景気動向指数は順調に改善を示す - ついでにギリシア財政危機
本日午後、内閣府から12月の景気動向指数が発表されました。季節調整済みの CI で一致指数が97.6、先行指数が94.0と順調に上昇しています。内閣府の基調判断は「改善を示している」で据え置かれています。DI も昨年10-12月の3か月連続で100を記録しています。日経新聞がなかなか取り上げてくれませんので、まず、ブルームバーグのサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。
昨年12月の景気一致指数は9カ月連続上昇-「改善」判断を維持
日本の景気の現状を示す景気一致指数は昨年12月に9カ月連続で上昇した。半年程度先を示す景気先行指数も10カ月連続で改善した。日本経済は輸出や生産を中心に持ち直しが続き、先行きも「二番底」の懸念が後退していたことを示した。
内閣府が5日発表した12月の景気動向指数(速報、2005年=100)によると、一致指数CI(コンポジット・インデックス)は前月比1.6ポイント上昇の97.6となった。先行指数CIは同3.0ポイント上昇の94.0。景気に数カ月遅れて動く遅行指数CIは同1.4ポイント上昇の84.3だった。
内閣府は一致指数について、景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」の基調判断を前月に続き維持した。一致指数の9カ月連続の上昇は、1996年2月から97年1月までの12カ月連続以来。指数も2008年9月のリーマン・ショック前までの水準の99.1(08年8月)まであと一歩となった。一方、先行指数の上昇幅は過去最大となり、水準はリーマン・ショック前を上回っている。
津村啓介内閣府政務官は記者説明で、先行・一致・遅行の3指数が共に上昇したことなどを受け「今後、緩やかな景気回復が続くことに期待が持てる」とする一方、消費者マインドがまだ弱いことを挙げ、「下押しリスクに警戒が必要な局面を脱していない」との認識を示した。
次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは CI、下は DI です。上のパネルの CI のグラフでは、赤い折れ線が一致指数、水色が先行指数です。いずれも、季節調整済みの系列で、影をつけた部分は景気後退期ですが、直近の景気の谷は昨年2009年3月と仮置きしています。
景気動向指数 (CI) は鉱工業生産指数のように経済活動の水準を直接に示す指標ではなく、直感的には構成する経済指標の増加率を累積させた指数ですが、以下、大雑把に丸めた数字で見て、前回の第14循環における指数のピークの水準がほぼ105、引用した記事にもあるように、リーマン・ショックの直前の水準が約99でしたので、指数的には▲2-7%の水準まで回復したことになります。他方、固定ウェイトながら付加価値を合計した指標であり、そのものズバリの経済活動水準を示す鉱工業生産指数は第14循環ピークの110から、あるいは、リーマン・ショック直前の104くらいの水準から、昨年12月で90までしか回復していませんから、まだまだ▲10%超のマイナスの水準にあり、コチラの方が実感に近い気がします。しかし、ここまで景気動向指数が順調に改善を示すと、ますます2番底の可能性が遠のいたと受け止めています。
最後に、景気動向指数とは関係ないんですが、ジワジワと世界的な株安が広がっています。基本的には、ギリシアの財政危機、sovereign crisis に端を発するもので、最近の The Economist のサイトにも取り上げられているところです。やっかいなのは、ギシリアがユーロ圏の1国であることで、もしも、他の南欧諸国、例えば、スペインあたりに飛び火というか、感染 (contagion) したりすると、昨年11月のドバイ・ショックどころか、1990年代後半のアジア通貨危機に匹敵する危機を引き起こす可能性があると私は受け止めています。近く簡単にこのブログで取り上げる予定ですが、学術論文としても残しておきたい気がしないでもありません。
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