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2009年9月30日 (水)

クライマックスシリーズ近づく

クライマックスシリーズのロゴ (ただし昨年)

  HE
阪  神100000204 7100
ヤクルト000000001 1120

今夜の勝利でグッとクライマックスシリーズが近づいたような気がします。1回表にスミイチの後、東京ヤクルトに押されまくって、7回のブラゼル内野手のツーランは効果抜群でした。中盤から終盤の東京ヤクルトのチャンスでレフトにだけは飛ばないでくれと祈ったのは私だけでしょうか。最後の藤川投手も失点したから言うわけじゃないですが、先頭打者に2回ともヒットを許して盗塁されまくって、やや不安定だった気がします。でも、レフトにヒットを飛ばさせなかったのはさすがですし、9回にクリンナップが長打をつないでドカンとダメ押し点が入りましたので、要するに、勝てばそれでいいです。
何だかんだといっても、来週の8-9日の神宮での最終戦近くまでもつれ込むような気がしますが、間隔が空きますので投手起用も楽になり、このまま逃げ切って欲しいものです。それにしても、神宮の東京ヤクルト戦はフジ系列の有料CATVしか放送してなくて、極端に阪神戦のテレビ中継の少ない長崎の私は慣れてしまったんですが、フラストレーションを溜める阪神ファンも多いのかもしれません。ちなみに、今夜のヒーローインタビューは誰だったんでしょうか?
お風呂の後にトラックバックを飛ばします。

がんばれタイガース!

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鉱工業生産指数から景気の先行きを占う

本日、経済産業省から8月の鉱工業生産指数が発表されました。ヘッドラインの鉱工業生産指数の季節調整済み前月比は市場の事前コンセンサス通り+1.8%の上昇となりました。まず、いつもの日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

経済産業省が30日発表した8月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は84.1となり、前月に比べて1.8%上昇した。上昇は6カ月連続。鉄鋼や輸送機械などが生産の伸びをけん引している。経産省は基調判断を「生産は持ち直しの動きで推移」として7月の判断を据え置いたが、なお全体の水準は低いため、「注意していく」としている。
鉱工業生産指数は昨秋の世界的な金融・経済危機をきっかけに急速に悪化したが、主要国などの需要喚起策を受けて3月に回復に転じ、6カ月連続で上昇している。
8月はほぼ市場予測通りの1.8%の上昇だった。業種別にみると、鉄鋼業が8.4%増と目立つ。中国やタイ向けの需要が活発だ。輸送機械は小型自動車や軽乗用車が好調なほか、液晶テレビ用の電子部品の生産が増えている。エコポイントやエコカー減税などの政策効果が出ているとみられる。

続いて、いつものグラフは以下の通りです。今月は在庫率指数のグラフを書いてみました。まず、一番上のパネルの赤い折れ線が鉱工業生産指数、真ん中のパネルは水色の出荷指数と緑の在庫指数、そして、一番下のパネルのオレンジは在庫率指数です。いずれも季節調整済みの指数で、いつもの通り、影を付けた部分は景気後退期なんですが、今年3月を暫定的に景気の谷としています。

鉱工業生産指数の推移

上のグラフや引用した記事にもある通り、生産は順調に6か月連続で回復を示していますが、先行きを考えると強弱2様の見方が出来ます。まず、第1に明るい話題としては、資本財の出荷が順調に回復していることです。8月こそ輸送機械の減少により前月比▲3.6%減と3か月ぶりにマイナスに転じたものの、四半期でならせば増勢に変わりなく、ひょっとしたら、年内、早ければ7-9月期にもGDPベースの設備投資がゼロ近傍かプラスに転ずる可能性があります。明日発表の日銀短観の設備投資計画が注目です。また、設備投資に伴って雇用が回復に向かう可能性も出て来たと受け止めるべきです。第2に暗い面として、今年2-3月を谷とする生産の V 字型回復がほぼ終わりを迎え、回復テンポが鈍化していることです。製造工業生産予測調査では9月+1.1%、10月+2.2%の増産と見通していますが、前月時点では8月+2.4%、9月+3.2%の上昇でした。鉱工業生産指数と製造工業生産予測調査ではカバレッジが異なりますので、そのまま単純に比較することは出来ませんが、それでも、実績が予測より低く出て、翌月よりも翌々月の方を高く見込んだ上で直近で見込みを下げるのは、予定されたほど生産が増加していないことを表しています。この背景には在庫率が下がり切らないことがあり、上のグラフの一番下のパネルに見る通りです。在庫率は在庫を出荷で割った商ですから、在庫をさらに調整する必要があるのかもしれません。なお、内閣府の景気動向指数には最終需要財在庫指数が逆サイクルで先行指数に組み入れられています。

日本経済の景気をけん引する生産も春先の急速化回復過程から、早くも息切れの様相を呈し始めています。生産の増産が設備投資や雇用につながるかどうかが大きなポイントになります。

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2009年9月29日 (火)

クライマックスシリーズに望みをつなぐ

クライマックスシリーズのロゴ (ただし昨年)

  HE
阪  神101400101 8120
ヤクルト002000000 262

何とか勝って、クライマックスシリーズに望みをつなぎました。昨日の負け方がメチャクチャ悪かったので、ほとんど諦めかけていたんですがこれで、明日の試合次第ではもっとチャンスが広がるような気がします。試合の中身はどうでもいいです。ここまで来れば結果がすべてです。

何はともあれ、明日の試合も、
がんばれタイガース!

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過去最大の下落を示した消費者物価からGDPギャップを考える

本日、総務省統計局から8月全国と9月東京都区部の消費者物価指数 (CPI) が発表されました。最も注目されている全国ベースの生鮮食品を除く総合、いわゆるコア CPI は前年同月比で▲2.4%と過去最大の下落を示しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

総務省が29日発表した8月の全国消費者物価指数 (CPI、2005年=100) は変動が大きい生鮮食品を除いたベースで100.1となり、前年同月に比べて2.4%低下した。前の年を下回るのは6カ月連続。下落率は比較可能な1971年以降で過去最大となり、4カ月連続で記録を更新した。昨夏に原油高の影響でガソリン価格が急騰したことの反動が大きいが、身の回りのモノの値段も下がっている。
生鮮食品を除いた物価の下落率が2%を超すのは2カ月連続。食料とエネルギー価格の影響を除いた物価指数も前年同月比0.9%低下しており、ガソリンや灯油といった石油関連製品だけでなく、洗濯用洗剤やティッシュペーパーなど幅広い製品の値段が下がっている。

続いて、いつものグラフは以下の通りです。グラフの下の凡例にある通り、すべて前年同月比をベースにし、青の折れ線が全国のコア CPI、赤が同じく全国の食料とエネルギーを除く、いわゆるコアコア CPI、グレーが東京都区部のコア CPI です。棒グラフは全国コア CPI を寄与度で分解したもので、黄色がエネルギー、緑が食料、水色がその他となっています。

消費者物価の推移

コア CPI については、▲2%台半ばの下落ということで、ほぼ市場コンセンサス通りでした。昨年の夏が WTI で見た原油価格のピークでしたし、昨年2008年7-8月が2.4%、9月が2.3%のそれぞれ物価上昇を示しましたから、キッチリ、その分が下落していることになります。事実、エネルギーのコア CPI 下落率への寄与度は私の計算によれば▲1.78%となっています。コア CPI 下落の 2/3 はエネルギーに起因するということになります。じゃあそれでいいのか、原油価格上昇を反映した昨年の単なる反動かといえば、コトはそれほど単純ではありません。すなわち、食料とエネルギーを除いた欧米流のコアコア CPI が下落を続けているからです。上のグラフの赤い折れ線を見ても、原油価格からの波及にやや左右される部分はあるものの、今世紀に入ってから例外的な期間を除いてほぼ一貫してマイナスを続けていることが読み取れます。このバックグラウンドにあるのが需給ギャップです。

GDPギャップの推移

上のグラフは内閣府が発表している「今週の指標」No.931 (2009年8月31日) から引用した GDP ギャップの推移です。日付からして8月に公表された1次QEに基づくものだと思いますが、これまた、今世紀に入ってから例外的な時期を除いて多くの期間でマイナスとなっており、特に最近時点で大きな負の GDP ギャップを記録していることが読み取れます。言うまでもなく、これは内需の低迷に起因しています。繰返しになりますが、原油価格の反動だけでなく、コアコア CPI のバックグラウンドに上のグラフに示されているような需給ギャップが存在することを見逃すべきではありません。
もちろん、デフレに対して金融政策が注目されるのは、フリードマン教授が喝破したように、"Inflation is always and everywhere a monetary phenomenon." との名言を持ち出すまでもありません。私が何人かの同僚エコノミストから受け取っているニューズレターでも、「利上げは2016年以降」とか、「2012年中を通じて政策金利は0.1%に据え置かれる」といったものを見受けました。9月8日に発表された「ESP フォーキャスト調査」でも、今年12月ころに利下げを見込んでいるエコノミストさえおり、この先1年間の利上げはないとの意見が圧倒的でした。

この先の物価を見通す上で、来年4月からガソリンの暫定税率が廃止されたり、高速道路が無料化されたりすると、政権交代に伴う経済政策からさらに CPI へのマイナスのインパクトが与えられる可能性があります。その分を内需の拡大により需給ギャップを縮小させられるかどうかが大きなポイントとなります。

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2009年9月28日 (月)

新しいペーパー「我が国における労働調整過程の変容: VAR プロセスの応用」を書き上げる

新しいペーパー「我が国における労働調整過程の変容: VARプロセスの応用」を書き上げました。一応、私は時系列分析が専門であると称しているんですが、今回は初心に帰って VAR プロセスを組んでマクロの労働調整過程を分析してみました。
戦後における日本の雇用においては、労働投入量としては残業などの労働時間の伸縮性により、また、コスト面からは独特のボーナス制度などに支えられて、主として賃金=価格で調整される部分が大きく、最終的に雇用者数や失業率がそれほど変動することなく雇用調整が行われてきたと考えられているんですが、昨年9月のリーマン・ブラザーズ証券の破綻以降の世界的に厳しい景気後退の中で、いわゆる「派遣切り」とか「雇い止め」と称するような現象が起こり、産出の代理変数である生産の変動を労働時間や賃金の伸縮性で吸収し切れずに雇用の大幅な減少につながったのではないかと指摘されています。これを VAR プロセスに基づくインパルス応答で分析しています。結果は下のグラフの通りです。

インパルス応答の推移

上のパネルから順に、生産から時間外労働時間、すなわち残業へのインパルス応答、生産から賃金へのインパルス応答、生産から雇用、すなわち非農業就業者数へのインパルス応答です。期間は全体が1978年2月から2009年6月まで、第1期は1978年7月から1988年6月までの10年、第2期が1988年7月から1998年6月までの10年、第3期だけ1998年7月から2009年6月までの11年としています。
グラフを見れば明らかなんですが、直近時点を含む第3期だけ、生産が増加しても労働時間が伸びず、逆に賃金は上昇するという結果になっています。しかし、生産から雇用へのインパクトについては、上のグラフは自然単位ですが、労働生産性を加味した効率単位では1-3期で大きな変化はないように直感的に感じています。上の2つのグラフを総合して考えると、賃金データは1人当たり月額をベースに作成されていることから、労働時間、特に残業時間の変動が従来に比べて小さくなった状況下で賃金が伸縮的になった原因として考えられるのは、第1に、1人当たりの賃金そのものが労働時間にかかわりなく伸縮的であるか、第2に、加重平均された賃金を考え、いくつかの賃金水準グループを生産の変動に合わせて雇用しているか、のどちらか、あるいは、その双方です。現実の日本経済に最近時点で生じている定型化された事実と照らし合わせて解釈すると、前者については、生産が変動する景気局面に応じて従来以上にボーナスが変動する業績連動を強めた給与体系が広く普及している、あるいは、後者については、生産が縮小する景気後退期に給与水準の高い正社員から給与水準の低い非正規労働者に代替する、あるいは、逆に、生産が拡大する景気拡張期には非正規雇用を一括して正社員として登用する、などが考えられるところです。この点では直近時点を含も第3期の労働調整過程は大きく変容したと考えて差し支えありません。しかし、話は戻りますが、3番目の一番下のグラフを見ると、生産性の向上に基づく効率単位を加味すれば、オーバーオールの生産から雇用へのインパクトは決して大きく変容していないと考えられます。最後に、最近1年間で観察された「派遣切り」や「雇い止め」はさすがにデータで追い切れていない気がします。

