単身赴任の良し悪しについて考える
一昨年の8月1日に長崎に赴任してから、2年近くを単身赴任で過ごしています。自由気ままで過ごせるのは独身時代に戻ったようで、それはそれでいいんですが、我が家のように専業主婦の女房がいるのと違って、身の回りのことは自分で片づけないといけません。それはそれで面倒です。加えて、私の場合は公務員でしたので、ごく普通のサラリーマンと同じ条件から大学教員に出向して、仕事も大きく変化しましたから、生活面と仕事の面と両方で対応が必要になっています。昨夏の新型インフルエンザを別にすれば、現時点まで、大きな病気やケガは経験していませんが、本学には医学部・歯学部・薬学部とそろっているとは言うものの、私くらいの年齢で単身赴任も長くなると健康に起因するリスクが増しそうな気がします。ということで、精神面と肉体面の単純なディコトミーに従って単身赴任の良し悪しを考えると以下の通りです。
まず、精神的には、もはや中年ですから、藤沢周平さんの名作短編集『たそがれ清兵衛』の最後の物語である「祝い人助八」みたいなもので、ある意味で、女房と離れて暮らすのは自由度が高まります。もちろん、「祝い人助八」の方は格上の家から嫁に来た小うるさい女房が早死にするという設定ですから、単身赴任とはまるっきり違うんですが、それはそれとして、自由度が高まって薄汚れた暮らしを始めるところは似通っているような気がします。でも、私のような親バカの場合は子供の顔を見られないのは寂しい限りです。もっとも、子供達の方では父親がいなくて自由度が増しているような気がしないでもありません。健康とは肉体的なものだけでなく、メンタルから病気になることもありますが、少なくとも我が女房は、私にはそういった心配はまったくないことを認識していることと思います。
肉体的な健康面を考えると、すべてを外食に頼る食事は自由気ままの典型で、好きな時刻に好きなものを食べていますので、私のような太る体質の人間は体重が増えます。一時は最大で3キロまで太りましたが、今は半分くらい戻しています。長崎ではチャンポンやお好み焼きなどの、自然と野菜が多く取れるようなメニューを心がけています。でも、チャンポンは店によっては塩分が多そうな気がしないでもありません。なお、食事については何とも言えない独自の悩みがあります。すなわち、大手の飲食店チェーンなどで学生バイトを雇っているところでは、必ず、経済学部の学生がアルバイトしていると言われています。実は、本学の場合、工学部よりも経済学部の方が学生数が多かったりします。我々教員の方からは判別できないんですが、小さな街ですし学生からは教員が判別できるようです。私はプライバシーを大切にしていますので、出来るだけ、こういった大手のチェーン店には行かないようにして、家族経営の小さな店に入るように心がけています。
私が最も苦手なのは掃除で、事実上、掃除は放棄しているに等しいんですが、掃除は放棄できても、洗濯をしないことにはどうしようもありません。ですから、洗濯物を減らす工夫をして、何日も同じジーンズをはいたり、週末は靴下を省略したり、なるべく薄着で済ませようとしていたりします。薄着し過ぎて肌寒く感じることもあれば、逆に、不必要に厚着してしまったと週末の洗濯の重労働を思いやって後悔する場合もあります。ミッション系の上品な私学などでは、男性の教員はクールビズ以外ではネクタイにスーツという暗黙の了解があるケースも少なくないと聞きますが、本学はドレスコードのようなものはないらしく助かっています。たぶん、経済学部では唯一だと思いますが、暑い季節を別にして白衣を羽織って押し通しています。日時を経過して薄汚れて来て、やや清潔感に欠ける場合もあるんですが、本来、白衣とは代わりに汚れてくれるものだと解釈しています。清潔感ある白衣とは仕事をしていない象徴ではないでしょうか?
最後に、青山にいた時は10時半か11時くらいには布団に入っていたんですが、長崎に来てから夜更かしをするようになりました。定時に出社して定時に帰宅するサラリーマンではなく夜学の学生を相手にすることもありますので、不規則な勤務は仕方ないんですが、寝付くのも朝起きるのも1-2時間遅くなり、私の本来のペースである夜型にシフトしたような気がします。
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