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2009年8月11日 (火)

佐伯泰英「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズ第1-6巻(双葉文庫)を読み進む

去る8月2日のエントリーで佐伯泰英さんの「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズの第1巻『陽炎の辻』を借りたと書きましたが、その後順調にコトが運び、取りあえず、6巻まで読み終えました。現時点で、番外編の『読本』を別にしても30巻まで発行されている長編ですし、小分けにして読書感想文をアップしておきたいと思います。まず、30巻までのタイトルです。当然ながら、タイトルを見ただけでは何のことだか分りません。

  1. 『陽炎ノ辻』
  2. 『寒雷ノ坂』
  3. 『花芒ノ海』
  4. 『雪華ノ里』
  5. 『竜天ノ門』
  6. 『雨降ノ山』
  7. 『狐火ノ杜』
  8. 『朔風ノ岸』
  9. 『遠霞ノ峠』
  10. 『朝虹ノ島』
  11. 『無月ノ橋』
  12. 『探梅ノ家』
  13. 『残花ノ庭』
  14. 『夏燕ノ道』
  15. 『驟雨ノ町』
  16. 『螢火ノ宿』
  17. 『紅椿ノ谷』
  18. 『捨雛ノ川』
  19. 『梅雨ノ蝶』
  20. 『野分ノ灘』
  21. 『鯖雲ノ城』
  22. 『荒海ノ津』
  23. 『万両ノ雪』
  24. 『朧夜ノ桜』
  25. 『白桐ノ夢』
  26. 『紅花ノ邨』
  27. 『石榴ノ蠅』
  28. 『照葉ノ露』
  29. 『冬桜ノ雀』
  30. 『侘助ノ白』

次に、今回読み終えた第1-6巻までの表紙の画像です。「居眠り磐音 江戸双紙」公式サイトから引用しています。これまた、画像を見ただけではどのような小説なのかは分かりません。

「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズ第1-6巻

今夜アップする第1-6巻までのあらすじを「居眠り磐音 江戸双紙」公式サイトから引用すると以下の通りです。このあたりから、知らない人でもほのかに分かりかけて来ると思います。

『陽炎ノ辻』
幼なじみの一人を自ら討たざるをえなかった豊後関前藩の藩士・坂崎磐音は心の傷を抱えながら江戸に戻り浪人暮らしを始める。両替商『今津屋』の用心棒の職を得たが大事件に巻き込まれる。幕府が発行した南鐐二朱銀に多くの両替商が反発、老中・田沼意次の流通改革を支持する今津屋をつぶしにかかったのだ。事件は血を呼び幕府の内紛に発展する。
『寒雷ノ坂』
浪人の冬は辛い。磐音は深川の『宮戸川』で鰻割きをしながら、今津屋の用心棒で知り合った品川柳次郎とさまざまな仕事をして身過ぎ世過ぎをする。内藤新宿の用心棒、楊弓場荒らしの撃退、浮気調査、今津屋の老分番頭・由蔵の護衛……その過程で南町奉行所の笹塚孫一の知己を得る。そのうち長屋に侵入者があり、慎之輔や琴平の事件には政治的な背景があったことを知る。その背景を探っていたかつての改革派の仲間・上野伊織を殺され、磐音は仇を討つ。
『花芒ノ海』
磐音は今津屋にはなくてはならぬ存在となり、借金を取り立てに行って拉致された由蔵を救う。また、おそめの頼みで、吉原に身を売った少年の母親に会いに行ったりもする。一方、関前は風雲急を告げていた。父・正睦が蟄居閉門されるという。磐音は中居半蔵、東源之丞らに会って情報を集める。江戸屋敷の不正経理を暴いた磐音は藩主の密命で関前に帰り、守旧派・宍戸一派と対決する。そして許婚・奈緒の思いがけない消息を妹の伊代から知らされる。
『雪華ノ里』
奈緒の行方を追って長崎へ向かう磐音は、日田(大分県)の峠で蘭医・中川淳庵と出会い危難を救う。長崎では、宍戸文六の庇護で甘い汁を吸っていた商人を脅して奈緒を救う金を出させるが、奈緒はすでにいない。小倉、京都とあとを追い、京都で源之丞と偶然再会、闘鶏に賭けて資金を増やそうとするが失敗。さらに金沢へ。とうとう消息をつかんだのは虚しいことに江戸であった。吉原遊郭を取り仕切る会所の頭・四郎兵衛の協力を得るが、もはや奈緒は手の届かない人に。
『竜天ノ門』
磐音は、武家の奥方の首吊り、漆工芸商の皆殺しなどを解決する。竹村武左衛門が押しつけてきたおとくばばあの用心棒をこなし、別の仕事で武左衛門を救出する。また佐々木道場に来た道場破り・赤鞘組を撃退する。一方で白鶴太夫の花魁道中を無事に成功させる。また藩の参勤下番の費用2500両の工面を父・正睦に頼まれ、今津屋に頭を下げる。のちに藩主・福坂実高から「今津屋は担保は磐音自身でいいと言った」と聞かされる。藩主のいとこ利高が江戸家老に就任して困ったことを言い出す。
『雨降ノ山』
大川(隅田川)の川開き、磐音は今津屋に花火見物の納涼船の警護を頼まれる。長屋の新しい住人お兼にまつわる事件を解決、また、長屋のはつねばあさんをだまして自殺させた男を追う幸吉を助ける。一方、関前藩の海産物を江戸でさばき財政改革の一策にしようとする父・正睦らの計画は今津屋の協力で着々と進行する。その今津屋の内儀・お艶が倒れる。胃に腫瘍ができたのだ。お艶は、実家(神奈川県伊勢原)で療養し、女人禁制の大山に詣でたいと言う。