時系列の基本たる VAR プロセスを応用した分析でした。少しインパルス応答の解釈に自信のない部分もありますが、その昔に大和総研の原田さんと書いたペーパーに準じましたので、間違ってはいないと思います。

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2009年9月27日 (日)

ナゴヤドームの3連戦でクライマックスシリーズの投手起用を考える

  HE
阪  神011060000 8130
中  日000000020 271

今日は朝早くから夕方まで外出していて、5時前に帰宅してネットでチェックすると、何と、ナゴヤドームの中日戦でボロ勝ち状態でした。中日先発が山本投手ということもありましたでしょうが、5回の狩野捕手の満塁ホームランが大いに効いている気がします。
昨日は投手陣がボロボロで7点取りながら逆転負けし、当然ながら、今日の投手起用はある程度はクライマックスシリーズも視野に入れたものとなると考えていましたが、果たしてサウスポーの岩田投手でした。このナゴヤドームの3連戦は3戦とも左投手を先発させたことになります。で、結果はご存じの通りで、今や押しも押されもせぬ阪神のエースとなった感のある能見投手と今日の岩田投手は合格点ということになります。抑えのアッチソン投手と藤川投手は万全ですので、問題は安藤投手の処遇です。どうするんでしょうか?
もちろん、これは取らぬ狸の皮算用で、明日からの神宮球場での対ヤクルト3連戦と2日置いての土曜日の甲子園での同じくヤクルトとの計4戦が山場となります。何としても3勝1敗のペースで乗り切りたいところです。

クライマックスシリーズ出場目指して、
がんばれタイガース!

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2009年9月26日 (土)

ピッツバーグ G20 サミット首脳宣言

ピッツバーグ G20 サミット

一昨日から開催されていたピッツバーグ G20 サミットが昨日、日本時間の今日未明に閉幕し、首脳宣言が採択されました。主要な内容については報道されつくしていると思いますので、やや手抜きの週末エントリーで首脳宣言の全文をホワイトハウスが設置したホームページから総論部分の31パラまで引用しておきます。


Leaders' Statement: The Pittsburgh Summit
September 24 – 25, 2009

PREAMBLE

1. We meet in the midst of a critical transition from crisis to recovery to turn the page on an era of irresponsibility and to adopt a set of policies, regulations and reforms to meet the needs of the 21st century global economy.

2. When we last gathered in April, we confronted the greatest challenge to the world economy in our generation.

3. Global output was contracting at pace not seen since the 1930s. Trade was plummeting. Jobs were disappearing rapidly. Our people worried that the world was on the edge of a depression.

4. At that time, our countries agreed to do everything necessary to ensure recovery, to repair our financial systems and to maintain the global flow of capital.

5. It worked.

6. Our forceful response helped stop the dangerous, sharp decline in global activity and stabilize financial markets. Industrial output is now rising in nearly all our economies. International trade is starting to recover. Our financial institutions are raising needed capital, financial markets are showing a willingness to invest and lend, and confidence has improved.

7. Today, we reviewed the progress we have made since the London Summit in April. Our national commitments to restore growth resulted in the largest and most coordinated fiscal and monetary stimulus ever undertaken. We acted together to increase dramatically the resources necessary to stop the crisis from spreading around the world. We took steps to fix the broken regulatory system and started to implement sweeping reforms to reduce the risk that financial excesses will again destabilize the global economy.

8. A sense of normalcy should not lead to complacency.

9. The process of recovery and repair remains incomplete. In many countries, unemployment remains unacceptably high. The conditions for a recovery of private demand are not yet fully in place. We cannot rest until the global economy is restored to full health, and hard-working families the world over can find decent jobs.

10. We pledge today to sustain our strong policy response until a durable recovery is secured. We will act to ensure that when growth returns, jobs do too. We will avoid any premature withdrawal of stimulus. At the same time, we will prepare our exit strategies and, when the time is right, withdraw our extraordinary policy support in a cooperative and coordinated way, maintaining our commitment to fiscal responsibility.

11. Even as the work of recovery continues, we pledge to adopt the policies needed to lay the foundation for strong, sustained and balanced growth in the 21st century. We recognize that we have to act forcefully to overcome the legacy of the recent, severe global economic crisis and to help people cope with the consequences of this crisis. We want growth without cycles of boom and bust and markets that foster responsibility not recklessness.

12. Today we agreed:

13. To launch a framework that lays out the policies and the way we act together to generate strong, sustainable and balanced global growth. We need a durable recovery that creates the good jobs our people need.

14. We need to shift from public to private sources of demand, establish a pattern of growth across countries that is more sustainable and balanced, and reduce development imbalances. We pledge to avoid destabilizing booms and busts in asset and credit prices and adopt macroeconomic policies, consistent with price stability, that promote adequate and balanced global demand. We will also make decisive progress on structural reforms that foster private demand and strengthen long-run growth potential.

15. Our Framework for Strong, Sustainable and Balanced Growth is a compact that commits us to work together to assess how our policies fit together, to evaluate whether they are collectively consistent with more sustainable and balanced growth, and to act as necessary to meet our common objectives.

16. To make sure our regulatory system for banks and other financial firms reins in the excesses that led to the crisis. Where reckless behavior and a lack of responsibility led to crisis, we will not allow a return to banking as usual.

17. We committed to act together to raise capital standards, to implement strong international compensation standards aimed at ending practices that lead to excessive risk-taking, to improve the over-the-counter derivatives market and to create more powerful tools to hold large global firms to account for the risks they take. Standards for large global financial firms should be commensurate with the cost of their failure. For all these reforms, we have set for ourselves strict and precise timetables.

18. To reform the global architecture to meet the needs of the 21st century. After this crisis, critical players need to be at the table and fully vested in our institutions to allow us to cooperate to lay the foundation for strong, sustainable and balanced growth.

19. We designated the G-20 to be the premier forum for our international economic cooperation. We established the Financial Stability Board (FSB) to include major emerging economies and welcome its efforts to coordinate and monitor progress in strengthening financial regulation.

20. We are committed to a shift in International Monetary Fund (IMF) quota share to dynamic emerging markets and developing countries of at least 5% from over-represented countries to under-represented countries using the current quota formula as the basis to work from. Today we have delivered on our promise to contribute over $500 billion to a renewed and expanded IMF New Arrangements to Borrow (NAB).

21. We stressed the importance of adopting a dynamic formula at the World Bank which primarily reflects countries’ evolving economic weight and the World Bank’s development mission, and that generates an increase of at least 3% of voting power for developing and transition countries, to the benefit of under-represented countries. While recognizing that over-represented countries will make a contribution, it will be important to protect the voting power of the smallest poor countries. We called on the World Bank to play a leading role in responding to problems whose nature requires globally coordinated action, such as climate change and food security, and agreed that the World Bank and the regional development banks should have sufficient resources to address these challenges and fulfill their mandates.

22. To take new steps to increase access to food, fuel and finance among the world’s poorest while clamping down on illicit outflows. Steps to reduce the development gap can be a potent driver of global growth.

23. Over four billion people remain undereducated, ill-equipped with capital and technology, and insufficiently integrated into the global economy. We need to work together to make the policy and institutional changes needed to accelerate the convergence of living standards and productivity in developing and emerging economies to the levels of the advanced economies. To start, we call on the World Bank to develop a new trust fund to support the new Food Security Initiative for low-income countries announced last summer. We will increase, on a voluntary basis, funding for programs to bring clean affordable energy to the poorest, such as the Scaling Up Renewable Energy Program.

24. To phase out and rationalize over the medium term inefficient fossil fuel subsidies while providing targeted support for the poorest. Inefficient fossil fuel subsidies encourage wasteful consumption, reduce our energy security, impede investment in clean energy sources and undermine efforts to deal with the threat of climate change.

25. We call on our Energy and Finance Ministers to report to us their implementation strategies and timeline for acting to meet this critical commitment at our next meeting.

26. We will promote energy market transparency and market stability as part of our broader effort to avoid excessive volatility.

27. To maintain our openness and move toward greener, more sustainable growth.

28. We will fight protectionism. We are committed to bringing the Doha Round to a successful conclusion in 2010.

29. We will spare no effort to reach agreement in Copenhagen through the United Nations Framework Convention on Climate Change (UNFCCC) negotiations.

30. We warmly welcome the report by the Chair of the London Summit commissioned at our last meeting and published today.

31. Finally, we agreed to meet in Canada in June 2010 and in Korea in November 2010. We expect to meet annually thereafter and will meet in France in 2011.

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2009年9月25日 (金)

9月調査の日銀短観予想

9月調査の日銀短観が10月1日に発表予定ですが、民間シンクタンクや金融機関からの予想がほぼ出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートが別画面で開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
ヘッドライン
日本総研▲31
▲26
製造業を中心とした企業マインドの改善が持続
みずほ総研▲36
▲30
業況感は製造業で改善。非製造業で悪化
三菱UFJ証券▲28
▲26
大企業・製造業の景況感の大幅な改善が続く
第一生命経済研▲30
▲26
業況判断は改善が進む
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲36
▲26
一部を除いて個人消費などの国内民需の低迷が続いていることが、景況感の改善を抑える要因
ニッセイ基礎研▲36
▲23
業況判断DIは改善するが、先行きぱっとせず
三菱総研▲32
▲27
企業マインドの水準自体は依然として低い
富士通総研▲33
▲27
内需の回復力の弱さ、デフレ傾向が非製造業の足を引っ張る
新光総研▲40
▲26
業況判断は総じて改善するも、バラツキが残る状況を予想

次に、いつもの日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。なお、記事の引用はしませんが、朝日新聞のサイトでも同様の報道を見かけました。

日銀が10月1日に発表する9月の企業短期経済観測調査(短観)について、民間調査機関の予測を集計したところ、大企業製造業の業況判断指数(DI)の予測中心値はマイナス32となった。前回の6月調査より16ポイント上昇する見通しで、2回連続で改善する。ただ昨年12月調査の水準には及ばず、先行きについては慎重な見方が大勢を占めている。
日経グループのQUICKが29社の予測を集計した。業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値。非製造業はマイナス26で、3ポイント改善する見通しだ。

日銀短観を予測する際のひとつの参考資料とされているのがロイター短観です。私は不勉強にしてロイター短観のデータのありかを知りません、というか、たぶん売り物ではないかと思いますので、第一生命経済研究所のリポートから最新データの9月分を孫引きすると以下のグラフの通りです。

ロイター短観9月調査結果

9月の結果を日銀短観に合わせて6月調査と比較すると、製造業が▲33と6月より17ポイント改善した一方で、非製造業は▲34と同じく3ポイントの改善にとどまっています。昨夜の貿易統計を取り上げたエントリーでも指摘しましたが、順調に回復している輸出に対して、相対的に内需の回復テンポが緩やかになっており、製造業と非製造業の差がここに起因して企業マインドに表れていると私は解釈しています。特に、4-6月期には定額給付金や高速道路料金引下げなどの経済対策により内需の盛り上がりが見られましたが、7-9月期になって雇用環境の改善が遅れ、夏季ボーナスが大幅に減少した上に、天候も不順だったことから、外需も含めた景気と内需の回復ペースが春先より現時点の方が大きくなっていると考えられます。

今夜のエントリ-では10月1日発表予定の日銀短観のうちの業況判断しか取り上げませんでしたが、もちろん、景気の先行きを占う上で設備投資計画も大いに注目です。

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2009年9月24日 (木)

