下げ止まりの兆しの見える機械受注統計
本日、内閣府から9月の機械受注統計調査の結果が発表されました。統計のヘッドラインになっている船舶と電力を除く民需、すなわち、コア機械受注と呼ばれている統計は市場の事前コンセンサスである+4.1%増を大きく上回って、季節調整済みの前月比で+10.5%増となりました。この結果を受けて、内閣府は基調判断を「下げ止まりに向けた動き」と上方修正しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
内閣府が11日発表した7-9月期の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標になる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は前期比0.9%減となった。6四半期連続のマイナスとなったが、落ち込みは小幅にとどまった。10-12月期は1.0%増と反転を見込んでおり、内閣府は基調判断を「下げ止まりに向けた動き」として、6カ月ぶりに上方修正した。9月の受注額は前月比10.5%増と大幅に伸びた。
機械受注統計は生産設備など機械類の受注額をメーカーなどから集約して作成したもの。半年から9カ月ほど先の民間設備投資の動向を示す。受注動向に底入れ感が出てきたことで、景気動向を左右する実際の設備投資がどこまで増えるかが焦点となる。
0.9%減は当初見通しの8.6%減に比べるとマイナス幅を大きく縮めたが、受注額は2兆708億円にとどまり、2四半期連続で過去最低額を更新した。非製造業は増えたものの、製造業が8.7%減だった。外需は41.7%増と6期ぶりのプラスとなり、比較可能な1987年以降で最大の伸び率となった。
次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルでは青い折れ線が季節調整済みの月次系列のコア機械受注、赤がその6か月後方移動平均です。いずれも左軸の単位は兆円です。下のパネルは長崎ローカルで注目されている船舶について詳しく見たもので、青が手持ち月数、左軸の単位は月で、赤が受注残高となり、右軸の単位は兆円です。影を付けた部分は景気後退期を表していますが、直近の谷は今年2009年3月と仮定しています。
9月のコア機械受注のひとつの特徴は、上のグラフでは取っても見づらいんですが、6か月後方移動平均でプラスに転じたことです。従って、機械受注としては2009年7-9月期で底を打った可能性が高いと私は受け止めています。もっとも、一般には今夜のエントリーのタイトルに掲げたように、「兆し」くらいを付けるのかもしれません。もっとも、同時に発表された四半期ごとの10-12月期見通しも+1.0%増ですから、そんな力強い回復にすぐに戻るとも思えません。GDPベースの設備投資の先行指標として考えれば、ほぼ来年いっぱいは設備投資は横ばいか、せいぜい微増が続くと覚悟した方がよさそうです。本格的な回復は来年最終四半期かさ来年になるような気がします。
もうひとつ私が注目したのは、これも四半期ごとに発表される達成率なんですが、上のグラフの通りです。経験則としてエコノミストの間に広まっている、景気転換点である90%のラインを7-9月期から超えました。力強さや経済活動のレベルはまだまだですが、我が国経済が回復局面にあることは確実と私は受け止めています。
最後に、9月の特徴として、GDPベースの設備投資の先行指標ではないのでコアから外れるんですが、外需がかなり伸びたことが上げられます。でも、今後の為替の動向に影響されることが懸念されます。
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