大学生の就職戦線はますます厳しく「厳選採用」へ
少し旧聞に属する話題なんですが、今週4月21日水曜日にリクルートのワークス研究所から「ワークス大卒求人倍率調査 (2011年卒)」が発表されました。大学に出向してから学生の就職戦線の話題にも敏感になり、昨年もこの時期に取り上げています。まず、リポートからハイライトを引用すると以下の通りです。
求人倍率は前年の1.62倍から1.28倍に低下
大企業は0.38倍から0.47倍、300人未満企業は8.43倍から4.41倍と、規模間の倍率差は縮小
来春2011年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は、1.28倍となった。全国の民間企業の求人総数(計画)は、前年の72.5万人から58.2万人への19.8%のマイナスとなった。一方、学生の民間企業就職希望者数は、前年の44.7万人から45.6万人への1.9%のプラスとなった。
厳しい経済環境が続き、また厳選採用を行っているが、今年の求人倍率は、1996年3月卒(1.08倍)や、2000年3月卒(0.99倍)の就職難とされている時期ほどには、落ち込まない見通しとなった。
従業員規模ごとの求人倍率は、5000人以上の大企業では前年の0.38倍から0.47倍、300人未満企業では前年の8.43倍から4.41倍となり、前年より規模間の倍率差は縮小し、規模間のミスマッチは緩和した。
ということで、リポートに示されているグラフと同じのをマネして書いてみました。以下の通りです。赤い棒グラフが企業からの求人総数、青が大学生の民間求職希望者数で、ともに左軸の単位は万人です。緑の折れ線グラフはこの比率として求められる求人倍率で、右軸の単位は倍です。2008-09年卒の2年ほど2倍を超えていたのが今年2010年卒からガクンと下がって、とうとう来年2011年卒は1.28倍となりました。昨年調査の2010年卒まではまだまだ大学生の新卒者に対する求人は意外と堅調だったんですが、2011年卒からますます厳しさが増していると私は受け止めています。上の引用の言葉を借りると「厳選採用」ということになります。
2008年卒までは景気が順調に拡大していた上に、いわゆる団塊の世代の退職に合わせて新卒採用意欲も高かったんですが、Great Recession を経て団塊の世代の退職補充もほぼ終わり、大学生の就職戦線は厳しさを増しています。また、規模別では倍率格差が顕著に縮小しています。どの規模で見ても企業の求人は減少しているんですが、学生の希望の方が大きくシフトしているのが原因です。学生の大企業志向が一段落するとともに景気も上向きになって、この先の大学生の就職戦線は落ち着く方向にあるのかもしれません。
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