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2010年3月 4日 (木)

法人企業統計に見る企業業績の回復と緩慢な設備投資動向

本日、財務省から昨年10-12月期の法人企業統計調査が発表されました。経常利益は10兆円を超え、10四半期振りの増益となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

企業の経常利益、2倍に10-12月期、10四半期ぶり増
財務省が4日発表した2009年10-12月期の法人企業統計によると、企業の経常利益はリーマン・ショック直後で急激に落ち込んだ08年10-12月期に比べ2倍の10兆3763億円になった。10四半期ぶりの増益だった。売上高は減ったものの、コスト削減で売上原価を圧縮させた。一方で設備投資は17.3%減と11期連続で前年同期を下回り、投資にはなお慎重な姿勢を崩していないことを示した。
売上高は同3.1%減の335兆円と8期連続の減収となった。電気機械や建機などの売り上げが振るわなかった。企業は先行き不透明感から投資を手控え、人件費などのコストを抑えることで利益を確保している。財務省は今回の結果について「企業は依然として厳しい状況」との判断を示した。
足元の景気動向をみるために設備投資の季節調整値をみると、10-12月期は前期比0.9%減と依然マイナスだった。8.2%減だった7-9月期に比べ下落率は縮小したものの、投資活動に回復の兆しは乏しい。

次に、季節調整済み系列のグラフは以下の通りです。上のパネルが売上高と経常利益、単位はいずれも兆円ですが、売上高は左軸、経常利益は右軸に対応しています。下のパネルはソフトウェアを除く設備投資額で、左軸の単位は同じく兆円です。

法人企業統計の推移

引用した記事にもある通り、売上高や利益の観点から企業業績は順調に回復していると見られますが、設備投資にはまだ慎重な姿勢が残っており、完全な底入れはもう少し先、すなわち、今年年央くらいになると私は考えています。他方、労働分配率は着実に低下を示しており、最近の雇用統計を裏付けるものとなっています。下のグラフの通りです。なお、下のグラフは季節調整をしていない原系列を基に、労働分配率=人件費/(経常利益+減価償却費+人件費)で算出しています。

労働分配率の推移

最後に、この法人企業統計を基に考えると、10-12月期GDP統計2次QEの設備投資は7-9月期ほどではないでしょうし、1次QEの+1.0%増がマイナスに突っ込む可能性も小さいでしょうが、少し下方修正されると私は受け止めています。

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コメント

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe094/main_1.pdf をみると、投資デフレーターのマイナス幅が着実に縮小してる傾向にあるみたいなので、実質でみれば、おっしゃるとおり、少しの下方修正で済むかもしれませんね。

労働分配率の低下は、失業率の増で説明されるものであって、一人当たり賃金の調整がだいぶ進展した、と考えるのは、時期尚早なのでしょうか・・・?

投稿: TOMOHIKO SENGE | 2010年3月 5日 (金) 00時30分

>労働分配率の低下は、失業率の増で説明されるものであって、
>一人当たり賃金の調整がだいぶ進展した、と考えるのは、時期
>尚早なのでしょうか・・・?

そうだと思います。労働分配率の低下は、失業の増加と人件費以外の項目、すなわち、経常利益の増加を反映したものだと思います。

投稿: 官庁エコノミスト | 2010年3月 5日 (金) 20時35分

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