貿易統計から景気回復の実感を考える

長い連休も昨日で終わり、今日は、財務省から8月の貿易統計が発表されました。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインに関する記事を引用すると以下の通りです。

財務省が24日発表した8月の貿易統計速報(通関ベース)は、輸出額が前年同月に比べて36.0%減の4兆5111億円になった。自動車や鉄鋼などの輸出が前年に比べて減ったことが響いた。ただ、下落率は7月に比べて0.5ポイント縮小。輸出の額は依然として金融危機前の水準を下回るが、落ち込み幅が拡大する事態には至っていない。
輸入額は前年同月比41.3%減の4兆3254億円。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は1857億円の黒字となり、前年同月の赤字から黒字に戻った。
8月の輸出動向を国別にみると、米国向けは前年同月比34.4%の減少。乗用車や金属加工に使う工作機械が依然として振るわなかった。輸出額の下落率は2カ月ぶりに縮小した。

いつもの貿易統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは青い折れ線が輸出、赤が輸入、緑の棒グラフはその差額である貿易収支です。いずれも左軸の単位は兆円です。下のパネルは輸出の前年同月比を数量と価格で要因分解したものです。上下のパネルともすべて季節調整していない原系列です。

貿易統計の推移

まず、輸出も貿易収支もともに順調に回復していることが統計から確認できます。輸出については回復が鈍化しているとの観測もあり、季節調整していない原数値での比較は難しいものの、8月の輸出数量指数の季節調整値の伸びは前月比で6.1%の伸びとなり、7月の0.5%増から加速したと内閣府で試算しているとの記事を日経新聞のサイトで見かけましたし、8月末の総選挙結果と9月の政権交代を受けて、理由はやや不明ながら円高が少し進みましたが、その後は為替レートも安定しており、先進国の景気回復と新興国の成長に支えられて輸出は順調に拡大基調に戻りつつあると私は受け止めています。ただし、直近の円高ではなく昨秋来の円高がジワリとこれから効いて来る可能性はあります。また、日本以外の先進国の景気対策も日本と同様に息切れする可能性も排除できませんし、手放しで輸出の回復というわけにいかないことも確かです。
一応、順調な輸出の伸びを前提にした議論で、やや不確定要素もあるものの、一般的に言って、輸出は非製造業ではなく製造業が担っており、それも企業規模が大きいほど国際競争力があると考えられますから、国際化の恩恵、すなわち、輸出により売上げを伸ばすことが出来る製造業大企業の回復ピッチは、輸出できないがゆえに内需に依存する非製造業や中小企業よりかなり速くなっているんではないかと私は想像しています。逆に言えば、部分的ながらも世界市場を相手にする製造業大企業と国内市場のみで勝負する非製造業や中小企業で、もしも何らかの景気回復ペースや企業マインドに乖離を生じているとすれば、外需と内需で回復テンポの差が生じている可能性があります。さらに、まだまだ輸出は実質GDPの十数%ですから、内需の占める割合が圧倒的に高いわけで、景気回復の実感が感じられないのは、経済活動の水準が低いことともに内需が相対的に低迷している可能性が指摘できます。少なくとも、企業マインドについては来週の10月1日に発表される9月調査の日銀短観で明らかになると私は考えています。

来週は日銀短観とともに、消費者物価、雇用統計、鉱工業生産指数などの重要な経済指標が発表されますから、日本経済が2番底に向かうのかどうか、夏場までの勢いが見どころかもしれません。

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2009年9月23日 (水)

川上未映子『ヘヴン』(講談社)を読む

川上未映子『ヘヴン』(講談社)

川上未映子さんの『ヘヴン』を読みました。なかなかいい出来の初長編だという気がします。従来から私はこの著者を高く評価していて、『乳と卵』などの大阪弁の会話のテンポを利用するだけでなく、もう一皮むければ世界レベルに達することも夢ではないと考えていました。でも、「新潮」7月号の「すばらしい骨格の持ち主は」を読んで、やっぱり大阪弁の会話に依存する文体に戻ったのかと、やや残念に思っていましたが、「群像」8月号に寄稿し9月1日に発売された単行本にもなったこの作品を読むと、私の望んでいた世界を視野に入れた方向に進んでいるのかと考え直さないでもありませんでした。
原稿用紙で420枚だとかで、単行本で250ページくらいの小説ですから、私だったらスラスラと一気に読まないでもないんですが、中身が非常に重く、私にしてはかなり時間をかけて読んだ気がします。私の読後の評価として、決して手放しで素晴らしいとは言いませんが、初の長編にしてはかなりの出来栄えだと受け止めています。私がここ数か月に読んでベストセラー・リストを賑わしている、例えば、村上春樹さんの『1Q84』には敵わないとしても、伊坂幸太郎さんの『あるキング』や短編集ながら柳広司さんの『ダブル・ジョーカー』なんかには決して引けを取りません。
小説のあらすじは広く報じられている通り、中学2年生の男子である「僕」を主人公にし、クラスメートの二ノ宮とその取巻きからの壮絶な苛めを受ける場面、同じようにクラスで女子に苛められている「コジマ」との交流、最後は斜視の手術で終わります。継母は極めて重要な存在です。最後の斜視の手術を終えて眼帯を取った後の場面、ホントに最後の1ページ半なんですが、作者の素晴らしい感受性と表現力を感じることが出来ます。ですから、読後感がとってもよくなっています。ただし、2つの年代設定に疑問を感じなくもないという気がしました。主人公が中学2年生というのは極めていいセンを行っているとしても、第1に、どうして時代背景を1991年にしたのか、私には理解できません。主人公は必然的に作者とほぼ同じ世代になるわけですが、それが理由だったのか、あるいは、「ノストラダムスの大予言」に基づく終末と言われていた1999年の数年前という設定なのか、他に何かあるのか、何らかの必然が欲しかったような気がします。第2に、第6章の主人公と百瀬との会話は中学2年生ではムリそうな気がしないでもありません。我が家のおにいちゃんは中学1年生ですが、来年にこのような会話を同級生と出来るかどうかは疑問です。いい出来の小説でありながら、この2点の年代設定は宝石に残るわずかな flaw だという気がします。でも、いくつか見た書評では、たとえば、毎日新聞のサイトにあるように、大胆にも村上春樹さんの『1Q84』と比較しているものもあり、そんなことは気にもしていません。私だけの視点かもしれません。

いずれにせよ、かなり出来のいい初長編小説で、ベストセラーに顔を出しているのも当然です。大阪弁の会話テンポに頼らないという意味で世界のレベルに近づいた作品です。このまま作家として成長を続けるようだと、大風呂敷を広げて構わなければ、今年来年の村上春樹さんに続いて、30年後のノーベル文学賞も夢ではないような気がします。

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2009年9月22日 (火)

アジア開発銀行 (ADB) の「経済見通し」 Asian Development Outlook 2009 Update

日本が秋のシルバーウィークに入っていて金融市場が開かれていないだけでなく、当然ながら経済指標の発表もなく、その上に、総理大臣が外遊してしまったので、国内には大きなニュースもないようなので、昨日今日と海外から発信された経済の話題を取り上げています。昨日の世銀の「世界開発報告」World Development Report 2010 に続いて、今日はアジア開発銀行 (ADB) の「経済見通し」 Asian Development Outlook 2009 Update に注目します。本日、フィリピンの首都マニラにある ADB の本部で発表されました。副題は Broadening Openness for a Resilient Asia となっており、第2章で貿易、金融、労働などの開放政策を論じています。もちろん、pdf ファイルのリポートも公表されています。まず、見通しのヘッドラインなどについて、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

アジア開発銀行(ADB)は22日、アジア地域(日本など域内先進国を除く)の来年の実質国内総生産(GDP)が今年に比べ6.4%成長するとの見通しを発表した。各国の積極的な財政出動などが寄与するとして、3月末時点の前回見通しを0.4ポイント上方修正した。域内大国の中国が同8.9%、インドが同7%伸び、全体を押し上げる。今年についても昨年に比べ3.9%成長と、前回見通しを0.5ポイント上方修正した。ADBは「アジア経済は世界景気の回復をけん引していく」とみている。

対象各国の成長率見通しは以下の通りです。リポートの p.170 Table A1 Growth rate of GDP (% per year) から引用しています。少し縮小をかけていますので、見にくかったらゴメンなさい。

ADB/ADO 成長率見通し

3月29日付けのエントリーで取り上げた春の Asian Development Outlook (ADO) では昨年版から大きく下方修正されたアジア途上国の成長率見通しが、最近時点までの動向を踏まえて上方修正されています。2010年の成長率だけで見ると、上の表の通り、中国が8.0%成長から0.9%ポイントの上方修正をはじめとして、東アジア地域が春の6.5%から7.1%と0.6%ポイントの大幅上昇となっていて、アジア途上国全体では0.4%ポイントの上方修正となっています。他方、インフレ率も2010年でアジア途上国で春の2.4%から3.4%に上方修正されていたりします。なお、アジアだけでなく世界経済に関する先行きリスクとして、pp.21-25にかけて、以下のような要因を上げています。

  • Misjudged exit from stimulus
  • Continued weak US housing market
  • Resurgent global oil prices
  • Flu pandemic

ということで、最初のリスク要因を分析する一環として、大胆にも、p.10 の BOX 1.1.3 では日米中央銀行の出口戦略を論じたりしています。余計なお世話かもしれません。また、米国住宅市場をリスクとして認識している一方で、我が日本の回復ペースの緩慢さや2番底をつける可能性はすでに ADB では織込み済みなのかもしれません。

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2009年9月21日 (月)

世銀の「世界開発報告 2010」に見る気候変動・地球環境問題にエコノミストは貢献できるか?

今日は秋のシルバーウィーク5連休のちょうど中日に当たります。少し遅くなりましたが、9月15日に世銀から「世界開発報告 2010」World Development Report 2010 を公表しています。副題は "Development and Climate Change"、すなわち、「開発と気候変動」となっています。一応、10月下旬の正式公表に向けての暫定公表という位置づけで、図表の中にはまだ完成していないものもあります。もちろん、pdf ファイルのリポートも公表されています。まず、ついでながら、「世界開発報告」(WDR) の今世紀に入ってからの副題、というか、テーマを参考までに上げると以下の通りです。

  • WDR 2002: Building Institutions for Markets
  • WDR 2003: Sustainable Development in a Dynamic World
  • WDR 2004: Making Services Work for Poor People
  • WDR 2005: A Better Investment Climate for Everyone
  • WDR 2006: Equity and Development
  • WDR 2007: Development and the Next Generation
  • WDR 2008: Agriculture for Development
  • WDR 2009: Reshaping Economic Geography
  • WDR 2010: Development and Climate Change

上のリストを見ると、最近10年ほどの世界経済のポイントがよく分かるような気がします。今年の「世界開発報告 2010」はリーマン・ショック後の激しい景気後退もほぼ終了、もしくは終了の目途が立ち、少し余裕を持って中長期的な気候変動や地球環境保護の話題を取り上げているような雰囲気が漂っていると受け止めているのは私だけではないような気がします。それはそれとして、まず、リポートが指摘するのは資金不足です。下のグラフの通り、気候変動における2度の気温上昇に対して、現状準備されているのは100億ドルほどですから、2030年までに、適合するだけでも1000億ドル近く、緩和するためには4000億ドルほどの資金が不足します。世間的にはこの資金不足が最も注目されていたように私は感じています。

気候変動を緩和するに必要な資金ギャップ

続いて、私は気候変動や地球環境に関する技術的なリポートの分析はサッパリ分からないんですが、エコノミストとして、あるいは、行政官や研究者として考えるべきポイントがいくつかあるように感じました。第1に、成長や経済発展は環境保護とトレードオフ、すなわち、経済成長のためには環境汚染というコストが必要なのかどうか、第2に、直接間接に温暖化ガスの排出を抑制する以外に方法があるのかどうか、の2点です。最初に、下のグラフは縦軸に1人当たりの二酸化炭素排出量、横軸に1人当たりのGDPを取ったグラフです。

