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2010年2月28日 (日)

小学校に「北風と太陽」を見に行く

北風と太陽

今日は雨なのに、家にいてテレビを見ていてもオリンピックでもなく、津波情報ばっかりでつまらいということもあり、下の子が通う小学校で催し物がありましたので、下の子が出演する劇「北風と太陽」を見に行きました。有名なイソップ童話ですが、そのままでは面白くないのか、通常の旅人のコートを脱がせるのは太陽の勝ち、というだけでなく、逆に、コートを脱いでいる旅人にコートを着せるのは北風の勝ち、とか、いろいろと面白おかしくアレンジしてありました。ウチの子は少年Bを熱演していました。
こういったグループの劇だけでなく、手品があったり、小学1年や2年くらいの小さな子が1人でピアノを演奏したり、ヒプホップダンスを踊ったり、また、先生方のティーチャーズ・バンドがクイーンの「ウィー・アー・ザ・チャンピオン」を演奏したりと、多彩な催しを見て来ました。少し暗くてよく見えなかったんですが、下の子の2年生の時の担任の先生がドラムを叩いていたような気がします。でも、私が見に行った体育館での催し物よりも、中心は校庭での飲食いだったかもしれません。

我が家から小学校までは歩いて5分ほどなんですが、さすがに長崎に単身赴任してから1年半になりますので、アチコチで向こうから挨拶してくれる人がいっぱいいたものの、ほとんど忘れていました。小学校に行く頻度の高さの割には、私の記憶力の低さを思い知らされました。

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2010年2月27日 (土)

ホンダ CR-Z を見にウェルカムプラザ青山に行く

ホンダ CR-Z
ホンダ CR-Z
ホンダ CR-Z
ホンダ CR-Z

一昨日2月25日に発売されたホンダ CR-Z を見にウェルカムプラザ青山に行きました。久し振りに写真をいっぱい撮って来ました。1番上の写真は室内のメインに展示してある白の CR-Z で、反時計回りにゆっくりと回転していました。ドアは両方とも開け放ってあり、見方によっては少し間が抜けたように見えなくもないんですが、2番目の写真のようにインテリアが見えるように工夫しているようでした。3番目はエンジンルームです。CR-Z はもちろんハイブリッド車なんですが、すべてエンジンは1500ccだと聞きました。最後の4枚目は外にあった赤い CR-Z のノーズだけを撮ってみました。外に展示してある車は、とっかけひっかけ、人が乗り降りしているので全体像を写真に収めるのは諦めました。
どうして特に CR-Z に興味を持ったかというと、20年近く前、在チリ大使館で外交官をしていた時に、私はホンダの CR-X デルソルに乗っていたんですが、東京モーターショーに関する朝日新聞の記事「CR-Xの再来 ホンダCR-Zコンセプト」とか、オートックワンの解説「CR-ZはCR-Xの進化系だ!」といった情報があり、大いに興味をそそられた次第です。
CR-X デルソルが完全なツーシーターだったのに比べて、CR-Z は定員4人となっていますが、コンパニオンの説明では「臨時用」とのことで、実態はツーシーターに近い印象です。でも、そうであれば完全なツーシーターにして欲しかったような気もします。さらに、燃費がメチャメチャいいんですが、ハイブリッドの特徴とはいえ、スポーツカーとして走らせた時の燃費も気にかからないでもありません。CR-X デルソルはゴルフバッグは斜めにしないと入らないくらいラゲッジ・スペースが狭かったんですが、CR-Z はラクラクでゴルフバッグが2つも入るそうです。私は CR-X デルソルに愛着があるだけに、「ゴルフバッグを乗せて走る車」なのかと思ってしまいました。スポーツカーにラゲッジ・スペースは不要です。ただ、20年近くも昔の話と比較すれば当然なんですが、安全性については大きく改善されています。VSA と呼ばれる車両挙動安定化制御システムについて説明を聞いた時には、スピン防止に効果があるような気がしました。実は、私はサンティアゴのロータリーの中で、CR-X を3回転ほどスピンさせた記憶があります。

私は自動車を買おうという気はまったくないので、関西弁で言うところの冷やかしなんですが、久し振りに自動車を見に行って面白かったです。でも、我が家から歩いて行ける都心ど真ん中とはいえ、ホンダのウェルカムプラザ青山は池袋のアムラックスなんかと比べて少し手狭な印象があります。トヨタとホンダの差なのかもしれません。

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2010年2月26日 (金)

鉱工業生産と消費者物価の動向を占う

本日、経済産業省から鉱工業生産指数が、また、総務省統計局から消費者物価指数が、それぞれ発表されました。いずれも今年1月の統計です。鉱工業生産は季節調整済みの前月比で+1%程度の増産との市場の事前コンセンサスに対して、+2.5%と大幅に上回りました。また、消費者物価は生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比で▲1.3%と11か月連続のマイナスを続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、2.5%上昇 1月、11カ月連続プラス
経済産業省が26日発表した1月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は91.9と、前月に比べて2.5%上昇した。輸出の増加や国内の政策効果などに支えられて11カ月連続で前月を上回った。ただ、2月の予測指数は0.8%低下となり、トヨタ自動車のリコール問題を受けた生産減など先行きにはリスク要因も残っている。
1月の生産指数は09年5月以来の伸び率で、市場予測の平均(1.0%上昇)を上回った。経産省は基調判断を「持ち直しの動きで推移している」に据え置く一方、生産の水準はなお低いとして、民間部門の自律的回復には至っていないという見方を示した。
業種別の生産指数では輸送機械工業が2カ月ぶりに5.5%上昇。国内や欧州などの海外向けの普通乗用車の生産が伸びた。合成洗剤やファンデーションなどの生産も好調で、化学工業は3.3%上昇した。一方、国内のゲーム機や海外の携帯電話機向けの半導体集積回路などの生産が落ち込み、電子部品・デバイス工業は1.3%低下した。
消費者物価、11カ月マイナス 1月1.3%、デフレ状態続く
総務省が26日発表した1月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の大きい生鮮食品を除くベースで99.2となり、前年同月比で1.3%低下した。マイナスは11カ月連続。指数は1993年3月以来、約17年ぶりの低い水準となった。原油高騰の反動による大幅なマイナスは一巡したが、モノやサービスの値段が幅広く下がっていることが改めて裏付けられた。
食料とエネルギーを除いた指数(欧米型コアCPI)は前年同月比1.2%低下し、過去最低だった前月と並んだ。生鮮食品を含む総合指数は1.3%のマイナスだった。
1月は前の月まで指数を押し下げていた灯油が前年同月比でプラスに転じた。一方でCPIの調査対象である585品目のうち、上昇したのが139、下落したのが382。前の月に比べて下落品目が増えた。

続いて、鉱工業生産指数の動向は下のグラフの通りです。赤い折れ線が月次の季節調整済みの系列です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、直近の景気の谷は昨年2009年3月と仮置きしています。

鉱工業生産指数の推移

前月比の+2.5%は市場の予想に比べてかなり大幅な増産だと受け止めるべきでしょうが、引用した記事にもある通り、2月の製造工業予測指数は▲0.8%の減産となっていますから、ならして見れば大きなサプライズではないのかもしれません。一昨夜に取り上げた貿易統計から春先くらいまでは輸出が順調で、おそらく輸出との連動性の強い生産も増産を続けると私は考えているんですが、気にかかるのは極めて不透明なトヨタのリコール問題です。昨年の今ごろは自動車産業とともに生産も雇用もすべて大きく傾いた記憶が残っていますから、気がかりではあります。
もうひとつの気がかりは次に詳しく取り上げる物価です。昨年2009年5月14日付けのエントリーで取り上げたように、生産の変動は在庫を通じて拡大され、景気循環を増幅させるんですが、実は、物価がデフレを続けていると、在庫が大きく圧縮されます。当然です。在庫品がデフレにより評価額を下げて行くんですから、どの企業も在庫を持ちたがりません。消費者や企業の消費や投資の先送りとともに、景気拡大の波及が大きく阻害されることになります。

消費者物価指数の推移

ということで、上のグラフは消費者物価の推移です。青い折れ線が生鮮食品を除くコアCPI、赤がエネルギーと食料品を除くコアコアCPI、グレーが東京都区部のコアCPI、のそれぞれの前年同月比上昇率です。棒グラフは青い折れ線のコアCPI前年同月比上昇率を寄与度分解したもので、緑色が食料品、黄色がエネルギー、水色が食料品とエネルギー以外のその他となっています。
コアCPIの前年同月比は一時の▲2%超から、大きくマイナス幅を縮小して、▲1.3%まで達しましたが、この大部分はエネルギーのマイナス寄与が縮小したものであることは明らかです。エネルギーと食料品以外のその他寄与度がグングンとマイナス幅を大きくし、2001-02年のデフレ期に迫っているのが見て取れます。エネルギー価格のかく乱的な動きはほぼ収束し、この先はコアとコアコアのCPI前年同月比上昇率がほぼパラレルな動きを示すという意味で、2001-02年のデフレ期と同じ状態に入ったと私は受け止めています。要するに、エネルギーの寄与が底を尽きましたから、上のグラフで青いラインで示したコアCPIの前年同月比が、これからさらにゼロ以上を目指す動きは止まったといえます。なんと、▲1%超の上昇率で止まってしまいました。戦後の先進国では驚くべきことといえます。ですから、物価上昇率をさらに引き上げたいのであれば、物価に責任を持つべき政策当局、すなわち、中央銀行が何らかの政策を発動することが必要です。

再び、三たび、大胆な予想ですが、来月16-17日に開催される金融政策決定会合において、私は何らかの追加的な金融緩和策が決定されると考えています。

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2010年2月25日 (木)

マクドナルドの Big America 第3弾ハワイアンバーガーを食べに行く

ハワイアンバーガー

今日は広く報じられている通り、国公立大学の前期入試がありました。当たり前ですが、私は受験生ではありませんので、一仕事終えて夕食にハワイアンバーガーをいただきました。テキサスバーガー、ニューヨークバーガーに続くマクドナルドの Big America 第3弾です。先週金曜日から期間限定で始まっています。
上の写真を見ても明らかなんでしょうが、ハワイの名物料理であるロコモコをそのままハンバーガーに応用した出来上がりです。ロコモコの基本形はご飯の上にハンバーグと目玉焼きを乗せて、グレイビーソースをかけたものですから、実に、そものもズバリです。私は昨年の月見バーガーを食べ逃したような気がしますので、目玉焼きの入ったハンバーガーは久し振りです。もちろん、Big America シリーズに共通して、クォーターパウンドのビーフパティですからボリュームたっぷりです。

国公立大学前期入試の季節になると、いよいよ入試シーズンも終盤という気がします。
がんばれ受験生!

