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2010年1月27日 (水)

国際通貨基金 (IMF) の最新経済見通しと我が国の貿易統計に見る世界経済の順調な回復

昨日、国際通貨基金 (IMF) から「改定世界経済見通し」 World Economic Outlook Update が発表されました。いつもながら、pdf ファイルのフルリポートも公表されています。今年の世界経済の成長率は昨年10月の見通しから+0.8%ポイント上方修正されて+3.9%と、また、来年2011年は+4.3%と見込んでいます。なお、副題は A Policy-Driven, Multispeed Recovery とされています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

国際通貨基金(IMF)は26日、最新の世界経済見通しを発表した。2010年の世界経済の実質経済成長率は3.9%と予測し、前回の昨年10月の見通しから0.8ポイント上方修正した。11年は4.3%との見方を示した。日本は10年が1.7%で前回と変わらず、11年は2.2%で0.2ポイント下方修正した。
IMFは世界経済について「当初の予測以上に力強く回復しているが、その速度は地域ごとに異なる」との見解を示した。多くの先進国は景気回復力が弱い半面、新興国などは好調な内需に支えられ、経済活動が比較的力強いと分析した。
先進国では、在庫循環の改善が景気回復に寄与しているという。米国の成長率は10年に2.7%になると予測し、前回から1.2ポイントの大幅上方修正。金融危機で懸念が高まっていた米個人消費は「予測以上に強力だった」と指摘した。ユーロ圏も上方修正したが、1%台の成長にとどまる。

まず、IMF の記者発表のサイトから引用した成長率見通しのサマリーは以下の通りです。引用した記事にもありますが、日本の成長率見通しは今年2010年が+1.7%、来年2011年が+2.2%と見込まれています。昨年10月の見通しと比較して、今年は変わらずで、来年は▲0.2%ポイント下方修正されています。

Latest IMF projections

IMF の見通しが正しいとすれば、明らかに世界経済は順調に回復し始めています。我が国の成長率もユーロ圏各国に比較すればやや高く、これまた、順調に回復すると見込まれています。しかし、リポートの副題に表れているように、回復のスピードは跛行性が高くなっています。今年来年を通じて、先進国は+2%台前半の成長率と見込まれているのに対して、新興国は+6%を超えます。アジアでも、ASEAN5か国が新興国平均に達しない+5%前後であるのに対して、中国は約+10%の成長を達成すると見通されています。リスクはアップサイドとダウンサイドの両方にあるんですが、リポートでは後者のひとつの要因となりうるものとして "a premature and incoherent exit from supportive policies" を上げています。

貿易統計の推移

この世界経済の順調な回復を裏付けているのが、上のグラフで示した我が国の貿易、特に輸出です。本日、財務省から12月の貿易統計が発表されました。輸出は15か月振りに前年同月比でプラスに転じ、特に数量の伸びが大きく寄与しました。以下、簡単に日経新聞のサイトから記事を引用しておきます。

財務省が27日発表した2009年12月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額は前年同月比12.1%増の5兆4128億円となった。リーマン・ショックに見舞われた08年9月以来、1年3カ月ぶりの増加に転じた。中国を含むアジア向けは2カ月連続で伸び、欧州連合(EU)向けも1年5カ月ぶりに増えた。世界経済の回復に支えられ、日本の景気は輸出主導で持ち直している。ただ企業収益の改善が設備投資や雇用の拡大に波及するまでには時間がかかりそうだ。
輸出額の伸びが2ケタに乗ったのは2年2カ月ぶり。09年11月は中国向けとアジア向けが増加に転じたが、09年12月はEU向け、大洋州向け、中南米向けもプラスになった。品目別では自動車の輸出額が1年3カ月ぶりに増え、中国向けは過去最高を更新した。
ただ輸出額の水準自体はまだ低い。ピークだった08年3月(約7兆7000億円)の7割程度、08年の月平均(約6兆8000億円)の8割程度にとどまっている。

この世界経済の順調な回復やそれに支えられた輸出の伸びを見ていると、今年前半に日本経済が2番底を回避する確率は半々より高くなったように私は受け止めています。

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