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2009年9月10日 (木)

機械受注統計と企業物価は下げ止まりを示しているか?

本日、内閣府から7月の機械受注統計が、また、日銀から8月の企業物価指数がそれぞれ発表されました。まず、いつもの日経新聞のサイトからそれぞれの統計のヘッドラインに関する記事を引用すると以下の通りです。

機械受注統計
内閣府が10日発表した7月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は前月比9.3%減の6647億円だった。2カ月ぶりのマイナスで、受注額は5月につけた過去最低額を更新した。
内閣府は全体の基調判断を「減少のテンポが緩やかになってきている」として5カ月連続で据え置いたが、「企業の収益が回復しないと設備投資の増加は難しい」とみている。
減少率は市場予想平均(3.4%減)を大幅に下回った。前年同月比では34.8%減と、受注額は1年前の7割弱にとどまる。生産は回復しつつあるが、経済活動の水準はなお低く、企業は過剰設備を多く抱えている。設備投資マインドはいまだに冷え込んだ状態だ。
企業物価指数
日銀が10日発表した8月の企業物価指数(2005年=100、速報値)は102.9と前年同月比で8.5%下がった。7月と並び1960年の統計開始以来最大の下落率となった。昨年、原油価格が高騰した反動のほか、景気悪化による内需の低迷が価格を押し下げた。原油や非鉄などの国際商品価格はこのところ上昇しており、資源高・製品安の傾向が強まっている。
企業物価は出荷や卸売り段階で企業同士がやりとりするモノの価格水準を示す。品目別では鉄などのスクラップ類の下げ幅が最も大きく、前年同月比43.6%下落。次いで石油・石炭製品が42.9%下がった。
非鉄金属は24.0%、鉄鋼も18.5%下落した。全855品目のうち下落は431品目にのぼり、現行の05年基準では初めて半数を超えた。

ということで、機械受注統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは変動の激しい電力と船舶を除く民需で、いわゆるコア機械受注と呼ばれているものです。青の折れ線が実額で、赤は後方6か月移動平均です。真ん中のパネルはコア機械受注の外数の外需です。一番下のパネルは長崎ローカルで注目されている船舶の受注残高とそれを最近3か月の平均販売額で除した手持ち月数です。いずれも影を付けた部分は景気後退期で、暫定的に今年3月を谷としています。

機械受注統計

引用した記事では季節調整済みのコア機械受注の前月比が市場コンセンサスである▲3-4%減を大きく下回って落ち込んだように報じられていますが、一般的には、機械受注もそろそろ下げ止まりに向かいつつあると、大方のエコノミストに受け止められていると私は考えています。もちろん、悲観的な見方をすれば底這いが続いているとも考えられますが、同じことです。大きな理由は、先月のこの指標を取り上げた8月10日付けのエントリーで明記しておきましたが、そもそも前月の統計が何らかの特殊要因で跳ね上がった非鉄金属の反動減であり、受注水準としては先々月5月統計とほぼ同じ水準にあることを理解すべきです。加えて、真ん中のパネルにあるように、外需を見ると水準は低いながらも方向としてはかなり回復を示しており、これは設備投資の先行指標にはならないものの、日本企業の売上げに貢献していることは言うまでもありません。もっとも、7月統計では一般機械や自動車が減少しており、私も手放しで下げ止まりを強調するわけではありませんが、機械受注統計は景気に遅行する設備投資の先行指標という複雑な位置づけですし、変動の激しい指標ですから、報道のように大幅な下げを悲観一色で見るのは疑問が残ります。最後のついでに、船舶については引き続き下げ止まりの兆候は見られません。以前から指摘していた通り、我が国と世界が景気後退局面に入っても船舶の受注は堅調を示していた時期があり、このブログでは「資源高の余熱」と表現していましたが、この「余熱」も冷めて来たようで、今しばらく、受注が減少する可能性があります。もっとも、WTI で見た原油価格が一時はバレル50ドルを下回っていたのが、現在は70ドル前後で取引されていますから、再び資源高の恩恵が船舶業界に現れる可能性も排除できません。もっとも、日本経済、世界経済全体として資源高が好ましいかどうかは別の観点です。

次に、企業物価指数のグラフは以下の通りです。上のパネルが国内物価とサービス物価、下が輸出入物価です。いずれも原系列の前年同月比を取っています。なお、引用した記事にある通り、8月の国内物価の下落率は7月と同じ▲8.5%なんですが、グラフを見ると、わずかながら8月は7月よりさらに下がっているように見えます。これは数字のラウンドの関係です。通常、3-4桁の有効数字のある物価指数を2桁で前年同月比を算出していますが、私のように指数から Excel で直接計算している場合、有効桁数が多くなります。小数点以下2桁まで Excel で計算すると、7月▲8.45%、8月▲8.53%となりますので、グラフでは8月の方が7月よりさらに下がっているように見えます。

企業物価指数

この企業物価も底這いと見られなくもないですが、昨年の原油価格相場を振り返って、そろそろ物価が反転する時期であることも確かです。従って、今夜のエントリーのタイトルに対する回答は "Yes, they do." だと私は受け止めています。

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