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2010年2月24日 (水)

輸出の回復はどこまで続くか?

本日、財務省より今年1月の貿易統計が発表されました。輸出金額は前年同月比で何と+40.9%増の4兆9024億円と、昨年の大幅な落ち込みからの反動とはいえ、大きく増加しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

輸出、1月4割増もピーク時の8割 アジア頼み色濃く
財務省が24日発表した1月の貿易統計によると、輸出は4兆9024億円と前年同月比で4割も増えた。ただ「リーマン・ショック」で急収縮した反動増にすぎず、ピーク時の2008年1月と比べ8割弱の水準にとどまる。米欧向けは持ち直しが遅れており、日本の貿易構造はアジア頼みが鮮明だ。
輸出が好調だった08年1月と比べても、中国向けはほぼピーク時まで持ち直してきた。自動車の輸出台数は前年の3.8倍と大幅に増えたが、08年比でみても1.6倍と高水準。電子部品や一般機械の伸びも目立つ。ただ金融危機後の反動増は一服しつつあり、先行きの伸び率は鈍化する可能性がある。
米欧向けは持ち直しが遅れている。対米輸出は前年同月比で24%も増えたものの、08年と比べると6割弱の水準。欧州向けも前年比では11%伸びたが08年比ではやはり6割弱だ。
トヨタ自動車の大量リコール(回収・無償修理)や南欧諸国の財政不安など、日本の輸出環境は簡単には好転しそうにない。外需の息切れ感が強まれば、国内経済にも黄信号がともる。

いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列、下は季節調整済み系列で、水色の折れ線グラフが輸出、赤が輸入、緑色の棒グラフはその差額たる貿易収支の推移です。左軸の単位はいずれも兆円です。

貿易統計の推移

引用した記事にもある通り、金額の水準はまだまだ低いものの、輸出は順調な回復といえます。1月の輸出が落ちているように見えなくもありませんが、お正月を含む1月の季節的な特徴ですから、季節調整済み系列では輸出も貿易収支も順調だということが理解できると思います。1月統計のひとつの特徴は、これまた引用した記事にもある通り、自動車や半導体の輸出が大幅に拡大したことで、日本産業の中でも競争力ある製品が順調な回復を示しているといえます。

輸出の推移

それでは、引用した記事に下線を付しておいたように、輸出回復の持続性という観点から考えるため、上のグラフを書いてみました。上下のパネルとも前年同月比のパーセント表示で、上のパネルはいつもと同じグラフで輸出金額を価格と数量で要因分解したものです。下のパネルは初公開なんですが、輸出数量指数の前年同月比とOECD先行指数の前年同月比を並べてみました。もちろん、後者のOECD先行指数は世界需要の代理変数なんですが、3か月ずらしてあります。対応する軸は凡例にある通り左右で異なりますが、かなりの程度にシンクロしているのが読み取れます。単純にこの関係を引き延ばすと、今年の3-4月くらいまでは我が国の輸出も順調な回復を続けることが考えられます。しかし、問題はその先です。米国経済はもともと先行き不安がありますし、中国も万全とはいえません。さらに、日経新聞の記者さんも私の2月15日付けのエントリーを読んでいただいたのか、ギリシアをはじめとする南欧の財政危機とトヨタのリコール問題が極めつけの不透明なリスクとして記事に取り上げられています。

日本経済が2番底に陥る可能性は大幅に低下したとはいえ、外需を起因として年央から秋口に踊り場を迎える可能性はまだ残されています。内需拡大のためには早期のデフレ脱却が必要なんですが、日銀幹部は国会でも記者会見でも、あらゆる機会を捉えて極めて reluctant は発言を繰り返しています。

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よくがんばったチーム青森!

カーリング女子のチーム青森がスウェーデンに負け、ほぼ同時にスイスがドイツに勝ったことから、1次リーグ敗退が決まりました。誠に残念。
今朝未明のスウェーデン戦では4点差をつけられながら最終第10エンドに入るという、見方によれば格上のスウェーデンに対して、このカーリングという競技の性格からして、やや失礼とも見えるまでの執念を見せましたが、物理的に4点を取れないとなった時点でのコンシードでした。結局、今日の試合は不調の近江谷選手を外して臨みましたが、さすがに、私の主張したマリリン本橋選手のフォース起用はしませんでした。まあ、常識的なラインだと思います。しかし、1次リーグで敗退したからといって、女子カーリングの世界ランキングで第9位の日本が、オリンピック出場10チーム中、8戦を終えた現時点ですでに3勝を上げているんですから、よくやったといえます。よくがんばりました

私は大方の日本人と違ってフィギュア・スケート女子にはほとんど興味ないんですが、
がんばれニッポン!

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2010年2月23日 (火)

東野圭吾『カッコウの卵は誰のもの』(光文社)を読む

東野圭吾『カッコウの卵は誰のもの』(光文社)

東野圭吾さんの最新作『カッコウの卵は誰のもの』(光文社)を読みました。私は我が家の中学生のおにいちゃんとともに、この作者のガリレオ・シリーズは大好きで、短編集の『探偵ガリレオ』、『予知夢』、『ガリレオの苦悩』、長編の『容疑者Xの献身』、『聖女の救済』はすべて読んでいますし、私は加賀恭一郎シリーズもかなり読んでいて、最新刊の『新参者』は昨年2009年10月27日に読書感想文の日記をアップしています。
タイトルから想像される通り、親子関係を遺伝子やDNAの観点から見た場合と家族として考えた場合の不一致をテーマにしています。そして、もうひとつの通奏低音は倫理観です。東野圭吾さんの作品に見られる倫理観は、典型的には『流星の絆』に示されている通り、極めて順法精神の強いもので、それを少しナナメから捉えた作品が『天使の耳』であると私は考えているんですが、ここでも主人公の緋田宏昌と上条文也に極めて順法精神に富んだまっとうな倫理観が示されます。このあたりは、銀行ギャングを主人公にした作品のある伊坂幸太郎さんの倫理観と極めて対照的なんですが、どちらも非常に健全なる倫理観だと私は考えています。

最後に、昨年2009年6月21日付けのエントリーで伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』を紹介した時の繰返しになりますが、家族や親子について考えると、遺伝子やDNAは家族として過ごした時間の重みに圧倒的にかなわないと私は考えています。この私の家族観に極めてよく合致する結末であると私は受け止めています。

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崖っぷちのカーリング女子、マリリンをフォースに!

バンクーバー冬季オリンピック大会のカーリング女子、チーム青森がドイツ、スイスに連敗して3勝4敗となり、いよいよ崖っぷちに立たされました。1次リーグの残り試合から考えて、カナダ、スウェーデン、中国の3国は順当に準決勝に勝ち上がり、逆に、英国、ロシア、米国はほぼノーチャンス、残された準決勝枠1つをめぐって、デンマーク、スイス、日本、ドイツが争う形となっています。チームとしての実力からすれば、スイスが残り2試合に格下のドイツと米国に勝って、6勝3敗で準決勝に勝ち上がる可能性が極めて強く、スイスがどちらかに負けたとしても、日本はスウェーデンとデンマークの両方に勝たなければタイブレークには持ち込めません。また、スイスがドイツに負けるとすれば、ドイツにもタイブレークのチャンスがあります。デンマークについては、対戦相手が日本しか残されていませんので、誠に失礼ながら、日本が勝つと仮定して除外しておきます。
ハッキリ言って、日本がスウェーデンに勝つのはほとんど奇跡です。あり得ないことではありませんが、確率は10パーセントにも満たないと考えるべきです。他方、今大会の戦績が振るわないデンマークにはいい勝負が出来る可能性があります。そこで、スウェーデン戦を前に最後に考えられる作戦は本橋選手をフォースに起用することです。ドイツ戦もスイス戦もショットの正確性に欠けて負けていますので、最後の最後に逆転できる可能性を残したいのであれば、もっともショットを正確に決めているマリリン本橋選手をフォースに置くことが可能性として考えられます。スキップの目黒選手が最後を投げなければならないというルールはありません。近江谷選手を外すことも考えられないではありませんが、スキップ目黒選手の相談役として氷上に必要です。決して、父親の七光りで出場しているわけではありません。とすると、極めてトリッキーな作戦ながら、奇跡を起こしてスウェーデン戦に勝つためには、マリリンのフォース起用がベストのような気がします。

カーリング女子だけでなく、
がんばれニッポン!

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2010年2月22日 (月)

長崎ランタンフェスティバルはつまらない!

今日は、夕刻に大学を出てから、長崎ランタンフェスティバルに行きました。要するに、中国の新年に当たる春節に合わせてランタンを大量に置いてあるイベントです。ハッキリ言って、つまらなかったです。長崎市役所が音頭を取っているらしいんですが、地方によく見られる趣旨が分からないイベントの典型です。私は昨年のこの時期には知りませんでしたし、県外からこのイベント目当てに来る観光客がいるのかどうか、やや疑問です。事業仕分けでもすれば真っ先にやり玉に挙げられそうな気もします。メディアでも、朝日新聞には「龍馬オブジェは似てない? 長崎ランタンフェスティバル」と題して、かなり揶揄した取り上げられ方をしていたりします。下の写真はその龍馬とお龍のオブジェです。確かに坂本龍馬というよりは、イメージとしては、西郷隆盛に見えるかもしれません。眼鏡橋近くの中島川公園会場で撮りました。

長崎ランタンフェスティバルの龍馬とお龍のオブジェ

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2010年2月21日 (日)

長崎大学経済学部の入試やいかに?