1人当たり二酸化炭素排出量

有名なクズネッツ曲線は縦軸に不平等度を取っており、成長は経済発展が進んで1人当たりGDPが増加すれば、初期の段階では不平等度が拡大するが、一定の値で反転し、1人当たりのGDPの拡大が続けば不平等度は減少して平等化が進む、というクズネッツの逆 U 字仮説が実証されています。どうでもいいことですが、この功績でクズネッツ教授はノーベル経済学賞を受賞しています。もしも、上のグラフは大雑把に右上に伸びて行っているように見え、すなわち、1人当たりGDPが増加すればするほど1人当たり二酸化炭素排出量が増えているということを表しているのかもしれません。もしもそうだとすれば、地球全体で二酸化炭素排出量を減少させるためには、人口を減らすか、1人当たりGDPを減少させる必要があるかもしれません。しかし、いくつかの先進国、典型的には英国、フランス、アイルランド、オーストラリアなどでは1人当たりGDPは増加を続けている一方で、1人当たり二酸化炭素排出量は減少に転じています。我が日本や米国にもその傾向がうかがえます。途上国ながらメキシコもそうです。これは環境クズネッツ曲線と呼ばれるもので、不平等度と同じで、1人当たりの二酸化炭素排出量は1人当たりのGDPの増加に従って増えるんですが、一定の値で反転し、さらに1人当たりのGDPが成長すれば1人当たりの二酸化炭素排出量は減少する可能性が示唆されています。成長と環境はトレードオフではなく、両立する可能性があるということです。きわめて興味深いことだと私は受け止めています。

ガバナンスの効率性と環境パフォーマンス

第2のポイントとして、エコノミストも行政官も二酸化炭素排出量を減少させようとすれば直接的に化石燃料などの使用を止めて原子力に切り替えるとか、あるいは、間接的に炭素税を賦課して価格メカニズムを応用して炭素を燃やすのを食い止めようとするか、いずれにせよ、炭素使用量に影響を与える方法に頼ろうとするんですが、まったく別の次元からサポートする方法もあり得ると私は考えており、上のグラフによく示されています。横軸がガバナンスの効率性で縦軸が環境パフォーマンスです。私が授業でくどいほど学生に力説している通り、y=f(x) であって、横軸の x が縦軸の y を決めます。関数をプロットしたグラフとはそういうものです。上のグラフの因果関係はガバナンスが効率的であることが原因となって、良好な環境パフォーマンスという結果がもたらされることを示す意図の下に書かれていると解釈すべきです。直接間接に炭素使用量に何らかの影響を与えるだけでなく、このグラフのガバナンスの例のように、側面から、あるいは、まったく別の次元の政策も考えられてしかるべきだということです。

私は役所で ODA などの援助政策を担当したことはありませんが、ジャカルタにいたころはもとより、途上国の開発政策や開発経済学には大いに興味があり、世銀や国際通貨基金 (IMF) も注目しています。ということで、世銀 IMF の秋の年次総会は10月6-7日にイスタンブールにて開催されます。IMF の「世界経済見通し」World Economic Outlook の経済見通し編は分析編の9月22日に続いて10月1日の公表だそうです。

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2009年9月20日 (日)

おにいちゃんの中学校の文化祭に行く

昨日から始まった秋のシルバーウィークの2日目もいいお天気で、昨日に続いて今日も朝から子供の関係でお出かけします。昨夜は下の子のボーイスカウト活動、今日はおにいちゃんの中学校の文化祭に行きます。中学校といっても、中高6年間一貫教育の学校ですから高校生もたくさんいます。展示作品や演し物のレベルは中学校というより高校と同等と考えて差し支えないように感じました。正式名称はよく知りませんが、ウチのおにいちゃんは文化部系統でプラモデルを作っていますから、まず、その展示を見に行きます。下の写真の通り、私の趣味でガンプラを中心に撮って来ました。なお、下の写真には、おにいちゃんの作品は入っていないらしいです。

おにいちゃんの中学校の文化祭でプラモデルの展示

次に、学年ごとの展示会場があり、当然ながら、私は中学1年生の展示室に行きます。美術の時間に描いたのであろう油絵や書道の出来のいい作品がいくつか並べられています。夏休みに海の家に行った時の写真も大量にありました。なお、私の子ですから、おにいちゃんは芸術方面の才能はなく、全員の作品が展示されている夏休みの宿題の一角におにいちゃんの作品を見つけました。下の写真の通りです。いくつかの言葉のイメージを表した写真を撮るという夏休みの宿題だったんですが、「品格」という言葉のイメージに合致した書道の写真です。この書道作品はおにいちゃんが書いたわけではなく、私の大学時代の恩師が結婚式の仲人をしてくれて、お祝いとして贈ってくれたものです。「行くに径(こみち)に由(よ)らず」と読むんだと記憶しています。要するに、堂々と大道を行け、という意味です。

中学1年生の展示でおにいちゃんの作品

最後に、学校の中をウロウロしていると、古書売り場でおにいちゃんと出くわしました。その際の写真です。成長して写真に撮られるのをそろそろ避けるようになって来ましたが、そこは親の特権で無理やりに写真を撮ります。これも成長の記録のひとつです。

中学校の文化祭にておにいちゃん

私も中学高校と6年間男子校に通いましたので知っていますが、男子校の文化祭には女の子がいっぱい来ます。当然です。我が家のおにいちゃんも通学途中で見かけるのか、いくつかの女子校の制服は見分けることが出来るようです。

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2009年9月19日 (土)

氷川神社の赤坂氷川祭に行く

今日は、氷川神社の赤坂氷川祭に行きました。下の地図は神輿や山車の巡行ルートとなっており、六本木近くの東京ミッドタウンや TBS のある赤坂サカスなんかを通ります。いかにも、都会のど真ん中にある神社です。

平成21年度「赤坂氷川祭」山車巡行ルート

例年は見向きもしなかった赤坂氷川祭にどうして行ったのかというと、我が家の下の子が活動しているボーイスカウトが奉仕活動をしているからで、ついでに、お祭りの神輿や山車も見て来ました。もちろん、露店もいっぱい出ていて、夜には盆踊りも奉納されていました。都会のど真ん中のお祭りにしては、なかなか庶民的だという気がします。地域的に外国人もいっぱい来ていました。
下の写真は、ボーイスカウトの仲間とともにかがり火の奉仕活動をする下の子です。後ろに薪が見えます。火が消えそうになるとこの薪を入れるんだろうと思います。なお、かがり火は一種の光源ですから、大きく入れるとうまく撮れません。マシンと腕前の限界です。

赤坂氷川祭でボーイスカウトの奉仕活動をする下の子

先月末にウチの子もカブ隊からボーイ隊に上進して、いきなり夜の活動で少しびっくりしましたが、立派に奉仕活動にいそしんでいて安心しました。

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2009年9月18日 (金)

基準地価の下落幅は何を表しているか?

09年基準地価(住宅地)の変化昨日、国土交通省から今年2009年7月1日現在の都道府県地価調査、いわゆる基準地価が発表されました。左の日本地図は住宅地の前年比地価変化率を色分けしたもので、水色が0-4%未満の下落、黄色が4-8%未満の下落、ピンクが8%以上の下落を示しています。我が長崎県は黄色になっています。見れば分かると思いますが、すべての都道府県で地価は下落しており、全国約22,435の調査地点で上昇したのは3地点だけだそうです。住宅地も商業地もともに地価は下落しており、特に、商業地の下落が大きくなっています。昨年まで地価が上昇して来た東京、大阪、名古屋の3大都市圏はいずれも4年振りに下落に転じ、他の都道府県でも下落率が拡大しています。すでに景気回復過程に入っている確率が高いとはいうものの、当然ながら、昨年9月のリーマン・ショック以来の景気や金融情勢が反映されています。ただし、地価が高いところはやっぱり高くて、商業地の地価全国1位は、4年連続で東京都中央区銀座の「明治屋銀座ビル」で、1平方メートル当たり2500万円、住宅地のトップは千代田区五番町12の6で同じく1平メートル当たり302万円でした。地価が下がっているとは言え、私なんかの普通のサラリーマンや大学教員からすれば、さすがに、途方もない金額に感じられます。もっとも、銀座の明治屋前に家を建てようとは思いません。なお、左上の地図は朝日新聞のサイトから引用しています。引用ついでに、統計の概要について報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

国土交通省が17日発表した2009年の基準地価(7月1日時点)は、全国の全用途平均で前年比4.4%下落した。下落率は08年(1.2%)から拡大した。昨年まで上昇してきた東京、大阪、名古屋の三大都市圏はいずれも05年以来4年ぶりに下落に転じた。商業地の不振が目立つ。景気低迷で企業のオフィス需要が縮小したほか、「リーマン・ショック」で冷え込んだ投資マネーも戻っていない。
全国の基準地価の下落は1992年から18年連続。今回は調査開始以来初めて、すべての都道府県で下落率が拡大、もしくは上昇から下落に転じた。全国2万3000の調査地点のうち上昇は3地点にとどまり、地価下落が全国に広がったことがうかがえる。
特に商業地と大都市圏の不振が目立った。商業地の下落率は5.9%と住宅地(4.0%)を上回った。オフィスビルの空室が増えて賃料が下がり、福岡県では商業地2カ所で下落率が30%を超えた。昨年までの上昇の反動もあり、三大都市圏は全用途の平均で6.1%下落し、地方圏(3.8%)よりも下げがきつかった。

上の地図に戻り、4%未満の下落を示している県はその他大勢としても、きちんと確認したわけではありませんが、首都圏の1都4県、愛知県、大阪府の4%以上の下落は昨年までの反動と考えられる一方で、その他の黄色の県は景気悪化に伴う地価下落と見ることが出来ます。すなわち、上の地図で4-8%の地価下落を示す黄色になっているのは東北4県、北陸3県、四国3県、山口県と我が長崎県です。上の地図は住宅地だけを取り出していますので、人口減少も寄与している可能性があるものの、それも含めて、かなり深刻な地方経済の中でもさらに疲弊が激しい地域である可能性が高く、少なくとも長崎県に住んでいる私の実感と一致しているような気がしないでもありません。

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2009年9月17日 (木)

伊坂幸太郎『あるキング』(徳間書店)を読む

伊坂幸太郎『あるキング』(徳間書店)

伊坂幸太郎さんの『あるキング』(徳間書店)を読みました。『本とも』の連載を大幅に加筆修正したとのことです。私はそんなに伊坂作品をたくさん読んでいるわけではありませんが、それでも、『ゴールデンスランバー』、『死神の精度』、『終末のフール』、『重力ピエロ』なんかとは大幅に違う作風だと思います。以下、ネタバレがあるかもしれません。未読の方が読み進む場合はご注意ください。
まず、「キング」の名の通り、「王」なんですが、これは野球の「王」です。すなわち、「ホームラン王」とか「盗塁王」とかの「王」です。もちろん、とっくに引退しましたが、固有名詞の選手としても偉大なホームランバッターがいたことは多くの方がご存じでしょう。弱小地方球団仙醍キングスの熱烈なファンである両親のもとに生まれた山田王求が主人公です。この少年は両親に徹底的に英才教育を施され、当然のように仙醍キングスに入団して野球選手になるべく育てられます。左打ちのホームランバッターに育ち、メチャメチャな成績を残し、短い選手生命を意外な形で閉じます。
今までの作品とはかなり毛色が違います。まず、3人称で書かれている章がある一方で、主人公の王求が生まれた日に不慮の死を遂げる仙醍キングスの名選手・監督であった南雲の1人称の形を取ることもあります。エンタテインメント的な色彩はありません。主人公の王求について私がイメージしたのはゴルゴ13です。感情がないかのような人物で、正確無比にミッションを遂行します。もちろん、ゴルゴ13と違い、王求のミッションはホームランを打つことです。打率が9割近いメチャクチャな設定です。その王求の最期はジョン・レノンというか、ケネディというか、そういった死を連想させます。非常に興味深いのは、0歳で王求が生まれるところから始まる小説が、最後にまた0歳で誰かが生まれるところに戻っていることです。小説の手法としては、少なくとも、伊坂作品では見かけたことはないような気がします。

