貿易統計に見る輸出は順調に景気をけん引
本日、財務省から11月の貿易統計が発表されました。輸出はほぼ前年水準に回復し、貿易収支も順調に黒字基調を取り戻しています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
アジア向けを中心に輸出が持ち直してきた。財務省が21日発表した貿易統計速報(通関ベース)によれば、11月の輸出額は前年同月比6.2%減の4兆9917億円と14カ月連続で減少したものの、下落率は前の月(23.2%減)に比べ大幅に縮小した。アジア向け輸出は中国を中心に拡大し、昨年9月以来14カ月ぶりに増加に転じ、リーマン・ショック以前の水準を回復した。ただ、国内設備投資への波及は限定的で、景気の下振れ懸念は消えていない。
輸入額は前年同月比16.8%減の4兆6177億円になった。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は3739億円と10カ月連続の黒字になった。輸出額を品目別にみると、半導体が2008年7月以来の、プラスチック原材料などの有機化合物が同8月以来のプラスに転じた。
地域別では、アジア向けは前年同月比4.7%増と昨年9月以来の増加になった。特に中国向けは7.8%増と大幅に伸びた。スチレンなどの有機化合物や、ギアボックスといった自動車の部分品が伸びた。ただ、亜鉛めっきなどの鉄鋼は落ち込んだままだった。
続いて、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出入とその差額たる貿易収支、真ん中のパネルはその季節調整済み系列、一番下のパネルは輸出の原系列について金額を数量と価格で要因分解したものです。輸出額は引用した記事にもある通り、前年同月比で▲6.2%減まで回復しています。
私は従来から来年前半の2番底を予想していたんですが、ここまで輸出が順調に回復すると、軽い踊り場で済む可能性が高まったと受け止めています。今後の輸出を占う上で、以下のグラフの米国製造業ISM指数がポイントになりますが、米国経済の順調な回復のおかげで、輸出は目先しばらくの間は増加を続けることが見込まれます。中国については統計データなどの情報を持ち合わせていないんですが、メディアの報道や国際機関の分析を見る限り、ほぼ景気は回復軌道に戻ったと判断してよさそうです。
世界の景気や生産の順調な回復を背景に、日本の輸出は所得面から順調に回復する軌道にあるといえます。ということは、何度もこのブログで繰り返している通り、価格条件、すなわち、為替レートが問題になります。ドバイ・ショックからはかなり円レートも戻して、1ドル90円前後で推移しています。通貨の安定に向けた日銀の金融政策に大いに期待しています。
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