今週2月25日に国公立大学の前期入試試験があり、3月に入れば後期入試が控えている中で、先週の金曜日2月19日に大学入試センターから国公立大学志願状況が発表されました。当然ながら、気にかかるのは私が卒業した京都大学経済学部と奉職する長崎大学経済学部です。誠に残念ながら、京都大学と違って長崎大学はややローカル大学の色彩が強いので、山口・九州地区における国公立大学経済学部の前期日程に限った志願倍率を取りまとめると以下の表の通りです。

大学名募集人員志願者数志願倍率
山口大学2215762.6
九州大学1856203.4
佐賀大学1352672.0
長崎大学2454611.9
大分大学1204143.5
下関市立大学1203653.0
北九州市立大学1246205.0
長崎県立大学2101,0705.1

なお、上の表は大学入試センターの検索で「経済学部」にヒットした大学だけを上げていますので、経済学を教えているにもかかわらず学部名が異なっている大学は入っていません。この地区では倍率いかんにかかわらず、九州大学がトップ校であることに異論はないと思いますが、それにしても、長崎大学経済学部は2倍を割り込んで最低倍率となっています。全国の国公立大学の経済学部で検索しても長崎大学経済学部は最低倍率でした。
もちろん、倍率だけで教育や研究のレベルは測れませんので、ついでながら、ネット検索でヒットした河合塾の2010年度国公立大学経済・経営・商学部系の入試難易予想ランキングの前期入試の左側を見ると、上位トップ5校には言うまでもなく東京大学、京都大学、筑波大学、一橋大学、大阪大学が入っていて、センター試験のボーダー得点率が軽く80パーセントを上回っている一方で、長崎大学は65パーセントを少し上回ったくらいで、当然ながら、下から数えた方が早くなっています。この河合塾のランキングで見る限り、国立大学経済・経営・商学部系の昼間部としては、新潟大学、長崎大学、富山大学、福島大学、山形大学がボトム5校となっています。まあ、いろいろと差障りがありますので、取りあえず、ネット上で客観的に確認できる情報だけにとどめておきます。

合格目指して、
がんばれ受験生!

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2010年2月20日 (土)

女子カーリング英国戦に興奮!

スピードスケートやフィギュアで日本人男子選手がメダルを取って盛上りを見せているオリンピックですが、私は女子の競技にも注目しています。特に、冬季オリンピックの華であるアルペン、トリノに続いてチーム青森が出場しているカーリングです。
特に、今日の午後は女子カーリングの1次リーグ英国戦に大興奮してしまいました。スキップ目黒選手の第9エンドの最後のスーパーショットに感激してしまいました。長く語り伝えられる歴史的なショットをリアルタイムで見たのかもしれません。英国を文句なしのコンシードに追い込んだんですから大したものです。日本代表はトリノと同じチーム青森が出場しています。私も得点方法とか、基本的なルールを知っているだけなんですが、極めて複雑な作戦の取り方も見ものです。出場10チームのうち、世界カーリング連盟のランキングによれば日本は9位ですから、決勝トーナメント4チームに残るためには、5勝4敗で4位タイに入ってタイブレークに勝ち上がる、というのが考えられるんでしょうが、現在の2勝2敗を考えると、これから当たるトップ5のスウェーデン、デンマーク、スイスのいずれかにひとつ勝ち、8位ロシアと11位ドイツには取りこぼしをしないというのが絶対条件です。6位の米国、7位の英国に勝ったんですから、可能性は十分あります。なお、動画が見つかれば、後ほどアップするかもしれません。
目を屋外に転じて、滑降(downhill)、回転(slalom)、大回転(giant slalom)、スーパー大回転(super giant slalom)、スーパー複合(super combined)と今では5種目あるアルペン競技のうち、女子アルペンは滑降とスーパー複合を終えたところですが、私の注目するリンゼイ・ボン選手は滑降で金メダル、しかし、スーパー複合は前半の滑降でトップラップを取りながら、後半に回転に入ってから転倒してコースアウトと、華やかなること極まりありません。同じ米国のジュリア・マンキューソ選手が前回のトリノの大回転で金メダルに輝いた後、バンクーバーでも滑降とスーパー複合とも銀メダルを取っているのとは対照的ともいえます。野球でいえば、三振かホームランかといったスラッガーになぞらえることが出来るかもしれません。いずれにせよ、マンキューソ選手とともに、ボン選手は米国人選手らしく、これぞスーパースターという華やかさがあります。絶大なる人気を誇る選手です。滑降と並ぶもうひとつのスピード系の競技であるスーパー大回転に期待しています。なお、写真は上が滑降、下がスーパー複合の競技中のボン選手です。

Linsey Vonn at Vancouver Olympic Games

コンマ以下のスピードを競い、タイムだけが目標のアルペンスキーと礼儀を重んじ品格が求められるカーリングとは対照的な競技といえます。今日の日本と英国の1次リーグでも、カーリングでは相手チームをコンシードに追い込むような大勝をしても静かに微笑んで握手するだけですが、トップタイムでゴールすると大声で雄叫びを上げてガッツポーズを決めるアルペンスキーとは大きな違いがあります。何を目標にしているのかが明らかに分かります。

いずれにせよ、
がんばれニッポン!

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2010年2月19日 (金)

米国連邦準備制度理事会の公定歩合引上げ

Change in Monetary Policy

米国時間の昨日、米国の連邦準備制度理事会 (FED) が公定歩合を25ベーシス・ポイント引き上げ0.75%とし、19日から実施すると発表しました。New York Times のサイトから引用した上のグラフの通りです。なお、政策金利であるFFレートの変更はありませんが、TAF (Term Auction Facility) の金利も公定歩合に応じて25ベーシス引き上げられ0.5%になります。
いわゆる金融政策の出口戦略や正常化に関しては、2月10日の米国下院金融サービス委員会におけるバーナンキ議長の"Federal Reserve's exit strategy" と題する議会証言において、"before long, we expect to consider a modest increase in the spread between the discount rate and the target federal funds rate." と明言していましたから、大きなサプライズではないんでしょうし、今回の措置のステートメントでも、"these changes are intended as a further normalization of the Federal Reserve's lending facilities." と明記されています。しかし、3月半ばの公開市場委員会 (FOMC) を待たずに、このタイミングで実施したのはやや驚きかもしれません。ですから、New York Times なんかでも "Fed Rate Move Rattles Stocks and Sends Dollar Higher" と報じられていたりします。

さて、目を我が国の中央銀行である日銀に転ずると、私は一昨年のリーマン・ショックの前まで、日銀は政府からは独立しているが、FED からは必ずしも独立していないと感じていましたが、矢継ぎ早に金融正常化を進める FED と菅副総理・財務相のインフレーション・ターゲット論に代表される政府の圧力の間で、日銀はどちらの方向に金融政策を進めるんでしょうか。従来から表明している通り、私は後者の政府の圧力に屈する可能性があると予想しています。

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2010年2月18日 (木)

ものすごい偶然か?

我が家の下の子が小学校でバレンタインデーのチョコをいっぱいもらって帰って来たのは、すでに月曜日のエントリーで自慢紹介しましたが、どうも、私が日ごろ徘徊しているブログの管理者は私と同じくらいの年齢層が多いのか、サッパリ、バレンタインやチョコやといった話題がないので、長崎に戻ってから、長崎ローカルでバレンタインやチョコやを取り上げているブログにコメントしたりしていたところ、何と、12時間くらいのインターバルがあったものの、プロバイダは不明ながら、私とまったく同じIPアドレスから別人がコメントをした、と知り合いが知らせて来ました。私は別のコメント者とは面識がないんですが、この知り合いのブログ管理者は私も、もう1人のコメント者もオフで知っているそうで、なりすましではないことを確認しています。IPV6が普及すれば、このようなことはさらに極めて低い確率になりそうな気がする一方で、リーマン・ショックの直後に、債券価格の動きだか何だかで、知人のメガバンクのエコノミストが2億分の1の確率でしか生じないイベントに遭遇した、と騒いでいたのを記憶しているんですが、このIPアドレスが同じというのは、どれくらいの確率で起こるものなんでしょうか?

