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2009年7月10日 (金)

企業物価に見るデフレの現状と為替の動向

本日、日銀から6月の企業物価指数が発表されました。国内企業物価は▲6.6%の下落と、過去最大の落ち込みを記録しました。いよいよ、昨年の原油価格がピークを迎えた8月に向かって、我が国では逆に今年はデフレのピークを迎えるのかもしれません。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインなどを報じた記事を引用すると以下の通りです。

日銀が10日発表した6月の国内企業物価指数(2005年=100、速報値)は102.6と前年同月比で6.6%下がった。1960年の統計開始以来、過去最大の下落率となった。前年同月に原油価格が急上昇した反動が出ているほか、景気悪化を背景にした内需の低迷で最終製品に近い品目にも価格の下落圧力が強まってきている。
企業物価は出荷や卸売り段階で企業同士がやりとりするモノの価格水準を示す。品目別では石油・石炭製品が前年同月比で41.7%下落した。足元の原油価格は上昇傾向にあるが、昨年に大幅上昇した反動が続いている。このほか非鉄金属は29.1%下落、化学製品も10.3%下がった。鉄鋼は自動車向けの需要が減少したことなどを背景に9.3%下落した。

次に、企業物価指数の前年同月比上昇率の推移は以下の通りです。上のパネルは国内物価とサービス物価、下は輸出入物価です。なお、サービス物価はまだ5月の指数しか発表されていません。

企業物価上昇率の推移

今年年央の物価は、基本的に、昨年の急激な原油価格上昇の反動があることは確かですが、同時に、景気動向にも影響を受けて、デフレ気味に推移することは早くから見通されていました。しかし、ここ1-2週間で浮上したのは為替がジリジリと円高傾向で推移している点です。私のこのブログでは5月25日付けのエントリーから一貫して景気に対するリスク要因として為替を第1に上げて来ましたが、今となっては物価下落やデフレに対しても大きなリスク要因となっている感があります。ここ1-2週間の為替の動きは、米国景気の動向の不透明さに起因する円資産への資金シフトが原因ですが、長い目で見て、私が従来から指摘している日米金融当局の通貨供給の差が現れ始めている可能性も排除できません。ソロス・チャート的な見方と言えます。しかも、購買力平価仮説が正しいとすれば、物価上昇率が小さいというか、物価下落率が大きい通貨がより増価し、かつ、増価すると物価は下がりますから、収束的というよりも発散的な動きを示す可能性も否定できません。もちろん、購買力平価仮説は成立するとしても超長期に成立するものであり、短期的な為替の動きを左右するものではありませんが、一定の背景を成すことも考えられます。いずれにせよ、為替が最大のリスクであり、しかも、短期的には円高が進む方向にあるものと私は考えています。円高とデフレが相まって、W字型の景気パスをたどって2番底を付けに行く可能性を忘れるべきではありません。

ひょっとしたら、企業物価をこのブログで取り上げるのは初めてかもしれません。今年年央から後半にかけては、米国景気を除く国内要因としては、デフレが最大の景気回復阻害要因となると私は考えていますので、引き続き物価動向を注視したいと思います。

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