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2010年3月 5日 (金)

日銀の追加緩和策に関する日経新聞の報道

今日、某メディアの在京記者の方から取材を受けました。というのは、本日付けの日経新聞で日銀の追加緩和策についての報道があるということで、私も日経新聞を見ましたが、残念ながら九州版では当該記事が見当たりませんでしたので、ネットで探すと確かにありました。関連する記事を2本引用すると以下の通りです。

日銀、4月にかけ追加緩和を検討 短期金利、一段の低下促す
日銀は追加の金融緩和策の検討に入った。4月にかけて本格的に協議する。期間1年以下の短期金利の一段の低下を促すことを軸に、資金供給手段の拡充などを議論する方向だ。消費者物価が下げ止まらないなかで企業や家計の行動が慎重になるリスクがあると判断。デフレ進行で再び景気が悪化する事態を防ぐために、機動的に動く態勢を整える。
日銀は3月16-17日の金融政策決定会合で追加金融緩和の本格議論を始める見通し。景気の回復ペースそのものは堅調とみているため、緩和策決定には政策委員の間に慎重な意見も残る。このため3月の決定は見送り、決定会合が2回予定されている4月に具体策を詰める可能性もある。
日銀の緩和検討、財務相が評価
菅直人副総理・財務相は5日午前の閣議後の記者会見で、日銀が追加の金融緩和策の検討に入ったのに対して「デフレ脱却の努力をすることは好ましい」と述べた。同相は「政府はデフレ脱却に向けてさらなる努力をするので、日銀も同じ目標に向かってさらなる努力をお願いしたいと常に言っている」と指摘。「そういうこともあり、日銀の方で(追加緩和を)検討しているのかもしれない」と語った。
財政政策を巡っては「今の日本経済はすぐに出口戦略に移れる状況にきていない」と語り、当面は積極的な財政出動を続ける考えを示唆した。円相場については「(財政危機の)ギリシャ問題がユーロ安、結果としての円高に影響している」との認識を示した。

緩やかながら景気が回復する中でコアコアCPIが依然としてマイナスを続けるデフレの中で、総選挙を終えたばかりの政府首脳から追加緩和策を求められているんですから、いかなる観点からも日銀は追加緩和策を実施する必要に迫られていると受け止めるべきです。私がこのブログで何度も繰り返して来た、余りにも当然のことがようやく実現するようですから喜ばしい限りです。ちなみに、リフレ派のエコノミストとして、日銀の追加的な緩和策について、あたかも「オオカミ少年」のように、何度も繰り返して取り上げているんですが、最近12月以降は以下の通りです。

  • 2009年12月1日: 今日午後の日銀臨時金融政策決定会合の結果をどう見るか?
    何はともあれ、「政府からの独立」を盾に、頬かむりを決め込んでいた日銀もようやく重い腰を上げました。「ルビコン川を渡った」とまでは思いませんが、政府の顔色や市場の動向に応じて追加的な金融緩和策を次々と打ち出さざるを得ない状況に近くなったことは確かです。
  • 2010年1月26日: 来年度予算政府案に見る我が国の財政事情と日銀の追加緩和策の予想
    私は来月かさ来月には日銀が追加的な緩和措置を講じる可能性が十分あると見ています。大胆かつやや無責任、さらに何ら根拠を示さない予想を披露しておきます。
  • 2010年1月29日: 各種経済統計が発表される
    緩やかながら景気拡大が続いている中で、需給ギャップも緩やかながら縮小していると考えるべきですから、このマイナス幅を拡大し続けるコアコア CPI は循環的なものではなく、何らかの構造的な要因を反映していると受け止めるべきです。このことが理解されているのであれば、私が今週火曜日1月26日付けのエントリーで根拠なく宣言したように、日銀が何らかの追加的な緩和策を取るべきタイミングが近付いていると考えるべきです。
  • 2010年2月18日: ものすごい偶然か?
    日銀は今日までの金融政策決定会合で、追加的な金融緩和策を見送りました。取りあえず、私が1月26日付けのエントリーで示した大胆な予想は今月については外れました。しかし、1次QEを取り上げた方の月曜日のエントリーでチラリと触れたように、特段の政策対応の準備なしに「デフレ宣言」してしまった政府から日銀への圧力が強くなるのは目に見えています。来月には何らかの追加緩和策が決定されると重ねて予想しておきます。
  • 2010年2月26日: 鉱工業生産と消費者物価の動向を占う
    物価上昇率をさらに引き上げたいのであれば、物価に責任を持つべき政策当局、すなわち、中央銀行が何らかの政策を発動することが必要です。再び、三たび、大胆な予想ですが、来月16-17日に開催される金融政策決定会合において、私は何らかの追加的な金融緩和策が決定されると考えています。
  • 2010年3月2日: 景気は完全雇用に向かっているか?
    マイナスのGDPギャップ解消とデフレ脱却のため、菅副総理・財務大臣をはじめとして政府から日銀に対する圧力が強まっています。何度かこのブログに書いて来たことですが、今月中旬の日銀金融政策決定会合において、私は何らかの追加的な緩和策が決定されるものと予想しています。

追加的な金融緩和の候補としてはいくつか考えられるんですが、昨年2009年12月に導入された新型オペ、すなわち、国債などの適格担保を基にした3か月間0.1%の金利で毎週8,000億円、総額10兆円の資金供給のオペの延長は、私は候補にならないと考えています。というのは、貸出し期間が3か月ですから、単にロール・オーバーされるだけで日銀当座預金を増加させる効果がまったくないからです。下のグラフの通り、特に、3月に入って当座預金は急速に減少を示し、当座預金のうち非準預先残高は2兆円ほどになっています。

当座預金残高の推移

何と言っても、日銀の白川総裁は『現代の金融政策』で金融政策とはオペにより短期金利を操作することがその本質、と喝破した方ですから、政策金利を0.1%にしておくことで金融緩和策としては十分と考えているフシがあるんですが、まさか、すべての日銀エコノミストがそのレベルだとは私は思いたくありません。でも、政府向けに実効のない追加緩和策でお茶を濁すくらいのセンスはあるかもしれません。

取材に対して、「そんなことも知らなかったのか」とかなり尊大な受け答えになってしまって反省しています。でも、私なんかから見れば、追加的な金融緩和は客観的な情勢から導き出される論理的かつ明白な帰結だと思います。さらに付け加えれば、メディアで取り上げられてしまった限り、日経新聞の最初に引用した記事の最後にあるような「3月の決定は見送り、…4月に具体策を詰める可能性」はあり得ません。今日の市場はこの観測記事を囃した面もあるわけですから、メディアも日銀も市場の期待というものを無視しています。最後に、意識してか意識せずか、観測気球を上げたか上げさせられたか、昨日、滋賀県金融経済懇談会で講演をした野田審議委員はお気の毒に思います。

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