それほどの確率ではないんですが、日銀は今日までの金融政策決定会合で、追加的な金融緩和策を見送りました。取りあえず、私が1月26日付けのエントリーで示した大胆な予想は今月については外れました。しかし、1次QEを取り上げた方の月曜日のエントリーでチラリと触れたように、特段の政策対応の準備なしに「デフレ宣言」してしまった政府から日銀への圧力が強くなるのは目に見えています。来月には何らかの追加緩和策が決定されると重ねて予想しておきます。

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2010年2月17日 (水)

湊かなえ『Nのために』(東京創元社)を読む

湊かなえ『Nのために』(東京創元社)

湊かなえさんの『Nのために』(東京創元社)を読みました。一応、念のために書いておきますと、このブログの読書感想文の日記では取り上げなかったんですが、同じ作者のデビュー作でベストセラーになって第6回本屋大賞も授賞された『告白』、それから、『少女』、『贖罪』も、この順で読んだ上で、4冊目の『Nのために』を読んでいます。すなわち、この作者の作品の流れは把握しているつもりです。なお、ミステリですのでネタバレはないように書き進めるつもりですが、『Nのために』だけではなく、『告白』、『少女』、『贖罪』も含めて、未読の方は十分ご注意ください。もっとも、「落石注意」の道路標識と同じで、何をどう注意するかは不明だったりします。
まず、この作者の共通の形式として、事件関係者のモノローグで物語は進みます。この点は『少女』が各パートごとに2人の女子高生のモノローグで進む以外は、すべての作品に共通して章ごとに1人が独白する形を取っています。このモノローグ形式は、見方によっては、表現の幅を狭めている恐れがあると私は考えています。さらに、これも『少女』を例外として、いわば歪んだ愛情表現というか、特に、この『Nのために』については、私のような親バカの凡人からすれば虐待に等しい親子関係や夫婦の愛情がモチーフとなっています。それは、『告白』における渡辺のマザコンや森口の復讐、あるいは、『贖罪』における麻子の死んだエミリへの愛情と同じ種類のものであると私は受け止めています。何といってもミステリですから、殺人がバンバン出て来るわけで、私のような凡人には理解不能な感情なのかもしれません。
この作者独特のモノローグについて考えると、語り手による書き分けが重要なんですが、この『Nのために』では『告白』ほどの明瞭さがないと私は感じました。東京創元社の特設サイトではキャッチコピーとして、「『告白』『少女』『贖罪』に続く、新たなるステージ」と謳っているんですが、やや疑問を覚えます。少なくとも、章を追うごとの新たな展開がないという以外は、「新たなるステージ」とは私には考えられません。特に、唯一の女性である杉下の章に物足りないものを感じました。この女性の性格を反映しているといわれれば、そうかなとも思いますし、『告白』が立場も違えば年齢も全く異なる人物のモノローグであるのに対して、『Nのために』では同じような立場で年齢も似通ったの人間のモノローグですから、仕方がない面もありますが、今度のさらなる進歩を望みます。さらに、モノローグの欠点として、被害者として物語の冒頭に死亡してしまった人はモノローグ出来ないわけで、私は野口奈央子のモノローグを聞きたかった気がします。それが出来ないのであれば、彼女のバックグラウンドを誰かに語って欲しかったと思います。

やや厳しいかもしれませんが、この『Nのために』は『告白』や『贖罪』のようなストーリーの展開もなく、モノローグの語り手による書き分けもやや不十分です。3ツ星半か4ツ星くらいの評価だという気がします。ですから、いまだにこの作者の最高作品はデビュー作の『告白』だと私は考えています。

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2010年2月16日 (火)

サクラの開花予想

サクラの開花予想

私はよく知らなかったんですが、今年から気象庁はサクラの開花予想をヤメにして、民間機関に任せることにしたらしいです。ということで、上の画像は日本気象協会のサイトから引用しています。当然ながら、民間機関が独自予想するわけですから、ピッタリと同じ日になるわけでもなく、独自性を発揮してバラバラになっています。以下の表は東京と長崎におけるサクラの開花予想日を取りまとめたものです。全国的に今年は平年よりサクラの開花が早いそうです。なお、表の一番左の欄の機関名には引用元へリンクが張ってあります。ご参考まで。

機関名東京長崎
日本気象協会3月23日3月22日
ウェザーニュース3月24日3月20日
ウェザーマップ3月25日3月21日

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2010年2月15日 (月)

本日の成果

バレンタインデーのチョコレート
バレンタインデーのチョコレート

私はすっかり忘れていましたが、昨日はバレンタインデーで、日曜日でしたので1日繰り下がって、今日になって下の子が小学校でチョコレートを大量にもらって来ました。上のおにいちゃんは男子ばっかりの中学校ですが、下の子は普通の区立の小学校なので女子もいっぱいいます。担任の先生も女性ではなかったかと記憶しています。

どうでもいいことなんですが、「記念日の日記」に分類しておきます。

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2009年10-12月期GDP統計1次QEは順調な景気回復を示す

本日、内閣府から昨年2009年10-12月期のGDP統計速報、エコノミストの業界で1次QEと呼ばれている重要な経済指標が発表されました。ヘッドラインとなる季節調整済み系列の実質成長率は前期比+1.1%、前期比年率+4.6%でした。シンクタンクなどの予想を先週金曜日に取り上げましたが、市場の事前コンセンサスは前期比年率で+3%台半ばから後半でしたので、これをやや上回りました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10-12月実質GDP、年率4.6%成長 名目は7期ぶりプラス
内閣府が15日発表した2009年10-12月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.1%増、年率換算では4.6%増となった。プラス成長は3四半期連続。輸出や個人消費が伸び、設備投資も増加に転じた。生活実感に近い名目GDPは前期比0.2%増、年率換算では0.9%増となり、7四半期ぶりのプラス成長に戻った。景気の「二番底」懸念は後退しているが、経済対策の息切れなどで今年前半の成長率が低下するとの見方も出ている。
前期比年率でみた09年10-12月期の実質成長率は、日経グループのQUICKがまとめた民間予測の中央値(3.6%)より高かった。今回のGDP統計では季節調整を見直したため、前期の09年7-9月期は0.03%と事実上のゼロ成長となった。
実質成長率が名目成長率を上回る「名実逆転」は4四半期連続。物価の動向を示すGDPデフレーターは前年同期を3.0%下回り、過去最大の低下幅を記録した。

次に、いつものGDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者所得を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、アスタリスクを付した民間在庫と外需は前期比伸び率に対する寄与度表示となっています。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は保証しません。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2008/
10-12
2009/
1-3
2009/
4-6
2009/
7-9
2009/
10-12
国内総生産GDP▲3.0▲3.2+1.3+0.0+1.1
民間消費▲0.8▲1.3+1.1+0.6+0.7
民間住宅+2.5▲6.5▲9.4▲7.8▲3.4
民間設備▲7.3▲8.7▲4.2▲2.5+1.0
民間在庫 *+1.0▲0.6▲0.6▲0.1+0.1
公的需要+1.1+1.2+1.4▲0.2▲0.0
外需 *▲2.7▲0.6+1.8+0.3+0.5
輸出▲14.5▲23.8+9.2+8.4+5.0
輸入+0.1▲17.6▲3.9+5.4+1.3
国内総所得GDI▲1.2▲1.8+1.1▲0.5+1.1
名目GDP▲1.6▲3.4▲0.1▲0.5+0.2
雇用者報酬+0.5▲0.7▲1.2+0.9▲0.4
GDPデフレータ+0.4+0.3▲0.6▲0.6▲3.0
内需デフレータ+0.2▲1.3▲2.6▲2.8▲2.9

さらに、グラフは下の通りです。折れ線グラフは実質成長率、棒グラフは実質GDP成長率を需要コンポーネント別に季節調整済み系列の前期比伸び率で寄与度表示したもので、いずれも左軸の単位はパーセントです。

GDP成長率の推移

基本的に、順調な成長を示していると私は受け止めています。少なくとも、現在の1-3月期までは個の順調な景気回復が続くと私は見込んでいます。その要因としては、第1に、中国や米国などの世界経済が景気回復軌道にあり、我が国の輸出が伸びていること、第2に、補正予算の執行停止の影響が読み切れないものの、2次補正も含めて今年1-3月期にはまだ公共事業の執行が残っていること、第3に、在庫調整がほぼ終了したこと、などが上げられ、景気の2番底や腰折れは回避される確率が高くなったと考えられます。もっとも、エコカー減税・補助金やグリーン家電のエコポイントなどの政策に下支えされた消費も多く、決して民需の自律的な回復を示しているとは私は考えていませんから、今年年央に踊り場的な状況が生まれる可能性はまだまだ十分あります。剥落して行く政策効果とようやくプラスに転じた設備投資のせめぎ合いなんですが、少なくとも年央まで、場合によっては年内いっぱいくらいは前者の方が影響が大きいような気がします。しかし、再度の景気後退の可能性はかなり低くなったと考えるべきです。景気ウォッチャーのマインドにもこれは示されていると思います。
上振れリスクは中国をはじめとする新興国の景気回復に伴う外需くらいしか考えつかないんですが、逆に、下振れリスクは、第1に、上振れリスクの反対で、中国の景気過熱や米国の景気の腰折れなどの外需プラス為替の動向、第2に、デフレの進行による民需の後退、第3に、何とも見通し切れない、あるいは、わけの分からないリスクとして、ギリシアの財政危機がユーロの通貨危機に発展する可能性とトヨタのリコール問題を上げておきたいと思います。リフレ派のエコノミストの中には、日銀の早過ぎる出口戦略を上げる人がいそうな気がしますが、私はそこまで心配はしていません。現政権の日銀に対する圧力がさらに強まる可能性があるからです。

最後に、2点指摘すると、やや気になっていた季節調整方法の変更については、内閣府から「季節調整用ARIMAモデル設定一覧」なるメモが公表されており、事前の発表通りに、財貨の輸出入に対して傾斜的水準変化(Ramp)を設定した旨が明らかにされています。でも、結果を見る限り、大きな影響はなさそうにも見えます。第2に、発表されている経済指標と私の実感に照らし合わせて、根拠薄弱で直感的ながら、今回の1次QEは2次QEで下方修正される可能性が高いのではないかと私は受け止めています。

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2010年2月14日 (日)

下の子とポケモン・カードゲームで遊ぶ

ポケモン・カードゲーム

今日は、昼食後、下の子とポケモン・カードゲームで一勝負しました。もはや、中学生になったおにいちゃんは私とは遊んでくれません。小学生の下の子が私を憐れんで相手をしてくれるだけです。でも、コテンパンに負けてしまいます。まあ、勝てるからこそ私と遊んでくれるんだろうと解釈しています。最初こそ、私の名を冠したグラードンとレックウザで好調だったんですが、下の子の強いポケモンにエネルギーが次々とつけられて、私のグラードンとレックウザが気絶させられると、後は一方的な勝負になりました。

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2010年2月13日 (土)

バンクーバー冬季オリンピック大会開幕

バンクーバー冬季オリンピックのメダル

いよいよ注目のバンクーバー冬季オリンピックが、日本時間の今日から開幕しました。トリノの時の荒川選手の金メダルは真ん中に穴が開いたCDのような形だったと記憶しているんですが、今回は上の写真のようなメダルが用意されているようです。そんなにテレビを見ない私も、土曜日ということもあって、ついつい華やかな開会式に見とれてしまいました。

何はともあれ、オリンピックではメダル獲得を目指して、
がんばれニッポン!

