アジア開発銀行 (ADB) によるアジア新興国の経済見通し
本日、フィリピンのマニラに本部を置くアジア開発銀行からアジア新興国の経済見通し Asia Economic Monitor が発表されました。もちろん、pdf のフルリポートもアップロードされています。9月に発表された Asian Development Outlook 2009 Update では、ベースが異なるので単純な比較は出来ないものの、アジア域内で2009年+3.9%、2010年+6.4%とされていた成長率が、東アジア新興14カ国に限って改訂され、2009年+4.5%、2010年+6.6%と修正されました。リポートの p.39 から Table 12: Annual GDP Growth Rates を引用すると以下の通りです。縮小してあって見づらい向きは、上にリンクを張ってあるリポート本文をオススメします。どうでもいいことかもしれませんが、我が日本の成長率は見通しの対象ではなく作業前提なんですが、2009年▲5.8%、2010年+1.2%とされています。ご参考まで。
少し詳しくリポートを見ると、まず、当然ですが、東アジア新興国では2009年第2四半期から力強く反転した rebounded strongly と強調されています。2008年夏まで猛烈な勢いだったインフレは抑えられていて muted 問題なく、対外収支は改善 improved され、資本流入と好調な経済に支えられて通貨は増価しています。現時点の先進国経済を考え合わせると、うらやましい限りの経済状態といえましょう。ただし、先行きのダウンサイド・リスクとしては p.42 に以下の4点が上げられています。
- a short-lived recovery in developed economies
- policy errors such as premature policy tightening
- a slower-than-expected pick up in private demand
- destabilizing capital flows
第1点で、特に in particular と国名を上げられているのは我が日本ではなく米国です。家計のバランスシート調整のために貯蓄が増加するリスクが指摘されています。さらに、第2点に関しては、IMF などと違って出口戦略は決して強調されず、むしろ、早すぎる引締め転換に注意を促しています。4番目の観点は先進国には希薄かもしれません。
最後に、私の趣味で、アジア開銀スタッフがHPフィルターで作成したGDPギャップのグラフです。これも縮小したので、はなはだ見づらい向きは p.50 の Figure B1.2: Output Gap をご覧ください。
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