実は、このシリーズは現在まで3回にわたってNHKでドラマ化されています。主役の居眠り磐音こと坂崎磐音の役は山本耕史さんでした。よく、NHKの時代劇に出てくる俳優さんだと思います。ちょうど、先週の土曜日に3回目のシリーズが終了したところです。ネットで調べると、文庫本で第20-21巻くらいまでがドラマ化されたようです。ものすごいハッピーエンドだったので、これで打止めではないかとの説もあります。ということで、NHKドラマのホームページへのリンクは以下の通りです。各サイトにはキャスティングがありますので、主要登場人物が把握できます。なお、私自身はシリーズ2で土曜時代劇に移ってからドラマを見始めています。

まず、どうでもいいことながら、文庫本とドラマの違いについて、実は、違いはほとんどありません。でも、十手持ちの地蔵親分の職業が原作の文庫本では蕎麦屋なんですが、NHKドラマでは風呂屋になっています。しかも、若い女房に頭が上がらない設定となっているのはドラマだけです。後は、両替商の職分などで、由蔵が文庫本の「老分」ではなく、ドラマでは一般的な「元締め」になっていたりするくらいで、ドラマはほぼ原作の文庫本を踏襲しているように見えます。もちろん、原作は30冊あって現在進行形で話が進んでおり、ドラマでは端折られた部分もいっぱいあるでしょうから、ここでは全体を通した異同だけの指摘にとどめます。
ということで、まず、時代背景は明和年間1780年代から始まります。江戸時代になって武断政治から文治政治に様変わりしたのを大久保彦左衛門が『三河物語』で嘆いてからでも150年以上も経過しているんですが、それでも、時代劇ですからスーパーヒーローたる主人公の坂崎磐音は剣の達人で、文庫本1冊当たり10人前後が死にます。もちろん、すべてを主人公が斬り殺すわけではありません。ハイライトとなる場面で2-3人を斬るだけではないでしょうか。もちろん、主人公に斬り殺されるのは超のつく悪者だけです。当然ながら、中身は時代劇ですから善悪が明確に分かれます。主人公の坂崎磐音やその父正睦は言うに及ばず、もちろん、磐音の剣の師匠である佐々木玲圓、江戸における友人の品川柳次郎と竹村武左衛門は文句なく正義の味方で、磐音が厄介になる今津屋の主人吉右衛門、老分由蔵、ゆくゆくは結婚する奥向き女中のおこんなども善人です。その逆に、豊後関前藩を牛耳って来た国家老の宍戸文六やその家来、あるいは、あこぎなやくざものや犯罪者などは悪者であることは言うまでもありません。時代劇ですから、主人公の周囲に起こる小さな物語、藩政にまつわる中くらいの物語、そして、幕府に絡む大きな物語が進行します。幕府に関係する話も大いにありますから、舞台は江戸でなければなりません。

時代劇らしく、単純な構成ながら趣にあふれていて、夏休みの時間潰しにはピッタリです。長崎でも東京でも、多くの図書館に所蔵されており、しかも、大人気で予約待ちに長蛇の列が出来ているわけでもなく、適当なタイミングを見計らってネットから予約すれば首尾よく入手できます。8-9月の長い大学の夏休みのうちに全30巻を読み終わりそうな気がします。

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