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2010年2月12日 (金)

来週発表の2009年10-12月期GDP統計1次QEの予想

内閣府による来週2月15日の発表を前に、1次QEに必要な経済指標がほぼ出尽くし、各シンクタンクや金融機関などから昨年2009年10-12月期の1次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名にリンクを張ってあります。html 形式の日本経済研究センター以外、リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本経済研究センター+1.0%
(+4.0%)
輸出主導での景気持ち直し続くものの、内需への波及は未だ見えず
日本総研+1.1%
(+4.3%)
輸出の回復が続き、外需のプラス寄与が拡大
みずほ総研+0.8%
(+3.1%)
設備投資、在庫投資は成長率を押し上げた可能性が高いが、これらは、2次QE段階で大きく修正される可能性
ニッセイ基礎研+1.0%
(+4.1%)
日本経済は09年度入り後、3四半期にわたって潜在成長率を大きく上回る高成長を続けていたという姿が示される
三菱UFJ証券+1.1%
(+4.5%)
輸出、個人消費の増加に加え、設備投資も持ち直し。3期連続のプラス成長に
第一生命経済研+1.0%
(+3.9%)
予想外の数字となる可能性がある
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+1.2%
(+4.9%)
個人消費が政策効果で堅調に推移したほか、これまで減少が続いていた設備投資が底入れし、在庫調整の動きも一巡
三菱総研+1.2%
(+4.8%)
輸出の回復や景気対策の下支えによる消費の堅調維持を背景に、前期を上回る成長率となる見込み
新光総研+1.3%
(+5.2%)
海外経済の持ち直しを受けた輸出の増加に牽引されて、3四半期連続のプラス成長となる見通し

さて、今回のヘッドラインでやや異様なのは第一生命経済研の「予想外の数字となる可能性がある」ではないでしょうか。実は、先週2月3日に内閣府から「平成21年10-12月期四半期別GDP速報における季節調整法の設定変更について」と題するメモが発表されていて、名目と実質の財貨の輸出入について季節調整法の設定変更を行うとのアナウンスがなされています。リーマン・ショック後の2008年秋以降の輸出入の大きな変動に対して異常値・レベルシフト調整を行うとともに、それを踏まえたARIMAモデルの同定、すなわち、階差と次数の変更を行う、ということです。これで理解できる人は頭がいいんですが、これ以上の説明はブログのレベルでは私には無理です。なお、上に掲げた表のうち、このアナウンス以降に予想を改定したのが2機関あり、ニッセイ基礎研と第一生命経済研なんですが、いずれも下方改定しています。
一応、私は季節調整法についてはそれなりの見識を持っているつもりですので、直感的に、昨年年央以降の輸出の伸びが下方修正される可能性が高いのではないかと受け止めています。発表されたメモには、X-12-ARIMAに組み込まれているRamp変数を2008年10-12月期から2009年4-6月期まで設定変更した例が掲げられています。さらに、異常値の棄却検定についても私はそれなりの知識があり、一般的な統計学で教えるThompson検定、Smirnov-Grubbs検定、Smirnov-Masuyama検定、あるいは、私の使っている計量ソフトに組み込まれているHadi検定くらいについては、通りいっぺんながら私も一応の知識はあります。しかしながら、季節調整法についても、棄却検定についても、それなりの専門的知識を有する私でも、2008年10-12月期のGDP統計1次QEにどのようなバイアスがかかるのかはサッパリ分かりません。季節調整法の設定変更ですから、原系列は変更ないわけですが、景気の実感は季節調整済みの系列で見るのが適当でしょうから、GDP統計における季節調整方法の変更は、その結果次第ではそれなりに市場や国民のマインドに影響すると考えられます。でも、あわせて、月曜日のエントリーで指摘したように、メディアは2008年通年のGDPが大きくマイナス成長だったことを報道するのに大忙しになるような気がします。

季節調整法の設定変更について、長々と専門的な議論を披露してしまいましたが、最後に、大胆にもこれを無視して上の表を見る限り、昨年10-12月期は季節調整済み前期比で1%、前期比年率で4%くらいの順調な成長が示される、と多くのエコノミストが予想していることを指摘しておきたいと思います。

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2010年2月11日 (木)

間もなく始まるバンクーバー冬季オリンピックに高まる期待

バンクーバー冬季オリンピック

いよいよ日本時間2月13日午後にバンクーバー冬季オリンピックの開会式が始まり、その後、本格的に競技の幕が切って落とされます。いろいろと見どころの多いオリンピックなんですが、日本生命から「バンクーバーオリンピックで活躍が期待できる選手」なるアンケート結果が2月8日に発表されています。なお、大会としての公式パートナーは日本企業からはパナソニックが入っているんですが、日本生命は日本オリンピック委員会 (JOC) ゴールド公式パートナー6社に入っているそうです。まず、活躍が期待できる選手のトップテンは以下の通りです。

順位選手名 (競技)回答者 (人)割合 (%)
1浅田真央 (フィギュアスケート)5,85240.6
2上村愛子 (モーグル)1,1628.1
3安藤美姫 (フィギュアスケート)8255.7
4高木美帆 (スピードスケート)3872.7
5高橋大輔 (フィギュアスケート)3732.6
6鈴木明子 (フィギュアスケート)1661.2
7小田信成 (フィギュアスケート)1521.1
8葛西紀明 (ジャンプ)990.7
9岡崎朋美 (スピードスケート)880.6
10加藤条治 (スピードスケート)390.3

ダントツでフィギュアスケートの浅田真央選手という結果です。人気の点においては、女子選手優位は当然のような気もしますが、スキーよりはスケート、それも、スピードスケートよりはフィギュアスケート、というカンジなんでしょうか。でも、スキーでもノルディックのジャンプが入って、より華やかそうに見えるアルペンの選手がいないのは、日本人選手の実力を反映していそうな気がします。要するに、アルペンの日本人選手は活躍が期待できないのかもしれません。
実は、私の知り合いの中欧出身のエコノミストは、欧州では断然アルペンスキーの人気が高く、日本人選手で知っているのは上村選手のご主人の皆川選手だけだと言い放ちました。上村選手は皆川選手の奥さんのスキーヤーとして知っている程度だそうです。皆川選手は今回のバンクーバーまで4大会連続してアルペンスキーの日本代表、主として回転で活躍している選手なんですが、上の表には入っていません。人気はあるんだが、活躍が期待できないだけかもしれませんが、皆川選手と上村選手の人気について、日本は欧州と逆転しているようです。

何はともあれ、オリンピックでは金メダル目指して、
がんばれニッポン!

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2010年2月10日 (水)

ほぼ底打ちを確認した機械受注統計と輸入物価の上昇にけん引される企業物価

本日、内閣府から昨年12月の機械受注統計が、また、日銀から今年1月の企業物価が、それぞれ発表されました。機械受注統計のうち、設備投資の先行指標となるコア機械受注は季節調整済みの前月比で+20.1%増、企業物価も輸入価格の上昇にけん引されて、前年同月比で国内物価が▲2.1%の下落とマイナスながら着実にプラスに近づきつつあります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10-12月機械受注、7期ぶり増加 1-3月見通しもプラス
内閣府が10日発表した2009年10-12月期の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標になる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は前期比0.5%増となり、7四半期ぶりのプラスに転じた。鉄鋼業の受注などが増え、12月が前月比20.1%増と大きく伸びたのが要因。内閣府は10年1-3月期も2.0%増と2四半期連続で増加するとの見通しを示した。落ち込みが続いていた企業の投資活動に底入れ感が出てきた。
機械受注統計は工場の生産設備など機械類の受注額をメーカーなどから集約し作成する。数カ月から半年ほど先の民間設備投資の動向を示す。
津村啓介政務官は会見で「設備投資は09年末に底を打った可能性がある」と指摘、来週発表の国内総生産(GDP)の動向を注目したいと述べた。ただ、製造業に比べ非製造業の回復が遅れており、基調判断は「下げ止まりつつあるものの、一部に弱い動きがある」との表現を据え置いた。
1月の企業物価、前年比2.1%低下 下げ幅は縮小
日銀が10日発表した1月の国内企業物価指数(2005年平均=100、速報値)は102.4となり、前年に比べて2.1%低下した。13カ月連続で低下したが、下落幅は5カ月連続で縮小した。新興国の経済成長で石油や金属などの原材料の価格が上昇しつつある一方、国内需要は低迷しており、物価の低下圧力はなお強い。
企業物価は出荷や卸売り段階で企業同士がやりとりするモノの価格水準を示す。前月比では0.3%上昇した。調査対象の855品目のうち、前年同月比で上昇したのは192と前月よりも7つ増加するなど、物価下落の拡大には歯止めがかかりつつある。
品目別に見ると、石油・石炭製品が前年同月比で24.2%上昇。非鉄金属が同22.9%上昇した。中国など新興国の好況を受け、世界的に資源価格が上昇したことが影響している。化学製品は同0.8%上昇。エチレンなど川上の分野に加え、「合成ゴムなど川下分野の製品の一部にも原料価格の上昇を転嫁する動きが広がっている」(日銀)という。

次に、いつものコア機械受注の推移のグラフは以下の通りです。青い折れ線が季節調整済みの毎月の実額、赤が後方6か月移動平均です。いずれも左軸の単位は兆円です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、直近の景気の谷は昨年3月と仮置きしています。

コア機械受注の推移

コア機械受注はちょとビックリの+20.1%増でした。市場の事前コンセンサスが+8%台半ばでしたので、はるかに上回りました。業種別でも製造業が前月比+17.1%増、非製造業が+22.9%増と、製造業・非製造業ともに受注が大幅に増加しています。コア機械受注には含まれませんが、外需も大きく伸びています。もちろん、グラフを見ても容易に分かる通り振れの大きい統計ですから、1月統計ではそれなりの反動減を覚悟しなければなりませんが、季節調整済みの四半期の計数で見ても、引用した記事にもある通り、昨年2009年10-12月期が前期比+0.5%増と7四半期振りのプラスに転じた一方で、今年2010年1-3月期は内閣府の集計によれば+2.0%増と、機械受注は底打ちして反転した可能性が高いと私は受け止めています。ただし、まだその勢いはそれほどでもありませんから、今年いっぱいくらいはGDPベースの設備投資の伸びはかなり緩やかと考えるべきです。

