やっぱりデフレに突入か?
本日、日銀から10月の企業物価が発表されました。統計のヘッドラインになっている国内企業物価は9月の▲8.0%の下落から▲6.0%くらいまで下げ幅を縮小するんではないかとの市場の事前コンセンサスだったんですが、▲6.7%までしか改善しませんでした。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
日銀が12日発表した10月の国内企業物価指数(2005年=100、速報値)は102.2と、前年同月比で6.7%下がった。景気持ち直しの動きが力強さを欠き、幅広い品目で値下がりが続いている。ただ前年の原油や非鉄などの価格高騰による影響が和らぎ、低下幅は9月に続いて2カ月連続で縮小した。
企業物価は出荷や卸売り段階で企業同士がやりとりするモノの価格水準を示す。調査対象の855品目のうち、前年同月よりも下落したのは487品目(57.0%)に上り、過去最多になった。
品目別では、石油・石炭製品の下げ幅が26.6%と最大だったが、9月(38.0%)よりも縮まった。非鉄金属でも同様の動きがみられる。昨年の資源高の反動に伴う物価低下圧力は今後も弱まり、企業物価の下げ幅はしばらく縮小傾向が続くとみられる。
次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルでは青い折れ線が国内企業物価の前年同月比、赤がサービス物価です。サービス物価は現時点で9月までしか発表されていません。下のパネルは黄緑が輸出物価、オレンジが輸入物価のそれぞれの前年同月比です。コチラは10月まで発表されています。上下のパネルとも左軸の単位は前年同月比パーセントです。
引用した日経新聞の記事で正直に書かれているように、景気が力強さを欠いており、相変わらず需給ギャップが大きくマイナスを続けている中で、何とかマイナスの底を打った印象はありますが、まだまだデフレが続いています。前年同月比で見て、ほとんどすべての品目で価格が下落しており、特に、石油・石炭製品と鉄鋼が▲20%を超える下落となっています。景気や需給ギャップとともにデフレの様相が色濃く表れていると私は感じています。その昔に、卸売物価と呼ばれていた消費者物価の前段階の物価がこの状態では、消費者物価も上昇に転ずるのが遅れる可能性が高いと受け止めるべきです。さらに、私がいつも指摘する為替の円高傾向もジワジワと物価に波及する可能性もあります。
最後に、一昨夜のエントリーで取り上げた景気ウォッチャーについても、知り合いから「これってモロにデフレじゃん」とのくだけたメールをちょうだいしました。エントリーの中で明記しませんでしたが、まさにその通り。景気回復過程が力強さを欠く上に、さらにデフレで景気回復が遅れたり、とん挫したりする可能性は注意する必要があります。
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