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2009年12月17日 (木)

「銀行券ルール」とはいったい何なのか?

今日から明日まで、日銀の金融政策決定会合が開催されています。
この春先にごく一部で盛り上がった話題を今ごろ取り上げても仕方ないんですが、今年最後の金融政策決定会合に敬意を表して、「日銀券ルール」あるいは「銀行券ルール」について簡単に見ておきたいと思います。まず、日銀券の発行残高と日銀国債保有残高の推移のグラフは以下の通りです。毒にも薬にもなりません。

日銀券発行残高と日銀の保有国債の推移

ついでに、長期国債に限らず短期も含めた日銀の保有国債残高のグラフも入れてあります。上の緑のラインが日銀券発行残高ですから、これを超えない範囲で赤い棒グラフの長期国債を保有する、というカギカッコ付きの「ルール」です。どういう意味があるのかよく分かりませんが、例えば、最近見たペーパーで、白塚重典「わが国の量的緩和政策の経験: 中央銀行バランスシートの規模と構成を巡る再検証」ディスカッション・ペーパー・シリーズ2009-J-22、日本銀行金融研究所、というのがあって、タイトル通りに、今世紀初頭における我が国の量的緩和政策を検証しているペーパーで、このp.15に「このルールは、日本銀行に国債価格支持、あるいは政府債務のマネタイゼーションの意図がないことを明確にし、金融政策の信認を確保していくことにつながると考えられる。」という記述がありました。もちろん、ディスカッション・ペーパーですから日銀の公式見解でもなんでもありません。でも、何となくの含意は汲み取れます。当然ながら、肯定的に捉えています。
他方、否定的なのは私を含めて多くのリフレ派のエコノミストです。春先に「日銀券ルール」が話題になった折には、『Voice+』2009年5月号の若田部教授の「『日銀券ルール』の誤謬」がよく引合いに出されました。この記事で若田部教授は「経済学的な根拠はない」と明記しています。もっとも、先の白塚論文でも決して「経済学的な根拠がある」と書いているわけではありません。リフレ派エコノミストだけでなく、日銀エコノミストを含めて、ほぼすべてのエコノミストは「銀行券ルール」には「均衡財政ルール」とまったく同様に何らの経済学的な根拠はないことを理解していることと思います。そもそも、現在の白川総裁は大著『現代の金融政策』において、金融政策とはオペにより政策金利を操作することであると喝破していますので、長期国債を買い入れるかどうかもこのオペの範囲内で考えているんではないかと私は予想していましたが、最近の発言は必ずしもそうではないような気もしますから不思議です。

国債を日銀引受けでマネー・プリンティングにより発行すれば、当然に日銀券発行残高は日銀の国債保有高と同じペースで増加し、「銀行券ルール」は軽くクリアされるような気もするんですが、単純に私が何か誤解しているのかもしれません。

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