船舶受注残高と手持ち月数の推移

また、長崎ローカルで注目されている船舶の受注残高と手持ち月数は上のグラフの通りです。赤い折れ線が受注残高で右軸の単位は兆円、青が手持ち月数で左軸の単位は月です。誠に残念ながら、いまだ底打ちや反転の兆しは見られません。おそらく、長崎経済は日本の中でもめずらしく2008年8月をピークとする資源高により潤った地域経済圏であると私は考えています。原油高に伴うタンカー受注などに起因します。ですから、もしも、資源高や原油高が始まった2003年以前の受注残高2-3兆円、手持ち月数20-30か月の水準まで落ちると仮定すれば、調整に3-4年程度の期間を要する可能性があります。上のグラフでいえば、右下がりの状態がさらに3-4年続くということになります。もともと工期の長い造船業ですから、他の製造業における2008年末から2009年初にかけてのような急激な調整は経験せずに済む可能性もありますが、他方、日本の造船業は韓国などに比較して競争力が高いとは決して言えず、悪い言い方をすれば国際的には限界なポジションに近いですから、受注残高がさらに低下する可能性もあります。長期的な長崎経済の大きな課題は人口減少と経済停滞のスパイラルだと私は考えていますが、短期的な目先の話として造船業におけるこの調整が長期的な低迷に拍車をかける可能性も否定できません。

企業物価の推移

最後に、企業物価は上のグラフの通りです。いずれも季節調整をしていない原系列の物価指数の前年同月比で、赤い折れ線が国内物価、緑が輸出物価、水色が輸入物価です。順調に上昇を続けているように見えます。しかし、国内物価はマイナスのままですし、明らかに国内物価のマイナス幅の縮小は資源価格などの輸入物価の上昇にけん引されていることを見逃すべきではありません。

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2010年2月 9日 (火)

基礎的財政収支の推移とギシリアの教訓

私のブログで追いかけるのが遅れ始めているんですが、やや旧聞に属する情報で、先週金曜日2月5日に内閣府から基礎的財政収支の推移について、来年度2011年度まで計量経済モデルで試算した結果が「国・地方の基礎的財政収支・財政収支の推移」として発表されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

基礎的財政収支、赤字2.5倍の40兆円 09年度、財政再建険しく
内閣府は5日、国と地方の財政がどれだけ健全かを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、2009年度の赤字幅が過去最悪の40兆6千億円になるとの推計値を発表した。赤字幅は08年度の16兆1千億円から2.5倍に膨らんだ。政府は財政健全化への道筋を早急に示す必要があるが、子ども手当の満額支給など歳出増加政策は目白押し。財政のやりくりは厳しさを増す一方だ。
基礎的財政収支は毎年の政策に必要な経費を借金に頼らずに、その年の税収などで賄えているかをみる指標。借金に依存すると赤字となる。
09年度の赤字幅が膨らんだのは金融危機に対応するための景気対策で歳出が膨らんだのに加え、税収が急減したのが主因だ。名目国内総生産(GDP)に対する赤字の比率も8.6%となり、1999年度の6.0%を上回って過去最悪を記録した。

ということで、その表を引用すると以下の通りです。背景を黄色にしてある最後の2009-10年度が計量モデルによる試算値、それ以前は2000年基準の「国民経済計算」に基づく実績値です。なお、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスの可能性もあり、完全性は保証しません。より正確な計数が必要な場合は、内閣府のサイトからお願いします。

年度基礎的財政収支財政収支
実額 (兆円)GDP比 (%)実額 (兆円)GDP比 (%)
199011.92.6▲0.5▲0.1
199110.72.3▲1.9▲0.4
1992▲3.3▲0.7▲16.3▲3.4
1993▲11.1▲2.3▲24.6▲5.1
1994▲15.8▲3.2▲30.0▲6.1
1995▲19.8▲4.0▲34.3▲6.9
1996▲18.5▲3.6▲33.3▲6.5
1997▲14.9▲2.9▲29.6▲5.8
1998▲24.2▲4.8▲39.0▲7.7
1999▲30.1▲6.0▲44.5▲8.9
2000▲23.2▲4.6▲36.8▲7.3
2001▲21.8▲4.4▲34.0▲6.9
2002▲28.0▲5.7▲39.5▲8.1
2003▲28.4▲5.7▲39.1▲7.9
2004▲20.5▲4.1▲29.7▲6.0
2005▲20.5▲4.1▲29.7▲6.0
2006▲9.2▲1.8▲17.2▲3.4
2007▲6.4▲1.2▲14.0▲2.7
2008▲16.1▲3.3▲24.3▲4.9
2009▲40.6▲8.6▲50.8▲10.7
2010▲33.5▲7.1▲44.8▲9.4

この試算は、残り少なくなった絶滅危惧種とはいえ、私のような財政収支に能天気なエコノミストを洗脳するべく発表されたのかもしれません。確かに、戦後第14循環がピークを迎えた2007年度ですら基礎的財政収支が赤字のままだったということはショックでしょうし、逆に、景気後退の真っただ中とはいえ、2009年度の赤字幅は驚くべきものがあります。平時においては史上最大でしょうし、ギネスブック級といえます。さらに、昨日、NPO法人である日本医療政策機構が発表したアンケート調査「日本の医療に関する2010年世論調査」によれば、「深刻な病気にかかった時に医療費を払えない」との不安が20-30代の年齢層で高くなっており、もしも、財政不安を背景にして貯蓄率を高めているのであれば、財政収支改善が何らかの Giavazzi-Pagano 的な非ケインズ効果をもたらす可能性はあります。もっとも、このアンケート調査で、重視する政策として経済成長優先と社会保障優先は大きく二分されています。ついでの話を続ければ、この結果について年齢別のデータが示されていないのは大きな手落ちだという気がします。若い年齢層で経済成長を重視し、高齢層で社会保障を重視すると考えるのが常識なんでしょうが、その対比が極端だとか、何か隠さねばならない事情があるのかと勘繰る人がいるかもしれません。なお、下のグラフは「日本の医療に関する2010年世論調査」の p.8 図8から引用しています。

日本の医療に関する2010年世論調査 図8

ここで無理やりに話題を転換して、私が最近大きな興味を示し始めているギリシアの sovereign crisis と対比すると、いくつかの教訓が得られます。まず、日本とは関係なく、第1に、ユーロの問題として、ギリシア単独では、あるいは、南欧ということでポルトガルに拡大したとしても、ユーロの危機にはつながりにくいことです。すなわち、第2に、ユーロとしての通貨危機になるかどうかはスペインへの伝染 contagion がポイントになります。GDP規模で見て、ギリシアとポルトガルを合わせてもスペインの半分に満たないわけで、その気になれば国際機関やユーロ圏各国からの何らかの救済策も可能ですが、逆に、スペインはユーロ圏各国合計の1割超のGDPシェアを占めます。その意味で、クルーグマン教授のニューヨーク・タイムズ紙のブログが連日のようにスペイン経済に関する不安をあおっているのが私には気がかりだったりします。まあ、まさかクルーグマン教授がソロス氏オススメのギリシア国債を空売りしているとは思いませんが。
日本への教訓としては、第3に、私がかなり迷っていた sovereign crisis の起き方はサドンデスではない、ということです。幸田真音さんの『日本国債』の世界ではなさそうで、ジワジワと国債金利にスプレッドが乗せられる期間がある可能性が高いと受け止めています。第4に、一般的に、sovereign crisis の可能性を考える場合、実は、経常収支不均衡を注視する必要があるということです。よく、日本では個人の金融資産が1400兆円あるので国債残高を上回っている、といった議論を見かけますが、貯蓄投資バランスを見る場合、海外からの借入れに依存しているかどうかが重要です。その点、日本は昨日取り上げた経常収支で黒字を計上し続けており、問題はギリシアに比較して極めて小さいといえます。しかし、最後に、第5に、ギリシアやポルトガルと異なり、日本が sovereign crisis に陥ったら、世界のどこからも救済策は受けられません。モラル・ハザードが生じないのは結構なのかもしれませんが、すべて自国内で処理しなければなりません。もちろん、非連続的かつ大幅な歳出のカットと増税が必要になることは言うまでもありません。そうなる前にキチンと考えましょうね、ということで、今夜取り上げたような試算を発表することは大いに結構だと思います。

最後に、やや関係は薄いんですが、財政政策の出口戦略に関連して、Alesina, Alberto F. and Silvia Ardagna (2009) "Large Changes in Fiscal Policy: Taxes Versus Spending," NBER Working Paper No.15438, October 2009 に注目しています。もっとも、中身はアレジーナ教授のいつもの主張と変わりなく、経済成長の観点から、財政拡大の際は減税が有効で、逆に、財政調整は歳出削減がオススメだとされています。ご興味ある方はどうぞ。

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2010年2月 8日 (月)