最後に、『あるキング』を離れて本邦文学界の話題なんですが、毎日新聞のサイトの報道によれば、村上春樹さんが『1Q84』の BOOK 3 を執筆中だそうで、来夏にも出版されるみたいです。私が6月5日付けのエントリーで「完結」と断言したのは間違いだったようで、大いに反省していますが、同時に、楽しみでもあります。

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2009年9月16日 (水)

京都から長崎に戻ると新内閣が組閣されていた

月曜日から2泊3日で京都に行っていました。私の父祖の地です。でも、うらやましがられるような楽しい旅行ではありませんでした。陸路か空路かで少し迷ったんですが、伊丹空港から京都への便の悪さを考慮して、結局、長崎から博多は特急かもめ、博多から京都は新幹線のぞみで往復しました。最終日の今日の午前中に少し時間があったので、京都市内を回りました。写真は上から、我が母校の京都大学時計台、京都駅前のシンボル京都タワー、最後に博多から長崎まで乗った特急かもめです。

京都大学時計台
京都タワー
特急かもめ

長崎に帰り着くと、目に付いたニュースは「クレヨンしんちゃん」の作者の臼井儀人さんが行方不明になっていることと、何と言っても、新しい鳩山政権の組閣人事です。以下の閣僚名簿朝日新聞のサイトから引用しています。

鳩山新内閣閣僚名簿

経済政策などの特殊な場合を除いて、よほどの興が乗らないと政治向きの話題は取り上げないことにしていますが、長崎と京都の往復でかなりの本を読み飛ばしましたので、おいおい、このブログで読書感想文の日記として取り上げたいと思います。

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2009年9月13日 (日)

3位に浮上した阪神はクライマックスシリーズに出場できるか?

2009年シーズンロゴ

  HE
横  浜001000000 130
阪  神00020000x 270

いまだ負越していて勝率5割を切っていながら、とうとう、今夜の試合を万全のリリーフ陣でからくも逃げ切り、東京ヤクルトを抜いて我が阪神タイガースが3位に浮上しました。実は、昨日のデーゲームが終わった段階でヤクルトが負けて、Aクラスに上がれるチャンスはあったんですが、昨日の結果を受けて3勝10敗と1人でチームの借金を背負って立つ福原投手の乱調で、1日遅れの3位浮上です。私だけかもしれませんが、今年のシーズンは早い段階から優勝を諦めて、クライマックスシリーズ出場が目標となっていたような気がしますので、このまま3位をキープして欲しいものです。調子が出なかったころ、私はブログに取り上げようともしませんでしたので、久し振りのスコアボード付きの虎ブロです。なお、一番上の画像は阪神タイガース公式サイトから引用しています。
多くの故障者が相次いだこともあり、昨年からの打てないし点を取れない打線も相変わらずで、それに新監督の疑問の残る采配も加わり、長らくBクラスを低迷していましたから、10連勝に達するくらいの大型連勝がないとクライマックスシリーズはムリだろうと私は考えていたんですが、チマチマと2勝1敗のカード勝越しを続けて行くうちに、何と、東京ヤクルトの方が今日までで8連敗と大型連敗をしてくれた結果の3位浮上だと受け止めています。与党が勝手にコケて政権交代が実現した、どこかの国の政治状況になぞらえる人がいるかもしれません。しかし、たとえ、当面の相手がコケての308議席、いやいや、3位浮上としても、3位は3位です。よく知らないんですが、5割を切って負け越していてもクライマックスシリーズ出場権や勝ち上がっての日本シリーズ出場の可能性はあるんではないんでしょうか。実は、私自身はそんなに期待していませんが、ポストシーズンのゲームへ我々ファンの期待はいやが上にも高まります。

何はともあれ、
がんばれタイガース!

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2009年9月12日 (土)

ブランド総合研究所の「地域ブランド調査2009」

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、今週10日にブランド総合研究所から「地域ブランド調査2009」が発表されました。昨年9月27日のエントリーでも昨年版を取り上げています。昨年が第3回目、今年が第4回目の調査だそうです。今年から、市区町村だけでなく都道府県も対象に調査を実施したようです、まあ、いずれにしても、週末の軽い話題でしょう。市町村別と都道府県別のそれぞれの魅力度ランキングは以下の通りです。

「地域ブランド調査2009」調査結果

市区町村別では札幌を抜いて函館がトップになり、何と、トップテンのうち4市が北海道で、都道府県別では北海道がダントツです。我が長崎については市区町村別で13位、都道府県別で10位と、並みいる大都会、古都、リゾートを向こうに回して大健闘と見受けられます。

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2009年9月11日 (金)

ちょっとびっくりで設備投資が下方修正された2次QE

本日、内閣府から4-6月期のGDP2次速報、エコノミストの業界で言うところの2次QEが発表されました。1次QEでは季節調整済み実質系列で見て前期比+0.9%成長、年率換算で+3.7%成長だったのが、2次QEでは前期比+0.6%、年率+2.3%に下方修正されました。設備投資と在庫がともに下方修正されています。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインなどに関する記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が11日発表した4-6月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算で2.3%増だった。8月公表の速報値に比べて前期比が0.3ポイント、年率が1.4ポイントの下方修正となった。生産調整が進み、企業が在庫を圧縮したことがGDPの押し下げにつながった。
設備投資や公共投資も下方修正となった改定値は、速報値の公表後にまとまった法人企業統計などのデータを基に、GDPを推計し直したもの。改定値では、企業の在庫投資の寄与度のマイナス幅が拡大。速報値でマイナス0.5ポイントだった寄与度が0.8ポイントに下がった。1999年1-3月期に次ぐ下落率となった。
在庫の削減は経済が回復局面にあることを示す。GDP速報値では在庫額を過去のトレンドなどから推計するが、改定値では法人企業統計を基に計算する。同統計によると、4-6月期の在庫投資額は7446億円のマイナス(在庫の取り崩し)で、前の期に引き続き企業が過剰な在庫の削減を進めている姿が浮き彫りになった。

次に、いつものGDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者所得を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは名目ですし、デフレータだけは伝統に従って原系列の前年同期比となっています。アスタリスクを付した民間在庫と外需は前期比伸び率に対する寄与度表示となっています。今回から内需デフレータを入れてみました。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は保証しません。正確な計数は最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2008/
4-6
2008/
7-9
2008/
10-12
2009/
1-3
2009/4-6
1次QE2次QE
国内総生産(GDP)▲0.7▲1.3▲3.4▲3.3+0.9+0.6
民間消費▲0.9+0.1▲0.7▲1.2+0.8+0.7
民間住宅+0.0+3.5+2.6▲5.7▲9.5▲9.5
民間設備▲1.5▲4.9▲7.1▲8.5▲4.3▲4.8
民間在庫 *+0.6▲0.5+0.6▲0.3▲0.5▲0.8
公的需要▲1.4+0.1▲1.5+0.5+1.2+1.1
外需 *▲0.3▲0.2▲2.9▲0.9+1.6+1.6
輸出▲4.1▲0.7▲13.6▲22.5+6.3+6.4
輸入▲3.1+0.2+2.5▲14.9▲5.1▲5.1
国内総所得(GDI)▲1.4▲2.3▲1.0▲1.5+0.5+0.2
名目GDP▲1.1▲2.6▲1.2▲2.7▲0.2▲0.5
雇用者所得▲0.3▲1.0+0.5▲0.5▲1.7▲1.7
GDPデフレータ▲1.5▲1.5+0.7+0.9+0.5+0.5
内需デフレータ+1.0+1.5+0.3▲1.0▲1.7▲1.8

さらに、同じく季節調整済みの実質系列のGDPコンポーネント別の前期比伸び率で寄与度表示したグラフは下の通りです。左軸の単位はパーセントです

GDP寄与度の推移

今回の2次QEで注目すべきは設備投資と在庫です。季節調整済みの実質系列で前期比成長率が+0.9%から+0.6%に下方修正されたのは、繰返しになりますが、設備投資と在庫です。成長率が▲0.3%ポイント下方修正されたうち、設備投資が▲0.1%ポイント、在庫が▲0.3%ポイントの寄与度があり、ほとんどすべて在庫に起因すると言えます。要するに、やや皮肉な言い方になりますが、先月8月17日に発表された1次QEから1か月足らずの間にGDP比で▲0.3%ポイントの寄与を示す指標が明らかになったと言えます。ついでながら、引用した記事にもある通り、一昨年から始まった景気後退期以降で初めて在庫が取り崩され、在庫品増加は4-6月期にマイナスを記録しました。基本的に、在庫調整が進展することはいいことだと私は受け止めていますし、現在の景気局面は回復の初期に当たりますので、今後、景気が順調に回復すると仮定すれば、在庫の積み増しに至るものと思います。しかし、この「景気が順調に回復すると仮定すれば」という仮定は、少なくともこの先半年くらいのタイムスパンでは極めて怪しいと私は考えてます。他方、今週月曜日の9月7日付けのエントリーで2次QE予想を取り上げた際にも言及した通り、設備投資は上方修正されると予想していただけに、タイトル通り、ちょっとびっくりです。昨日のエントリーで取り上げた機械受注が現時点でようやく下げ止まりつつある状況を含めて考えると、この先、年度内いっぱいくらいは設備投資が盛り上がりを欠いたままに推移する可能性が高いような気もします。

今年前半のGDPが出て、今後の日本経済の注目点はGDPベースでは、第1に、春からのグリーン家電やエコカーのブームが一巡した後の消費の持続性です。第2に、在庫が意図せぬ取り崩しの段階から意図的な積み増しの段階に入るかどうかです。第3に、設備投資がどの時点で回復を見せるかです。もちろん、GDPベース以外で最大の注目点は来週にも発足する新政権の経済政策動向とその影響を受ける雇用情勢です。まだまだ景気回復の足取りの鈍い日本経済から目が離せません。

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2009年9月10日 (木)

機械受注統計と企業物価は下げ止まりを示しているか?

