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2009年9月30日 (水)

鉱工業生産指数から景気の先行きを占う

本日、経済産業省から8月の鉱工業生産指数が発表されました。ヘッドラインの鉱工業生産指数の季節調整済み前月比は市場の事前コンセンサス通り+1.8%の上昇となりました。まず、いつもの日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

経済産業省が30日発表した8月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は84.1となり、前月に比べて1.8%上昇した。上昇は6カ月連続。鉄鋼や輸送機械などが生産の伸びをけん引している。経産省は基調判断を「生産は持ち直しの動きで推移」として7月の判断を据え置いたが、なお全体の水準は低いため、「注意していく」としている。
鉱工業生産指数は昨秋の世界的な金融・経済危機をきっかけに急速に悪化したが、主要国などの需要喚起策を受けて3月に回復に転じ、6カ月連続で上昇している。
8月はほぼ市場予測通りの1.8%の上昇だった。業種別にみると、鉄鋼業が8.4%増と目立つ。中国やタイ向けの需要が活発だ。輸送機械は小型自動車や軽乗用車が好調なほか、液晶テレビ用の電子部品の生産が増えている。エコポイントやエコカー減税などの政策効果が出ているとみられる。

続いて、いつものグラフは以下の通りです。今月は在庫率指数のグラフを書いてみました。まず、一番上のパネルの赤い折れ線が鉱工業生産指数、真ん中のパネルは水色の出荷指数と緑の在庫指数、そして、一番下のパネルのオレンジは在庫率指数です。いずれも季節調整済みの指数で、いつもの通り、影を付けた部分は景気後退期なんですが、今年3月を暫定的に景気の谷としています。

鉱工業生産指数の推移

上のグラフや引用した記事にもある通り、生産は順調に6か月連続で回復を示していますが、先行きを考えると強弱2様の見方が出来ます。まず、第1に明るい話題としては、資本財の出荷が順調に回復していることです。8月こそ輸送機械の減少により前月比▲3.6%減と3か月ぶりにマイナスに転じたものの、四半期でならせば増勢に変わりなく、ひょっとしたら、年内、早ければ7-9月期にもGDPベースの設備投資がゼロ近傍かプラスに転ずる可能性があります。明日発表の日銀短観の設備投資計画が注目です。また、設備投資に伴って雇用が回復に向かう可能性も出て来たと受け止めるべきです。第2に暗い面として、今年2-3月を谷とする生産の V 字型回復がほぼ終わりを迎え、回復テンポが鈍化していることです。製造工業生産予測調査では9月+1.1%、10月+2.2%の増産と見通していますが、前月時点では8月+2.4%、9月+3.2%の上昇でした。鉱工業生産指数と製造工業生産予測調査ではカバレッジが異なりますので、そのまま単純に比較することは出来ませんが、それでも、実績が予測より低く出て、翌月よりも翌々月の方を高く見込んだ上で直近で見込みを下げるのは、予定されたほど生産が増加していないことを表しています。この背景には在庫率が下がり切らないことがあり、上のグラフの一番下のパネルに見る通りです。在庫率は在庫を出荷で割った商ですから、在庫をさらに調整する必要があるのかもしれません。なお、内閣府の景気動向指数には最終需要財在庫指数が逆サイクルで先行指数に組み入れられています。

日本経済の景気をけん引する生産も春先の急速化回復過程から、早くも息切れの様相を呈し始めています。生産の増産が設備投資や雇用につながるかどうかが大きなポイントになります。

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