順調に改善を示す景気ウォッチャー調査と経常収支

本日、内閣府から今年1月の景気ウォッチャー調査が、財務省から昨年12月の国際収支統計が、それぞれ発表されました。

景気ウォッチャー調査の推移

まず、景気ウォッチャー調査について、いつものグラフは上の通りです。1月の現状判断DIは、前月比+3.4ポイント上昇の38.8と2か月連続で上昇しました。先行き判断DIも前月比+5.6ポイント上昇の41.9と、同じく2か月連続の上昇となりました。家計部門ではエコカー減税・補助金と家電エコポイントが引き続きプラスに寄与し、企業部門ではデフレ圧力が強いものの、受注や出荷が上向いていることが要因です。雇用も上向きでプラスに寄与し始めましたので、現状・先行きとも1月はかなり大幅な上昇に見えます。基調判断は「景気は、下げ止まっていたものの、引き続き弱い動きがみられる」でなぜか据え置かれています。ただし、注意すべきなのは、いくつかの個別の景気判断理由集の中にチラホラと「株価の上昇により」という枕詞が散見されることです。ギリシアの sovereign crisis に端を発する現在の世界的な株安の動向が気にかかるところです。この株安がさらに大きな危機に発展するかどうか、私は現時点では楽観論と悲観論でニュートラルです。すなわち、より大きな危機に発展する可能性は控えめに言ってもゼロではないと見ています。

経常収支の推移

次に、国際収支の中の経常収支の推移は上のグラフの通りです。順調に回復していると私は受け止めています。でも、この時期に昨年の年間通年の統計が発表されると、メディアの関心が足元の景気よりも過去の年間統計に一気に傾くのを興味深く見ています。一例として、日経新聞のサイトから経常収支に関する記事を引用しておきます。

経常黒字2年連続減 09年18.9%、海外活動が縮小
財務省が8日発表した2009年の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、配当・利子など全体の取引状況を示す経常収支の黒字額は前年比18.9%減の13兆2782億円となり、2年連続で縮小した。金融危機の影響で海外子会社の業績が悪化し、投資による利益を示す所得収支が減ったことなどが響いた。09年12月の経常黒字は前年同月の5.5倍の9008億円と、足元は回復基調にある。
09年のモノとサービスの取引状況を示す貿易・サービス収支は2兆1196億円の黒字で、前年比12.2%増となった。2年ぶりに増加した。
輸出額から輸入額を引いた貿易収支は4兆611億円の黒字で、前年比0.8%増えた。ただ輸出額は34.3%減、輸入額は36.2%減といずれも比較可能な1986年以降で最大の落ち込み。08年秋からの金融危機で世界経済が悪化、貿易は全体的に縮小に陥った。また日本から海外に出かける旅行者が減ったことで海外で支払う宿泊や食事の支出が減少。サービス収支の赤字額が縮み、貿易・サービス収支を押し上げる結果になった。

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2010年2月 7日 (日)

マクドナルドの Big America 第2弾 ニューヨーク・バーガーを食べに行く

ニューヨーク・バーガー

先月から始まったマクドナルドの Big America シリーズなんですが、1月18日付けのエントリーで取り上げたように、第1弾のテキサス・バーガーに続いて、2月5日(金)から第2弾ニューヨーク・バーガーが期間限定で始まっています。早速、私も食べに行きました。
私は基本的にマクドナルドではビッグマックを注文し、サウザン・アイランドの味付けが気に入っています。飲み物はほぼ必ずコーラです。今回のニューヨーク・バーガーはスタイリッシュなグラハム・バンズの間に粒入りマスタードが薬味というか、何というかで入っています。もちろん、Big America ですから、テキサス・バーガーと同じでボリューム満点です。

どうでもいいことですが、マクドナルドのサイトで一足遅れて、米国西部のカウボーイ気分を味わえるテキザス投げ縄ゲームが楽しめます。次は、ニューヨーク摩天楼の迷路ゲームを私は期待しています。

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2010年2月 6日 (土)

米国雇用統計はこのまま改善するか?

昨日、米国労働省から1月の米国雇用統計が発表されました。ヘッドラインとなる非農業雇用者数の前月差は季節調整済みの系列で見て▲20千人減と順調に縮小しています。特に、製造業で雇用者が増加したのは2007年11月以来2年超振りです。これに伴い、失業率も同じく季節調整済みの系列で9.7%と昨年12月から▲0.3%ポイント下落しました。まず、New York Times のサイトから記事を最初の3パラだけ引用すると以下の通りです。

Labor Market Shows Signs of Rebirth in New Data
The American unemployment rate dipped from 10 percent to 9.7 percent in January, the Labor Department reported Friday, buoying hopes that the worst job market in at least a quarter-century is finally improving.
The economy shed another 20,000 net jobs during the course of the month, underscoring the considerable strains remaining in millions of American households. Yet that marked a continued decline in the pace of deterioration. Economists focused on a host of encouraging signs that suggested recovery following the worst recession since the Great Depression.
Manufacturing added 11,000 jobs in January, the first monthly increase since November 2007, while factories saw a modest increased in the length of the workweek. Temporary workers grew by 52,000, and the overall American workweek lengthened, reinforcing the view that commercial activity is awakening after more than two years of veritable hibernation.

次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列で、影をつけた部分は景気後退期なんですが、直近の景気の谷は昨年6月と仮置きしています。なお、今回の統計において非農業部門雇用者数のベンチマークが改定されており、2005年1月の計数から変更になっています。比較可能な直近の2009年12月では130万人余りの下方改定となっています。

米国雇用統計の推移

ついでながら、このブログの大きな特徴に、ヨソさまのフラッシュに直リンするというのがあるんですが、これも上の記事と同じ New York Times のサイトから引用したフラッシュは以下の通りです。

米国雇用統計について、米国労働省発表の統計がどうもブレが大きいような気がしていたので、久し振りに Automatic Data Processing (ADP) 社の ADP Employment Report と比較すると以下の通りです。左軸の単位は千人です。米国労働省の統計が ADP に近づいて来たように感じるのは私だけなんでしょうか。

米国雇用統計の比較

2月1日付けのエントリーで米国の GDP 統計を取り上げた際にも書いたことの繰返しですが、米国経済が順調に改善を示すと、日本経済の2番底の可能性が遠のくと受け止めています。

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2010年2月 5日 (金)

景気動向指数は順調に改善を示す - ついでにギリシア財政危機

本日午後、内閣府から12月の景気動向指数が発表されました。季節調整済みの CI で一致指数が97.6、先行指数が94.0と順調に上昇しています。内閣府の基調判断は「改善を示している」で据え置かれています。DI も昨年10-12月の3か月連続で100を記録しています。日経新聞がなかなか取り上げてくれませんので、まず、ブルームバーグのサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

昨年12月の景気一致指数は9カ月連続上昇-「改善」判断を維持
日本の景気の現状を示す景気一致指数は昨年12月に9カ月連続で上昇した。半年程度先を示す景気先行指数も10カ月連続で改善した。日本経済は輸出や生産を中心に持ち直しが続き、先行きも「二番底」の懸念が後退していたことを示した。
内閣府が5日発表した12月の景気動向指数(速報、2005年=100)によると、一致指数CI(コンポジット・インデックス)は前月比1.6ポイント上昇の97.6となった。先行指数CIは同3.0ポイント上昇の94.0。景気に数カ月遅れて動く遅行指数CIは同1.4ポイント上昇の84.3だった。
内閣府は一致指数について、景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」の基調判断を前月に続き維持した。一致指数の9カ月連続の上昇は、1996年2月から97年1月までの12カ月連続以来。指数も2008年9月のリーマン・ショック前までの水準の99.1(08年8月)まであと一歩となった。一方、先行指数の上昇幅は過去最大となり、水準はリーマン・ショック前を上回っている。
津村啓介内閣府政務官は記者説明で、先行・一致・遅行の3指数が共に上昇したことなどを受け「今後、緩やかな景気回復が続くことに期待が持てる」とする一方、消費者マインドがまだ弱いことを挙げ、「下押しリスクに警戒が必要な局面を脱していない」との認識を示した。

次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは CI、下は DI です。上のパネルの CI のグラフでは、赤い折れ線が一致指数、水色が先行指数です。いずれも、季節調整済みの系列で、影をつけた部分は景気後退期ですが、直近の景気の谷は昨年2009年3月と仮置きしています。

景気動向指数の推移

景気動向指数 (CI) は鉱工業生産指数のように経済活動の水準を直接に示す指標ではなく、直感的には構成する経済指標の増加率を累積させた指数ですが、以下、大雑把に丸めた数字で見て、前回の第14循環における指数のピークの水準がほぼ105、引用した記事にもあるように、リーマン・ショックの直前の水準が約99でしたので、指数的には▲2-7%の水準まで回復したことになります。他方、固定ウェイトながら付加価値を合計した指標であり、そのものズバリの経済活動水準を示す鉱工業生産指数は第14循環ピークの110から、あるいは、リーマン・ショック直前の104くらいの水準から、昨年12月で90までしか回復していませんから、まだまだ▲10%超のマイナスの水準にあり、コチラの方が実感に近い気がします。しかし、ここまで景気動向指数が順調に改善を示すと、ますます2番底の可能性が遠のいたと受け止めています。

最後に、景気動向指数とは関係ないんですが、ジワジワと世界的な株安が広がっています。基本的には、ギリシアの財政危機、sovereign crisis に端を発するもので、最近の The Economist のサイトにも取り上げられているところです。やっかいなのは、ギシリアがユーロ圏の1国であることで、もしも、他の南欧諸国、例えば、スペインあたりに飛び火というか、感染 (contagion) したりすると、昨年11月のドバイ・ショックどころか、1990年代後半のアジア通貨危機に匹敵する危機を引き起こす可能性があると私は受け止めています。近く簡単にこのブログで取り上げる予定ですが、学術論文としても残しておきたい気がしないでもありません。

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2010年2月 4日 (木)

前年比マイナスに転じた資本ストックと潜在成長率

昨日、内閣府から昨年2009年7-9月期の資本ストック統計が発表されました。季節調整のされていない原系列を見ると、2000年基準の固定価格 (実質) の進捗ベースで約1204兆円となり、前年同期と比較して▲0.1%の減少を記録しました。資本ストックが減少したのは、ほぼ戦後初めてだろうという気がします。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