本日、内閣府から7月の機械受注統計が、また、日銀から8月の企業物価指数がそれぞれ発表されました。まず、いつもの日経新聞のサイトからそれぞれの統計のヘッドラインに関する記事を引用すると以下の通りです。

機械受注統計
内閣府が10日発表した7月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は前月比9.3%減の6647億円だった。2カ月ぶりのマイナスで、受注額は5月につけた過去最低額を更新した。
内閣府は全体の基調判断を「減少のテンポが緩やかになってきている」として5カ月連続で据え置いたが、「企業の収益が回復しないと設備投資の増加は難しい」とみている。
減少率は市場予想平均(3.4%減)を大幅に下回った。前年同月比では34.8%減と、受注額は1年前の7割弱にとどまる。生産は回復しつつあるが、経済活動の水準はなお低く、企業は過剰設備を多く抱えている。設備投資マインドはいまだに冷え込んだ状態だ。
企業物価指数
日銀が10日発表した8月の企業物価指数(2005年=100、速報値)は102.9と前年同月比で8.5%下がった。7月と並び1960年の統計開始以来最大の下落率となった。昨年、原油価格が高騰した反動のほか、景気悪化による内需の低迷が価格を押し下げた。原油や非鉄などの国際商品価格はこのところ上昇しており、資源高・製品安の傾向が強まっている。
企業物価は出荷や卸売り段階で企業同士がやりとりするモノの価格水準を示す。品目別では鉄などのスクラップ類の下げ幅が最も大きく、前年同月比43.6%下落。次いで石油・石炭製品が42.9%下がった。
非鉄金属は24.0%、鉄鋼も18.5%下落した。全855品目のうち下落は431品目にのぼり、現行の05年基準では初めて半数を超えた。

ということで、機械受注統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは変動の激しい電力と船舶を除く民需で、いわゆるコア機械受注と呼ばれているものです。青の折れ線が実額で、赤は後方6か月移動平均です。真ん中のパネルはコア機械受注の外数の外需です。一番下のパネルは長崎ローカルで注目されている船舶の受注残高とそれを最近3か月の平均販売額で除した手持ち月数です。いずれも影を付けた部分は景気後退期で、暫定的に今年3月を谷としています。

機械受注統計

引用した記事では季節調整済みのコア機械受注の前月比が市場コンセンサスである▲3-4%減を大きく下回って落ち込んだように報じられていますが、一般的には、機械受注もそろそろ下げ止まりに向かいつつあると、大方のエコノミストに受け止められていると私は考えています。もちろん、悲観的な見方をすれば底這いが続いているとも考えられますが、同じことです。大きな理由は、先月のこの指標を取り上げた8月10日付けのエントリーで明記しておきましたが、そもそも前月の統計が何らかの特殊要因で跳ね上がった非鉄金属の反動減であり、受注水準としては先々月5月統計とほぼ同じ水準にあることを理解すべきです。加えて、真ん中のパネルにあるように、外需を見ると水準は低いながらも方向としてはかなり回復を示しており、これは設備投資の先行指標にはならないものの、日本企業の売上げに貢献していることは言うまでもありません。もっとも、7月統計では一般機械や自動車が減少しており、私も手放しで下げ止まりを強調するわけではありませんが、機械受注統計は景気に遅行する設備投資の先行指標という複雑な位置づけですし、変動の激しい指標ですから、報道のように大幅な下げを悲観一色で見るのは疑問が残ります。最後のついでに、船舶については引き続き下げ止まりの兆候は見られません。以前から指摘していた通り、我が国と世界が景気後退局面に入っても船舶の受注は堅調を示していた時期があり、このブログでは「資源高の余熱」と表現していましたが、この「余熱」も冷めて来たようで、今しばらく、受注が減少する可能性があります。もっとも、WTI で見た原油価格が一時はバレル50ドルを下回っていたのが、現在は70ドル前後で取引されていますから、再び資源高の恩恵が船舶業界に現れる可能性も排除できません。もっとも、日本経済、世界経済全体として資源高が好ましいかどうかは別の観点です。

次に、企業物価指数のグラフは以下の通りです。上のパネルが国内物価とサービス物価、下が輸出入物価です。いずれも原系列の前年同月比を取っています。なお、引用した記事にある通り、8月の国内物価の下落率は7月と同じ▲8.5%なんですが、グラフを見ると、わずかながら8月は7月よりさらに下がっているように見えます。これは数字のラウンドの関係です。通常、3-4桁の有効数字のある物価指数を2桁で前年同月比を算出していますが、私のように指数から Excel で直接計算している場合、有効桁数が多くなります。小数点以下2桁まで Excel で計算すると、7月▲8.45%、8月▲8.53%となりますので、グラフでは8月の方が7月よりさらに下がっているように見えます。

企業物価指数

この企業物価も底這いと見られなくもないですが、昨年の原油価格相場を振り返って、そろそろ物価が反転する時期であることも確かです。従って、今夜のエントリーのタイトルに対する回答は "Yes, they do." だと私は受け止めています。

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2009年9月 9日 (水)

世界経済フォーラムの「世界競争力報告」と景気動向指数

昨日、スイスに本部を置きダボス会議を主催することで有名な世界経済フォーラム (World Economic Forum) が「2009年版世界競争力報告」 The Global Competitiveness Report 2009-2010 を発表しました。もちろん、pdf ファイルのリポートも web サイトにアップされています。今年のリポートではスイスが米国を抜いて世界一に、また、我が日本は昨年の9位から8位に順位を上げています。まず、いつもの日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

世界経済フォーラムが8日に発表した「2009年版世界競争力報告」で、日本の総合順位は昨年より1つ上がって8位となった。政府部門は債務水準が“ワースト1”まで膨らむなど不振だったが、製造業など民間部門が健闘して全体を押し上げた。金融危機の影響が大きい米国は首位から2位に転落し、スイスが取って代わった。アジア勢ではシンガポールが3位に食い込んだ。
世界経済フォーラムは各国の政治指導者や企業経営者が集まるダボス会議の主催団体。経済指標や経営者へのアンケート調査などに基づき、評価項目ごとに各国・地域の競争力を順位付けし、これを基に総合順位を出している。09年版では133カ国・地域が対象。

ということで、トップテンのランキングは以下の通りです。リポートの記者発表資料から引用しています。

Global Competitiveness Index 2009 and comparisons with 2008

次に、日本に着目して、競争力指数の分野別のスコアを示したレーダーチャートとビジネスの阻害要因は以下の通りです。いずれも、pdf 版のリポートの p.182 から引用しています。特に、下のパネルを見ると、汚職、犯罪、労働者の質といった要因が低い一方で、税金や政府の官僚機構について相対的に阻害度が高くなっています。加えて、インフレも低く、一般的な実感とよく合致しているように感じます。また、詳細な分野別の競争力指数を同じリポートの p.183 で見ると、リポートの対象になっている133カ国のうち、財政赤字の132位、農政コストの128位といったあたりが競争力を阻害しているとの結果が示されています。なお、財政赤字についてリポートの p.380 を見ると、ブルネイがデータなしということで132か国中の132位ですから実質的に最下位です。すぐ上の131位ジンバブエとともにジンバブエのさらに上の130位ジャマイカとの差はかなり大きくなってます。

Global Competitiveness Index, Japan

最後に、本日、内閣府から7月の景気動向指数が発表されています。これを見る限り、3月の指数を底に景気は緩やかながら回復過程にあると考えられます。しかし、その水準はまだ低いと言わざるを得ませんし、先行きは楽観できません。グラフは下の通りです。

景気動向指数の推移

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2009年9月 8日 (火)

UNCTAD の経済見通しと日本の経常収支と日米のマインド調査

昨夜から本格的に経済評論の日記を復活させて、今夜は一気にいっぱい取り上げます。
まず、昨日、国連貿易開発会議 (UNCTAD) が Trade and Development Report 2009 を発表しました。もちろん、pdf ファイルのリポートも web サイトにアップされています。いつもの日経新聞のサイトから引用した記事は以下の通りです。

国連貿易開発会議(UNCTAD)は7日発表した2009年版貿易開発報告で、10年の世界経済の成長率が1.6%以下にとどまると予測した。09年のマイナス2.7%成長からプラス成長に転じるが、反発力は弱く、本格回復には時間を要すると分析した。
先進国の09年の成長率は軒並み悪化し、全体ではマイナス4.1%になると予測した。最悪が日本のマイナス6.5%で、「輸出と外国からの投資という2つのエンジンが直撃を受けた」としている。ドイツ(マイナス6.1%)やイタリア(マイナス5.5%)も大幅に悪化する。

リポートの Overview の最初のページに上に引用した記事にある通り、"global GDP growth may turn positive again in 2010, but it is unlikely to exceed 1.6 per cent." との表現が見えます。2010年の見通しは国別になっていないんですが、リポートの p.2 から2009年までの国や地域別の成長率見通しの表を引用すると以下の通りです。

World Output Growth, 1991-2009

次に、本日、財務省から7月の国際収支統計が発表されました。貿易収支はからり回復して来たんですが、金利が低下したため所得収支の黒字幅が小さくなり、季節調整していない原系列で見て前年同月より▲19.4%減ながら1兆2656億円の黒字を記録しています。最近の主要な収支項目別の推移は下のグラフの通りです。

経常収支の推移

最後に、本日、内閣府から8月の景気ウォッチャー調査が、また、9月3日に米国サプライ管理協会から 同じく8月の Manufacturing ISM Report On Business が、それぞれ発表されています。景気ウォッチャー調査は街角景気と通称されるように一般国民が対象となっており、ISMは企業の購買部が対象ですから、かなり調査対象は異なるんですが、一応、日米のマインド調査と言えます。日本の景気ウォッチャー調査は先月発表分から天候不順などを契機に少し下向き加減ですが、米国の製造業ISM指数は一本調子で上昇しており、とうとう50を超えました。多くのエコノミストが知っている通り、ISM指数が50を下回っている時には米国連邦準備制度理事会 (FED) は利上げをしないと言われていますが、50を上回ったとたんに利上げするというものでもないと思います。いずれにせよ、日米のマインド調査における差は先行きの日米景気の動向を暗示しているように私は受け止めています。グラフは下の通りです。

景気ウォッチャー調査とISM製造業PMIの推移

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2009年9月 7日 (月)

金曜日発表の4-6月期GDP統計2次QEは1次QEから小幅な修正か?

今週の金曜日9月11日に4-6月期のGDP統計2次速報、エコノミストの業界で2次QEと呼ばれる重要な経済指標が内閣府から発表されます。1次QEは季節調整済みの実質系列で見て、前期比+0.9%成長、前期比年率+3.7%成長でしたが、先週金曜日に発表された法人企業統計調査の結果などを受けて、シンクタンクや金融機関の2次QE予想がほぼ出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートが別画面で開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府 1次QE+0.9%
(+3.7%)
n.a.
日本総研+0.8%
(+3.2%)
1次QEに比べ若干下方修正される見込み。公共投資と在庫投資が下方修正されることが主因。
みずほ総研+0.8%
(+3.4%)
在庫投資が上方修正される一方、設備投資や公共投資、住宅投資は下方修正。
三菱UFJ証券+1.0%
(+4.1%)
設備投資の前期比減少幅は1次速報に比べ縮小へ。成長率は上方修正に。
第一生命経済研+0.9%
(+3.5%)
設備投資の上方修正を在庫投資と公共投資の下方修正が打ち消す形。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.9%
(+3.7%)
1次速報値から修正はないと見込まれる。
ニッセイ基礎研+1.0%
(+4.1%)
4-6月期・GDP2次速報は上方修正を予測。
三菱総研+0.9%
(+3.6%)
民間設備投資は上方修正が見込まれる一方、公的固定資本形成、民間在庫品増加はそれぞれ下方修正が予想されるため、結果としてはほぼ修正なし。

大雑把に言って、1次QEから小幅な修正になると見込まれています。GDPコンポーネントの動向も予測する機関によりマチマチなんですが、私の考えに近いのは第一生命経済研と三菱総研で、設備投資が上方修正される一方で、在庫投資と公共投資が下方修正され、総合的に見てコンポーネントを合計したGDP成長率の修正幅は小幅という感触を持っています。1次QEから2次QEへの修正は経済の方向を示すと考えられますので、設備投資が上方修正され、在庫投資が下方修正されるのは日本経済全体の姿として望ましいと私は受け止めています。公共投資については政権交代後の政府の経済政策とも大いに関係しますので、10-12月期以降の姿に注目したいと思います。私は公共投資については民主党と同じ方向性を持っていて、ムダな公共投資はまだまだ存在して削減する余地があると考えています。

今週あたりから、そろそろ夏休み気分を抜けて経済の話題にに回帰するとともに、いよいよ東京ヤクルトに2.5ゲーム差と肉薄した我が阪神タイガースに関する虎ブロ復活の時期をうかがいたいと考えています。

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2009年9月 6日 (日)

柳広司『ダブル・ジョーカー』(角川書店) を読む

柳広司『ダブル・ジョーカー』(角川書店)

