本や老齢期に入りつつある欧州なんかと違って、アジアはまだまだ少年期にあり、政府や中央銀行の政策動向、あるいは、多少の外的条件をものともせずに成長を続けるのかもしれません。

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