企業設備、戦後初の実質目減り 7-9月の内閣府統計
企業が持つ機械やコンピューターなどの設備が戦後初めて目減りした。内閣府が3日発表した2009年7-9月期の民間企業資本ストック統計では、企業が持つ有形固定資産は実質で前年同期比0.1%減となり、統計が始まった1955年以来初のマイナスを記録した。新規の設備投資が大きく減る一方で、除却額が投資額を上回った。マイナスが長引けば日本経済の潜在的な成長力を下押しする可能性がある。
固定資産のストック総額は、前の期の資産総額に企業の新規投資額を加え、古くなった設備の目減り分である除却額を差し引くことではじき出す。09年7-9月期の企業の固定資産総額は物価変動を除いた実質(2000年基準)で1204兆円となり、前年同期を1兆6500億円下回った。新たな投資額は16兆円で、前年同期に比べ22.1%減った。
産業別に資産をみると、運輸・通信業が前年同期比9.0%減と7四半期連続のマイナスになった。サービス業も1.1%減だった。一方で金融・保険業や製造業は伸びた。

次に、資本ストックのグラフは以下の通りです。赤い折れ線が資本ストックの実額、季節調整していない原系列であり、2000年基準の固定価格 (実質値) です。左軸の単位は兆円です。水色の棒グラフはその前年同期比で、右軸の単位はパーセントです。いずれも、直近で利用可能なデータは2009年7-9月期です。

資本ストックの推移

どうして、資本ストックのデータがマイナスになると気にかかるかというと、長期的な潜在成長率への影響が大きいからです。多くのエコノミストは、短期的な成長率は需要サイドで決まるが、長期的な成長率は供給サイドで決まると考えています。一応、念のために、短期と長期については、伝統的な経済学では、価格が硬直的で量で不均衡を調整するのが短期で、逆に、価格が伸縮的で価格によりすべての不均衡が解消されるのが長期と考えています。もちろん、価格と量がともに不均衡解消の方向に動いている中期を考える場合もあります。
長期の成長を決定する生産関数を考えます。生産関数の一般形は以下の通りです。Y は産出、ほぼGDPと考えて差し支えありません。A は全要素生産性、全要素なしでも要するに生産性です。工学的な意味ではなく、経済学的な意味で技術と表現される時もあります。K は資本ストック。ここに登場します。L は労働投入量です。一応、自然単位ではなく効率単位としておきますが、今夜のエントリーでは生産性が別に考えられていますので関係ありません。

Y = ƒ(A,K,L)

もっとも単純ながら経済学でよく援用されるコブ・ダグラス型の生産関数は以下の通りです。α はデシマル単位の資本分配率、逆に、1-α は労働分配率です。

Y = AKαL1

このコブ・ダグラス型生産関数を時間について微分して伸び率で表示すると以下の通りとなります。もちろん、t は時間です。


dY=dA+ αdK
dtdtdt
(1)dL
dt

長期的な成長率、別の言葉で潜在成長率と言い換えても OK です。この潜在成長率は生産性の伸び、資本ストックの伸びと資本分配率の積、労働投入量の伸びと労働分配率の積、の和で表現されます。もちろん、右辺第1項が生産性の伸び、第2項が資本ストックの伸びと資本分配率の積、第3項が労働投入量の伸びと労働分配率の積、となっていることはいうまでもありません。逆の表現をすれば、潜在成長率は生産性を含めた要素成長率と要素分配率の積に分解されます。
日本の資本ストックの伸び率は1980年代半ばにおいては、前年比で10%を超えた時期もありましたが、バブル崩壊の後に大きく落ち込み、とうとう、リーマン・ショック後の直近時点でマイナスを記録するに至りました。すでに、日本は人口減少社会に入っていますから、女性や高齢者の労働力化率を高めて労働投入量を増加させることが可能としても、大きな効果は望めません。頼みの綱は資本ストックと生産性ということになります。しかしながら、この生産性も、教育効果などで労働力に体化される場合もありますが、多くは資本ストックに体化されると考えられます。ですから、日本経済の将来を考える上で、資本ストックの動向は極めて重要といえます。

昨年10-12月期にはフローの設備投資がプラスに転じる可能性もあり、資本ストックの前年比マイナスは遅くとも今年中に解消されると私は考えていますが、繰返しになるものの、資本ストックの動向が長期的な日本経済を考えるポイントになる可能性を指摘しておきたいと思います。

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2010年2月 3日 (水)

先進各国のCO2削減目標

COP15 logo

まだ記憶に新しい昨年12月のCOP15におけるコペンハーゲン合意に基づき、1月末までに先進諸国、正しくは京都議定書付属書Ⅰ締約国の2020年までのCO2削減目標がドイツのボンに本部を置く気候変動枠組条約事務局 (UNFCCC) のサイトに掲載されています。なお、今夜のエントリーでは取り上げませんが、京都議定書付属書Ⅰ非締約の新興国や発展途上国については、CO2排出の緩和策が別のサイトに掲げられています。まず、京都議定書付属書Ⅰ締約国の2020年までのCO2削減目標は以下の通りです。

Annex Ⅰ PartiesEmissions reduction in 2020Base year
Australia-5% up to -15% or -25%2000
Canada17%2005
Croatia-5%1990
EU20%/30%1990
Japan25%1990
Kazakhstan15%1992
New Zealand20%1990
Norway30-40%1990
Russian Federation15-25%1990
United States of America17%2005

非常に単純な表にしましたが、実は、いろいろと条件が付されていたりします。例えば、我が日本は、"25% reduction"ながら、この目標は "premised on the establishment of a fair and effective international framework in which all major economies participate and on agreement by those economies on ambitious targets." との前提があり、本来の意図をねじ曲げてひどく悪意に解釈すれば、この国際的な枠組みが出来上がらなければ、目標は守らなくてもよい、と受け止められる可能性があります。少なくとも、下線を付した「公正かつ効率的」の基準はあいまいであるとの批判はあり得ます。しかし、それでも、先進国と新興国・途上国を問わず、世界の多くの国々が2020年に向けてCO2の削減を目指していることを国際的に明らかにしたことの意義は極めて大きいと受け止めています。
ついでながら、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

温暖化ガス削減の自主目標、55カ国・地域が提出
第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)の政治合意に基づいて温暖化ガス排出削減の自主目標を提出した国・地域が1日までに計55カ国・地域に達した。条約事務局が発表した。55カ国・地域の排出量は世界全体の約78%に相当する。今後は削減目標の上積みと、順守のための法的な枠組みづくりが交渉の焦点になる。
COP15での政治合意は、各国・地域に対して今年1月末までに目標を提出することを求めていた。主要国・地域が示した削減目標は、日本が2020年までに90年比25%、米国が05年比17%、欧州連合(EU)が90年比20-30%など。新興国である中国とインドは国内総生産(GDP)あたりの排出削減量で目標を示した。いずれもこれまで示していた目標値から変わっていない。
イボ・デブア事務局長は声明で「これらの約束は(国際的な温暖化対策の)成功に向けて交渉を進めるという明確な意思表示だ」と述べた。

先日、私も環境指標と所得に関するペーパーを書きましたが、大学に在籍する間にもう少し地球環境と経済に関する勉強をしたいと考えており、今夜のエントリーは「経済評論の日記」に分類しておきます。

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2010年2月 2日 (火)

プロ野球のキャンプイン

プロ野球キャンプイン

昨日から、プロ野球各球団がいっせいにキャンプインしました。球春という言葉を思い出します。上の地図にある通り、我が阪神は昨日から沖縄でキャンプを立ち上げ、20日からはいつもの安芸に移ります。なお、上の画像は Yahoo! のスポーツナビから引用しています。
このオフには、赤星外野手が突然の引退となりましたが、城島捕手をはじめとして新戦力も多いに補充されました。ここ数年は外国人選手の補強に失敗しているので、今年もやや心配ではあるんですが、今年こそ大いに期待を持って応援したいと思います。

リーグ優勝と日本一目指して、
がんばれタイガース!

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2010年2月 1日 (月)

米国の成長率について考える

先週の金曜日1月29日に商務省から昨年10-12月期の米国GDP統計が発表されました。前期比年率で+5.7%の高い成長率を示し、4%台半ばから後半の市場の事前コンセンサスを大きく上回るとともに、6年振りの高い成長率だったようです。まず、ニューヨーク・タイムズのサイトから記事を最初の4パラだけ引用すると以下の通りです。

The United States economy grew at its fastest pace in more than six years at the end of 2009, even as businesses resisted hiring and continued to do more with less.
The broadest measure of economic activity, gross domestic product, expanded at an annual rate of 5.7 percent in the fourth quarter, after a 2.2 percent increase the previous quarter.
"It was an excellent report, but it's not clear how sustainable this pace of growth is," said John Ryding, chief economist of RDQ Economics.
The growth rate was the fastest since the third quarter of 2003, when the economy grew at a rate of 6.9 percent. But even 2009's fourth-quarter surge was not enough to overcome a terrible start to the year. The economy finished 2009 with its biggest contraction since 1946, when the country was still cooling off from World War II.

続いて、米国のGDP成長率は以下のグラフの通りです。季節調整済み系列の前期比年率表示となっています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、直近の米国景気の谷は昨年2009年4-6月期と仮置きしています。

米国GDP成長率の推移

年率+5.7%はかなり高い成長率であることは言うまでもなく、米国経済は本格的な回復を示していると受け止めるべきなんでしょうが、リーマン・ショック後の傷が余りにも深かったため、水準として経済活動が本格軌道に戻るのには、まだまだ時間がかかる可能性が高いと私は受け止めています。従って、この高いGDP成長率について、一昨日に取り上げたダボス会議に出席していたサマーズ米国国家経済会議 (NEC) 委員長は、現地におけるテレビ・インタビューにおいて、"certainly doesn't suggest we are in any position to pop champagne corks" と発言していたりします。

日本経済の2番底の根拠のひとつに米国経済の減速があったと思うんですが、この米国の成長率を見ると、2番底の可能性はさらに低まったと受け止めるべきです。しかし、可能性は残っていますし、2番底には陥らないとしても減速の可能性は十分あります。さらに、今週金曜日に発表される米国雇用統計も注目です。

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