先週から読書感想文が多いんですが、8月28日に発売された柳広司さんの『ダブル・ジョーカー』(角川書店)を読みました。昨年2008年10月22日付けで読書感想文をアップした同じ作者の『ジョーカー・ゲーム』(角川書店) の続編です。ですから、スパイ小説です。なお、前作『ジョーカー・ゲーム』は昨年度の吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞しています。
柳さんは『トーキョー・プリズン』が日本推理作家協会賞の最終候補作として残ったように、基本的には推理小説作家ですから、このスパイ小説も謎解きを中心に据えたミステリのように仕上がっています。『ジョーカー・ゲーム』と同じように、昭和初期の日本陸軍でスパイ機関である通称「D機関」を創設した、魔王と呼ばれる結城中佐とD機関に属するスパイが主人公になっています。ただし、前作が昭和10年代前半を時代背景にしていたのに対して、本作は昭和10年代半ばに設定されており、最終章で戦争が始まってスパイ活動は終了します。なお、単行本で出版されていますが、「野性時代」に掲載された短編を中心に、最終章1編だけ書下ろしを加え、各々が完結した5章構成になっていて、大雑把に250ページの単行本の50ページずつを充てています。以下は各章のタイトルです。なお、今夜のエントリーは対象がほぼミステリですので、出来るだけネタバレはないように配慮しているつもりですが、この先を読み進む場合は自己責任でお願いします。

  1. ダブル・ジョーカー
  2. 蝿の王
  3. 仏印作戦
  4. ブラックバード

本と同じ題の第1章「ダブル・ジョーカー」では、前作でもハイライトされていた「死ぬな、殺すな、とわられるな」をモットーにする「D機関」に対抗すべく組織された「躊躇せず殺せ、潔く死ね」を掲げる「風機関」と「D機関」が陸軍中枢から同じ課題を与えられ、「風機関」が見事に「D機関」に裏をかかれます。第2章「蠅の王」では、「わらわせ隊」なるお笑いの前線慰問団にひそむスパイ狩りの要員の特定に悩む、前線で働くロシアのスパイである医師を描いています。もちろん、スパイ狩りの要員は「D機関」から派遣されています。第3章「仏印作戦」では暗号電信要員として軍属に雇われベトナムに赴任した青年が巻き込まれた詐欺事件をスパイが見事解決します。第4章「柩」は、「D機関」の創設者結城の若きころのドイツでの活躍を描きます。このころは結城は魔王ではなく魔術師と呼ばれていました。最後の第5章「ブラックバード」だけが書下ろしで、「D機関」から米国西海岸のロサンジェルスに送り込まれた青年が、外務省書記官として東海岸を担当する腹違いの兄と思しき青年とともに米国に関する情報収集に当たりますが、真珠湾攻撃により戦争が始まってしまい、スパイ活動が幕を閉じます。東海岸を担当する外務省書記官がほぼ公開資料だけに基づいて、米国の総合国力を日本の20倍と見積もっているところが印象に残りました。

昨日、丸の内オアゾにある丸善で購入して3時間ほどで一気に読み切り、前作『ジョーカー・ゲーム』を大いに気に入ったおにいちゃんに昨夜の時点で渡すと、おにいちゃんも今日の午前中に一気に読み切ってしまいました。角川書店の通販サイトでは売切れが続いています。面白いです。5ツ星のオススメです。

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2009年9月 5日 (土)

米国雇用統計は景気後退の終了が近いことを示唆しているか?

日本時間の昨夜、米国労働省から米国雇用統計が発表されました。いずれも季節調整済みの統計で、ヘッドラインの非農業部門雇用者数の前月差は▲21.6万人減と減少を続け、失業率も9.7%とさらに上昇しました。しかし、雇用者数の減少幅が縮小していることなどから、米国景気もそろそろリセッションの終了に向かっており、今年年央が事後的に景気の谷と認定される可能性があると私は受け止めています。まず、New York Times のサイトから関連する記事の最初の3パラだけを引用すると以下の通りです。

The unemployment rate surged to 9.7 percent in August, signaling that joblessness and financial anxiety are likely to endure in millions of American homes for many months.
The Labor Department’s latest employment report, released Friday, added weight to a growing belief that - technically - the economy has already escaped the grip of recession. Though another 216,000 net jobs vanished in August, the losses continued to moderate from their worst numbers of the year.
Yet the report also lent credence to a growing consensus that, even as the economy resumes expansion, the recovery is likely to be weak, prompting most companies to hold back from aggressive hiring.

次に、いつものグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの統計で、上のパネルの赤の折れ線グラフは非農業部門雇用者数の前月差増減、下のパネルの水色の折れ線は失業率です。影を付けた期間は景気後退期で、日本と違って米国はまだリセッションが続いているとの前提でグラフを書いています。

米国雇用統計の推移

さらに、上に引用した記事と同じNew York Times のサイトにあるフラッシュへ直リンしています。

週末ですので、かいつまんで簡単にアップしておきます。来週は日本のGDP統計、2次QEの発表などもあり、この米国雇用統計について改めて取り上げることはしないと思います。

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2009年9月 4日 (金)

OECD 経済見通し中間評価に見る日本経済の現状と見通し

本題に入る前に、本日、財務省から今年4-6月期の法人企業統計調査が発表されました。経常収益は前年同期比で▲53.0%減の7兆2366億円となり、過去最大の減益率を記録した今年1-3月期の▲69.0%よりマイナス幅が縮小しています。売り上げも▲17.0%減と1-3月期の▲20.4%減より改善を示しています。いずれも持直しに向けた動きの途上といえますが、まだ低い水準にあることは言うまでもありません。ソフトウェアを含む設備投資は前年比▲21.7%と9四半期連続の減少でしたが、1-3月期の同▲25.3%からはマイナス幅が縮小し、GDP統計の2次QEでは設備投資が上方修正されると私は考えています。他方、在庫投資は下方修正される方向ですが、設備投資の上方修正幅を下回り、法人企業統計調査の結果を見る限り、2次QEは上方修正されると見込んでいます。

本題に入って、昨日9月3日、経済協力開発機構 (OECD) が経済見通し Economic Outlook の中間評価 Interim Assessment を発表しました。その名の通り、6月と12月に公表される経済見通し本報告の中間評価です。もちろん、pdf ファイルでも提供されています。取りあえず、内外メディアの各種報道を引用すると以下の通りです。

ということで、G7各国における今年2009年のGDP成長率の見通しをリポートの p.3 から引用すると以下の通りです。少し縮小をかけてありますので見づらい向きはリポート本体に当たることをオススメします。

GDP Growth in G7 economies

一番右の列が今回の見直し結果で、右から2番目の列が今年6月の推計結果です。かなり上方修正されたとはいうものの、日本の2009年成長率見通しは▲5.6%と、修正のなかった米国の▲2.8%やユーロ圏の▲3.9%に比べて、先進国の中でも最もマイナス幅が大きくなっています。しかも、注目すべきは四半期別の年率成長率見通しで、今年10-12月期に日本だけがマイナス成長に舞い戻ると予測しています。来年以降は示されていませんが、私の考えている W 字型の景気パスにかなり近い印象を受けます。世界全体では、金融危機の影響が小さかった中国などの新興国の景気回復が先行し、予想されたよりも早くに世界経済が回復しつつありますが、特に、webcast で流されている記者会見では日本のデフレがハイライトされており、日本の景気回復を阻害している一因との印象を受けました。日本はデフレになりやすくデフレに弱い国なのかもしれません。

米国景気を占う雇用統計の発表時刻も迫って来ています。もうすぐ発表される8月の雇用統計はほとんど改善を示さないとの市場の事前コンセンサスです。必要に応じて、日を改めて取り上げたいと思います。

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2009年9月 3日 (木)

佐伯泰英「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズ第7-24巻 (双葉文庫)を読み進む

佐伯泰英「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズ第7-24巻 (双葉文庫)

佐伯泰英「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズ第7-24巻 (双葉文庫)を読み進んでいます。現時点で今年7月に発行された第30巻『侘助ノ白』が最終巻ですから、8割がた読み進んだことになります。あらすじを「居眠り磐音 江戸双紙」公式サイトから引用すると以下の通りです。

