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2009年10月23日 (金)

社会保障給付費に見る手厚い高齢者への給付

昨日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所から2007年度の年金、医療、介護などの社会保障給付費が発表されました。2007年度の社会保障給付費は前年度伸び率+2.6%増と2006年度の+1.5%より伸びを高め、総額は91兆4305億円と過去最高となり、人口は減少しているにもかかわらず高齢化などにより毎年過去最高を更新し続けています。PDF ファイルの詳細なリポートも公表されています。まず、いつもの日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

国立社会保障・人口問題研究所は22日、医療や介護、年金などにかかった社会保障給付費の総額が2007年度に91兆4305億円と過去最高になったと発表した。高齢化が主な原因で前年度比の伸び率も2.6%と高水準。民主党は子ども手当の創設や高齢者の医療費負担の軽減など手厚い社会保障政策を打ち出しており、給付費がさらに膨らむのが確実な情勢だ。
社会保障給付費は年金や医療、介護、福祉などのために税金や保険料から支払った費用の総額で、病院での窓口負担や介護施設の利用料などの利用者負担は含まない。同研究所は「07年度は給付費に大きな影響を与える制度改正がなく、少子高齢化で膨らんだ面が大きい」と説明している。
07年度の給付費が国民所得(374兆円)に占める割合も24.4%と前年度から0.54ポイント上昇し、過去最高となった。一方で、国民所得の伸び率は0.3%にとどまった。所得の伸びが低迷する中で、給付費が着実に膨らむ構図が鮮明になった。高齢者関係の給付費は63兆5654億円と全体の69.5%を占めた。

最後のセンテンスだけフォントを大きくしてありますが、要するに、日本では約7割が高齢者関係の給付で占められています。これは日本独自の分類ですので、各国比較が可能な OECD 基準の社会支出の国際比較から、参考図2 政策分野別社会支出の構成割合の国際比較 (2005年) について、「高齢」分類と「家族」分類だけに着目して、残りを「その他」に分類し直したグラフが以下の通りです。

政策分野別社会支出の構成割合の国際比較

実は、上のグラフは昨年2008年11月19日付けのエントリーとほぼ同じなんですが、米国を別にすれば、日本が圧倒的に高齢者に手厚く、家族に冷たい社会保障給付の体系になっています。もちろん、高齢化が他の欧米各国より進展していますから、止むを得ない部分もあるんですが、現在の高齢者に厚く家族に薄い社会保障給付が少子高齢化と悪循環を生じていることも事実です。ですから、例えば、社会保障給付の5%、5兆円くらいを「高齢」から「家族」に振り向けたとしても、ドイツ並みの「高齢」構成比になるだけですから、そんなに大きなムリではないような気もします。引用した記事にもある通り、政権交代に伴って社会保障給付が増加する傾向にあることは直感的に理解できますが、年金や介護などの高齢者向けよりも、子ども手当てなどのように家族を支援する部分のいっそうの増加を望みたいと思います。

GPCI-2009 分野別総合ランキング

社会保障給付は昨年と統計も中身も大きな変化ありませんので、誠についでながら、森記念財団から発表された「世界の都市総合力ランキング」2009年版も取り上げておきたいと思います。上のグラフはリポートの p.13 から「図2-1 分野別総合ランキング結果」を引用しています。東京はニューヨーク、ロンドン、パリに続いて第4位につけています。

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