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2010年5月26日 (水)

財政政策の役割は何か?

5月はどうしてもゴールデンウィークの関係で政府統計の取りまとめが遅くなり、今週後半の木曜日の貿易統計、金曜日の雇用統計と消費者物価まで、特に面白みのある経済指標が出ませんので、適当に時間を潰したいと思います。ということで、先週の授業でやった財政について取り上げます。通常の教科書では、財政の役割を以下の3点として教えています。

  1. 資源配分
  2. 所得再分配
  3. マクロ経済安定化

最初の資源配分機能については、私のようにかなり狭義に公共財の提供としか考えないエコノミストもいれば、自然独占に至る費用逓減産業が最適生産を行うための補助金、外部経済がある場合の補助金や課徴金なども、一応、何らかの財政措置を伴うので財政政策に入れる考えもあります。私は公共財以外は基本的に規制の問題だと考えていますので、財政政策には含めていません。私がこう考えているのは、実は、役所の作りがそうなっているからだったりします。第2の所得再分配は累進的な税制により達成されますし、憲法25条的な生活保護も含みます。最近の流行りの言葉でいえば格差是正と言うことになります。最後のマクロ経済安定化はほとんど公共財に近いものですが、多くの先進国では一昨年から昨年にかけての Great Recession のような例外を除いて、通常のファインチューニングは財政政策ではなく、金融政策に委ねられているような気がします。

 消費競合性
ありなし
排除可能私的財
アイスクリーム、鉛筆、本
混雑した有料道路
自然独占
上下水道、CATV、電話
混雑していない有料道路
不可能共有資源
海にすむ魚、地球環境、クジラ
混雑した無料道路
公共財
安全保障、外交、基礎研究
混雑していない無料道路

公共財を説明する際の定義ですが、経済的な財は上のように、消費の競合性と排除可能性から4種類に分類されます。4種類のうち、市場が効率的であるのは左上の私的財だけです。伝統的な財政学では、右下の公共財はコストが正しく認識されていれば過小供給またはまったく供給されないと考えます。しかし、現在の日本ではコストが正しく認識されず、逆に、ほとんどタダだと考えられているので、過剰供給されているのは誰の目にも明らかです。なお、上の表はマンキュー教授の初級の経済学のテキストから拝借しているんですが、道路の例は分かりにくいものの、それなりの含蓄があります。

  1. 認知ラグ
  2. 決定ラグ
  3. 実施ラグ
  4. 波及ラグ

マクロ経済の安定化については、上の4種類のラグを考える必要があります。一般に、財政政策では2番目の決定ラグと3番目の実施ラグが長く、4番目の波及ラグが短い一方で、金融政策はその反対で、決定ラグと実施ラグが短く、波及ラグが長いと考えられています。いずれにせよ、景気循環を打ち消すような方向でマクロ政策運営を実施しなければならないわけですが、ラグを考えないと、逆に、景気循環を増幅しかねません。

マクロ経済の安定化については、財政政策と金融政策とで大きな違いがあります。すなわち、財政政策は税制や補助金などにより市場を通さずに、何らかの方法で家計や企業の経済活動に対して直接に働きかけることが出来ますが、金融政策は合理的な市場行動を前提します。ですから、中央銀行に勤務するセントラル・バンカーは政府に勤務する官庁エコノミストよりも規制緩和や自由化に熱心であるといえます。

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