『狐火ノ杜』
いつも厄介事や争い事に巻き込まれてしまう坂崎磐音。紅葉狩りに出かけた先でも、料理茶屋に因縁をつける直参旗本の部屋住みらと遭遇したりしていた。そんな磐音は、奈緒を追う旅の途中で知り合った鶴吉と江戸で再会する。三味線作りの職人だった鶴吉が、四年前に殺された父・芳造の仇を討つために江戸に戻ってきたことを知った磐音は、笹塚孫一の協力を得て、鶴吉の仇討ちをかなえさせようと探索を開始する。
『朔風ノ岸』
妹・伊代の婚礼が決まったことを知り、おこんに見立ててもらった祝いの品を贈った磐音は、正月早々から事件に巻き込まれてばかりいた。柳次郎から紹介された豆州修善寺の仕事を終えた磐音は、蘭医・中川淳庵の命を狙っていた血覚上人一派を背後であやつる「鐘ヶ淵のお屋形様」の存在を知る。そんな折、血覚上人一派に中川淳庵がさらわれてしまう。
『遠霞ノ峠』
宮戸川に奉公にあがった幸吉は、出前に向かった先で釣り銭詐欺に遭ってしまった。同様の事件で菓子舗・明神屋の奉公人が身投げしたことを知った幸吉は、自ら犯人捜しをはじめるが、逆に犯人の手におちてしまう。磐音は地蔵の親分とともに幸吉を助け出そうとするが・・・・・・。一方、関前藩の財政再建のため、藩の特産品を積んだ正徳丸が無事江戸に到着した。大きな利益を出し、財政建て直しへの第一歩を踏み出すが、藩物産所組頭の中居半蔵を襲う刺客が現れる。
『朝虹ノ島』
大川端で数人の武士に囲まれていた一人の武士を助けたのを機に、因幡鳥取藩の藩内騒動に巻き込まれてしまった坂崎磐音。今津屋吉右衛門の厚意で名刀・備前長船長義をもらいうけた磐音は、江戸城の石垣普請のため熱海まで石の切り出し資金を運ぶことになった吉右衛門に同道して欲しいと依頼された。磐音は、吉右衛門と石切り資金の警護のため、品川柳次郎と竹村武左衛門らとともに熱海へ向かう。
『無月ノ橋』
南町奉行所年番方与力・笹塚孫一が辻斬りに遭い、危篤状態が続いていた。妖刀・村正に関わる旗本・逸見家の乱心と推測した磐音は、単身逸見家に乗り込んでいく。一方、吉原では白鶴太夫をめぐり新たな争いごとが起ころうとしていた。白鶴太夫を怨む“十八大通”の一人・金翠が、鐘ヶ淵に紅葉狩りに出かけようとする白鶴太夫を襲おうと画策していた。金翠の企みを知った磐音は、白鶴太夫の身を守ろうと密かに鐘ヶ淵へ向かう。
『探梅ノ家』
お艶が他界してから、なかなか後添えをもらおうとしない今津屋吉右衛門の様子に大店の将来を憂いた由蔵は、見合いの段取りをつけようと鎌倉へ向かった。由蔵に同行した磐音は、お艶の兄・赤木儀左衛門の紹介で、小田原の脇本陣・小清水屋の姉妹・お香奈とお佐紀に会うが、翌朝、姉のお香奈が姿を消してしまう。一方江戸では、品川柳次郎が船の荷下ろしの仕事に出たあと姿を消していた。柳次郎の雇い主は何かと悪い噂のある船商人だった。
『残花ノ庭』
谷中界隈で隠居老人を強請る事件が頻発していた。探索の過程で浮かび上がった犯人一味の中に、二十年ほど前に佐々木道場の門下だった者が加わっていた。一方、おこんに見合い話が持ち上がり、磐音の胸中に空ろな風が吹き抜ける。そんな折、父親の借金のかたにおそめが連れ去られる事件が起き、磐音はおそめを助け出すため奔走する。また、阿蘭陀商館長フェイトら一行が将軍拝謁のため江戸に上ってきた。
『夏燕ノ道』
徳川幕府の威信回復を賭けた一大行事・日光社参に際して、幕府の経費出納管理者として社参に同行することになった今津屋の老分・由蔵ら。坂崎磐音も勘定奉行の配下として社参に同行することになっていたが、大納言家基の日光極秘帯同が決まり、ごく少数で日光に向かう家基一行警護の密命をおびていた。佐々木玲圓も密かに江戸を発ち、家基影警護のため日光へ向かう。そんな折、家基の命を狙おうとする下忍集団・雑賀衆が襲撃の時を窺っていた。
『驟雨ノ町』
関前藩の物産事業が軌道に乗った礼に、今津屋らは関前藩下屋敷に招かれた。案内役として同行した坂崎磐音は、父・正睦に“藩内に巣くう虚け者”の始末を告げられる。また、笹塚孫一から呼び出された磐音は、甲斐・市川の陣屋に捕縛されている盗人一味の親分を江戸に護送してほしいと依頼されるが、笹塚の真の狙いは親分の護衛よりも盗人働きで貯めた隠し金の方だった。磐音は、同心の木下一郎太らと共に甲斐へ向かう。
『螢火ノ宿』
白鶴太夫が山形の紅花商人・前田屋内蔵助に落籍されるという噂がたっていた。白鶴太夫を殺してでも落籍話を阻止しようとする者がいると告げられた坂崎磐音は、吉原会所の四郎兵衛を訪ね、事の真相を確かめようとする。そんな中、白鶴太夫の禿・お小夜、見世番の繁三郎が何者かに殺される事件が起きた。白鶴太夫の身を案じる磐音は、会所の若い衆に姿を変え吉原を奔走する。
『紅椿ノ谷』
今津屋吉右衛門と小田原の脇本陣・小清水屋の娘・お佐紀の祝言が執り行なわれた夜、今津屋に三河万歳を装った盗人たちが入り込むが、磐音らがこれを撃退し事なきをえる。今津屋の祝言からしばらく経ち、今津屋の奥向きを一手に切り盛りしていたおこんが気鬱の様子を見せるようになった。おこんの様子を心配した桂川甫周国瑞と吉右衛門らの薦めにより、磐音はおこんと共に法師温泉へ湯治の旅に出かけることとなった。
『捨雛ノ川』
笹塚孫一に請われ大賭博の手入れにかり出された坂崎磐音は、年末も忙しい日々を過ごしていた。年が明け、酔っ払った侍に絡まれていた娘を助けたことが縁で、本多鐘四郎に縁談話が持ち上がる。昔の想い人の消息が気になる鐘四郎は磐音と共に内藤新宿へ向かうが・・・・・・。一方、江戸市中では、名高き剣術家たちが体に凄まじい打撃を受けて殺されるという事件が相次ぎ、磐音は木下一郎太らと犯人の探索に奔走する。
『梅雨ノ蝶』
佐々木道場の改築も進み、道場開きの準備に忙しく立ち回っていた磐音だったが、師の佐々木玲圓からの思いがけない申し出に、それを受け入れるべきか思い悩んでいた。そんな折り、柳原土手で刺客に襲われた磐音は不覚をとり、右上腕と脇腹を斬られてしまう。江戸を代表する剣客36名を招いての新道場の柿落としに、傷の癒えない磐音は世話役として立ち働いていたが、不戦勝になる剣士の相手として磐音が請われ、急遽参戦することになった。
『野分ノ灘』
おこんと共に新しい道を進もうと決意した磐音は、立ち寄った関前藩江戸屋敷からの帰途、柳原土手にて刺客に襲われた。それを退けた磐音だったが、刺客の背後に潜む黒幕を探ろうとした同心・木下一郎太が、南町奉行所年番方与力・笹塚孫一の命により、蟄居閉門を余儀なくされてしまう。そして一郎太暗殺を企てる者たちが現れ・・・・・・。一方、父・正睦からの手紙を受け取った磐音は、坂崎家の墓参と此度の決心の許しをえるため、おこんと共に海路豊後関前へと向かう。
『鯖雲ノ城』
おこん、松平辰平と共に海路関前入りした磐音だったが、磐音の関前入りを歓迎しない輩が正睦・磐音父子の命を狙っていた。宍戸文六騒乱ののち、関前藩に食い込んだ中津屋文蔵という商人が力をつけ、新たな腐敗の温床となっていることを察した磐音は、中津屋の動向に注意をはらっていた。そんな折り、関前藩郡奉行の東源之丞が刺客に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまう。
『荒海ノ津』
ひと月余り滞在した豊後関前城下を発った磐音とおこんは、博多の商人・箱崎屋次郎平の招きにより筑前博多に立ち寄った。箱崎屋にて歓待を受けた磐音らだったが、荒戸の浜で5人の武芸者に囲まれた男女を助けたことから、刺客に狙われることに・・・・・・。一方江戸では、品川柳次郎が小普請組組頭からの呼び出しに頭を悩ませていた。柳次郎の父も兄も女をつくって家を出てしまっているため、品川家廃絶の危機に立たされていた。そんな折り、柳次郎は両国橋で幼馴染みの椎葉お有と再会する。
『万両ノ雪』
南町奉行所年番方与力・笹塚孫一は厄介な事態に直面していた。笹塚は六年前、内藤新宿の麹屋宣左衛門方に押し入り千両箱を強奪した疑いのある「万両の親方」こと万両の大次郎を捕縛した。拷問にも口を割らなかった大次郎は別の罪で遠島となっていたが、その大次郎一党が島抜けしたとの知らせが笹塚の元に届いたのだ。未だ見つからない盗まれた千両箱を取りに来るとにらんだ笹塚は、内藤新宿に網を張る。一方、筑前博多を発った磐音とおこんは、一路江戸への帰途についていた・・・・・・。
『朧夜ノ桜』
御典医の桂川甫周国瑞と因幡鳥取藩の重臣織田家の息女・桜子の祝言に列席するため、麻布広尾村に出向いた磐音とおこん。折りしも、界隈で横行する不逞の輩が桜子の花嫁行列を塞ぐが、磐音がこれを撃退し事なきをえる。そんな折り、四年ぶりに江戸に舞い戻ってきた鶴吉と再会した磐音は、田沼意次のお膝元・遠州相良の地にて磐音暗殺を画策する密談がなされ、刺客団が組織されたことを告げられる。

前回、8月11日付けのエントリーでは1-6巻を紹介した後、3週間で20冊近く読み進んだことになります。実は、第9巻『遠霞ノ峠』を入手するのに手間取ってしまいましたので、ほぼ1日に1冊読んでいるような気がします。今月半ばまでに最新刊を借りられれば、第30巻まで読み終えるような気がします。このシリーズ中盤の山場である徳川家基のお忍びでの日光社参、第20巻過ぎの相次いでの祝言、もちろん、佐々木家の養子となった磐音とおこんの祝言が読ませどころであることは言うまでもありません。「島耕作」シリーズと同じで、これでもかこれでもかと磐音のスーパーヒーロー振りが書き立てられています。それはそれで面白いと思います。歳を取ったのかもしれません。

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2009年9月 2日 (水)

阿刀田高『コーランを知っていますか』(新潮文庫)を読む

阿刀田高『コーランを知っていますか』(新潮文庫)阿刀田高さんの『コーランを知っていますか』を読みました。図書館で借りました。明らかに買って読む本ではなく、借りて読む本だと私の本能が告げたからです。なお、どうしてこの文庫本を読んだのかというと、先日、大統領選挙の投票が終わったアフガニスタンの世銀事務所に勤務する知り合いのエコノミストがブログで取り上げていたからです。要するにマネしたわけです。でも、正しくは inspire されたと表現すべきかもしれません。宗教について言えば、私は2回の海外勤務を経験していますが、1回目はカトリック教国の南米のチリ、2回目はイスラム教国のインドネシアでした。そして、日本は一応仏教国と見なされるような気がします。世界の3大宗教すべてを目の当たりにしたといえるかもしれません。もっとも、このブログでも何度か表明している通り、私は仏教徒であり、浄土真宗=一向宗の門徒です。でも、ある意味で、一向宗の門徒はユダヤ教、キリスト教、イスラム教などと同じで、阿弥陀仏に対する一神教に近いと私は考えています。死んだ私の父などは、浄土真宗は一神教であって神に祈る必要はないし、初詣に行く必要もなく、「南無阿弥陀仏」の念仏を唱えればそれでいいんだと言い切っていたりしました。
本題に戻ると、私のような専門外の人が知らないだろうと思うのは、ユダヤ教やキリスト教の一神教の集大成としてイスラム教が存在するという位置づけではないでしょうか。旧約聖書と新約聖書の間柄からうかがわれるように、ユダヤ教とキリスト教の連続性のようなものは、日本人でもほのかに理解していると思うんですが、さらにその先にイスラム教が位置しているとは、少なくとも私は不勉強にしてまったく知りませんでした。ジャカルタにいたころ、牛肉を食べるに際して、イスラム教徒でなければ、ユダヤ教徒かキリスト教徒が処分した牛でなければならないと聞いたように記憶していますが、このあたりの謎が解明されたように思います。
でも、私にとって解明されないのは、いわゆる最後の審判です。これはイスラム教に特有のものではなく、むしろ、ユダヤ教やキリスト教から継承した考えであると私は受け止めていますが、いずれにせよ、一向門徒である私の中では、人は死ねば仏になるだけで、世界の最後の審判がさらにその先に控えていて、もう一度裁きを受ける機会があるという考え方はなじめません。最後の審判があるという考え方は、ある意味では、一神教の神の立場を強化するとも考えられますし、逆も成り立つような気がします。もうひとつ疑問、というより、やっぱりなじめないのは、神様が厳しいことです。我が一向宗の阿弥陀仏はひたすら念仏者を助けてくれるだけで、それも、死んだ際に輪廻転生から開放して極楽浄土に導いてくれるだけのシンプルな教えですから、お坊さんは別にしても在家の信者には念仏を勧めるだけで、実質的に戒律はないと私は勝手に解釈しているんですが、イスラム教はラマダンに代表されるように、ユダヤ教やキリスト教と比較しても戒律がとっても厳しいように感じています。この私の受止め方が正しいのか、間違っているのか、この本を読んだだけでは十分に解明されなかったような気がしないでもありません。

少し難点ばかりを上げてしまいましたが、最後の解説にあるように、非イスラム教徒が多い日本人にとってイスラム教を理解するのに優れた入門書といえます。私の勝手な想像では、キリスト教と仏教が宗教世界と現実世界をある程度は別のものと考えているの対して、ユダヤ教とイスラム教はあくまで合致させているように感じられて、違和感があったんですが、この本を読んで少しは役に立つところがあった気がします。

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2009年9月 1日 (火)

ショック! 今岡選手の引退

今岡内野手

私のひいきの今岡内野手が引退を決意したと報じられています。まず、ニッカンスポーツのサイトから記事を最初のパラだけ引用すると以下の通りです。

首位打者、打点王を各1度獲得した阪神の今岡誠内野手(34)が今季限りで引退することが8月31日、分かった。真弓新体制の下で打撃復活を目指したが、23試合出場で打率1割3分3厘と低迷から抜け出せなかった。6月4日に2軍に降格し、その後は若手育成の方針のもと、実戦機会の場さえ失っていた。03年に首位打者、05年に打点王に輝き、2度のリーグ優勝の功労者が、プロ生活13年でタテジマに別れを告げる。

ほぼ20年前を振り返り、同じタイガースの掛布選手の1988年の引退ではなく、その直前の1987年夏に若島津関が引退した時のような感慨があります。私は、若島津関の引退後にほとんど大相撲を見なくなった記憶があります。まさか、私が阪神タイガースを見限ることはないと思いますが、大きな虚脱感に襲われていることも確かです。
今年のタイガースは開幕から調子が上がらず、今頃になってようやくヤクルトを追い上げ始めていて、今夜も順調にリードを広げているようですが、私の今年の虎ブロはこれが最後かもしれません。10年後、20年後に今岡選手が監督となってタイガースが黄金時代を迎えるまで応援を続けたいと思います。

かんばれタイガース!

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