先進各国のCO2削減目標
まだ記憶に新しい昨年12月のCOP15におけるコペンハーゲン合意に基づき、1月末までに先進諸国、正しくは京都議定書付属書Ⅰ締約国の2020年までのCO2削減目標がドイツのボンに本部を置く気候変動枠組条約事務局 (UNFCCC) のサイトに掲載されています。なお、今夜のエントリーでは取り上げませんが、京都議定書付属書Ⅰ非締約の新興国や発展途上国については、CO2排出の緩和策が別のサイトに掲げられています。まず、京都議定書付属書Ⅰ締約国の2020年までのCO2削減目標は以下の通りです。
Annex Ⅰ Parties | Emissions reduction in 2020 | Base year |
Australia | -5% up to -15% or -25% | 2000 |
Canada | 17% | 2005 |
Croatia | -5% | 1990 |
EU | 20%/30% | 1990 |
Japan | 25% | 1990 |
Kazakhstan | 15% | 1992 |
New Zealand | 20% | 1990 |
Norway | 30-40% | 1990 |
Russian Federation | 15-25% | 1990 |
United States of America | 17% | 2005 |
非常に単純な表にしましたが、実は、いろいろと条件が付されていたりします。例えば、我が日本は、"25% reduction"ながら、この目標は "premised on the establishment of a fair and effective international framework in which all major economies participate and on agreement by those economies on ambitious targets." との前提があり、本来の意図をねじ曲げてひどく悪意に解釈すれば、この国際的な枠組みが出来上がらなければ、目標は守らなくてもよい、と受け止められる可能性があります。少なくとも、下線を付した「公正かつ効率的」の基準はあいまいであるとの批判はあり得ます。しかし、それでも、先進国と新興国・途上国を問わず、世界の多くの国々が2020年に向けてCO2の削減を目指していることを国際的に明らかにしたことの意義は極めて大きいと受け止めています。
ついでながら、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。
温暖化ガス削減の自主目標、55カ国・地域が提出
第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)の政治合意に基づいて温暖化ガス排出削減の自主目標を提出した国・地域が1日までに計55カ国・地域に達した。条約事務局が発表した。55カ国・地域の排出量は世界全体の約78%に相当する。今後は削減目標の上積みと、順守のための法的な枠組みづくりが交渉の焦点になる。
COP15での政治合意は、各国・地域に対して今年1月末までに目標を提出することを求めていた。主要国・地域が示した削減目標は、日本が2020年までに90年比25%、米国が05年比17%、欧州連合(EU)が90年比20-30%など。新興国である中国とインドは国内総生産(GDP)あたりの排出削減量で目標を示した。いずれもこれまで示していた目標値から変わっていない。
イボ・デブア事務局長は声明で「これらの約束は(国際的な温暖化対策の)成功に向けて交渉を進めるという明確な意思表示だ」と述べた。
先日、私も環境指標と所得に関するペーパーを書きましたが、大学に在籍する間にもう少し地球環境と経済に関する勉強をしたいと考えており、今夜のエントリーは「経済評論の日記」に分類しておきます。
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