国際労働機関 (ILO) の 「ASEAN 労働見通し」
先週5月20日に国債労働機関 (ILO) から 「ASEAN 労働見通し」 Labour and Social Trends in ASEAN 2010 が発表されています。もちろん、pdf ファイルの全文リポートもアップされています。構成は Overview を含めて、以下の4章構成となっています。
- Overview
- Labour market trends and policy lessons learned
- Improved productivity and competitiveness for balanced and inclusive growth
- Human resources for balanced and inclusive growth
上の章別構成で青い字でハイライトしておいた通り、balanced という語に重点が置かれています。この語が意味するところは、ASEAN 諸国ではいまだに informal sector の雇用が61%以上を占め、1日当たり US$2 以下の低賃金労働が最近2年間で51%、140百万人から57%、158百万人に増加したことを指しており、生産性の向上に基づく国際競争力の強化によるマクロ経済の成長を通じて、この状況が改善されることを目指すべきであるとしているからです。
上のグラフの通りなんですが、いずれも全文リポートから引用しています。まず、第3章では、p.26 Figure 3.3: Global competitiveness and infrastructure rankings, selected countries, 2009-2010 において、インフラ整備と国際競争力の間に何らかの相関があることを示しています。上のパネルの通りです。続いて、第4章では、p.38 Figure 4.1: Global Competitiveness Index and on-the-job training において、OJTと国際競争力の間に何らかの相関があることを示しています。下のパネルの通りです。
このリポートに従えば、ASEAN 諸国では2007年から2009年の2年間で0.3%の生産性向上しか達成できませんでした。一方で、同じ期間に中国は8.7%、インドでは4.0%となっています。インフラ整備や職場における OJT が ASEAN 諸国における国際競争力の強化や生産性の向上を通じた雇用の質の向上につながることが強く示唆されています。
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